専用機タッグマッチに向けての練習。その日はなんか特殊だった
「悠、一度試してみたいことがあるんだ」
「なんだ?」
「そのー………綾音のISの件なんだが……」
うゲェ………この話かよ
「楯無先輩と綾音と練習したのだけど、ヒントを得たんだ」
「え!?ほんと!!?どんな感じだった?」
「それは………肩から剣がびょぉぉん!!って浮いたり、弓がズバババーってなったんだ!」
思い出した………箒さん語彙力終わってるんだった
「………相変わらずだね」
「だしても攻略方法は分かった! 今日はこれの練習をするぞ!」
「分かった!」
切り替えてネオアマゾンズドライバーをバススロットから呼び出して装着しようとしたが止まった
ーーあなたはヒーローじゃ無い
「(まただ………クソッ!)………アマゾンッ!!!!」
『NEW・OMEGA』
緑の爆風に包まれてニューオメガへと変身した悠は振り切るかの様にニューオメガソードと近接用ブレードTKI-3を構える。
「行くぞ!!!」
「ハァァァッ!!」
ーー♢ーー
「はー……つかれたぁ」
あの後数時間かけて模擬戦をし、攻略方法がある程度まとまったので今日は解散することになった。
特に楯無さんに教わったからか無駄な動きが一切なくなんか無茶苦茶強くなっててびっくりしてズルして模倣生成したらちょっと怒られちゃっか
(あの二人頑張ってるのかな………)
やっぱり一夏と簪さん不安だなぁ二人はやっていけるだろうか。
でも一夏だし大丈夫か。
そう考えながら部屋に入ろうとしたその時
「はーい悠くんー!」
「…………」
何か見たかの様に即座に閉めた。なぜか僕の部屋に楯無さんがいた。
「すいません警察ですか? ちょっと不審者が……」
「誰が不審者ですって!!? 開けないとドア壊すわよ!」
楯無さんあんなキャラだったっけって思いながら僕は渋々入室した。
「はーい悠くん!」
「それまた聞きましたよ。エンドレスしないでください」
「まぁねー……」
楯無さんと一悶着あって今だに許してるわけにはいかないけど拗れたらめんどくさいからそのままでいる
「一応何も無いんですけどハンバーガー食べます?」
「私を太らせようたってそうはいかせないわ。お姉さんのナイスボディをキープし続けるわ」
その声でナイスボディって言われたら某ケメコ思い出すby作者
要らないと言われた為ハンバーガーを冷蔵庫へ戻した。
「で、要件はなんなんですか」
「コホン。早速話題に入りたいところなんだけど。悠くん、これから話すことは他言無用でお願い。もしかしたら今後噂として広まるかもしれないけど、それまでは秘密ってことで」
「それって………」
いきなりシリアス的な空気に思わず姿勢を正した。
「箒ちゃんのことなんだけどね。今日ISのメディカルチェックをやったのよ。私立ち会いの元、綾音ちゃんも加えてね。」
「(マタアヤネェ……!)それで?」
「見た方が早いから見せるわね。パソコン借りるわよ」
パソコンにメモリースティックを差し込み、データファイルを開く。
データは今回のメディカルチェックの内容。篠ノ之箒のパーソナルデータ。
ディスプレイには二つのデータが出された。一つは入学時の箒のIS項目、そのIS適正。
もう一つは今日の………
「………は?」
「どう?」
「何かしらの冗談じゃ無いですよね……!?」
「ええ、紛れもない現実よ」
「それでも、いや、これはおかしいでしょう───なんでIS適正がCからSになってるんですか!?」
ISを勉強した僕でも流石に動揺を隠しきれずに俺はわかりやすく狼狽えた。
左の入学時のデータと比較されて出された、今日のパーソナルデータ。そこには紛れもなく、IS適正値のS判定が映されていた。
ありえないことが目の前で起きている。
そもそもIS適正値Sなんて確認されてるだけでも数人しかいない。
元日本代表のブリュンヒルデ、織斑千冬。
現日本代表の来栖曄
一応知ってる人だとこのくらいか。
「IS適正ってISを乗りこなす上で変わるって聞いたんですけど」
「明らかに短期間過ぎる。偉業を超えて異形とも言える。悠くん、あなたがチェックしたのっていつ?」
「異種多人数戦の時に、一夏のを調整するついでです。その時は………B−でした」
「つまり、それを考慮したとしても。箒ちゃんは約1ヶ月でC+からSにジャンプしたということになるわね」
適正値がなんか高いのはアマゾンだからだろうか
そもそもアマゾン細胞で出来た第一のアマゾンや僕や仁さんや藍來さん達のような人の遺伝子を持つ個体はある程度の性別情報しか刻まれない
「でも何故僕にこれを?」
「悠くんにも見せておきたかったのよ。一夏くんや箒ちゃんに続いての三人目のイレギュラーとして。」
一夏の白式は第一形態によるワンオフ・アビリティー、アクセラオメガは武装の模倣生成。そして第四世代機である紅椿といいイレギュラーとして聞きたいのだろう。
「でも楯無さんの意見を聞かせてください」
「私としてはやっぱり、篠ノ之束が関わってる気がするのよね」
「紅椿は篠ノ之博士の100%フルオーダーメイド。予め箒が乗ることを前提に作った箒の為の機体。相性は抜群に決まっています」
「それじゃ、もし打鉄に乗せた状態で適正値を図ったらSにはならなかったということ?」
「現状わかりませんけど。IS適正値は飽くまで操縦者本人のパラメータですから、多分変わらないと思います」
とにもかくにも。転機は間違いなく紅椿であることは明白。
「あとは覚醒した切っ掛け。原因には必ず過程があるわ。悠くんがチェックをして、私が改めてチェックしたその間に。何か切っ掛けがあった」
「適正が一気にSになるほどの切っ掛け。一番劇的な外的要因はキャノンボール・ファストの襲撃ですけど」
僕にとっても転機であったあの事件は。ISが生まれて以来、白騎士事件に次ぐ大規模テロとなった。
「そういえば。あの時からよね? 箒ちゃんがワンオフ・アビリティーを任意で発動出来るようになったの」
「そういえばそうですね。あと穿千もあの時初めて発動しました」
「
「絢爛舞踏がトリガー?」
「濃厚よねぇ、それが」
………………………………
「結論」
「…………はい」
「推測の域を出ません!」
「あららー………」
僕はあっさりと言われたことでずっこけた。
一応ある程度の仮説を立ててみたとしても考えがあまりまとまらなかった。
「ここで悩んでも仕方がないわ。 さて、私のマイスイートシスター簪ちゃんに対する定期報告を聞かせてもらうわ」
「マイスイートシスター簪さんについてなんですけど」
「気安く呼ぶんじゃないわよデコ助野郎!!」
「なんなんですかそれ! てかデコなんか出してないですから!」
いずれ出すのはまぁさておき、
「…………映画館で簪さんと談笑してたんですけど一夏のことを話すとありえないぐらい不機嫌になって僕が楯無さんの差し金って気づかれました」
「差し金にした覚えはないんだけどねぇ………やっぱりそう見えるのも仕方がないか」
「あぁでも進展はありました! 一夏と簪さんが仲良くご飯食べてて一夏のご飯に七味唐辛子をぶち込んでました」
「あの子結構やるわね」
「でも僕のことヒーローじゃないとか失礼なこと言ってました」
「あーあの子人外変身系あまり好みじゃないのよ。生身の人間が悪に抗う系が良いって」
思想強っ
でもグラディオンVSアイアンガイの映画がなかったらあまり進展は無かったと思う。篠木さんには後でお礼を言わないとね
「それと簪さん、楯無さんが一人でISを作ってないこと知ってましたよ」
「やっぱり。それでも一人で作ろうとしてるのね、簪ちゃんは。それをすれば私に勝てると、認めて貰えると思って………そんなこと気にしなくても良いのに………」
「簪さんのコンプレックスは、思った以上に根深いですし無理ですね」
「そうよね………」
これで何度目か。
楯無さんがまた顔を伏せる。
こんな楯無さんの姿を知る人物が。身内含めてどれくらい居るのだろう。
妹である簪さんは、こんな姉の姿を見たことがあるのだろうか。
「楯無さん。単刀直入に言いたいんですけど何故ここまで溝が出来たのか話して貰えますか」
「え、なんで」
「俺が知りたいんです」
「でもこれは更識家の問題で」
「信頼。してるんですよね?」
「………」
「既に巻き込まれてるんです。今更って奴ですよ」
「………ほんと今更よね。わかった、話すわね、先ずは」
「あ、ちょっと待ってください」
「なに?」
「………これを聞いて僕は消されませんよね?」
「ブッ……ハハッ…www流石に消さないわよ」
肩の強ばりが緩んだ楯無さん
少しだけいつも通りの彼女の姿になったように見えた。
「まずうちの家。更識家がどういうものかを話そうと思うんだけど。大雑把には話したわよね」
「日本の暗部の元締めで、対暗部用暗部ってやつですよね」
「そうよ。江戸時代から続く日本を影から守りし防人って感じね。しかも当主は代々『楯無』の名前を受け継ぐのがセオリーなのよ」
え、楯無さんの名前って本名じゃないんですか!?
ずっと本名だと思ってた。
「で、今は野座間製薬に依頼を出されて君の監視及び緊急時の保護を任されていたわ」
「あーそれって綾音も一緒ですか?」
「うん。彼女は喰人衝動なしでアマゾン細胞と完全適合した稀例だから観察経過も兼ねていたわ」
あーなんか入院時お見舞い行ってたって言ってたなぁ
「まぁ江戸時代に徳川は衰退したけど更識は政府の隠密諜報機関として活動。戦争が始まってからは裏向きでは解散したんだけど。戦後も混乱は続いてたし漁夫の利を狙うのが多くて。やめるにやめれなくなって活動は続行。そこから幾星霜たって、気付いたら日本の裏の番人に収まってたってわけ」
「これ歴史の授業すぎませんか?」
「教科書には載らなかったから得でしょ?」
まぁ……はい。
話せないところがしめてたんだろうけど。
「その過程でロシアと太いパイプが出来たのよね。私がミステリアス・レイディを手に入れれたのもその縁」
「お陰で僕と一夏君は命拾いしましたよ」
「そう思うならもっと敬いなさいな」
いやいやこれ以上ないほど敬ってますよ。話も聞いてくれたし
ただ単に言動がカスなだけです。
「そんなこんなで巨大な家系図が出来るぐらい大きくなった更識家に生まれた私たち姉妹。そして子供の時に世代交代の話が出てきた。理由は第17代目楯無が歳だったから。今の当主に変わる次期当主は誰だ! ってなった時に、とんでもない事が起きちゃったの」
「とんでもないこと?」
「白騎士事件よ」
「あっ………」
なんというタイミングなんだ
正しく日本の危機。実際白騎士現れなかった世紀末待ったなし。
「こうなったら世代交代なんてしてる場合じゃない!ってもんで。白騎士事件の後処理をしたのよ。あの時の更識は正にお尻に火がついて大炎上してたわ」
「でしょうね」
「今思うとあの時職務につける歳じゃなくてよかったって思った。大人は揃って鬼気迫ってて、簪ちゃんなんか涙目になって「お姉ちゃん怖い」って抱き付いてきてね。不謹慎だけど、その時の可愛さと来たらもう永久保存版で足りないぐらいの可愛さでね!」
「楯無さん話が逸れてます」
「あらごめんなさい」
そこはブレない更識家18代目当主。
IS黎明期時代にどれほどの苦労があったのか。
一般でさえも苦労したしその苦労は計り知れないだろう。
「ようやくゴタゴタが終わり、世の中にISが浸透した頃。更識では改めて当主を決めるための話し合いが始まった。新しい当主として有望視されていたのは更識でも最有力と言われた私のいとこ。だけどその人は選ばれなかった。新しい当主には、これまでとは違う新たな要素が必要なのではという案が浮かんだから」
「ISを扱える女性ですか」
「その通りよ。ていってもこれまでも女性の当主はいたから珍しいことじゃないんだけどね。それで、ISを扱える者として、更識家はああ適正の高さに着眼点を置いた………そこで選ばれたのが私たち姉妹だったの」
「楯無さんと簪さんですか。どれぐらい適正良かったんですか?」
「うん、二人ともIS適正A+」
「へぇ……その時お二人の年齢は?」
「白騎士事件の2年後だから、私は9歳で簪ちゃんは8歳ね」
「うそぉ……」
そんな時からA+なんてはっきりいって金の卵。
更識家じゃなくても各国が欲しがる逸材だ。
「しかし子供の子供じゃないですか。よく反対しませんでしたね」
「そうねぇ。若過ぎるから反対って人と、敢えて私たちを選んで傀儡にしようって人で別れて。その渦中に巻き込まれて大変だったわ。素直に賛成してくれる人は少数しかいなかったわね」
「最有力と言われた男の人は?当主になれると思ったのにその座を奪われて激怒したのでは?」
「そう思うでしょ?でもその人はあっさりと舞台から降りたわ。元々当主という立場に欠片も失着しなかった人だったから。当人からしたらラッキー!って思ったんじゃないかしら」
それは支持した人からしたら頭の痛い話だな。
しかし当主争いというのはどこも陰謀うごめくものなんだな。うちの母さんも社長になるまで大変だったらしいし。
「次期当主候補に選ばれた私と簪ちゃんはどちらが当主にふさわしいかを確かめるために徹底的な教育という名の指導を受けたわ。私は当時から出来る部類だから特に辛いことでもなかった。簪ちゃんもなんとかついてきてた」
「で、結局楯無さんに決まったと?」
「ううん。最初更識家上層部は簪ちゃんを当主に仕立てようとしたの」
「え、もしかしてそれって………簪さんを操るって訳ですか」
「そう。傀儡するにあたって私は出来すぎたのよ。私が楯無になったら出来ることも出来ない。つまり目障りってこと………って夜こっそりと話していたところを偶然聞いちゃったの」
壁に耳あり障子に目あり。
どこで誰が聞いてるかわからないのに迂闊とはこのことだな。
「それを知った私は簪ちゃんを守るためにもうなりふり構ってられなかった。訓練を受ける傍らに傀儡派の弱みを手に入れ、定例会議でそれをぶちまけ、逆ギレして襲ってきたそいつらを完膚なきまでに叩き潰した。年端もいかない少女にボコされて傀儡派の面子はもう丸つぶれ。その後は………ここでは話せないわね」
「怖すぎます楯無さん」
「フフッ。それから私の評価は鰻上り、途中途中で暗殺なり誘拐なりされても難なく解決。簪ちゃんとも能力的な差が際立ってきた。そして14歳の時に正式に更識家当主になりましたとさ」
中学生で裏の当主
当時の楯無さんがその領域に至るのに。どれぐらいの研鑽と努力を重ねたのだろうか。
身内からも命を狙われ。裏社会の汚さと残酷さを知った。
今でこそ笑顔を絶やさず。生徒の皆から慕われ、道化にも見える生徒会長の楯無さん。
その笑顔の裏では血と汗に濡れた暗い過去があったのだろう。
「そこからは楯無としての責務に勤めて、勤めて、勤めに勤めた。人並みの生活なんてなくて、ただ日本を守るための日々。若年ながら私は本当に良くやったと思う。周囲からの評価も不動の物になりつつあった。なにもかも順調、私は立派に責務を果たしていた」
「簪さんは更識の任務とか仕事をやってなかったんですか?」
「そういうのからは意図的に遠ざけてたわ。更識の任務には人には話せないことが沢山ある。常人が見たら心を腐らす物もあった。あの子には普通の女の子として過ごして欲しかったから」
汚れるのは自分だけで良い。たった一人の妹には幸せになって欲しい。
その根底にあるのは紛れもなく妹への愛情だ。
美月にも普通に生きて欲しいから遠ざけたから意味が分かるけど………
「簪さんはそれを良く思わなかったのですね」
「うん。簪ちゃんはなんとか私の、更識の役に立とうとしていた。簪ちゃんは電子技術に長けていたから、自分はその分野で役に立てるって。でも私がことごとく潰したの、貴方が頑張らなくても大丈夫だって言ってね………そこで事件が起きた」
「事件?」
「ある任務のことだった。相手の情報を入手出来なくて焦っていた私たちを見て、簪ちゃんは独断で情報を得ようとした。簪ちゃんは本当に凄くてね、あっさりと情報を入手出来たの。その情報を元に作戦は行われた。でも」
「失敗したんですか?」
「その通り。作戦開始直後に敵の待ち伏せにあった。敵のブラフだったの。結果、敵の幹部にまんまと逃げられて。こっちも重傷者5名、重体者2名を出した」
「死者は」
「一応ゼロ。でも重体者のうち一名が下半身不随で引退よ」
情報を制するものは全てを制する。
そう言われるぐらい、情報というものは何者にも変えられないアドバンテージとなる。
だが逆に信頼すべき情報が誤情報だった場合、アドバンテージは反転してディスアドバンテージに変わる。
その先に待つのは、悲惨な末路以外ありえない。
「簪さんは敵の嘘を掴まされたということですね」
「でもその情報を信用して作戦を行ったのは私。だからその作戦は私の責任問題になった」
「うわぁ……簪さん、家の中で相当攻められたんじゃ」
「うん。一時期もう家のなかに居場所なんかないんじゃないかってぐらい酷い有り様でね。勘当するべきだ!って声も多かった。けど私はそれを認めずに、今後簪ちゃんに関することは言わないようにと勧告した」
それでも陰口を叩かれたことだろう。
家のみんなから村八分のような扱いも受けたかもしれない。
そして、ますます出来の良い姉と出来の悪い妹という図式が構築され、次第に心は廃れていく。
「それが今の簪さんを作る要因になったと」
「これだけならまだ大丈夫だったと思うわ。なんだかんだ言って、簪ちゃんは強い子だったから───トドメを刺したのは、私」
「え?どう言うことなんですか……!?」
「………あのあと、簪ちゃんが私に謝りに来たの。自分のせいでみんなを危険な目に合わせてしまったって。私はその時、簪ちゃんの姉としてではなく、更識家当主18代目楯無として簪ちゃんを攻めた。そして最後にこう言ったの………」
声が止まった。そう思うぐらい今の楯無さんはいつもの余裕はなく、額には汗が、目は泳ぎ、手のひらに爪が食い込むほど思いっきり握りしめた。
「………『更識のことは全部私がやるから。だからあなたはもう、なにもしないで。貴方は普通の女の子でいて』って」
重々しい息を吐き、楯無さんはなんとか言葉を絞り出した。
「…………………っ!!!!」
楯無さんのその言葉は当主としての言葉であると同時に簪さんを気遣う、最初から何一つ変わらない言葉だった。
だが簪さんにはこれ以上ないぐらいの拒絶の言葉として突き刺さった。
大好きな姉に認められたい、自分を見て欲しいと思ってやったことが全て裏目に出た上に姉から放たれた言の葉。自分は更識に、更識楯無に必要とされない存在だということを突きつけられた。
そして簪さんは他者との間に壁を作り、殻に籠もる要因。そして自分の力だけでISを作り上げるという原動力となった。
「私ね。簪ちゃんと関わりがなくなってから。何度も考えた。どうしたら良かったのか。私が更識の仕事にかまけて簪ちゃんのことを蔑ろにしなければ回避出来たのかって」
「でも、子供の頃から日本の未来を背負えなんてことになったら。そうなっても仕方ないんじゃ」
「そんな甘い考えは私には許されないわ。それに簪ちゃんと話す時間ぐらい作ろうと思えば作れた。それをしなかったのは私に他ならない。日本を守るのと引き換えに家族の絆を壊した………笑っちゃうわね。一人の家族とさえ上手くいってないのに。日本の守護者気取ってるのよ、私。ほんと滑稽極まりない」
目元を抑えて自嘲気味に笑う楯無さんを前にして、僕は目の前の光景を信じられないと感じた。
目の前に居るのは本当に僕の知る更識楯無なのかと。
あの自信満々で、向かうとこ敵無しを自負していて。ロシア国家代表で学園最強で、そして日本を影から守護する更識家の当主であるこの人が………
正直見ていられないほど痛々しい姿を晒している………
ああそうか。あの子も同じ気持ちだったんだ………
「楯無さん。今まで申し訳ありませんでした」
「は、悠くん!?」
「綾音とペアを組んだとしって僕は綾音を強く批判して拒絶しました。今なら楯無さんと簪さん、綾音の気持ちがよく分かる気がします」
そして僕は楯無さんの手を握り締める
「え!?ちょっと!」
「
楯無さんが全部悪いって思い込んでた。僕に相談なしで綾音と組んだこと(勿論綾音も悪い)、また箒を借りてまた独りぼっちにさせた事。
楯無さんは焦っていたんだと過去の話を聞いて実感した。
「………あぁっ! すいませんつい勢いで!」
「いえいえ、ふふっ。 やっぱり悠くんは一夏君呼びの方が似合うわね」
「え、出てました!?」
「出てたわよ。 食堂で一夏くん達に宣言したのにね」
「ううっ…………」
「でも気分が晴れた気がするわ」
だけどある疑問が残った
「あれ?でも一夏君の白式で狂わされたのになんで簪さんと組ませようとしたんですか?」
「(あぁそのまま行くのね)いやね。なんだか一夏くんなら大丈夫。っていう謎の根拠があったのよね」
「なんですかそれ」
「さあ。私もわからないわ。でも一夏くんからやらせてくださいって言ってくれたのよ」
「一夏君すごっ。 でも楯無さんもあまり無理しないように」
「ありがとうね。 じゃあ私は部屋に戻るわ。」
「はーい。ではまた明日」
「ん、おやすみなさい」
「おやすみです」
ーー◇ーー
パタンっ。
悠の部屋のドアに背を預けて楯無は先ほどの彼の言葉を反芻した。
「なんで一夏くんを先に選ぼうとしたのか………悠くんと簪ちゃんを組ませる為に綾音ちゃんを先に手を打ったのか……」
考えてみればそうだ。
彼の言う通り一夏と簪の相性は最悪なのは火を見るより明らかだ。
「一夏くんに任せておけば大丈夫。って思ったのよね」
悠を信頼してると言ったが。
それと同じぐらい楯無は一夏のことを信頼していた。
………本当に同じぐらいだろうか?
「ん? いま私何を」
今までとは違う思考回路に楯無は首をかしげる。
理屈などこれっぽっちも考えてなかった。
タッグマッチトーナメントが開催すると知って最初に浮かんだのは簪のこと。
そしてその後脊髄反射的に一夏の顔が浮かんだのだ。
「一夏くんに頼りたかったの? 私? ………まるで甘えたかったみたい………」
気づくと頬に熱が籠っていた。
急いで冷ますために扇子をバタバタと扇いだ。
「いやいやなに考えてるの私? そんなうら若き少女みたいに。あー、悠くんの熱意に当てられたのかしらねぇ」
ぶつくさ呟きながら楯無は自分の部屋に向かった。
部屋につくまでずっと扇子を扇いでいたが、顔の赤みが引くことはなかった。
真実は心のみぞ知る………
最後の地の文でノクスが思い当たった人はちょっと危ないです
好きなアマゾンライダーは??
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アマゾンオメガ /ニューオメガ
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アマゾンアルファ
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アマゾンガンマ
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アマゾンゼータ
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アマゾンベータ
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アマゾンミューズ