インフィニット・アマゾンズ   作:らんくらニキ

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アマゾンニューオメガガンバレジェンズ 参戦おめでとう!!


第百三話 写真撮影の後のご飯は格別

 

「箒遅いなぁ」

「メイクとかに時間かかってると思うよ。なんせ僕達男子は着替えるだけで良いんだもんね」

「へぇー。ん?じゃあドラマでよく見る水着で時間がかかるのはなんだ?」

「演出……かなぁ?」

「身も蓋もねえな」

「現実はそんなもんだよ?」

 

着替えを終えた男子組は一足先にスタジオ入り。

まわりではスタッフが世話しなく撮影の準備を進めていた。

 

当然のように僕と一夏は先程のおしゃれっ気のないシャツとGパンではなくスタッフに用意された服を着ていた。

 

一夏はカジュアルスーツを着崩したスタイル。元々堅苦しくないカジュアルスーツを更に緩めたその姿は一夏に眠る若々しい雄の魅力を醸し出す………というのはスタイリストの談である。

僕はというとボーダラインの入った半袖ワイシャツに黒のショートコート、そして羽がついた黒帽子である

 

「なんか悠だけジャンルおかしくない?」

「うん。なんか僕のファンの人がやってみたい事があるって言われてこの格好になった」

「マジか、でも似合ってるぞ」

「そういう一夏もね。なんというかー……そのー……」

「どした?」

「サソリなホスト*1みたい。」

「おいそれって山◯裕典じゃねぇか!」

 

いやだってなんかそう見えるんだもん!

なんというかほんと一夏君顔だけは一級品だし、服装がなんというか、チャラい! 

試しに甘い言葉言ってみ?女侍らせてみ?ほらホストだよ!

 

「ごめんごめん。褒めただけでこうも言われるとは、よっナンバーワン」

「言い方に悪意あるだろ!お前の場合詩人じゃん!」

「原稿片手に野原の花や虫をみて筆で紡ぐ……君のホストとは関係ないね」

「なにロマンチックにしてんだよ! ほら!お前も着崩せ!」

「いやいや無理!これ以上はキャストオフ*2しちゃう」

「さっきからお前虫ネタ多くね!?」

 

お互いに掴みかかるカオスな現状はスタイリストから「シワになるのでやめてください」という鶴の一声により一瞬で沈静化された。

 

「すいません遅れました! 篠ノ之さん入りまーす!」

 

あ、箒来た。さてさてお手並み拝見と行こうか

 

「あ………」

 

一夏君から熱っぽい息が漏れた。

それぐらい箒さんの姿は見違えていた。

 

フリルが可愛らしいミニスカートは箒さんの綺麗な脚線美を余すことなくさらけ出しているが。

何よりも目立つのはかなり胸元が開いたブラウスだった。

 

いつもの箒さんなら絶対に着ないであろう女性的魅力をこれでもかと込めたファッション。

 

男なら、いや女でも道行くだけで吸い込まれる圧倒的な魅力と迫力に思わず僕も生唾を呑みこんだ。

 

「……………」

 

あの唐変木大魔王の一夏も思わず放心して箒に釘付けだ。

箒も一夏の姿に気づいて目を丸くした。

そして向かい合う二人。

 

「………」

「………」

「…………………」

 

なんだこれは、なんなんだこれはな状況

 

どう言葉を紡ぎ出せばいいかわからなくなった二人は目の前の異性を前に顔を赤くして視線を泳がせまくってる。

 

「に、似合ってるな。その、なんだ、えーと、その。悪くないぞ、じゃない凄い、えと、良いと思うぞ!!」

「お、おうサンキュー。箒もなんというか………凄い女性してる!可愛いし綺麗だ!」

「かわっ! きれっ!」

 

どうした箒さんかわときれじゃなにも伝わらんぞ

 

「うわぁー箒さん似合ってるしかわいい!」

「は、悠もそのー……詩人みたいでいいな!!」

「それ一夏にも言われたよ。一夏の場合ホストっぽいのにね」

「一夏がホストかぁ……」

 

すると箒の頭の中に普段の様子が映し出され、少しイラっとした箒は僕と一夏の足の甲を踏んづけた

 

「な、何すんだよ!箒!」

「うるさい! 悠が一夏がホストみたいって言われてちょっと嫌になっただけだ!」

「だからと言ってそれは無しだろ!」

「一夏、多分箒は嫉妬してるんだと思う!」

「そ、そうなのか!?」

 

僕のせいで一夏と箒のラブロマンスをカタストロムしたのはさておき

後ろで黛さんが手を叩いた。

 

「はーい!そろそろ撮影始めるわよ!長くなると余計緊張するからサクサクやるわよ!」

「黛さんが撮るんですか?」

「そーよー。急遽ねじこんだインタビューだから人手が足りないの。あ、腕前は心配しないで。新人時代は数えるのも馬鹿らしいぐらい写真撮ったんだから」

「成る程」

「じゃあ先ずは1人ずつ写真撮るわねー」

 

撮影が始まった。

最初は立ち姿と座り姿を数枚ずつ。

そこからファッションに合わせたポーズを撮るが、これがまた難しく。

最高のアングル、角度を捕らえるために何度も取り直しをし、何枚も写真を撮った。

 

小道具を使った撮影をしたり、変身してしてニューオメガやオメガでの撮影もした。

 

それとペアで撮ったりもした。

箒とは背中合わせで見合わせる。なかなかカッコよめの写真を撮ったり。

一夏とのペア写真は肩を組んで微笑みを浮かべるいかにも狙ったような写真を。

 

 そして………

 

「織斑くん、篠ノ之さんもっとくっついて! もっとよもっと!」

「あの黛さん。これ以上は」

「ダメよダメダメ! 二人を見た瞬間この構図にしようと決めたんだから!」

「だからって………」

 

 二人は戸惑いながらソファに座っていた。

 凄く近い距離感で。

 

「なんで俺たちだけこんな」

 

さっきまで友人同士のペア写真といった感じだったのに一夏と箒になった途端「じゃあ二人ともくっついて!」と、あれよあれよとジャンルが違う構図になった。

そう、先程の二枚とは明らかにビジュアルの落差がダンチだった。

 

「だってせっかくの美男美女よ?こういう写真を出した方がファンも沸くのよ」

「逆に差がありすぎて炎上しません?」

「その時はそんとき」

 

逞しすぎる。

スタッフさんからハンバーガーやドリンクを食べながら指示を出す

 

「おらおら二人ともー もっとくっつけー」

「悠お前何気に指示してんだよ!」

「おや?水澤くんもお望みかな?」

「今は良いです。 それに一夏くんと同じのを撮ったらまずいんで」

「ええー良いじゃんか別に」

「普通にやめてくださいまた変身して赤くて鋭いもの見せつけますよ」

「分かったわかったごめんごめん」

 

綾音とどう仲直りしようか考えている最中こんなのが流出したら綾音とは絶交案件だ。

え?必死すぎるだろ?悪いね。今の僕はガチで余裕ないんだ。

綾音のことを考える度に精神的ダメージで心を殺られるという自殺プレイの最中だ。

 

すると一夏君と箒さんも覚悟を決めたのかピッタリとくっついて写真を撮られた。

 

「んーー。なんかガチガチよねぇ。まあ無理もないけど」

「これで良いですよね」

「………よしじゃあ織斑くん、篠ノ之さんの腰を抱いて」

「はい!?」

「こ、し、を、抱、い、て」

「いや聞き取れなかった訳じゃありませんよ! これで終わりじゃ駄目なんですか?」

「いやー、色んなパターン取って厳選したいからさ。どーしても無理なら他の案もあるけど」

「やりましょう!一夏、お前も大和男児なら覚悟を決めろ!」

「箒ぃ!?」

 

箒さん吹っ切れた

 

「さあ来い一夏!私の腰は空いているぞ!」

「よ、よぉーし」

 

そんな某グラップラーみたいな掛け声やめて箒

大きく息を吸って吐き出し。一夏は箒の腰に手をよせて思い切り抱きよせた。

 

「ヒャンッ」

「あ、悪い」

「いや、大丈夫だ………」

 

力を入れすぎて箒の身体が一夏にもたれ掛かってしまった。

 

パシャリ! 

 

「んー、思わずシャッター押しちゃったわ。やっぱ二人って絵になるわー」

「じゃ、じゃあこのポーズは終わり」

「それはそれ、これはこれ。さっ、早く早く」

「はい………」

 

気を取り直して箒さんの腰を抱く一夏君。なんとか表情を作ってカメラを向く二人の顔は未だに赤い。

 

「も少しインパクトが欲しいわね。篠ノ之さん、そこから織斑くんの首に腕を絡めて」

「わかりましたっ」

「ちょ、ほう」

 

一夏がたじろいでる間に箒が一夏の首に腕を絡めた。

絡めた一夏は勢いで箒の方を向いた。

するとどうなるか。

 

二人の顔の距離はわずか10センチまでになった。

 

(うわ近すぎるでしょ)

 

その時一夏は箒の瞳を、箒は一夏の瞳を正面に捕らえた。

 

(箒の目って、結構綺麗だな………)

(一夏って、こんな力強い目をしていたのか)

 

顔が赤くなるのも忘れ、お互いの瞳に見惚れる二人の意識を、黛さんのシャッター音が引き戻した。

 

「はいオッケー! 最高の一枚が撮れたわ!」

「っ! す、すまん!」

「こ、こちらこそ!」

 

我に返った二人はこれまた面白いぐらいに顔を真っ赤にして何故か謝った。

林檎の擬人化と言えるぐらい赤くなり、あれほど見つめあっていた瞳を合わすどころか背中合わせになった。

 

「…………尊いなぁ」

「「悠??」」

「あぁ、いや別に」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいお疲れ様ー! 3人とも今日はありがとうね!」

 

何個か撮っていき、最後に3人一緒の写真を撮って撮影は終わった。

集合写真の時に二人から「真ん中に座ってくれ!」と言われたが、丁重に断らせて頂いた。だってなんか間男みたいな雰囲気になりそうだったし

さっき散々と見せつけられてくれたんだから終了まで雰囲気保ってみせろといいたいが、箒さんを真ん中にしたらなんか…………うん。

 

「じゃあ二人とも着替えちゃってね。外で出歩くにはいささか目を引く格好だし。その服はそのまま貴方たちにあげるわね」

 

え、普通に嬉しい!合法的にオシャレ着ゲットじゃん。

( f ‘∀‘ )fヤッタゼ!

 

「ディナー券は後日IS学園に郵送するわね。あと今回のストライプスもね。じゃ機会があったらまたね。それじゃあお疲れ様!」

 

情熱の嵐とも言える黛渚子は地下スタジオから出た。

颯爽と去る姿は妹の薫子を彷彿とさせる。

 

この後は編集作業に追われるだろうが、これまで以上に良い仕上がりになってるに違いない。いち読者として完成を楽しみにせざる終えない。

 

「「………」」

「ねぇいつまで固まってるの?着替えるよ」

「「わ、わかってる!!」」

 

なんとも世話が焼けるというか。

今の自分は言えない義理のくせにね

 

「一夏」

「なんだよ」

「ドキッとした?」

「………………した」

「そっか、その味を噛み締めてね。専用機タッグマッチ終了まで」

「綾音さんに言いつけるぞ?」

「うわああ頼むごめんごめんゆるして何でもするから」

「そこまでしねーよ!」

「何の話だ?」

「「別に!!」」

「そ、そうか」

 

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「うわ、外暗いなぁ。今何時?」

「6時だよ」

 

誕生日にシャルロットさんに貰った腕時計で時間を確認する一夏とそれを見てムッとする箒さん

 

恐らく着物ではなく持ち運べるものの方が良かったか!と思ってるに違いない。

 

ぐぉーーーーー

 

 

「…………ごめんなさい僕です」

「食欲に正直だな。」

「たしかに夜ご飯の時間か……学園に戻ったら遅くなるし食べに行くか!」

 

すると箒さんのスイッチが入る。

 

「なら一夏!私がいい店を知っているから行くぞ!」

 

と自信満々に言ってスタスタと先を歩く箒の後を追う。

さて箒オススメの場所は入れるのだろうか。恐らく一夏君と二人で入る系のお店と予想するが………

 

【満席のため、本日の受付を終了いたします。ご来店のお客様には大変………………】

 

「うごぉぉ」

「見事にいっぱいだな」

「てかここ前テレビで報道された場所か。しかも今日日曜だし」

 

レストラン【針葉樹の森】は満員だった。

しかも中の客は見える限りカップルばかり。

箒さんは追加ダメージを受けた。

 

「あっ」

「どうしたの一夏」

「俺良い店知ってるんだ。安くて早くて美味いとこ」

「ファミレスか?」

「それかファストフードか」

 

一夏なら選ぶかもと思いながら。箒と僕の考えは一致していた。あれ?専用機タッグマッチに勝てるぞ??

当の一夏はまあ行って見ればわかると言った。

 

 

 

 

 

「ここだ」

「う、うん?」

「ここって」

 

20分ほど歩いて目的の店についた。

店の看板には。

 

「定食屋 五反田食堂?」

「まさか……」

「そう、弾の実家」

 

あーーーなんか弾君って定食屋って言ってたし蘭ちゃんを見送る際にシャルロットさんと行った事あるやつだ!いつか行きたいと思ってたし遠回しに一夏君に感謝感謝

 

 

「ということはあの娘もいるのか」

「あの娘って………蘭ちゃん?」

「な!悠知っているのか!?」

「うん。前にシャルロットと誕プレ買いに行った時に偶然あって一緒にご飯食べたよ。いやぁあの時の生蟹クリームパスタの味は忘れられないよ。」

「よく覚えていたな悠。とにかく入ろうぜ」

 

そう言い一夏は五反田食堂の入り口を開ける

 

 

「ごめんくださーい。おっ、弾いた」

「いらっしゃいませー。って一夏じゃん!? え、どした!?」

 

 店の中に入ると五反田食堂! と書かれたエプロンをして料理を運ぶ弾の姿があった。

 

「どしたって食べに来たんだよ。結構混んでるな?」

「日曜だかんな!」

 

店の中は3分の2ほど席が埋まっていた。

定食屋なんて初めて来たけど。なかなか良い雰囲気。なんというか、気軽に来れるというか。学校や外遊び帰りにサラっと来れる親しみやすい感じの店。

 

「ん?あなたは確か篠ノ之さん?はっ!フタリッキリ!?もしかしてデート!?それか彼女!?でかした一夏!!」

「おい待て待て勝手に話し進めるな。箒は彼女じゃなくて幼なじみだ。あとデートでもないからな」

「チィッ!!」

「客に盛大な舌打ちするなよ………」

 

残念無念と顔に書いてある弾。

そして彼女、デートという単語に脳内フラワーワールド途中な箒。残念だが即答で一夏君が否定したが聞こえてないようだ。哀れなのか幸せなのか。どちらもありゆる、そんだけの話だ

 

「二人っきりじゃないんだよなぁー久しぶり弾君!」

「って悠!久しぶりだなぁ! 文化祭の劇良かったぞ!」

「ありがとう。てかご飯大丈夫? 冷めてない?」

「あっヤベッ!! 一夏、空いてる席に座ってくれ。お客様大変お待たせしました! 業火野菜炒めでーす!」

 

お客さんの元に行った弾の横を通って比較的空いてるスペースに座り込んだ。

一夏が座った後に箒が迷っていたので先に一夏の対角線上に座ってやると箒は僕の隣(一夏の真っ正面)に座った。

 

「箒。今のは五反田弾。誕生日会で見たことあると思うけど。蘭の兄ちゃんだ」

「むっ、そうなのか」

「箒は蘭ちゃんと面識があるのか?」

「う、うむ。夏休みで一夏と夏祭りに行った時に偶然あってな」

「へぇー。楽しかった?」

「えっ……ま、まぁな。」

 

あ、さっき険しい顔してたのってそういうことなのね

そして箒さんの悩みの種というのは………

 

「ここを指定したのは蘭ちゃんに会いたかったからなの?」

「っ!!」

「え? いや単にあそこから近いので思い付いたのが此処だったからだけど」

「それにしては結構歩いたよね」

「それについてはすまん。五反田食堂にはたまに顔を出しときたかったし、ここほんと美味いから箒にも紹介しておきたかったんだ。

ほら悠も前から気になっていただろ?」

「成る程ー……だってさ箒」

「わ、私はなにも考えてない! 余計なことを言うな!!」

 

箒さんにチョークを掛けられる僕でした。数秒で解放してくれたが

 

「ところでここは何がオススメなの?」

「全部美味い。って言うのはズルだよな。オススメは魚料理かな。このカレイの煮付けが美味いんだ」

「ふむふむ」

「あとこの業火野菜炒めってのもイチオシだ。なにせ厳さんの看板ならぬ鉄板メニューだからな。あ、厳さんってのは弾のお爺ちゃんでここの店主」

「ほうほう。ならこれにしようか。ちょっと気になる一品だ」

「悠は何にする?」

「僕は焼き魚定食で。 撮影の間にハンバーガー摂取しちゃってちょっと健康なもの食べたい。」

 

だいぶ健康的思考で一夏君達の関心を買った。

………これが胃もたれか(絶対違う)

でとメニュー欄を見ると一夏の言う通りに確かに安い。

 

「おーい弾。注文いいか?」

「はいよー。ご注文どうぞ」

「俺はカレイの煮付け」

「あーー悪い。カレイ今日品切れだ。ほれ」

 

弾の指の先にはカレイの煮付け品切れの紙が。

 

「店先にも張り紙張ってたはずだけど、吹っ飛んだのかな。すまん一夏」

「いいよいいよ。じゃあ焼き魚とフライの盛り合わせ定食。箒は業火野菜炒め定食、悠は焼き魚定食な」

「後トンカツの単品一つで」

「あれ?悠さっき……」

「別腹だよ」

「焼き魚とフライの盛り合わせ定食1つ、業火野菜炒め定食1つ、焼き魚定食1つ。単品でトンカツ1つね。はいかしこまりました。爺ちゃん注文入った!」

「大将と呼べバカモン。おっ! 一夏じゃねえか!」

 

厨房にいた筋肉質でガタイのいいご老人がこちらに気づいた。

エプロンに五反田食堂と書かれてなかったら大工の棟梁と言われても遜色ないだろう人だった。

結構でかいぞマジで。え?

 

「久しぶりだなオイ。IS学園のお上品な料理に飽きたか?」

「お邪魔してます厳さん。たまたま近く通ったので」

「そうかそうか。んで、この別嬪さんはお前の彼女か? ん?」

「いや、そういうんじゃないですよ」

「なんでぇ、女ばっかなのに彼女の1人や2人も見繕えねのかよ、情けねえなぁ一夏。ガッハッハ!」

 

この時代にそんな笑い方する人いたんだ……

 

「ん? お前は見ねえ顔だな? いやどっかで見たな、えーと」

「あ、水澤悠です」

「あー! 一夏の次に出てきたやつか! 思い出した思い出した。じゃあお前さんがこの嬢ちゃんの彼氏かい?」

「違いま」

「違います! 私と悠はそんな関係では断じてありません!」

「もしかして友達……だよね?」

「そう!友達です!!」

 

僕の言葉を遮って箒は厳さんに食って掛かった。

だが大将は特に動じずにまたガハハと笑った。

友達認定してくれて僕泣きそうだよ

 

「おっとそうだ。おい蘭!らーん!!」

 

母屋に向かって大声を出す大将。少ししてから上から蘭ちゃんが返答が帰ってきた

厳さん。その言い方だとコ◯◯すぎますって

 

「なーにー!」

「店に来い! 今すぐにだ!!」

「なんでー?」

「いいから来い!!」

「はーーい」

 

間延びした声から数分後。食堂入り口から蘭ちゃんが入ってきた。

 

「お爺ちゃん。今日の当番お兄でしょ? 私いま宿題を………ってええっ!!? 一夏さん!?」

「よっ。蘭、お邪魔してる」

「ハッハー!蘭!一夏が来て良かったな!!ガッハッハ!!」

 

良いことをした! というばかりに豪快に笑う大将とは対照的に蘭はなんと青ざめている。

何度も自分のラフな格好、一夏、オシャレをしている箒を交互に見やり。そして一気に耳まで顔を真っ赤にし。

 

「あ、蘭ちゃん久しぶ」

「わあぁぁぁぁぁん!!!」

 

バタン!! 

 

食堂から飛び出していった。

 

「な、なんだあ? おい弾。蘭の奴どうした?感極まって爆発したか?」

「爺ちゃん………御愁傷様」

「あん? どういうことだよ?」

 

このあと。蘭ちゃんが「お爺ちゃんの馬鹿! お節介! 大馬鹿! 大嫌い!!」と言って大将が膝から崩れ落ちることになるのだが。

それはまた別の話で。

 

「お父さん。いい加減仕事に戻ってください。鍋止まってますよ」

「おっといけねえ!!」

 

若々しい女性の声に注意され大将はその豪腕で鍋を振るった。

厨房から出てきたのは。なんとも若々しい女性だった。どことなく蘭ちゃんに似ている。

 

「一夏。あの女の人って弾のお姉さんか?」

「いやお母さんの蓮さん」

 

なんとお母さんだった……え!?お母さん!?それにしても若すぎない??

 

「あら?あらあらまあまあ。一夏くん、もしかして一緒にいるのは彼女さん?」

「違いますってば」

「そうなの? ああ良かった。ごゆっくり」

 

ニコニコと微笑みながら蓮さんは厨房の奥に消えていった。

 

「ふぅ。なんでみんな箒と付き合ってると思ってるんだろうな。なっ、箒。 箒?どうした?なんか怒ってる?」

「ああ、なんで怒っているのかな?」

「なんで疑問系」

「一夏、これだけは疑われても仕方がないよ。 取り敢えず僕今からフグを捌いてくるからそれ食って死ね。」

「死刑宣告でそんな清々しいの観たことねぇぞ?」

 

うるせぇそんなの関係ねえよ。(闇はるか)

 

そこから妙な沈黙が流れながら10分後。

先ほどのラフな格好とは雲泥の差でいわゆる外向きな服に白いエプロンを着た蘭ちゃんが降りてきた。

よく見たらうっすらとメイクもしてるし確実に一夏狙いだ

 

「い、いらっしゃいませ一夏さん!」

「あれ、蘭着替えてきたのか? 今から出かけるとか? もう遅いから危ないぞ?」

「ええ、まあ。気分の問題です。アハハ」

 

まじでこの男は本当に罪深い。

ほらみてよ箒と弾君はなんかよくわからない表情してるし。

 

蓮さんは絶えず若々しいニコニコ顔を崩さない。

だけど看板娘の登場に食堂内の男連中ら大いに沸き上がった。

 

「蘭ちゃーん! こっちに注文くれー!」

「いよっしゃあ!今日はグレートラッキーデーだぜぇぇ!!」

「俺仲間に連絡を」

「おい馬鹿やめろ! 俺たちが一人占めするに決まってるだろうが!」

 

………蘭ちゃんって結構凄い人気なんだね

だが当の本人は一夏しか見ていないようだ。だって箒の隣に座っているだろう僕に全然視線向けられてないもの。

 

「おい、蘭!料理できたから運んでくれ!!」

「わかってるから大声出さないでよ!」

 

忙しない動きで料理を受け取った蘭はそそくさと大将から離れた。

 

そっぽを向かれた大将は小首を傾げて弾に「なにかあったのか?」と聞くが弾は目頭をおさえるだけだった。

 

「い、一夏さんお待たせしました。焼き魚とフライの盛り合わせ定食です!」

「ありがとう蘭」

「いえ! これぐらいなんとも!」

 

一夏の前に定食を起き、僕と箒さんの分を取りに再びカウンターに向かった。

 

「お待たせしました。またお会いましたね」

「ああ、そうだな」

「あと焼き魚定食にトンカツ単品は……」

「あぁそれ僕のだ」

「って悠さん!!いつの間に!」

「さっき着替える前に声かけたんだけどなぁ……でも似合ってるよそれ。」

 

やっぱり気づかれてなかったようです。

生蟹クリームパスタを食べた友情はどこへいった!

 

「ごごごごめんなさい! その、えっと」

「いやいや別に気にしてないから安心して。しかし恋は盲目とはこういうことにも使えるのねぇ」

「こ、恋!」

「おい悠。あまりからかってやるな」

「ごめんね言い過ぎちゃった。 あ、焼き魚とトンカツ単品もらうね」

 

蘭ちゃんの手から焼き魚定食を受け取った。絶対美味しいぞこれ!

 

「じゃあいただくか」

「ああ、いただきま………蘭? どうした」

「ふぇ! ど、どうもしてないです!」

「そ、そうか………えっと、ずっと見られてると食べれないんだけど」

「あ、えと、はい! そうですよね! あは、あはははは………失礼しました!」

 

脱兎の如くカウンターに戻っていく蘭ちゃん。

そして何故か感じる周りからの突き刺さる視線。

 

「食べようぜ。腹へった」

「そ、そうだな。いただこう」

「いただきます!」

 

割り箸を割って焼き魚をほぐして食べた後ご飯も食べて味噌汁を飲んだ。

それのトンカツにソースをつけて食べると絶品だった

 

「お、美味しい!!箸が止まりません!!」

「ハハハ! そうだろうそうだろう!」

「あー、この味だ。全然変わってない」

「この業火野菜炒めも美味しいです。醤油の味付けもそうですが。野菜の火の通りが絶妙です」

「別嬪さんにそこまで褒めてくれるとは光栄だ」

「なんだい厳さん! 奥さんからお嬢ちゃんに鞍替えか!」

「うるせぇぞ三郎! つまんねえこと言ってねえでさっさと箸動かしやがれってんだ!」

 

隣の喧騒をスルーして僕は箸を進めた。

後で駆除班や綾音にも勧めよっと

 

「あ、水が。すいませーん! お冷やお願いしまーす」

「はいただいま!」

「あ、俺もお願いします!」

「い、一夏さんも!? わ、わかりました!!」

 

厨房から蘭ちゃんの声が木霊する。

大丈夫かなあの娘。

 

「い、一夏よ。野菜炒め食べるか? 美味いぞ」

「おっ、良いのか? じゃあ頂こうかな」

「た、食べさせてやろう!」

「いや自分で取るぞ」

「食 べ さ せ て、やろう!」

「わ、わかった」

 

箒さんにしてはストレートな力押しだね。

 

「行くぞ一夏。あーん」

「あーー」

「あああああっ!」

 

何処からか悲鳴が、なんぞ? 

悲鳴の出所を見るとお冷やのピッチャーを持った蘭ちゃんの姿が。

 

「なんだ?」

「一夏、あーん!」

「あ、あー」

 

振り向きかけた一夏の顎を物理的にロックして食べさせる箒。

 

「ぅぅぅぅぅ!」

「なっ?言ったろ蘭。一夏には鈴の他にあんな美人さんがいるしお前では太刀打ちできないってよ。だから大人しく諦」

「………!!!!」

「ううっ……」

 

一夏と付き合う反対勢であろう弾が説得を試みるもそれは帯電中の電線に触るのと同義。見事感電である。

 

にしても箒さん牽制のつもりだったのか…-

でも些かここではあまりよろしくないようで

 

「なんだ、どうした蘭ちゃん」

「あそこの二人組が原因か!」

「蘭ちゃんを泣かせるだと。宜しい皆殺しだ」

 

蘭ちゃんファンの男性客が揃って臨戦態勢に移行するのに対し店の主である厳さんが「うるせぇぞ!」と一蹴。

男性客は一旦静まったものの箒としてはここまで騒がれたらムードもあったものではない。

 

(くぅ! 何故いつも私がなけなしの勇気を振り絞るとこうなるんだ!? せっかくあいつらがいないからチャンスだというのに!)

「箒」

「なんだ!むぐっ」

 

一夏が出した白身魚のフライを箒は反射的に頬張った。

 面白いぐらい一瞬にして静まり返る五反田食堂。僕は蘭ちゃんの方向を見たくないために焼き魚とトンカツを交互に食べた。心なしか両方とも味が薄い。

 

「どうだ、美味いか?」

「う、美味い」

「だろ!」

 

ニカッと笑う一夏の笑顔に見惚れる箒。

その笑顔の前に箒も素直になれたのか再び野菜炒めを差し出す。

 

「ほら、野菜炒めも食べるがいい」

「おう。うむ、あーやっぱ美味いなこの野菜炒め」

「そ、そうだろう! 私も真似したくなるぐらいだ」

「あとで作り方聞いてみようか?」

「いいのか!? じゃあ食べた後でな」

 

ぱぁぁっと。輝く箒さんの笑顔が太陽なら一夏の笑顔は向日葵だろう。

和気あいあいという言葉が似合う二人は再び食事を開始した。

 

………ここで終わればどれだけ良かっただろうか。

だが現実はそう上手く行かなかった。

 

「ふ、ふぇ」

「ん?」

「ら、蘭ちゃん……?」

 

いつの間に居たのか蘭ちゃんが僕達のテーブルの側に。

ピッチャーを持つ手が振るえているのは決して手が冷えたからではなく。目尻にはうっすらと涙が浮かんでいた。

一夏と目があった蘭ちゃんは我にかえって必死に口と舌を動かした。

 

「あ、あの! え、えっと」

「ど、どうした蘭」

「………お二人はお付きりゃ!!」

 

噛んだ。この場にいた全員(一夏除く)が心の中で呟いた。

やらかしたな、と……

これ以上ないぐらい盛大にやらかした蘭ちゃん。先程から継続ダメージを受けていたその理性の糸は……

 

「うええええええーーーーーん!!!」

「ら、蘭!?」

 

断ち切られた。

ピッチャーをテーブルに乱暴に置いて五反田食堂を出て何処かに消えた蘭ちゃん。その姿に流石の一夏もただ事じゃないと立ち上がった。

 

「ど、どうしたんだよ行きなり」

「多分一夏君のせい」

「とにかく追いかけないと」

「「まてーーーい!!」」

 

蘭ちゃんの後を追おうとする一夏の行く手を阻んだのは大将に負けず劣らずの屈強なる五人の男たち。

迫力が暑苦しい。

僕は咄嗟にスマホからArmor Zoneを流した

 

『お前は誰だ』

 

すると男はノリに合わせて答えてくれた。

 

「村上信三郎! 42歳、建築業!!」

「山本十蔵! 39歳、土木業!!」

「吉岡修一! 37歳、運送業!!」

「寺田克己! 34歳、サービス業!!」

「クリス・マッケンシー! 29歳、自営業!!」

 

「「「「「我ら蘭ちゃんファンクラブ五人衆!!」」」」」

 

ドゴーン!という爆発エフェクトが出そうなぐらい綺麗なポーズを決めた五人の益荒男たち。

ご丁寧にシャツは五色で『蘭ちゃんLOVE!』と書かれたTシャツが。え、もしかして自作? 

 

とまあそんな色物な男達の迫力に一夏も汗をタラリ。

僕は因みに唖然としていました

 

「蘭ちゃんがいながらイチャイチャと」

「ふてえ野郎だ」

「この怒り」

「晴らさずにおくべきか」

Soft bastard(軟弱野郎)! I'll kill you(殺してやるよ)

「へ!?」

「「「死ねよやぁーー!!」」」

 

一斉に遅いかかる五人衆。その鋭さを前に一夏はなす術もなく

 

「店で騒ぐんじゃねえクソボケどもぉ!!」

「「「ゴホォ!!?」」」

 

しかしその集団攻撃は中華鍋を豪快に振るう豪腕が放ったラリアットにより阻止。

 

五人は揃いも揃って店の外に放り出された。

 

「げ、厳さん」

「一夏よぅ」

「ヒッ」

「外に行こうや」

「ハハハ、ハヒ」

 

顔面蒼白。否、灰色になりながら一夏はガタガタと痙攣した。

 

あそこまで怯える一夏は学園でもそう見たことはない。それほど孫を泣かされたお爺ちゃんは怖いということだろう。その証拠に弾も凄い震えてる。

 

あんなのは誰だって怖いが僕は大将の横に立って声をかけた。

 

「ちょっと待ってください厳さん!!」

「あぁ?イケメンのにいちゃん。孫を泣かせた一夏を庇うのか?そうならただじゃおかねぇぜ。」

 

ううっ……この人絶対強いし怖ぇ!!僕の中の僕も警戒してるよ!

でも一夏の態度を見て僕は今までのことを振り返った。

 

よく考えたら一夏って更織簪さんのこと忘れてないかと心配になるぐらい箒さんとやってるしそれするぐらいなら変われと思ったが箒と組む予定を考慮した結果が今のこれだ。

 

変身してあの大将を倒そうとしたけど僕は考えを改めた。

 

しばしのにらみ合い、沈黙。

僕はそんな厳さんに向けて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「半殺し程度でお願いします!!」

「任せろ」

 

思いっきり笑顔でサムズアップした。

厳さんもサムズアップを返したあと拳をコツンとぶつけてくれた。

 

「………………いや止めてくれるんじゃねえのかよぉぉ!!」

「あと厳さんこれ使ってください。 メリケンサックです」

「待て待て待て待て!!」

「地獄を楽しんで来な織斑一夏ァ!!」

「おら行くぞ一夏!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

哀れなる一夏君は厳さんに担がれて店の裏に消えていった。

その様子に箒は顔面蒼白のまま唖然としていた

 

「……なぁ悠。」

「何?」

「……………お前とタッグマッチのペアは一緒の事を忘れていた。 すまん」

「いや良いよ別に。それにどうだった? 灼熱の時間(とき)は」

「楽しかった」

 

会話を終えると僕は即座に食堂を出て蘭ちゃんを探しにいったのだった

*1
仮面ライダーカブトネタその1

*2
仮面ライダーカブトネタその2




しんどい

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