「うしおーっ!!てんめえ儂にカスを押し付けやがってぶっ飛ばしてやる!!」
その力強い怒声に歩みを止めて空を豪速球のごとく飛来するとらに笑みを深める。その後ろに追随するように東西の妖怪を引き連れ、流君達の乗っていた仙嶽には光覇明宗の僧侶達が勢揃いしている。
「家来!てめえも勝手に行きやがって、終わったら今まで喰ったこともねえメシを出さねえとお前も喰っちまうからなァ!!」
「ハハハ、期待していいわよ。大将さん!」
「けっ。最後だってのに本当にバカみてえに楽しそうに笑いやがって!」
残すは……獣の槍か……
その言葉に釣られて私達は海面を見下ろす。
まだ蒼月君もしとりお婆様達も海底から出てきていない。何か私の知らないトラブルに巻き込まれているのかと焦り、みんなを助けるために海面に飛び込もうかと悩んでいた、その時だった。
凄まじい妖気を纏った石喰いの鎧を纏う蒼月君が長く尾のように走る黒髪を揺らし、白面の者の分身の黒い妖怪の群れを切り裂き、空に舞い上がってきた。
「とらっ!!来おおおおぉいッ!!」
「うるせぇーっ!!言われんでも行ってやらあ!」
「ほんっと仲良しで良いわね」
蒼月君の呼び掛けに応えるようにとらも青白い雷撃を迸らせ、黒い妖怪の群れを粉砕し、ズラリと並んだ巨大な斗和子や霧のの妖怪シュムナに火炎を吐き、苛烈に一気呵成の勢いで攻めていく。
私も自由に空を動ける味方は居るけど。
「余所見か糸色ぃ!!」
「ああもう、黒いのはお呼びじゃない!!」
折角、白面の者の尾を駆け上がっているというのに黒い妖怪の大群に前方も後方も塞がれ、一点集中型に的を絞った火炎の光線を躱し、蛮竜で手近な妖怪を切り裂くも数は減らず、むしろ増え続けている。
このままだと数に押されてたどり着けない。
最悪、ここで冥道を乱発して打開しようかと思っていた刹那、巨大な棍を振るう角を生やした緑色の妖怪が黒い妖怪達を薙ぎ払った。
「しとりの曾孫、俺に乗れ!」
「一鬼、ありがとう…!」
私は最高のタイミングで助けに来てくれた彼の背中に飛び付き、落ちないように両足に絡み付く蛇達に身体を預けながら蛮竜を振りかざし、構えると鉄の刀身が金剛石の刀身に変化する。
「ブチかませ、曾孫おぉ!!」
「消し飛べえぇえっ!!!!」
金剛槍破によって白面の者を守る黒い妖怪達を蹴散らし、私と一鬼も蒼月君達と同じ場所に辿り着く。白面の者の眼前、真っ向から戦う場所だ。
「長飛丸、負けんじゃねえぞ」
「アホウが!儂が負けるかよ!」
「蒼月君、行くわよ」
「おう!行こうぜ、みんなァ!!」
その言葉に大音量の雄叫びが迸る。