なんとかお見合いを乗り越えたものの、純や日輪と話す間もなく私はまたしとりお婆様達の待つ大広間に向かい、今度は何事かと思いながら部屋の端を見ると感電しかけて男達が彼方此方に転がっていた。
「しとりお婆様、御忠告をしなかったのですか?」
「私の忠告を聞けば貴女を襲うように仕向ける筈がないと思うわ。それに、妙は誰に狙われても絶対に負けないでしょう?」
「当然、私は糸色妙だからね」
しとりお婆様の言葉に応えるとクスクスと御角お婆様と一緒に二人揃って笑い始める。昔のお友達に似ているとは言われたことあるけど。
まさか二人とも知り合いだったりするのかしら?そんなことを思いつつも蛮竜を拾い上げると呻き声と私を見上げるように幾つもの視線が集まる。
「…はあ、この際だからハッキリと教えてあげる。蛮竜は糸色家の血筋以外は使えないわよ。いくら法力を高めようと蛮竜だけは光覇明宗には扱えない」
「しとりは使わなかったわね」
「私には頼りになる友人がいるもの。ねえ?」
なにもない自分の後ろに微笑みを浮かべるしとりお婆様の言葉に「確かに、この人達はずっと私達の傍に居てくれるわね」と御角お婆様も納得したように笑う。
見えない妖怪もいる。
「それでお見合いはどうだった?」
「見知った顔ぶれでしたが大丈夫でしたか?」
「三人とも目付きがケダモノだったわね」
「折檻の準備をしましょう」
わざとらしく身体を守るように言った私の冗談めいた言葉に御角お婆様の顔付きが変わったものの、しとりお婆様は私の言葉にビックリすることもなく平然と座ったままだ。
「あー、ごめんね?」
そう言って私はしとりお婆様の傍に行き、お母様とお父様の話を教えて貰う。二人とも私の成人と同時に夫婦旅行に行くし、当主を襲名して以降、更にラブラブになっている気もする。
私にもあんな彼氏か夫は出来るのだろうか。
もっとも選ぶにしてもあの三人からだろうけど。なんとなく、うん、なんとなくそう言う風に私は感じている。運命?どっちかと言えば因果に近いかも知れない。
こう、ダメそうな男が好きなのよね。
「和羅おじさん、四師僧が選んだって言ってたけど。最後の一人は誰なのか教えてくれないの?」
「あの者はまだ若い」
高校生か中学生だったら私も断るわね。
それにしても、さっきから私を睨むあの子は誰なのか誰も教えてくれないわね。背中に背負っているのは鎌、本条家の人間じゃないし、おそらく光覇明宗の僧侶の子供のひとりなんだろう。