空。綺麗な青空が見える。
澄んだ青空の上を滑るように落下していく感覚を全身で感じ、ゆっくりと目を開ける。ぐるりと身体を反転させ、真下を向くように身体を大の字に広げる。
人間と妖怪、二人だけのホムンクルスの連合を相手に退かぬまま競り合う白面の者は私の気配に気付き、私を見上げるように彼らから顔を逸らした。
……やはり、戻ってきたか……!
「当然でしょう!!」
七本の尾を振るって攻撃してきた白面の者の巨体を蛮竜で受け止める。前回は砕かれたけど、この蛮竜は絶対に折れることはない。
蛮竜の柄を捻り混み、八寸を撃つ。
そのたった一撃で私に群がっていた尾が四方に弾け、最も近くに絡み付こうとしていた尾は粉々に切り裂かれ、無惨に砕け散る。
高速で旋回する戦闘機の上に立つ流君の方に向かって手を伸ばし、お互いの身体と無事を確かめるように私達は力強く抱き締め合う。
「ただいま、流君」
「生きてる、生きてる…!ハ、ハハハハ、どんだけすげえんだよお前はッ!!」
「まあ、私だからね」
流君の鼓動を聞いて、ようやく自分が生きていることを実感できたけど。蒼月君ととらがいない。いや、生きているのは感覚で分かる。
多分、私と同じように縁を辿っている。
糸色、お前達はやはり我を憎まぬな
「私には憎む理由が無いからね」
その言葉に糸色景に言われたことを思い出す。
私がこうして、この場所に立っているのも全ては繋がっている。どんなに縁を断とうと目論んだって、絶対に断つことは出来ない。
「流君、行ってくるわね」
「……嗚呼、行ってこい」
短い言葉を交わして私は戦闘機の上を飛び降りると傷だらけでも空に浮かび、私の事を待ってくれていた一鬼の背中にゆっくりと着地する。
「遅いぞ、妙」
「ごめん。でも、もう大丈夫よ」
「どういう理屈か知らねえがさっきより蛮竜が強そうになってやがる」
「みんなのおかげかな」
私だけだったら蛮竜は復活しなかった。たとえ復活してもこの蛮竜のように強い力を得ることは絶対になかっだろうし、本当にみんなのおかげだ。
今一度、砕いてやろう。
その強き意志を。その竜の牙を。
「残念だけど。私の蛮竜は折れないわよ、幾千の魂が宿っている
面白い。お前もまた我を慈しむか
ケタケタと笑い出す白面の者に蛮竜の切っ先を突きつけ、一鬼と一緒に突撃する。この身に宿る鮮烈たる激情を貴女だけにぶつける。
私は貴女を救って欲しいと頼まれたからね!!