流君のジャンパーを身に付けていた事を根掘り葉掘りと聞かれたものの、夜風で冷えないように借りたとしか答えようがなく、純と日輪の怪しむ視線に苦笑を浮かべつつ、私はいつもの服装に着替えるのだった。
二人の想像するような出来事は、あったといえばあったけど。アレは流君による不意打ちで、私も初めてだったから戸惑いも大きい。
そもそもファーストキスを無理やり奪うのは良くなかったんじゃないだろうか?と今更ながら考えていると朝の禊を終えた流君達と出会う。
「あら、おはよう」
「お、おう」
ぎこちない反応に思わず、首を傾げるものの。そういうこともあるかと納得し、私はしとりお婆様と御角お婆様のところへ向かい、白童子の事を伝える。
何か言いたげな四師僧も自分達の眠っていた間の襲撃にビックリしている。おそらく私を含めて四人以外は眠っていたままだった。
その事実を考えるとかなり厄介な術だ。
「妙、少し雰囲気が柔らかくなりましたね。昨晩、本当に白童子と戦っていただけですか?」
「ん゛ッ……コホン、しとりお婆様でも聞くのはダメです。その、まだ確証は持てていませんし。色々と戸惑いもありますから」
「ん。そうですね、私も剣ちゃんには色々と驚くような事ばかりしてきましたから貴女の気持ちは分かりますよ、御角もそうでしょう?」
「あらまあ、そういうことなのね?」
今時の若者のように恋愛事情を瞬時に把握するしとりお婆様と御角お婆様の反応に戸惑う四師僧と和羅、凶羅はどうでも良さそうに座っているだけだ。
「一歩リードしているのは誰なのかしら?」
「も、もうこの話は終わり!」
そう言って私は部屋を出ようと襖を開けた瞬間、流君、杜綱悟、強羅の三人が立っていた。思わず、三人から遠ざかるように飛び退く。
「……ごめん。ビックリして、つい」
「いや、オレは構わないが杜綱が絶望してる」
「妙ちゃん、どうして……」
「それはいつものことよ」
チラリと流君に視線を向けると先程とは違い、今度はハッキリと私の事を見つめている。
やっぱり二人と比べても筋肉はスゴくて、私がどれだけ必死に抵抗しても流君に力で押さえ込まれたら、もう絶対に振りほどけ……ッ、いやいや、私は何を考えているのよ。これじゃあ、ただの変態みたいじゃない。
「(……私ってMなのかな?)」
そう思いながらも三人と入れ替わるように部屋を退出し、また流君を見ると視線が合った。うん、向こうも似たような事を考えている気がする。
あくまで、ただの勘だけど。