蛮竜の結界のおかげで皆はバスに乗れたものの、斬ることも裂くことも突くことも出来ない妖怪をどうやって倒せば良いんだと言いたくなる。
それに段々と蛮竜の結界が溶かされ始めている。取り囲まれているんじゃバスを出発させるにしても直ぐに追い付かれて、みんながシュムナに溶かされて喰われる。
「大剣の女!穴が空き始めるぞ!」
「ヤクザのおじさん、腰のピストル貸して!」
「アァ!?あんなバケモンに効くかッ!」
蛮竜の柄を握る手が痛い程に熱くなりながらも左手をヤクザのおじさんに突き出すと渋々と監視役が携帯しているものより古いピストルが投げ渡される。
こういうのは得意じゃないんだけど。
一応、糸色本家も霊媒関連の一族だから妖怪や幽霊を攻撃するために霊気を利用する。光覇明宗の場合は法力と呼ぶけど、私達は霊力と呼称している。
「はい!撃って!」
糸色景の書いた蔵書には幾つか霊能力関連の技術を記した物も多く載っている。
「クソ!撃てば良いんだろ!?」
ヤクザのおじさんは自棄を起こしたようにピストルを構えた瞬間、彼の撃った弾丸は強羅や凶羅の使う法力に似た光を発し、シュムナの顔を弾き飛ばした。
「げえっ!?お前破魔の矢まで使えるのかよ!」
「とら、今なら行けるぞ!」
「だから槍で突くんじゃねえっ!バカうしおが!」
とらが火炎を吐いてシュムナを退け、ヤクザのおじさんぎ私の霊気を込めた弾丸を撃って牽制を行いつつ、蒼月君がバスの発進を見届けた瞬間、獣の槍を振るうも妖怪を切り裂き、砕く筈の獣の槍は空を切った。
「ひひひぃ~~~っ。獣の槍などこのシュムナには効かないぞぉ~~っ、歯向かうものは喰ろうてやるう~~~ッッ!」
「がああぁあっー!?」
「蒼月君っ!」
「こんのバカ野郎!さっき言ったろう、そいつには獣の槍は効かねえんだよ!蛮竜ですら炎を纏わねえと倒せなかった大食いの妖怪だぞ!!」
火炎を吐いて蒼月君を霧の中から引っ張り出したとらの手を掴み、結界の中に引きずり戻してヤクザのおじさんに「あの壊れた車を撃って!」と叫ぶ。
なにか文句を言っていたけれど。
今は人命を最優先する。
「火いぃ~~~~~~っっっ!!!」
「けっ。二度と来るんじゃねえよ!」
肌を少し溶かされて傷だらけの蒼月君を抱き留め、荒々しく呼吸を繰り返す彼の身体を抱き締める。クソ、もっと早くシュムナの事を退けることが出来れば蒼月君は傷付かずに済んだ。
「ゴホッ、答えろ。さっきのバケモンはなんだ?」
「グッ、妖怪だよ…霧のバケモノ」
「……チッ。ヤツが戻ってくるかも知れねえのに其処の女のせいで車は炎上、どうやって逃げるつもりだ」
「シュムナなら
「「なんで、それを早く言わねえ!?」」
その言葉に蒼月君とヤクザのおじさんが反応した。