奈落の怒り顔に高笑いをする白面の者の声が聴こえ、石柱を破壊する攻撃音が止んだかに思った刹那、私と奈落は押し寄せてきた海水に呑まれ、海の中に落ちる。
「ゴボオッ…!(クソ、呑まれるときに息を吸えなかった。この酸素の量だと精々2分が限界か…)」
「くくっ。儂を挑発していた口も海に呑まれれば何も吐けぬか。まあいい、この海の中ならば貴様の速さも強さも無意味に等しい」
「ゴポポッ…(妖怪ってズルいわね、海の中でも普通に話せるし、空気を吸わなくても自由に動けるなんて本当にズルすぎる)」
…我の尾に触れよ…
……さすれば汝を引きずり上げてやろう……
その言葉、今だけ信じるわよ。
私は奈落の放つ触手を泳いで躱しながら白面の者の尾の一本に抱きついた次の瞬間、物凄い速さで私の身体は海面を飛び出して、青空に弾き上げられた。
「────ハッ、ハハハ…!すっごいわね!!」
蛮竜の刀身を踏みつけ、熱風を巻き起こして空に停滞し、ゆっくりと目の前に浮かぶ純白の闇よりも深き漆黒の気配に笑みを浮かべる。
ようやく、あなたと戦えるわね。
ゆっくりと濡れた髪の毛を掻き上げ、ポケットに仕舞っていた赤い鉢巻きを額に当てて、かつて白面の者の分身を退けた事のある私の高祖父・相楽左之助の鉢巻きを固く締め、頭に巻き付ける。
「蒼月君達はまだ下か…じゃあ、やろうか!」
……ククッ、ハハハハ……!
やはり、糸色は目を逸らさぬなぁ…!
そう雄叫びを上げる白面の者の振るう八つの尾が変化し、かつて戦ったことのある
さあ……蹂躙してやろう……
「アハッ♪︎やれるもんならやってみなさい!」
その言葉に興奮で昂る心を静めることが出来ず、私は身体をはね上げるように蛮竜を振るい、真っ先に飛び出してきたくらぎの口に向かって大鉾の鋒を突き立て、青白い雷撃を体内に直接叩き込み、雷鳴の如く全方位に迸る雷光は空気さえも焼き焦がす。
プスプスと黒煙を吹くくらぎの頭を踏みつけ、私を見下ろす巨大な妖怪達に心臓が痛いほどに昂り続ける。自分より強いと思った妖怪は、白面の者だけだ。
でも、負ける気はしない!
「だから、ちょっとお願いね!!」
そう私はくらぎを飛び台に利用しながら更に高く舞い上がると厚沢さんの操縦する戦闘機のコックピットを解放して立つ流君に叫び、海面を突き破るように現れたあの時の海蛇の牙を避ける。
「任せろ、法力金剛弾!!」
「光覇明宗の法力を込めたミサイルだ!」
二人の放った攻撃によって海蛇は粉々に弾け飛び、私は白面の者の尾の一つに飛び付き、白面の者の頭を目指して駆け上がっていく。
みんなが集まるまで相手してあげる!