荒々しく咆哮を上げる白面の者に肉薄し、獣の槍を振り上げ、突き放つ蒼月君。とらもまた火炎を吐き、雷撃を放って攻撃を弾き、怒涛のラッシュを叩き込み、その拳を白面の者に食らわせる。
ただ、余りにも後手に回り続けている白面の者の行動に違和感を覚える。確かに、私が尾を二本分破壊したけれど。まだ白面の者には尾は残っている。
そのせいで警戒しているのか?
「さっさと落ちやがれ、白面ッ!!」
「てめえら、呆けてねえで動け!」
「言われずとも動くぞ、妙!」
「オーライ!」
とらの怒声と剛打に身体をのけ反らせ、間髪入れずに獣の槍を振るう蒼月君の攻撃が白面の者の尾を貫き、確実にダメージを与えている。
そう、ダメージを与えている筈なのに私は白面の者に違和感を拭えない。まるで、何かを待っているかのように白面の者は単調化しているのだ。
くっくっくっ……貴様達は忘れたのか。
我の放った分身に惑わされ、裏切り者がいることを…たナガレ、とか言ったか?
「流兄ちゃんが…?」
「蒼月君、止まらないで!」
この大局でソレを言うのかと顔を歪めながら後方支援に徹している光覇明宗の結界に乱れが生じ、その隙間を縫うように白面の者の尾が一本、無造作に綻んだ結界の隙間を突き抜ける。
尾の先に居るのは────。
それを確認する事よりも早く一鬼の背中を飛び出し、蛮竜で尾の衝撃を受け止め、ミシミシと歪な音が身体中に響き渡る刹那、強引に白面の者の尾を弾き上げる。
「竜鱗、頼むわよッ!」
愚かな、人に我は御せぬ。
緑色の鱗を片刃に纏った蛮竜をかざし、白面の者の吐いた青白い火炎を切り裂き、白面の者の妖気を吸収しながら結界を補強する時間を稼ごうとした。
────その時だった。
ピシリと竜人の鱗を纏った筈の蛮竜の刀身に亀裂が走り、蛮竜に取り込まれていた妖気が溢れ返る。しとりお婆様のお友達がより一層蛮竜の強さをささえてくれていた。その強さに罅が入っていく。
「蛮竜ッ、蛮竜ぅっ!!!」
砕けよ、愚物が!
ガシャンッ……!と、蛮竜が砕けた。
蛮竜の妖怪に鍛え上げられた刀身が砕け飛び、無防備に晒された私の身体に白面の者の振り上げた尾が無造作に叩き込まれ、一鬼、蒼月君、とら、彼らの伸ばす手は私には間に合わず、私は海面へと落ちた。
「(……焦りす…ぎ、た…かな…)」
海面に落ちる衝撃に痛みを感じながら、ゆっくりと沈んでいく身体にも力が入らず、薄れゆく意識でも辛うじて蛮竜の柄だけは離さず、