札幌駅周辺。
私は蒼月君ととら、イズナ君、それから蒼月君のお父さんと一緒に猛吹雪の駅周辺を歩きつつ、あまりの吹雪に運行を停止している電車を待つ。
流君と杜綱君に一緒に行こうとは誘われたけど。
私を好きだと言う異性。それも二人に挟まれて過ごす事も無理だろうし、なにより乗り物に乗った私じゃあれほど強い流君と杜綱の二人を相手にして無事に東京まで行けるのかも分からないからね。
彼らの事は信用はしている。
でも一人の女としては信頼できない。
「イズナ君、寒くない?」
「おう。妙の服ん中は温かいぜ」
「それならいいけど」
私のシャツの中に潜り込んだ小さな妖狐のイズナ君のモフモフとした毛並みの暖かさに私も助かりつつ、こっそりと蛮竜の熱風を小規模で作り出している。
そのため私の周辺には電車に乗り遅れたり、猛吹雪の寒さに震えていた老若男女が集まり、まるで暖を取るために私を取り囲んでいるのだ。
しかし、蒼月君ととらは何処に行ったんだろう?
「……女の人の声?」
「こりゃあ男を想う声だな。妙もあの男共につがいになろうって言われてたけど、どうするんだ?」
「さあね。少なくとも私を倒した方と付き合って、そのままお嫁さんになってあげるつもりだけど。人間の範疇なら先ず間違いなく最強の存在は私なんだよ」
「結婚する気がないってことか!?」
「もう失礼だなあ……」
イズナ君の失礼な言葉に少しだけ呆れながら、石焼き芋を一つだけ買い、私の胸元の谷間に収まっているイズナ君に石焼き芋を食べさせてあげる。
やっぱり良いわね、こういうのもさ。
「石焼き芋うめえ!」
「お塩を掛けたくなるわね」
石焼き芋を皮ごと食べるイズナ君にビックリしながら、まだ食べきっていない私の石焼き芋をイズナ君にあげると嬉しさに齧り始める。
とらもそうだけど。
ほとんどの妖怪は食道楽なのかしら?
そう思っていると猛吹雪が止み、ビルの屋上で楽しそうに高笑いするとらが見えた。やろうと思えば直ぐに行ける距離ではあるわね。
「妙、おれラーメンが食いたい」
「それなら蒼月君のお父さんもお誘いしようか。きっと美味しいラーメン屋を知っているだろうし、今度こそラーメンを啜ってみたい」
ふと、あの二人は元気にしているだろうかと考えてしまう。蒼月君と直ぐに仲良くなってくれた大学生の二人。流石に二人も私達の事を覚えていると良いんだけど。
やっぱり、忘れられてしまうのは悲しいからね。ずっと覚えていて貰えると私も嬉しいし、いつかまた会えると思えば楽しみだ。