ハマー機関の大型ヘリコプターに乗り込んだのは良いものの、またしても私は乗り物の振動と揺れに気持ち悪くなりながらも流君の肩を借りて、ヘリポートに着陸した瞬間に安堵の吐息をこぼす。
「お二人とも博士達がお待ちです」
「……えぇ、今行くわ」
「オレも行っていいのかね」
「裏切ったのはカモフラージュするためだって話しておけばセーフでしょうけど。強羅と杜綱君はどう思うのかしらね?」
私はクスクスと笑いながらそう言って、流君の手を優しく握り締めると「おいおい、こんな傷だらけなのに勘弁してくれよ」と呟き、どうなるのかを想像して苦笑いを浮かべている。
一番奥の部屋に通された瞬間、蒼月君ととらが槍を突き付けてきたけれど。直ぐに獣の槍を納めて、私達に飛び付くように抱き着いてきた。
よく見たらヘレナ博士達も一緒にいる。
「流兄ちゃん、お妙さん、良かった…!」
「けっ。ズタボロじゃねえかよ」
「そんなすぐに信用していいのか?」
守矢さんの言葉は尤もだけど。タイミングをちょっとだけ間違えているわね。そう私は思いながら力強く抱き締めてくる蒼月君の頭を優しく撫でてあげる。
「貴方達、いつまで扉の前で話をしているの。Miss.糸色は着替えを用意しているから向こうの部屋で着替えてくると良いわ」
「ん、ありがとう。ヘレナ博士」
彼女の指差す扉に向かっていく途中、彼女達の視線を感じて仕方なく蛮竜を地面に突き刺しておき、そのまま着替えるために扉の向こう側に入る。
ロッカールーム。学校の着替えの時以来ねと思いつつ、下着まで用意されている事実に少しだけ引き、全身の湿り気をタオルで軽く拭き取ってジーンズとシャツ、ジャンパーを着替える。
「(流君のジャンパーだけど。置いておこう)」
流石に濡れた服で行くのはイヤだ。
「普通の素材とは違うな。鉛や鋼、鉄とも違う。何かの細胞か部位を研磨して鍛え直したのか?」
「柄の部分も樹齢千年を越える代物だ」
「キルリアン数値10万?!白面の者の欠片より上だなんて流石は獣の槍に並ぶ最強の武具」
科学者の言葉に頭を悩ませる蒼月君達に近付く前に蛮竜の柄を握り締めて、温度と範囲を狭めた熱風を巻き起こして、髪の毛や肌の湿り気を蒸発させる。
シャワーを浴びていないのは不満だけど。
そんな贅沢を言える時間はないし、こうして蛮竜をドライヤー代わりにするので我慢しておこうかな。本当はもっと綺麗な格好で会いたいんだけどね。
「お妙さん、傷は大丈夫なのかよ!?」
「ハハハ、これくらい平気だよ。何故なら」
「なぜなら?」
「私は糸色だもの!」
そう言って私は高らかに笑う。