PokéDun LEGENDS Realization   作:ゲーマーN

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第1話 古さと 新しさが 入れ替わる 町

 ――関東地方 千葉県石竹市*1

 

 外に出れば、既に朝日が庭や町並みを照らしていた。鳥の声に誘われて空を仰げば、青空をポッポが群れを成して飛んでいる。木々の枝にはキャタピーやトランセルがとまり、道路脇の草むらではアーボがとぐろを巻いて休んでいた。

 昨日の夜まではポケモンのポの字すら無かったというのに、今やそこら中から野生のポケモンたちが顔を覗かせている。この様子では世界中が大騒ぎになるのも時間の問題だろう。

 

「懐かしいなぁ⋯⋯この光景を見るのも、もう二十年ぶりくらいかな?」

 

 前世までは当たり前だった日常の断片がこうしてまた目の前に広がっている。郷愁とともに胸の奥へ淡い痛みが広がり、ポケモンのいない世界へと馴染みかけていた心身に、ひとつひとつの景色が、絵の具が水へ溶け込むように染み渡っていく。

 

「よし。さぁ、みんな――出ておいで!」

 

 当然ながら、この世界にはモンスターボール用のホルダー付きベルトなんて便利なものは存在しない。そのため仕方なく普段使いの肩掛けバッグに入れていた3つのボールを宙へ放り投げる。ストレンジボールは空中で静止すると――ポンッ!! と音を立てて一斉に開き、中から3匹のポケモンが飛び出してきた。

 

「カゲッ、カゲカゲ!」

 

「チコリータ!」

 

「ミジュミジュ!」

 

 1匹目は直立したトカゲのような姿をしたヒトカゲ。2匹目は頭に生えた大きな一枚葉と、丸みを帯びた根菜を思わせる身体が特徴のチコリータ。そして最後の一匹は頬にそばかす模様を持ち、お腹にはホタテに似た貝殻を抱えたラッコ型ポケモン・ミジュマル。

 3匹ともハルトを見るなり嬉しそうに駆け寄ってきて――特にチコリータの勢いは凄まじく、そのまま押されるように倒れ込んでしまう。

 

「うわぁっとっ!? ひ、久しぶり、ローリエ⋯⋯」

 

「チコチコ〜♪」

 

『私はローリエ。チコリータのローリエ。よろしくね!』

 

 頭の葉っぱをぱたぱたと振りながら嬉しそうに鳴くチコリータの頭を優しく撫でる。見た目こそ他のチコリータと大差はないが、ハルトには分かった。ポケモンの世界に迷い込み、救助隊を結成したあの日から、幾度転生を繰り返してもなお共に歩み続けてきた相棒であり、親友であり、最も信頼できるパートナー――ローリエであると。

 

「ミジュ! ミジュミジュー♪」

 

「リップルも久しぶり。元気にしてた? また会えて、本当に嬉しいよ」

 

「ミジュマ〜♪」

 

『ワタシ? ワタシは、ミジュマルのリップルとイイまーす!』

 

 続いてミジュマルの頭にも手を伸ばす。名前はリップル。ローリエと同じく古くからの仲間であり、かつて荒れ地にポケモンパラダイスを築き上げたセカンドパートナー。人間に生まれ変わった折にはその経験を活かし、オーレ四天王としてオーレ地方の発展に尽力した女の子だ。

 

「カゲカゲ⋯⋯カゲ?」

 

「もちろん、レーヴァのことも忘れてないよ」

 

「カゲェッ!」

 

 3匹の黒一点――ヒトカゲはハルトの肩を軽く叩き、自分も触ってと言わんばかりに催促している。ローリエと一緒になって甘えているリップルと比べると落ち着いて見えるが、その実、興奮は二人以上かもしれない。何せこのヒトカゲ――名をレーヴァという彼はトレーナーとしての最初の相棒であり、それこそ一心同体と言っても過言ではないほどに深い絆で結ばれているのだから。

 

「さて」

 

 ひとしきり感動の再会を終えると立ち上がり、アルセウスフォンを取り出す。

 

「えーっと⋯⋯ポケモン図鑑のアプリは⋯⋯」

 

 アルセウスフォン自体は今日初めて手にしたものだが、登録されているアプリの多くは記憶にあるスマホロトムのそれとほぼ同一。ポケモン図鑑もそのひとつで、今の時点で確認できたポケモンたちがリスト化されている。タイプや特性から覚える技まで、様々な情報が網羅されており、今後の冒険で頼れるツールになることは間違いない。

 

「⋯⋯動かないでね。これから、今のみんなのステータスを確認するから」

 

 一匹ずつアルセウスフォンをかざし――画面に表示された内容に目を通していく。

 

 レーヴァ

 Lv  :5

 おや  :ハルト            しゅるい:ヒトカゲ

 せいべつ:オス             ぶんるい:とかげポケモン

 No. :0004           とくせい:???

 タイプ :ほのお            もちもの:なし

 カントー地方で 出会った。

 

 ローリエ

 Lv  :5

 おや  :ハルト            しゅるい:チコリータ

 せいべつ:メス             ぶんるい:はっぱポケモン

 No. :0152           とくせい:しんりょく

 タイプ :くさ             もちもの:なし

 風の大陸で 出会った。

 

 リップル

 Lv  :5

 おや  :ハルト            しゅるい:ミジュマル

 せいべつ:メス             ぶんるい:ラッコポケモン

 No. :0501           とくせい:きれあじ/げきりゅう

 タイプ :みず             もちもの:なし

 霧の大陸で 出会った。 

 

 各能力値はLvの割にやや高めだが、使える技の多くは灰色表示となっており、現状では使用不能の状態にある。おそらく使い方自体は分かるものの、肉体の能力不足で使用できないといったところだろう。能力値さえ上がれば、いずれ自然と扱えるようになるはずだ。栄養ドリンクなどによるドーピング⋯⋯は実物がなければ不可能なので、ただ只管に戦闘と特訓を重ねるしかない。

 

「⋯⋯何をするにしても、しばらくはレベル上げが最優先かな」

 

 ピコッ

 

「ん?」

 

 不意に通知音が鳴り響き、アルセウスフォンの画面に初期設定のままと思しき、飾り気のない小さな円形のポップアップが表示された。しかし指を伸ばすより早く、それはすぐに画面から消えてしまう。なんだろう、と首を傾げつつ操作を続け――やがて目に留まったチャットアプリのアイコンを開いた。

 

「⋯⋯ポケトモ、か」

 

 見れば、コミュニティの名前がずらりと並んでいた。その殆どは国名であり、例えばアメリカは国名の隣に(50)と数字が添えられている。これはグループ内に所属するメンバーの数を表すのだが――中には、一国にたった一人しかいないところもあった。

 

「日本は6人⋯⋯地方ごとに一人って感じかな? にしても、随分と雑な振り分けだけど⋯⋯」

 

 二つの世界を比べると――アルミア地方とナナシマ地方、範囲の狭い二つを除けば、日本に相当する地域は6つの地方に分けられる。つまりはそういうことなのだろう。ただ、そうなるとアメリカに50人という数は少なすぎる気もするが、そこまで人数を揃えるのは流石に難しかったのかもしれない。何せアメリカに位置する地方だけで100を超えるのだ。全ての地方に一人ずつ割り当てるとなれば、必要な人数は軽く四桁に達してしまう。

 

「⋯⋯取り敢えず、まずは日本に住む仲間を確認しようか」

 

 と呟き、ハルトは『日本(6)』に触れた――。

*1
【推奨BGM:爽やかなStart】超昂神騎エクシールより




登場人物紹介

名前  :ハルト
本名  :青井春斗
元ネタ :【救助隊DX】より『主人公』/
     【ポケ娘 不思議のダンジョン】及び【ポケモン牧場物語】より『ハルト』
手持ち
・レーヴァ  (ヒトカゲ)
・ローリエ  (チコリータ)
・リップル  (ミジュマル)

名前 :レーヴァ
性別 :オス
種族 :ヒトカゲ
タイプ:ほのお
特性 :???
元ネタ:【北欧神話】より『レーヴァテイン』

名前 :ローリエ
性別 :メス
種族 :チコリータ
タイプ:くさ
特性 :しんりょく
元ネタ:【救助隊DX】より『パートナー』

名前 :リップル
性別 :メス
種族 :ミジュマル
タイプ:みず
特性 :きれあじ/げきりゅう
元ネタ:【ティンクルスターナイツ】より『リップル』/
    【マグナゲートと∞迷宮】より『パートナー』
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