インフィニット・アマゾンズ   作:らんくらニキ

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仮面ライダーアマゾンニューオメガガンバレジェンズ参戦決定!!

悠「やっと!参戦できた!!」
一夏「でもニューオメガソードないらしいぞ?」
悠「え??」


第百四話 鵜呑みにしてはダメダメ

 

 

 

 

五反田食堂からそう離れていない家の敷地より少し広いぐらいの小さな公園。

ブランコでうつむきグズる女の子が一人。

 

「ぐすっ、ふぇ」

 

ご近所ならみんな知っている五反田食堂の看板娘、五反田蘭。

彼女が店番をしてる日とそうでない日では売り上げが1、5倍違うとか。

 

そんな可愛らしい少女がブランコに座って泣いていると知れば近所の男どもは脱力した身体をキュウリに気づいた猫のように飛び上がらせたのち駆けつけることだろう。

 

一頻り涙を流し、それでも溢れる涙を拭いながら蘭は先程の一夏と箒の出来事を思い出す。

 

箒から一夏に食べさせようとした所謂『あーん』の行動には驚きはしたが納得は出来る。箒が一夏を好いていることは夏祭りで一目会って直ぐにわかったから。

だけど逆となれば話は別だ。一夏から箒に食べさせ、あまつさえ箒から渡された野菜炒めを一夏は躊躇わずに口にした。

 

そこから嫌なイメージがどんどん沸いてきた。もしかしたら二人はデートの帰りにここに寄ったのではと。でもそれならわざわざ五反田食堂のような定食屋に来るのか、いや五反田食堂は一夏のお気に入りの店。それを好きな彼女に紹介したかったのではないかと。

そう考えてから蘭は二人の側にいた悠のことなどもはや眼中になかった。

 

二人は付き合っているのか? ただそれだけが気になって気付いたら二人の前にいて。

そして盛大に噛んで、どうしていいかわからなくなり。その結果泣き叫んで家を飛び出した。

 

「一夏さんのこと、困らせちゃった………」

 

一夏から見たら蘭がいきなりおかしくなって、しまいには泣いて店を飛び出した変な子として映っただろう。

 

いつまでこうしてたら良いだろうか。今更店で一夏に会わせる顔はない。

携帯も家に忘れたから一夏が帰ったかを確認できない。

こんな夜中に女の子が一人なんて物騒なんてもんじゃない、親や祖父も心配してるはず。だけど進むべき足と腰がブランコに吸い付いて離れられない。

 

「一体どっちなんだろう……シャルロットさゆとは付き合ってないって断言されたけど……ううっ……」

 

また泣き出しそうになり、一夏に渡すつもりだった(セント)マリアンヌ学院の文化祭のチケットをくしゃくしゃにしようとした

 

「蘭ちゃん!!」

「……!!」

 

顔を上げると一夏の友達であり、一緒に生蟹クリームパスタを食べた事がある水澤悠だった。

 

 

 

ーー♢ーー

 

 

 

「はぁ……はぁ……此処に居たんだ! よかったぁ………」

「悠さん……?」

「あ、隣良いかな。」

「は、はい」

 

二組のブランコの片割れに座り込むとカシャンと鎖がすれる音がした。

スマホで弾君の電話番号を呼び出してコール。

 

「もしもし! 蘭はいたか!?」

「近所の公園に居たよ」

「よかっっったぁ」

「一夏君は?」

「まだ爺ちゃんのとこ」

「ほとぼりが覚めたらこっちに一夏君を寄越しといて」

「まだかかりそうだぞ?」

「こっちも少し時間いるから」

「わかった」

 

スマホをしまって足を伸ばし、そのまま足を浮かせてブランコを揺らした。

膝を曲げて勢いをつけて漕ぎ続ければ次第に足と地面が水平になるほど高く上がった。

 

「うわぁーーー楽しぃーーー!! って止まんない助けてぇぇぇ!!」

「ええっ………」

 

思いっきり漕ぎすぎたせいで数分間止まんなかったけどなんとか止まった

 

「はぁ……はぁ……死にかけた……!」

「なんだかおかしくて涙止まっちゃいました」

 

まぁなんとか泣き止んだの成功して小さくガッツポーズを決める

 

「蘭ちゃん」

「はい」

「一夏君と箒さんは付き合ってないからね」

「………え?」

 

空耳を聞いたのかと思った蘭ちゃんの1テンポ遅れた返事。

驚きに目を見開く蘭ちゃんは小さくか細い声で否定した。

 

「う、嘘です………」

「嘘じゃないよ断言する。そもそも進展らしい進展なんてあまりないよ?」

「だっ! だって! あんな食べさせあいっこしてました!」

「一夏にとっては通常運転だよ。美味しいから分けてあげるっていう純粋な好意で誰にでもやってのける凄いやつだよ。

それに食べさせ合いっこはシャルロットさんや僕としたでしょ? あの時のアイスクリーム美味しかったなぁ」

 

間違ってもいないし言っちゃってもいいよね。

答えは聞いてないけど

 

「本当に二人は付き合っていないのですか?」

「僕から見た限りは箒の一方通行に見えるよ、今回に限っては箒さんが一歩踏み出したけど一夏君は相変わらずだし」

「そっか、そうなんだ。そっかぁ………………よかった」

 

安堵と共にまた涙を浮かべる蘭ちゃん。今度は嬉し涙のほうだろうか。

こんな子も虜にするとは一夏はほんと罪な男だなぁ。

アイツとタメ張れるぞ

 

「す、すいません。すぐ泣き止みますから」

「いいよいいよ。今は好きなだけ泣いたらいいから。それに僕結構泣くタイプだし」

「え、そうなんですか?」

「まぁね、ってあまり誇れないけど あとハンカチあげる。それで涙拭きなよ」

「ありがとうございます」

「返さなくていいからね。捨ててもいいし」

「そんな。ちゃんと洗って返します」

「いいよいいよ。それ5枚セットの安物だから。それにもうIS学園に帰るから返すの結構面倒だし」

「じゃあ。お言葉に甘えさせて頂きます」

 

蘭ちゃんは渡されたハンカチで涙を拭き取った。しばらくしてようやく涙が収まった時は恥ずかしげに顔を赤くした。

 

「みっともないとこ見せてごめんなさい」

「そんな気にしないでよ。 それに蘭ちゃんがいきなり出て行って皆が心配………してたからね。」

「え、何かあったんですか」

「君のお爺さんが一夏に対してガチギレして連れていかれたよ」

「おじいちゃんそこまで……」

「あぁ後余計なお世話な感じでメリケンサックも渡しといたから」

「何やってるんですか!?」

「百均のやつだしいけるいける」

「ええっ………」

 

困惑させてしまったので話題を変えます。流石に好きな人が自分の祖父に半殺しにされていたらたまったもんじゃない

 

「そういえば美月と連絡とってるのか?」

「あぁはい! 美月さんけっこう話しやすいですよ?」

「そっか。」

「あと悠さん報告来ないから地味に心配してますね」

「まじ? それじゃあ後でいいから大丈夫だよーって伝えといて」

「はい!」

 

駆除班の人達にも連絡とっておくか………

 

「そいやさ。蘭ちゃんは一夏君のこと好きな訳だけど。なんで好きになったの?」

「え!? えーと………………一目、惚れです。家に一夏さんが遊びに来たときに。はい」

 

まさかの一目惚れ!?

  

まああの笑顔にやられたら大抵はイチコロよね。今まで幾つもの初恋を奪ってきたのかなあの色男は

 

そういや僕達の一夏ラバーズで一目惚れパターンは何気にないな。

 

決闘申し込まれたり、喧嘩して仲裁役に入らされたり、男装で近づかれたり、なんか恨み買われたりとか色々あったなぁ……

 

僕は…………どうなんだろう。一夏君とは速攻で仲良くなったしあまりわかんないや。

 

「そこから会っていくうちにどんどん好きになっていって。中学までは接点あったんですけど。

一夏さんがIS学園に行ってから、もう。私が居ない間に一夏さんは色んな女性から好意を向けられてるようですし。シャルロットさんとか鈴さんとか、今日来た箒さんだって」

「一夏君の女子人気はやばいからね。女子高に男子っていう特別感もあるし」

「悠さんもモテてるんですか?」

「モテててるの…………かなぁ?? まぁ僕なんてアマゾンだからモテてると思う。」

 

蘭は何故か悠がアマゾンにも関わらず何故かあまり感じなかった

 

「あと蘭ちゃんのそのチケットって……何?」

「えっ!!……あぁこれはそのー……」

「しかも結構くしゃくしゃになりかけちゃってるけど……もしかして大切なもの?」

「実は………私の中学校の文化祭のチケットなんです」 

「へぇー……それ、渡すつもりだったんでしょ?」

 

すると蘭ちゃんは黙り込んだ。確信だな

 

「でも箒さんと食べ合いっこしてるのを見てこんなの要らないって思っちゃったのかい?」

「…………はい。」

 

彼女を見るとあの時の僕を思い出す。事情も知らずに勝手にブチギレてペア報告書をビリッビリに引き裂いて突き放した事、今だに心が痛んでしまう

 

「蘭ちゃん。」

「はい?」

「好きな人が他の人といたら悲しくなるのは分かる。でも表面上で理解して鵜呑みにしたらダメだよ」

「でも…」

「ほら、僕が説明したから一夏君と箒さんは付き合ってないって証明されたでしょ? 僕も以前表面上で理解しちゃって好きな人にガチギレしちゃったことあるから蘭ちゃんにもそんな思いして欲しくないからね」

「悠さん……」

 

すると蘭ちゃんはくしゃってたチケットを元に戻して立ち上がった

 

「んーー。よし!」

「どうした??」

「私! やっぱり今度の受験でIS学園に申し込みます! 鈴さんや箒さんに負けてられません!!」

 

随分と思い立った事だなぁ。理由を聞いてみるか

 

「理由はやっぱり一夏?」

「はい。一夏さんがISを動かした時から入ろうと思ってたんです!」

「成る程ねえ」

 

同じ土俵に立たなければ勝負にならないと思ったのか。

 

「あと。この前のキャノンボール・ファストが。凄かったですし。生のISバトルに感動しちゃって」

「ふむふむ」

「これでも筆記は学年でもトップですし。IS簡易適正試験でA判定貰ってるんですよ!」

「え!凄いじゃん!!」

 

ISに乗る前からIS判定がAというのはなかなかいない。

簡易適正試験の制度にもよるだろうが。それでも期待値は高いだろう。織斑先生はドングリの背比べだ、と一蹴するだろうけど。

 

それでもIS学園入学に対する先駆けになるのは間違いない。

 

「一夏さん回りの恋愛事情が膠着状態ならまだ私にもチャンスがあると思うんです。一夏さんなら来年も鈍感を貫く可能性はアリよりのアリですし」

「そうだねぇ」

 

来年どころか卒業するまでに決着がつくかという可能性が微レ存じゃなくて高確率である。

 なら僕からも一つ言っておきたいことがある。

 

「蘭ちゃん。IS学園に通うと言うなら一つ言っときたいことがある」

「一夏さんへの対処法ですか?」

「いや、それと同じぐらい重要なことだ………命の危険についてのね」

「え?」

 

唐突に物騒な話題を振られて蘭ちゃんの表情が固まった。

だけどこれは絶対に話さなければいけないことだ。

 

「現実的な話。僕と一夏君がISを動かし、IS学園に入学してから。IS学園で事件が多発している。蘭ちゃんも目の当たりにしたでしょ? キャノンボール・ファストに乱入したテロリストのことを」

「はい………」

「あれと同じようなことがIS学園に襲いかかってくる。今のところ一般生徒に被害はないし、僕達専用機持ちや教師の人たちも腕はある。だけど、いつその均衡が崩れるかわかったものじゃないし。これからも無いとは言えない」

「………」

「IS学園に通うということは、その災禍とも隣り合わせということ。それをわかっていて蘭ちゃんはIS学園に来れる?」

 

蘭ちゃんは沈黙した。

当然である。普通の学生が学校を襲撃されるなんて夢にも思わない、ドラマじゃあるまいし。

 

意地悪な質問であることは自覚している。

だが現にそれが原因でIS学園に申し込むのやめたという人もいる。

 

そもそもIS学園がもっとしっかりしてれば事件なんか起きないだろ! ってのが世間の見解だ。

それにかこつけてIS学園の権利をこっちに譲渡しろ、日本なんかに任せられないという奴らもいる。

 

馬鹿馬鹿しい。

そんなのはハッキリ言って現場を知らない人間の発想だと言うことがある。

 

だけども命の危険もあるかもしれないIS学園に入学すると言うことは

いずれ自分も戦う時が来てしまうと言うことだ

思考の海から浮上すると同じタイミングで蘭ちゃんは言葉を発した。

 

「私、それでもIS学園に行きます」

「そっか」

「私は一夏さんと同じ学舎に行きたい。それと同じぐらいISも動かしてみたい。一夏さんに会えるのもISを学べるのもそこにしかないなら。考えるだけ無駄ですから」

「開き直ったね」

「開き直ります。恋を知ってますから」

 

開き直りは恋する乙女の特権。

そんなありもしない未来を考えるだけ時間の浪費ということだろう。

 

確かにそうだと思う。

 

もしIS学園に入学できます。けど無茶苦茶危険ですって言われたら僕入学すると思う。

 

ISを動かせるし学べるからでもあるが、優先事項は誰かを守りたいこと。

それが僕や一夏君達に課せられた専用機持ちとしての矜持を果たそうと思う。

 

「ごめんね蘭ちゃん。たちの悪いこと聞いてさ」

「いえ。大変なのは悠さんや一夏さんですから」

「僕達も力の限りそれに対処するよ。君たちに危険が及ばないようにね。」

 

それが専用機を持ってIS学園にいるものの勤めであり義務だ。

晴れて代表候補生になったし。

 

「でもまあ、先ず入れるかどうかよね」

「というと?」

「倍率。去年は1万だったけど。今回は俺と一夏が加わるから更に跳ね上がると思う。頑張ってね蘭ちゃん」

「が、頑張ります!」

「もし行っちゃったら美月と離れ離れになるかもしれないけどなんとか連絡取ってね」

「美月さん可哀想ですね……」

 

美月、これは貴様が選んだ結果だ。マジでごめんね

 

「おーい、らーん!」

「え、一夏さん!? と箒さん」

 

向こうから走る一夏君が手を大きく振ってこっちに向かっていた。そして一歩後ろを走る箒。

どうやら話ついたみたい、ってうわぁ………

 

「い、一夏さん!顔腫れてますよ!?」

「あ、これ? えっと、転んだんだ、派手に!!」

 

絶対嘘だ………あの時メリケンサック渡さなきゃよかった。

それは自分の祖父の性格を知っている蘭ちゃんは直ぐにそれが嘘だと気づいた。

 

「ごめんなさい! 私のせいで一夏さんが………」

「え? なんのこと?」

「だってそれお爺ちゃんが」

「いやいや!ホントに転んだって。それはもう凄い感じに。なあ箒!」

「ああ!スケートの上を滑ってるぐらいにズリズリィ! とダイナミックに転んでいたな! あれはある意味見物だった」

 

箒と事前に打ち合わせをしていたのか箒も一夏の嘘に合わせてくれている。

飽くまで顔の腫れは転んで出来たもの。

 

痛い目にあったはずなのに、自分を心配させない為に嘘をつく一夏。

そんな優しさを見せる一夏に蘭ちゃんの心にじんわりとした暖かさを感じた。

 

「あ、あの一夏さん!」

「どうした?」

「これ! よかったら来てください!」

 

差し出されたのは一つのチケット。

蘭ちゃんの通っている聖セントマリアンヌ女学院の学園祭チケットだった。

 

箒さんの前で良くやった。蘭ちゃんに幸せが訪れるように僕は祈るとしようか

 

「そういえばそろそろか。蘭のところの学園祭」

「は、はい!その、それで。学園祭一緒に回りませんか!」

「いいけど。蘭って生徒会長だろ? 当日忙しいんじゃないのか?」

「大丈夫です! うちの生徒会は優秀ですから! 私がいなくても大丈夫です!むしろ学園祭の日ぐらいは遊べって背中叩かれましたし」

「そっか。じゃあついたら電話するよ」

「はい! お待ちしてますから!」

 

目映い程の笑みを浮かべる蘭に一夏君は安堵し、箒さんは………あれ、特になんもなしの無表情。

 

「良くやった蘭ちゃん。」

「悠さん……ありがとうございます!!」 

 

二人でハイタッチしたのだが、一夏にいつの間に仲良くなっていたのかと驚かされた。

 

「箒さん目の前でああなってるけど良いのか?」

「良い。私もさっきは少し意地悪し過ぎた」

「そうか」

「謝らないけどな」

「いや謝ってよ。てか箒、ヒールはどうしたの?履いてたよね?」

「走るのに不便で折ってきた」

 

うわぁマジかこいつ

 

「さて、そろそろ帰ろうぜ。みんな心配してた」

「あう、すいません」

「やべぇまたお腹空いて来ちゃった……追加注文しようかな」

「私はもう食ったぞ」

「お残しはダメだよな。急ごう」

 

僕達は五反田食堂に向かって走り出した。

戻ったあとは蓮さんが軽く蘭ちゃんを叱り、弾君はもう涙目で怒って蘭ちゃんに蹴られた。

 

その後蘭ちゃんが大の大人6人を相手に説教をしたらしい。厳さん、大将に至ってはガチで凹んでた。

 

余談ではあるが。その夜蘭ちゃんは来る学園祭での一夏とのデートに思いを馳せて眠れぬ夜を過ごしたらしい。と、美月経由で僕に伝わったのだった。

 

応援は出来ないが。学園祭では存分に楽しんで欲しいことを願うばかりだった。

 

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