ニコニコと曾孫のお見合いを応援する二人のお婆様の笑顔を悲しみに変えるとは出来ず、私は渋々と光覇明宗の用意してくれた応接室の長机に座り、真向かいに座った三人の事を見つめる。
私とお見合いする事を了承しているんだろうけど。強羅だけ呆然としているわね、まさか和羅おじさんに無理やりお見合いを組まされているのかしら?
「貴方達って本当に私と結婚したいの?」
「私はそのつもりだよ、妙ちゃん」
杜綱悟の言葉に同意するように流君と強羅も頷きつつ、私の事を真剣に見つめて、私の気持ちを探ろうとしているのが簡単に分かる。
しかし、困ったわね。
三人とも友達のつもりだったんだけど、四師僧に選ばれたって事は光覇明宗としての考えは糸色本家と和睦あるいは敵対を解消したいということか?
「……糸色、オレにしとかねえか?」
「流君を?」
「悟と強羅と一緒になったら絶対に面倒臭いだろ。主に周囲の反応とかな」
「それはお前もだろう。手当たり次第ではないがナンパばかりする」
どっちもどっちなのでは?
そう私は溜め息混じりに思いながらも比較的にまともそうな相手を選びたい。まあ、そうなると強羅を選ぶことになるけど。
「私と結婚するなら条件があるわ」
「なんだ?」
「私には『負けました』って言わせるか、普通に勝てたらお嫁さんでもなんでも好きにしていいわよ。ただし、やるからには全力を出しなさい」
私の言葉に牽制し合っていた三人の目付きにギラギラとした熱が帯び、私を見つめる視線の強さに不覚にもドキドキしてしまった。
「勝負ってのは何でも良いのか?」
「乗り物以外から何でも良いわよ」
「そうか。それならオレは戦って糸色の事をかみさんにするのが楽しそうだ。悟と強羅はどうする?折角、オレ達に有利な条件を出してくれたんだ」
「ふむ、なら私も戦いにしよう」
「今更やることは変えられねえしな」
三人とも私を力付くでお嫁さんにしたいようだ。
いや、まあ、確かにウチの家系ってあらゆる分野において先生と呼ばれる人ばかりだから生半可な勝負は挑めない。むしろ挑んだ瞬間に負けることが決まっているだろうけど。
「三人同時なら私に勝てるかもだけど」
どうするの?と机に肘を置いて頬杖を突きながら問いかけると三人とも「オレは一人ずつ相手してもらう」と語気を強めて言われた。
「まあ、話題を変えるか。職業は?」
「陶芸家。明治時代に生きていた新津覚之進の手芸を学んだ人から数えて、私は糸色流陶芸家の二代目になるわね。ちなみに糸色家当主は十代目ね」
そこからは普通の世間話に花を咲かせる。