「くぉらあっ!!儂のだって言ってんだろ!」
「あとでお肉買ってあげるわよ!」
蛮竜よりも細く長く通常の槍として扱える北落師門を薙ぎ、突き、石突きでナース服の妖怪の喉を突き上げ、苦悶の表情を晒す刹那に胴を穿ち貫く。
その私の後ろでとらはその爪牙を惜しみ無く使い、子供を抱えた妖怪の頭部を爪が切り裂き、口内でチリチリと火花を弾けさせ、火炎を吐く。
「とら!お母さんの方もお願い!」
「家来の癖に指図すんなぁ!」
「ハハハ、そんなに家来が欲しいなら私の子供か孫をあげる!きっと私に似て強い子が産まれてくるわよ!」
「けっ。ならお前が子を産んだら全員儂の家来だ!」
「オーライ。信じてるわよ、大将さん!」
そんな軽口を言い合って笑い、私はタンと駆け出すと同時に穂先を回転させ、妖怪の身体を捻り斬るように切り裂き、身体を翻して素っ首を撥ね飛ばす。
何かを騒いでいるけど。
キィキィとうるさいだけね。
「────ッッ!?」
刹那、足元の地面が鳴動する感覚に気付き、とらの傍に跳び移ると同時に無数の肉柱が突き上がり、ナース服の妖怪を掴んで絞り上げていく。ジュワジュワと養分を吸われ、干からび、息絶える妖怪達。
まさか、また現れたとは予想外だった。
「てめえ、あの時の変な土くれか」
「儂の野望は潰えぬ。糸色妙、今日こそ儂のものに」
「お断りって言ったでしょうが」
北落師門を下段に構えて傀儡を使って私を求める奈落を睨み付けたその時、空から二人の人影が落下してきた。鏢のおじさんと、さっき私に変な事をしようとした赤い目の男がそこにいた。
「チッ。生きてやがったか」
「おじさんも派手に登場するわね」
「ゴホッ。誰が好き好んで落下などするか」
そう言ってナイフにも苦無にも見えるものを構えるオジサンの隣に並び、とらも反対側に並ぶように爪牙を顕にして大胆不敵に両腕を開き、構える。
しかし、オジサンと一緒に落ちてきた赤い目の妖怪は怒りのままに後ろに振り返り、奈落に向かって罵倒の言葉を吐き捨て、文句を言い続ける。
「おのれ、奈落!あの女を喰らえば千人力の力を得られるという話は嘘だったのか!」
「騙してなどおらんさ。儂はただ事実を述べたまで、それに騙したと思うのなら糸色妙を喰ろうて確かめれば良いだろう?」
「おい。木っ端共、コイツは儂の家来だぞ」
妖怪に取り合われる私に怪訝そうな目を向けるオジサンに「あれは私を母にしようとする変態、あっちは精神を支配しようとした変態、最後が私を家来にしている妖怪」と分かりやすく教えてあげる。