白面の者と死闘を繰り広げて一週間ほど経過し、私は糸色本家に戻って来ている。理由は本家の私が光覇明宗の僧侶とはいえ一般家庭の流君と結婚することに反対する分家筋の方々の文句だけど。
「どうするつもりだね」
「全く当主としての自覚はないのか」
「あ、当主なら弟に譲るわよ」
「「「は?」」」
「え、ちょ、姉ちゃん!?」
私の言葉に困惑し、驚く分家の当主達に首を傾げる。もう、すでに分かりきっているはずなのに、今更ビックリする必要はあるのかしら?
そう思いながらも弟に視線を向けると彼も目を見開き、慌てふためいて私に近づいてくる。遠も恥ずかしがることは無いと思うんだけど。
「姉ちゃん、マジで要ってるのか?」
「ウソなんて言わないわよ。だって、本家分家を含めて貴方より強いのは私だけだし、次点で類か本条君の二人だけだから消去的に貴方になるわね」
「オレ、彼女出来たばっかり!」
「私だって妊娠したばっかりよ?」
「……ごめん。なんて?」
遠の言葉に事実を言い返したら広間に集まっていた老若男女の当主達は信じられないものを見るように私を見つめ、頭を家は抱えていたり、パチパチと手を叩いていたり、赤ちゃん用品をてはいしようとする人までいる。
「まだ挨拶もしてないのに手を出したヤツに姉ちゃんを渡すか!!男衆、剣客兵器と御庭番衆に要請してブッ殺しに行くぞ!!」
そう言う遠の迫力に気圧されて頷く彼らの態度を見ても実力差は歴然だろう。
しかし、流君と戦うために私の後ろに掲げられていた蛮竜を掴んでいく遠の姿に誰もが当主の資格を持っている事実を理解している。
「遠、私を未亡人にするつもり?」
「姉ちゃんの選んだ男ならオレ達を倒せる!」
その信頼は嬉しいけれど。
私は結婚したら東京の光覇明宗のお寺に引っ越すし、蒼月君ともご近所の関係になるのよね。まあ、陶芸するなら何処でも出来るもの。
「まあ、妙の突拍子もない提案は昔から何だから今更よ。それより貴方達は喜びなさい、もう光覇明宗の僧侶達に面倒臭い文句は言われなくなるわよ」
「類様、それはどういう?」
「どうもこうも無いわ。私達が日本防衛のために駆け回っているとき、妙のおかげで白面の者は倒せたんだから。もう肩の荷を降ろさせても良いでしょう?それに、妙に当主は辛かったみたいだしぃ?」
「は?ムカつくから産まれるまで当主続けるわ。私がいつ辛かったなんて言ったのよ?」
「此方は新婚なのに邪魔したからよ!私は新婚のラブラブを味わいたかったのに!!」
そう言ってヒートアップする私達の言い争いに他の分家の当主達は呆れ、遠は「オレの姉ちゃん達って、どうしてこう……」と溜め息をこぼす。
まあ、これが私達だから仕方ないわよ。
次回作は「からくりサーカス」編です!