獣の槍と蛮竜という妖怪を切り裂き、砕く破邪の霊槍の攻撃を受けて尚も掠り傷に留まる強靭な純白の毛皮は傷を負えば瞬時に回復し、私達の攻撃など無意味だとわざとらしく見せ付けているように思える。
「ハアッ、ハアッ…あんのクソ狐が儂の渾身の拳も爪もぶちこんでるってのに痛みを感じねえみてえに攻撃を受けてやがる」
「衰えたんじゃねえだろうな、長飛丸!」
「喧しい!儂はとらだァ!!」
「喧嘩してる場合じゃないでしょうにッ」
次々と迫り来る黒い妖怪の群れを切り裂き、一鬼に纏わり付く婢妖を青白い雷撃を使って弾き飛ばした瞬間、私の足に絡み付き、身体を支えてくれていた蛇の身体が切り裂かれ、私は空に落ちる。
「今だ!白面の御方様に逆らう糸色を捕まえろ!」「如何に強くとも人は空を自由に飛ぶことは出来ぬ!」「ついでぞ、蛮竜を砕いてしまえ!!」「片手か片足を失えば逆らわぬ筈だ!」
「てめえら、しとりの曾孫に近づくんじゃねえ!」
「お妙さんッ、とら行ってくれ!!」
「言われんでも行くわ!」
「チッ。前回の妖逆門を制した者の相方なぞ相手している暇はない!」「我らの目的は糸色の血族のみなり!」「うしおととらが来るぞ、妨げよ!」
海面に向かって落ち続ける私に牙、爪、拳、火炎、雷撃を使って攻撃を仕掛けてくる黒い妖怪を落下しながら迎撃しようとした刹那、金色の蝶に私の身体は包み込まれ、海面にぶつかることはなかった。
「全くLadyとしての嗜みは糸色君に劣っている。が、その鉢巻きの似合う男には良く似ている。白面の者、不躾で悪いが我々も参加させて貰おう…!」
「む~ん。まさかLXE設立初の仕事が世界の危機を救う戦いだなんて予想外だね。まあ、そういうこともあるから人生は楽しいのだけれど!」
そう言って私の目の前で何かヘンテコなポージングを決めているドクトル・バタフライとムーンフェイスの二人の登場に私の魂は昂りを感じている。
「蝶のおじ様、お月様も!」
「やあ、数日ぶりだね。私と息子、その友人の三人だけだがホムンクルスも君達に協力する。さて、孤高の極蝶の神髄を魅せてやろう」
バサリと金色の蝶は鱗粉を振り撒き、黒い妖怪をミキサーのごとく切り刻み、圧倒的な戦闘力を発揮し、ムーンフェイスは分身を繰り返して一方的に殴る蹴るの暴行を黒い妖怪に繰り返している。
「アイツら、九印とかいうヤツの仲間か?」
「お妙さん、怪我は?!」
「大丈夫よ。それと、おじ様達は従来のホムンクルス製造法は違うってお母様に聴いたことがあるから違うわよ。それより白面の者とまた戦うわよ!」
今度は私が叩き落としてあげる。