「とら!」
「わぁーってるってのお!!」
獣の槍を握り締めて叫ぶ蒼月君を背中に乗せて飛ぶとらの青白い雷撃は獣の槍を利用して広範囲に拡散し、周囲の黒い妖怪の群れを貫き、粉々に破壊していく。赤い布を着けていて、あの破壊力を持っている。
蛮竜はパワーに偏りすぎているけど。あの一点集中型の能力も悪くない。今度、蛮竜の技を切り分けることが出来ないか刀々斎に聴いてみようかな。
おのれ、糟共があ…!
「ヘッ。じゃあ、そのカスでもブッ飛ばせるおめえは何なんだろうなァ…!うしおっ、てめえもバカみてえに言ってやりゃ良いのさ!白面は糟に負けるってよおぉ!」
ゲラゲラとこんな大局で白面の者を煽るとらのふてぶてしさに思わず、私は呆れながらも苦笑してしまった。ああいう精神の強さは本当に羨ましいよ。
「来ているぞ、曾孫!」
「オーライ。行くわよ、一鬼!」
「何故、御方様の御意志に抗う!!」
「お生憎様、良い女は簡単に靡かないのよ」
一つ目の黒い妖怪の鉤爪を蛮竜で受け止め、がら空きの胴体を一鬼の振るう棍が殴り潰す。その間も蒼月君ととらは白面の者と真っ向で戦っている。
「とらぁ!!」
どこまで、どこまで我の邪魔をする…
獣の槍ぃ…とらぁ…!
「決まったら、てめえをブッ殺すまでよ!」
カッコいい啖呵を切るとらに「フン。ようやく昔の調子が戻ってきたか、長飛丸め!」と言う一鬼も満更では無さそうに笑みを深め、手足の蛇を肥大化・巨大化させて白面の者の身体に絡み付く。
「────往け、糸色妙!」
「……フフ、初めて名前を呼んでくれたわね」
彼の一言に嬉しくて笑顔を向け、一気に彼の片腕を駆け上がっていく途中、蒼月君もとらの背中を飛び下り、もう片方の腕を駆け上がり始める。
「行くわよ、蒼月君!」
「行こうぜ、お妙さん!」
二本の霊槍を振るって白面の者の薙ぐ尾を弾く。しかし、力任せに乱暴に攻撃を仕掛けてくる八本の尾を受け止める度、全身が軋み、痛みを訴え始める。
まあ、それもそうだろう。私達と白面の者の身体の大きさは象と蟻のようなもの、一撃でもまともに食らえば確実に押しつぶされる。
我の身体を這う虫が……!
「あら、私が虫かしら?」
そう言うと白面の者は忌々しげに顔を歪めた瞬間、とらと一鬼の拳を顔面に受け、身体を大きく下に向かって傾ける。流石は大妖怪、本当に頼りになるわね。
傾いた身体を蛮竜を突き立てながら滑り、獣の槍を握り締める蒼月君も私と同じように白い毛並みを滑り降りていく。このまま一気に倒しきる……!