ヘレナ博士達の話を聴き終えて、蒼月君のために拵えられた石喰いの鎧に私は目を見張ってしまった。その精巧に鎧の外装を研磨し、具足に至るまで霊気と妖気を均一に整えて作られた代物に感嘆の吐息を吐く。
まさか、これほどまでに現状維持された石造りの鎧を見ることが出来るなんてやっぱり生きていると面白いものに出会えるわね。
「Miss.糸色も用意したかったのだが、石喰いの好む鎧はこの一つだけだった」
「それに関しては問題ないわよ。蛮竜みたいに大きな鉾を振るうには鎧を着込んだら関節に負担を掛けて、上手く戦えないだろうからさ」
そう言って博士達を安心させようとしたとき、研究所の扉を抉じ開けるように突き放たれた牛角十文字の槍を蛮竜の鎬で受け止め、弾き落とす。
「全くこんな時まで格好付けている場合じゃないでしょう。そんなんだから22になっても彼氏が出来ないのよ、この微妙さんが」
「…ハハハ、残念だったわね!今さっき彼氏なら出来たわよ、バカ類!」
いつものように聞きなれた声に思わず、言い返すと温かく優しい香りに包まれた。───けれど、私を抱き締める腕の強さは酷く痛かった。
身体が光に包まれて傷が癒えていく。私の大事な従姉妹の才賀類の持つ「癒やしの力」が部屋中に拡がっていき、みんなの傷を癒やし、部屋の外に近付いていた婢妖の気配が粉々に霧散し砕け散る。
「死んだら絶対に許さないわよ、妙」
「心配してくれて、ありがとう。類」
ぎゅうっと私も彼女の身体を優しく抱き締め返していたその時、カシャカシャとシャッターを切る音が聴こえて、私と類はそっちに顔を向ける。
「あ、失敬。あまりにも綺麗な光景だったもんで」
守矢さんの言葉に私達は顔を見合わせ、クスクスと笑いながら「綺麗だってさ」「綺麗らしいわね」と言い合い、コツンとおでこをくっ付ける。
「
「うん。大事に使うわ」
「分かっているなら宜しい」
ゆっくりと私達は離れて槍と鉾を重ねる。
「日本の守護は任せなさい。本家と分家の統括を行い、白面の者に与する妖怪や人間は此方で受け持つわ。ただ、錬金術師達が動いているみたい」
類の言葉にまたかと溜め息を吐き、私達の話に付いてこれていない蒼月君と流君に錬金戦団というホムンクルス専門の秘密組織を話し、何故か糸色を狙っている事も話すと二人とも顔を歪めた。
そういえば斗和子も錬金術師だったけど。
いや、アレは純正の錬金術だから比べるのが可哀想に思えてくるわね。