インフィニット・アマゾンズ   作:らんくらニキ

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第十六話 MYSTIC MORPHO〜君の名は(ユア・ネーム・イズ)

 

『キュアアアアアア!!!!!!!!!!!』

「…………ヴォォォォォォァァァァァッ!!!!!」

 

何故か叫んでいるところから始めているがふざけてはいません

 

「ラウラどう言う意味!?セカンドシフトなんて滅多に無いはずよ!!」

 

鈴のその通りだった。

セカンドシフトとはパイロットとインフィニット・ストラトスの経験とシンクロ率の上昇から起きる極稀な超常現象。

 

……といっても乗り続ければ必ずシフトアップするわけではない。

現に8年も同じISを乗り続けた古参もシフトアップを行っていないという事例がある。

 

ISの姿を操縦者とISに適した姿に変化させる。

いや、これの場合進化という言葉が正しい。

でも目の前で光の翼を広げる銀の福音はどうか?

本格起動してから直ぐに暴走し、パイロットは意識不明。試験期間を入れても一月もたっていないのにシフトアップなどあるわけがない。ありえない。

 

『……………疑似形態移行完了。銀の鐘パージ、武装更新、【銀の祝福(シルバー・ブレス)】、展開完了』

 

福音は翼を輝かせる

 

オメガは空中で構えながらもそのまま待機している

 

「どうする悠!!」

「このまま続けるしかない!!」

「あんなのと戦いますの!?」

「そうしないとこっちが死ぬ!!」

 

オメガはこの危機的状況を理解していた。

駆除班時代に人肉ハンバーグを提供していたカニアマゾンを駆除した時に蟹の足を引きちぎった瞬間奴のレジスターが赤く光って覚醒した後にモグラアマゾンとオメガと駆除班のサポートで倒したのと同じ状況下である事を知っていた。

 

「このままじゃまずいな……」

 

風が鳴り、光球で空洞となった場所に押し戻された海水がまた

吹き飛んだ。

 

「作戦変更!!皆広が……」

「……え?」

 

瞬きの間、銀の福音は箒の紅椿の前にいた。

光翼からエネルギーを放出した瞬時加速。それははからずも、紅椿の展開装甲と仕組みが酷似していた。

箒は反応する間もなく福音の光翼を押し当てられ、至近距離で爆発、海を跳ね、小島に激突する。

 

「箒さぁぁん!!!」

「皆散開しろ!!早く!!」

 

ラウラの指示により、皆がまどろみから覚めて行動に移した。

 

「僕が箒を!!」

「シャルロットさん頼んだ!!」

 

ラウラは福音に左右のレールカノンを撃ち込もうとするが全て避けられる

 

福音はこれまでとは段違いの速度で上方に逃げることで散弾を回避。

ラウラはパンツァー・カノニーアの砲塔を上に上げるも福音の方が早かった。

銀の祝福を形成する銀の鐘の光翼を頭上に掲げエネルギーを集中して発射。放たれた光弾はこれまでの比じゃない密度で、まるで光の竜巻。

 

「こんなスピード………ならっ!!」

 

しかし、ラウラは福音の後ろへと回り、ソードビットと両腕のプラズマ手刀で固定する

 

「鈴!今だ!!!」

「最大火力よ!くらいなさい!」

 

甲龍の増設衝撃砲が火を吹く。拡散された焔の弾に福音は慌てることなく銀の祝福を羽ばたかせた。

振り下ろされた翼からは大量の羽が降り注ぎ、密度でいえば先程の第一形態最大火力以上だった。

一度の羽ばたきで相殺し、二度目の羽ばたきで衝撃砲を完全に消失させ、後ろにいたラウラを掴んだ。

 

「何っ!!  うわあぁぁあ!!!」

「ラウラ!!ぐはあっ!!」

 

そのまま鈴に投げつけて2人ともダウンした。

 

「鈴さん!ラウラさん!!」

「僕が行く!!」

 

箒の救出を済ましたシャルロットのラファールがその背中にグレースケールを突き立てる。その攻撃を福音は後方宙返りでシャルロットの後ろに回り込む。

 

「読めてるよ!」

 

グレースケールは消え、その両手にはラピッドスイッチでコールされたショットガンが二挺。

シャルロットが急停止からのドットターンで福音と向き合う、両者の間は零距離、シャルロットは光翼の内側に潜り込む。

 

「この距離なら羽根は! ………え?」

 

シャルロットはトリガーを引こうとしたが、振り向いた瞬間にその思考は停止した。

何故ならその巨大な翼がシャルロットの目の前で更に三倍もの大きさに広がっていたのだ。

巨大化した銀の祝福は広げた翼を閉じるようにシャルロットを包み込もうとする。

 

「シャルロットさん!?」

「セシリア来ないで!! うわああああ!!!」

 

シャルロットは大ダメージを負い海に落ちた。

 

「逃げろセシリアさん!!次はあんただ!!」

「くっ……!!」

 

今度はセシリアがストライク・ガンナーで逃げようとするものの福音はそのまま追いつきて来た。

 

「あぁもう!近接戦闘は苦手ですのに!!」

「セシリアさんこれをっ!!」

「ありがとてよ!」

 

セシリアはブルー・ティアーズの近接用武器《インターセプター》を呼び寄せたの同時にオメガが投げたアマゾンレイドを受け取り二刀流で突き出そうとした。

 

「これでもくらいなさいっ!!」

(せめて一矢報いるぐらい………!!)

 

爆発音が響いた。

ダブルナイフによる衝突音ではなく爆発音。気付くとセシリアは福音から離れていた。

 

「な、にが……?」

 

福音を見やると胸部装甲がひび割れ、蛹から蝶が羽化するように、小さな光翼が生えていた、

福音は決死の覚悟で迫ったセシリアを嘲笑うかのように胸部から生えた銀の祝福をショットガンの要領で放ったのだ。

 

「なんでも、ありですのね………」

 

そう言いセシリアも海に落ちた。

 

「あっ……ああ!!」

「は……悠……?」

 

悠は今までに無い恐怖を感じた。仲間がざっくざっくやられていく惨状……それが許せなかった。

 

「残ったのは………僕達だけだ!!」

「あぁ……一夏にこんなの見せられないな……」

 

「ヴェアアアアア!!」

 

オメガは福音に追いつく為に瞬時加速を使用、その隙に殴打する

 

首筋を掻っ斬ろうとするが避けられ、フットカッターによる踵落としも避けられる

 

「クソガァァッ!!!!!!ってぐおっ!!」

 

福音に蹴られ、銀の祝福をくらってしまう

 

「ぐわあああああ!!!!」

「悠ぁぁっ!!!」

 

そのまま小岩に墜落し、アマゾン変身体が解けてしまう。

 

「あっ……があっ!!」

「悠かぁっ!!」

「箒さん………後は…………頼んだ!!」

 

初めて仲間に自分を託した、しかし悠はFKー3を呼び出し、銃口を福音へと構える

 

(このまま…………やるしか無いっ!!!!)

 

________

 

悠達の様子を真耶と千冬は花月荘の司令室から見ていた。

 

「現在紅椿が交戦中!!アクセラオメガ以外のISは全滅状態です!!」

「これはまずいな……」

 

真耶には焦りが見えており、千冬は感情には出てはいないものの内心焦っていた。

 

「織斑先生! 防衛ラインの教師を援軍に向かわせましょう!」

「駄目だ、容認出来ない」

「でもこのままでは生徒の命が! 貴女は生徒を見捨てろと言うのですか!?」

「今防衛ラインを崩せば、第一陣を突破した銀の福音が日本に攻めいる。動かすことは出来ん。それに………今から向かっても到底間に合わん」

「そんな………」

 

絶望する真耶に対して千冬はある考えが過ぎっていた。

 

日本国軍に連絡しても応答せず、通信が来ない状況

その様な状況を作り出せるのは束だと仮定すると何故こんな事をするのか妙に納得がいかない

 

(それに束は自身の妹を危険に晒してる様なものだぞ?何が目的か……)

 

しかし、アクセラオメガの出自には束が関わっていた。

元々は国際戦術局局長の橘雄吾の提案から技術開発局と新たに新設したIS開発部が共同で作ってはいたものの、アマゾンオメガ変身時を想定していたが為に頓挫しかけていたのだが、束が乱入して完成させたと言う話だ。

 

(もしかしたら…………野座間のデータ用の為にか?水澤のISによる戦闘経験を積ませる為に………………そう言う事か!!)

 

全てに合点があった。そう、束はとんでもない理由で軍用ISを暴走させて

今の様な状況を作り出したのだ。一夏に重傷を負わせ、紅椿とアクセラオメガがどこまでいくのかの観察なのかもしれない

 

(………これがお前のしたかったことか、束)

 

しかし千冬は一瞬で現実に戻される。真耶が指示を求めたからだ。

 

「織斑先生………」

「教師陣に通達、生徒の第一陣が崩れるのも時間の問題だ。各自、高機動パッケージスタンバイ、送られたデータに目を通しておけ」

 

今は考えるのをやめよう。

底知れないむず痒さが走るなか、教師陣は大人として作業に没頭する。

彼等の覚悟を、無駄にしないために。

 

________

 

 

「はぁ………はぁ…………」

 

悠のSEは削られ、満身創痍の状態になっていた。今巻いているアマゾンズドライバーは今は無用の長物と化している

 

「このままじゃ………箒さんが……」

 

遠距離射撃しか出来ない今、紅椿のサポートにまわっていた。

 

しかしここで福音は高火力攻撃を仕掛けて来る。

 

「ぐああああ!!!!!」

「箒さんっ!!!」

 

箒は小岩に墜落してしまい、もう動けない状況になった。

 

「クソガァァッ!!!!」

 

FKー3を福音に向けて乱射するものの福音はそれに気づいて銀の祝福を放つが悠は多少のダメージを負いながらも防ぎ切った。

 

(はぁ……はぁ………箒………箒さんっ!!!)

 

その頃箒は墜落してしまい、動けない状況になっていた。

 

「あっ……あぁ……!!!」

 

目の前に福音が立ち尽くしており、万事休すであった。

 

 

(助けて…………………一夏………………)

 

 

________

 

 

「ん?」

 

 誰かが一夏を呼ぶ声が聞こえた。後ろを向いても誰もいない。

 

「どうしたの?」

「………誰かに、呼ばれたような?」

「行かなくていいの?」

 

呟いた少女の声に横を向いてみると少女の姿は既になく、先程から耳に残っていた歌はなく。遠くから聞こえる波の音だけが鼓膜を震わす。

 

「あれ、あの子どこに行ったんだ?うぉっ!?」

 

一夏の体重を支えていた流木が突如として消えて一夏は尻餅をついた。

バシャッと尻に感じる水の感触に慌てて立ち上がって尻をさするもズボンは水に濡れてなく乾いていて、気付くと少女が最初に座っていた木もなくなっており、また見渡す限りの鏡面湖が広がっていた。

 

(いったいなんだってんだよ………)

 

 

 

「織斑一夏」

「っ!」

 

背中から投げ掛けられた自分の名を呼ぶ声。自身の全てを透き通すような声に一夏はバッと振り返った。

 

振り返ると、白く輝く甲冑を着た女性が立っていた。

巨大な両刃剣を自らの前にたて、その上に両手を預けている。顔は目を覆うガードにかかれて下半分しか見えない。

だが隠された瞳は今にも一夏を貫きそうな眼差し、だが一夏はそれを不快に思わず、むしろ何処か懐かしくも思えていた。

まるで………自身の姉の様な雰囲気を感じた。

 

「貴方は、力を欲しますか?」

「え?」

 

気付くと、目の前に刀が刺さっていた。

水の上に刺さっているとは思えないほどそれは真っ直ぐで、強い存在感を放っている。

一夏にとって、それは見間違える筈のない大切な力。自身の刃、姉から受け継いだ無二の刃。雪片弐型だった。

 

「それはまあ。力はあって損はないし。それに、白式は俺のISだから」

「何故? 貴方が手にした力は。貴方が望んで手に入れた物ではなかった筈です」

 

一夏はISに関わる前までは普通の高校生。

 

藍越学園に行くつもりだったのだが、すれ違いでIS学園に入学する羽目になったのだ。

そこから一夏の運命は変わってしまったのだ。

 

「それと………仲間を守る為の力、かな。」

「力………」

 

ISが生まれたせいで人生を狂わされた少女がいた。

 

幼いながらも親の残したものを守るために戦った少女がいた。

 

父親と離れ離れになっても前を向き続けた少女がいた。

 

企業の道具として、望まぬ立ち位置を強要された少女がいた

 

国の利益のために、戦うだけの存在として産み出された少女がいた。

 

それともう1人男のIS使いもいた。

 

そいつは人の手により生み出されたアマゾンでありながらも特殊な個体のアマゾンであり、人とは違いながらも皆を守る為に戦う少年の様でありながらも大人びているアマゾンもいた。

 

「世の中には不条理に抗っている奴もいる。俺は全てを守るって無理だけど、手が届いて限界まで包み込めるまで守りたい。」

「そうか………誰かを守る。それがどれだけ険しい道だとしても?」

「ああ、始まりは偶然かもしれない。だけど」

 

 一夏は目の前の雪片弐型を握り、引き抜いた。

 

「これは、俺が選んだ道だから」

「………そうですか」

「だったら行かなきゃね」

 

振り替えると、さっき居なくなった白いワンピースの女の子が立っていた。麦わら帽子で変わらず目元が見えない彼女は一夏に手を伸ばしにこりと微笑んだ

 

「ああ」

 

と、一夏は頷き手をとった。

 

彼女の手をとった瞬間、世界が変わった。

 

「な、なんだ?」

 

鏡のような湖が、青い空が真っ白な光に抱かれてぼやける。

そして同時に頭の中の靄が一気に晴れた。

見えるはずのない景色、白く輝く翼を広げた福音、それと戦う皆と、福音の攻撃追い詰められた紅椿と箒、それを援護するアクセラオメガと悠。

 

「箒!悠!みんな!」

 

その光景に手を伸ばすと、さっきよりも眩く輝く光が、周りの景色をかき消した。

 

「行け、織斑一夏。お前の選んだ苦難の道に、幸があらんことを」

 

背中に当たった荘厳な女騎士の声。その声に一夏は誰かに似ていると既視感を感じながら、その世界から立ち去った。

 

「行かせてよかったの?」

「あぁ……私が出る幕はまだ先だがな」

「そうだけど………あのアマゾンよ。」

 

そのアマゾンは獣の様な雰囲気を出しているが、何故だか理性的であった。

 

「お前は出なくてよかったのか?」

「アア、オレハタタカエタラソレデイイ。アイツハオレノソトノオレニヒツヨウダカラナ。」

 

「そうか………」

「私たちも……」

 

 

そう言い、世界は消えた。

 

 





さて!巻き返していきますよー!
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