白面の者が仰け反って身体を大きく後ろに退けた刹那、その巨体を封じ込める巨大な結界の網を展開し、もう逃げることは出来ない状況を作り出す。
もうすぐ、だ。
「おお、白面の妖気と人間、妖の張った結界壁がぶつかって海が凍りついていく…!」
「見よ、あやつはもう結界壁を抜ける事は出来ぬ。飛んでも潜ってもヤツは檻の中ぞ…!」
東西の長の言葉に沸き立つ妖怪達。蒼月君ととらも完全に復活し、ようやく白面の者と対等の立場に皆が辿り着いた。あとは倒すだけだ。
ゆっくりと蛮竜を担ぎ、赤い鉢巻きを指でなぞる。
紅煉、何故来ぬ。紅煉えぇぇん……!!
「お生憎様、彼なら私達の頼りになる人が相手をしているわよ。勿論、あの人は絶対に勝つからグレンは来ないでしょうけどね!」
「ああ、あいつは鏢さんがブッ倒す!」
怒りと困惑に叫ぶ白面の者に答えを教えてあげれば忌々しそうに蒼月君ととらを睨み付け、次に私を見据えると睨めつけるように見上げている。
まだまだ元気一杯ってわけね。
蛮竜の雷撃の範囲を絞り込み、雷撃を刀身に纏わりつかせるように調整し、風の傷の衝撃波に雷撃を織り混ぜ、白面の者の顔面に向かって放つ。
まだ、我には手はある。
黒炎ども、奴らを殺せ…!
「チッ。まだ出せるのかよ、あの黒いの!」
「長飛丸、まさかビビっているのかぁ?」
「誰がビビるか!それと、儂はとらだ!」
「誰が呼ぶものか、大うつけ者が!」
二人のやり取りに少しだけ呆れながらも結界壁の隙間を縫って飛び出そうとする黒い妖怪を蛮竜で切り裂き、一鬼の使っていない大槌の片方を引き抜き、汚くヨダレを垂らして飛び掛かってきた黒い妖怪を叩き潰す。
「うげぇーっ、大槌と大鉾の二刀流かよ!」
「ハハハ、カッコいいでしょう!」
体力を温存するために直ぐに撃ち放てる熱風を繰り出し、体勢の崩れた黒い妖怪の身体を大槌でぶん殴り、力任せに潰していく。
「お妙さんッ、あそこまで行かせてくれ!」
「儂だけで十分だろうが!」
「オーライ。一鬼、イズナ君、やるわよ!」
「大砲水の乱れ撃ちだ!!」
「オイラだって雷撃ぐらい出してやらぁ!」
私の頭に張り付くイズナ君が雷撃を、一鬼が渦巻く海水を槍のごとく放ち、その二つを束ねるように私が風の傷を繰り出し、二つの妖気を織り混ぜて爆流破へと紡ぎ直し、蒼月君ととらの事を守るように妖気の嵐が黒い妖怪と婢妖を刻み、裂き、斬り潰す。
「勝負だ、白面ッ!!」
世迷言を抜かすか、獣の槍!
「オレの名前は、蒼月潮だ!」
なんだか私みたいなことを言ってる。
────けど。すごく頼りになっているわよ。