【完結】風薫る日陰に寄り添う妙花   作:SUN'S

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白面の分身 急

長野県信州市、糸色本家。

 

千坪だが二千坪だかそれぐらい広大な土地を有する糸色本家の正門を潜り抜けると同時にクナイを放り投げてきた爺やのクナイを受け止める。

 

「ただいま、爺や」

 

「お帰りなさいませ、妙様。半年に及ぶ放浪の間に溜まった書類仕事と統括問題の解決をお急ぎしてもらえると私共は大変お助かりします」

 

爺やは私個人をしっかりと見てくれる上、悪いことも良いことも素直に教えてくれ。子供の頃からずっと両親と一緒に私の事を見守ってくれていた大切な家族だ。

 

まあ、年齢も本名も知らないけど。

 

「ハハハ、ごめんね。ああ、それと類が結婚したんなら連絡をくれても良かったんじゃないの?」

 

「類お嬢様の伝言は預かっています。ご清聴して頂けると幸いでございます。───では、お伝えします。『あっ、爺や?妙に伝えて欲しいんだけど。ごんめねぇ~っ♪︎私の方が先に結婚しちゃってさ、次に会うときは子供を抱っこさせてあげるわよ。お・ば・さ・ん♪︎』とのことです」

 

「オーライ。ブッ殺す…!」

 

そう言って蛮竜を担いで屋敷を出ようとした瞬間、私の握り締める蛮竜の穂先を摘まみ、青白い雷撃を受けても平然としている爺やの笑顔に苦笑いを浮かべ、渋々と屋敷の方へと向かって歩き出す。

 

見慣れた女中のお辞儀を受けつつ、靴を脱いで半年振りに通る自分の家の縁側の廊下を歩いていると槍を構えた男が私に向かって突撃してきた。

 

「良くもオレに面倒事を押し付けて逃げやがったな。このクソ姉貴があぁ!!!」

 

「実の姉に向かってクソって言わないの!」

 

槍の穂先を手のひらを添えるように逸らし、柄を握り締めて一本背負いで縁側に叩きつける。苦悶の声を漏らす弟の頭を掴み、背後からガッチリと締め上げるようにこめかみに拳を添えてグリグリとする。

 

「いだだだだだだっ!!?ごめん!ごめんってば!」

 

「姉に勝とうなんて二万年早いのよ!」

 

「百年じゃ足りねえのかよッ!?」

 

悔しそうに私を見上げる弟。

 

糸色を継いでいないから緋村遠(ひむら えん)は不貞腐れたようにそっぽを向き、私の視線から逃げようとするので膝枕をしてあげる。

 

「で、何があったの?」

 

「好きな子が出来たんだよ」

 

「あら、良かったじゃない。どんな子?」

 

「なんか一緒にいると辛さが無くなる感じの、コイツと一緒に居たいなって思える女の子なんだけど。その、オレってもうすぐ十八じゃん?」

 

「ああ、仕来たりね。そうなる前に告白したら?」

 

私の言葉に顔を赤くする遠は「姉ちゃんだって彼氏居ないくせに」と宣った。

 

「残念だったわね、(婚約候補は)三人もいるわ」

 

「浮気じゃねえか!?」

 

まあ、誰とも付き合っていないけど、

 

 

 




【概要用語解説】

本作の単語や転生者、その親族を解説します。

緋村遠(ひむら えん)

本名「緋村遠」。繋ぎ読みは「絶遠(ぜつえん)
年齢は17歳。身長174cm。
「さよなら絶望先生」および「るろうに剣心」に登場するニ家の血筋を受け継ぎ、生誕した現地人。実姉「糸色妙」のおかげで分家の嫌がらせは受けていない。しかし、その実姉による英才教育と支配を受けているため、あまり素直に喜ぶ事は出来ない。

最近、「武藤」という名字の好きな子が出来たため将来的に当主を押し付けて来ようとする実姉の野望を阻止する計画を企てているが、失敗に終わる。

初恋は従姉妹の「糸色類」である。

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