私の振るう蛮竜を槍のような尾で受け止め、火花を散らす白面の者と睨み合う。あれだけ大きかった身体を小さくして、尾の数も三本まで減っているというのに、全く衰えている感じじゃない。
「風の傷っ!!」
くだらぬ。風ごときが嵐に敵うか!
「グフッ!?」
縦に身体を捻り、掬い上げるように風の傷を繰り出し、雷と風を纏った尾を退けるも突進を受け、私は氷の地面に叩き落とされ、鋭い鉤爪の生えた手に踏み潰され、血反吐を吐いてしまう。
「お妙さんに何してやがる!」
「蒼月君ッ、危なぎぃ…!」
お前達はまだ我に勝つつもりか。どれだけお前達が強がろうとその身は人。弱くてくだらぬ。脆弱な存在だと理解せよ!!
ミシミシと身体を潰される痛みに呻き声を漏らし、槍の尾に阻まれて獣の槍による致命の一撃を与える事が出来ず、私と蒼月君は斬撃の嵐に呑まれ、氷上の地面に身体をぶつけながら吹き飛ばされる。
今までの戦いでこんなに深傷を負ったことはないから、かなり痛いし、苦しいし、疲れたけど。なんだか、やっぱり楽しい気持ちが勝るわね。
「とら、行けるか?」
「誰に言ってやがる。儂は大妖怪だぞ!」
二人の言葉にクスクスと笑ってしまう。
ああ、やっぱり二人と一緒に戦うのが楽しい。
何故、お前は笑える。我に一度も恐れを抱くこともせず、真っ直ぐに我の目を見つめ、お前は一体我に何を見ている。
思わず、キョトンとしてしまった。
確かに言われてみると不思議ではあるわね。私って白面の者を怖いとも恐ろしいとも思ったことがない。むしろ助けないといけない相手に思えている。
まあ、糸色景の影響かもだけど。
けど、まあ、言えることはあるわね。ゆっくりと人差し指を天に向かって突き上げ、掲げる。
「お婆様が言っていたわ。太陽が素晴らしいのは塵さえも輝かせることだ。どんな時でも笑っていれば、太陽は自ずと希望を指し示してくれる!」
「ハハ、確かに太陽はいっつも一緒だ。白面。今、オレ達は太陽と一緒に戦っている!」
私の言葉に応えるように蒼月君も右手を突き上げ、人差し指を天に向かって掲げる。どれだけ強い相手だろうと悪の栄えたためしはない。
「お天道様が一緒ねえ?」
「あら、戦いの神様も居るじゃない」
紫色の血を流しながら毒気の薄れた空を見上げるとらの背中を叩き、にっこりと笑ってみせる。私が一番強いと思ったのは、多分とらだからね。
「最後まで付き合ってよ、二人とも」
「おう!行こうぜ、とら!」
「けっ。しょうがねえよなぁーっ!」
そう言って私達は構え直す。