騒々しく鳴り響く金属の衝突する音。
電車の上で凶羅と蒼月君が戦っているのが天井の軋みと衝撃で分かるけど。こんなところで喧嘩を始める必要は絶対に無いと私は思う。
それに二人が戦うだけで電車が揺れる度、結界を張る力が弱まっている。このままだと蛮竜の結界が破られて、私も他の乗客も喰われる。
「しまっ!?」
───そう嫌な事を考えていたその時、私の張った結界を突き抜けた山魚の足が蛮竜を弾き飛ばし、私の手足に妖気を編み込んだ髪の毛が絡み付き、電車の外に引きずり込まれそうになる。
「このッ、離しなさい…!」
二重の極みを撃つも髪に衝撃は伝播せず、ズルズルと大口を開けて私を呑み込み、噛み砕き、咀嚼しようと考えてにやける山魚の顔を睨み付ける。
こうなったら腹の中から攻撃して倒すしかないわね。あんまり、そういうことはやりたくもしたくもないんだけど。今回だけ仕方ないかな。
「喝ッ!!」
荒々しく響く気迫の怒声に山魚の身体は退き、私の肩を抱いて引き寄せる強羅を思わず、車両を切り離す役目だったんじゃ?と彼の事を見上げてしまった。
「あんまり無理するなよ」
「……ありがとう。でももう結界は張れないわね」
山魚の背後まで遠ざかった蛮竜を引き寄せると同時に、その巨大な身体を縦に切り裂くも瞬時に回復し、山魚は私を喰らうために攻撃を繰り返すが、蛮竜で足を切り落として、髪の毛を巻き取り、切り裂く。
「もう守りなんて知ったこっちゃないわ。私もアイツを倒すために撃って出る!強羅、倒す手段を知ってるなら早めに教えてあげなさいよ?」
「お前、まさか気付いて……まあ、そうだよな」
「生憎と詳しくは知らないわよ。じゃあね」
そう言って私は砕けた電車を飛び出し、私の身体に巻き付く髪の毛を斬り、黄色くてまん丸としたものを踏みつけ、山魚の背中に立つ。
「派手に吹っ飛びなさい!!」
「ぎゃああああぁっ!!?儂が居るのに手当たり次第に蛮竜を振るんじゃねえ!掠ったらめちゃくちゃイテぇんだぞ、そいつはぁ!!」
「えっ、とらもって、なにしてるの?」
「このデカブツの毛に絡まって動けねえんだよ。うしおは凶羅のヤツと戦っとるから儂は動けねえのよ、家来ならどうにかしやがれ!」
私の足元に張り付いているとらを避けるように蛮竜を突き立て、迫り来る髪の毛の槍をズボンの裾に隠していた手槍を使い、弾き上げ、髪の毛を束ねるように柄をねじり、山魚の背中に突き刺す。
このまま刺し続けていれば勝てるかも知れないけど、そのときにはもう他の乗客も何もかもが喰われて、山魚は満足して帰ってしまうかもしれない。