蒼月君ととらを連れて仙台市内を歩く途中、視線を感じて後ろに振り返ると空港で私達を見送った筈の若い法力僧がカップラーメンを啜っていた。
飛行機より速い乗り物なんてあったかと思う反面、余計な厄介事を招く可能性を考えながら、蒼月君ととらに「あそこにストーカーがいるから気をつけてね」と伝えると二人とも後ろに振り返った。
気になるわよね、仕方ないか。
「お妙さんに吹っ飛ばされてたヤツか。飛行機より速く北海道に、どうやって来たんだろう?」
「ひこーきより速えぇなら妖馬の『炎蹄』じゃねえか?あの天を駆ける妖馬なら人を乗せて駆けるなんざアクビする間もねえぜ」
「へえ、そういうヤツもいるのか」
とらの言葉に感心する蒼月君の傍にいつの間にかやって来ていた男はカップラーメンを啜り、モグモグとラーメンを美味しそうに頬張っている。
「よう。二日ぶりだな」
「なんで、ここに居るんだ?」
そう言って私を庇うように立つ蒼月君に思わず、ドキッ!としてしまったけど。大学生ぐらいの女が健全な中学生にトキメキを感じ、更にはドキドキさせられてしまうのはちょっとだけ予想外すぎるわね。
「野暮用と忠告に来たんだよ。蒼月ととら、獣の槍を凶羅のオジキが狙っているみたいだ。迎え撃つなら、人気の少ない場所を選んだ方がいいぜ」
「おじき。ということは貴方の父親か母親が光覇明宗のどちらかということですが、何をするつもりだったんですか?」
「少し危ないオジキなんだよ。妖怪は問答無用で殲滅するし、オレに光覇明宗の法術を叩き込んでくれたのもオジキだけどよ。ありゃあ辛かった」
成る程、彼はきょうらと呼ばれる人の甥であり、追跡する筈の蒼月君ととらの二人の事を心配して、こうして教えに来てくれたわけか。
「そういうことならありがとう!」
「儂には敵わねえと思うけどなあ」
「私は狙われていないの?」
「糸色ちゃんは狙われてないけど。下手したらオジキのブッ殺したいヤツの中に糸色ちゃんが入るかも知れないのは時間の問題だ」
それなら、大人しくするべきだな。
「じゃあ、伝えたからな」
「最後に名前だけ教えてくれる?」
「オレの名前は
シャランと錫杖を揺らして離れていく若い法力僧───強羅の背中を見送り、彼の話していた法力僧が襲ってくる可能性を考えて、いつでも逃げられる場所に移動するのも大事そうだけど。
いくら追っ手を撒くためとはいえ蒼月君ととらを野宿にさせるという作戦は絶対にやりたくない。野宿するなら私も一緒に寝てあげるしかないか。