「今だ、月輪の陣を張れ!」
「糸色殿だけに負担を掛けるな!」
「ハハハ、良いわね。好きよ、男気があって!」
ズラリと並んだ光覇明宗の僧侶の放つ月輪の攻撃と呪縛を同時に受け、またしても弾き返そうとするくらぎの顎を力任せにカチ上げ、月明かりに照らされた蛮竜が金剛石の刀身に変化を遂げる。
「糸色いぃいいっ!!白面の御方の寵愛を受ける栄誉を授かっているというのに、何故貴様は逆らう!我らが御方様を愚弄するつもりかあっ!!」
「お生憎様、私は妖怪の愛を受けなくても沢山の愛と優しさを受けて育っている!この身に向く妬みも恨みも羨みも全てを受け入れてるから、私は私たる存在なのよ!」
「おのれ、また世迷言をっ!」
「お婆ちゃんが言っていたわ。正義とは私自身、私こそが絶対無敵で完全無欠の正義よ!!悪も善も丸ごと引っ括めてアンタを倒してあげるわ、白面っ!!」
今まで込めていた以上の力を蛮竜に込め、地面に縫い付けられたくらぎに向かい、破魔の霊気を込めた金剛槍破を何度も叩き込み、くらぎを粉々に破壊する。
「まっ。こんなもんだね」
完全に消滅したくらぎの跡地に着地し、しとりお婆様と御角お婆様の二人にピースサインを贈る。電車で問われた凶羅の言葉、そらから蒼月君の家で読ませて貰ったボロボロの「うしおととら」の一部のおかげで、そこに記されていた最悪だけは覆せた。
「手当たり次第にバカスカ撃ちやがって」
「金剛槍破、当たったら死んでいたな」
「滅茶苦茶すぎるぞ、糸色」
「あら、ごめんなさいね♪︎」
ボロボロになった私の婚約者候補の三人に笑みを向け、わざとらしく笑顔を向ける。どうせ、当たらないって分かっているのに言いに来たわね。
「で、君はどうするの?」
「……ママに聴いてみるよ、そうした方が良いんだ」
そう言うと男の子は僧侶の壁を掻き分け、何処かに消えてしまった。多分、その「ママ」が私を襲わせたヤツなんだろうけど。
流石に金剛槍破を連発して疲れた。
「糸色殿、此度の御助力に感謝する。今夜は此方に泊まるになるのなら」
ピクリと三人の肩が動いた。
「なら、純か日輪のどっちかに泊めて貰おうかな」
「わ、私か!?まあ、糸色先輩が良いなら……」
「お兄ちゃんと結婚するかもだからアリではあるのかな?でも友達と一緒にお泊まりするのは始めて」
「じゃあ、宜しくお願いするわね。で、どっちが泊めてくれるの?(……何だか視線がエッチだったから二人か三人くらい防衛ラインが欲しくなった)」
そういうのは、まあ、うん、恥ずかしいのよね。