【完結】風薫る日陰に寄り添う妙花   作:SUN'S

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封印の石柱 急

「おおおおらあっ!!」 

 

蒼月君は獣の槍を右側に向かって横薙ぎに振るい、奈落の身体を守るために重なり合う触手の障壁を切り裂き、砕く。その彼の側面に飛び出す奈落の本体に虎翼の穂先を突き立て、虎翼を手元まで引き戻す際に柄を捻り、奈落の脇腹を弾き飛ばす。

 

「ぐぬうっ!?」

 

「あら、土じゃないのね!」

 

「クグツじゃねえなら獣の槍で倒せる!」

 

今回は土くれの傀儡ではなく本体だ。

 

白童子の話していた奈落の思惑は真実味を帯び始めている。コイツは弱った白面の者を取り込み、更なる強さを得ようと目論んでいるのだ。

 

槍の柄の中程を掴み、片手のまま槍を突き伸ばして簡易版の回転力を下げた八寸を撃ち込み、石突きを地面に突き立て、天井の円錐形の錐のごとく尖った柱に着地し、足を絡めてその場に留まる。

 

「猿か貴様は?!」

 

「母になれって言った相手によく言えるわね」

 

……これだから、半妖は好かぬ……

 

「貴様ァ…!」

 

「余所見かこのワカメ野郎!!」

 

私の言葉に嘲笑の笑みと視線を向ける白面の者に奈落は怒りを露にした次の瞬間、蒼月君の突き上げるように放たれた獣の槍が奈落の身体を真っ二つに切り裂いた。

 

これで終わりだ。

 

「イギッ?!」

 

そう安堵した刹那、奈落の顔が私を向くと同時に無数の触手に身体を掴まれ、ミシミシと身体を締め上げる触手の強さに暴れるも万力のように締まる触手によって肺を圧迫され、まともに呼吸すら出来ない。

 

「妙、助けは必要ですか?」

 

「ッ、ま、負けないわ!!」

 

結界に意識を集中しているしとりお婆様の言葉に反抗し、私は身体を締め上げる触手に破魔の霊気を叩きつけ、無理やり吹き飛ばし、ゆっくりと深呼吸を繰り返す。海底だから酸素は薄いけど。

 

これだけ吸えれば十分だ。

 

虎翼を元の短剣状態に戻し、鞘に納める。

 

「此処からは本気の私だ。蛮竜と二重の極み、そのどちらも制限せずにお前をブッ倒す…!」

 

「ハハ、お妙さんもそういうこと言うんだな!」

 

「言うわよ。私は糸色妙だもの」

 

そう言って蒼月君に微笑みを向けると奈落だけではなく白面の者も忌々しそうに蒼月君の事を睨み付け、妬ましそうに彼を見つめている。

 

その視線の意味は分かるけど。

 

「お前はお呼びじゃないわよ、奈落」

 

「何故、お前は儂を拒む!」

 

「そんなの決まっているでしょう。私は私の想うままに生きているからよ、他人の夢や願いを自分の物のように語っているだけの貴方に用はないわ!」

 

ゆっくりと右手の人差し指を突き上げ、笑う。

 

「お婆様が言っていたわ。人の物を盗む奴は、もっと大事な物を無くす。貴方は他人の想いを奪い続けて、本当の願いすら失ったのよ」

 

「だまれッ、この心は儂の本心だ!!」

 

そこで怒るから偽物だって分からないのかしらね。

 

 

 

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