インフィニット・アマゾンズ   作:らんくらニキ

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今回は豪華二本立て!織斑千冬と水澤令華のお話です!

いや誰が見るねんまじで


第二十九話 後始末アフターストーリー

「ふぅ………」

 

カランとグラスの中の氷を回しながら、織斑千冬は軽く息を吐いた。

 

ここは【バー・クレッシェンド】。フランス製の調度品で統一された落ち着きのある空間は、千冬の行きつけの場所である。

 

「五回目ですよ、千冬さん」

 

コトッと、おつまみであるチーズとオリーブを乗せた小皿を置いたマスターに、千冬は意識を移した。

 

「何がです?」

「溜め息が多いですね。何か困り事でも?」

「女性にあれこれ詮索するのは無粋では? マスター」

「それは失礼しました」

 

柔らかな笑みを浮かべながら、 妙齢のマスターは、再び洗い物に戻った。

初老のマスターが一人でやっているこのお店は、その口髭に白髪のオールバックという容貌もあって女性ファンが多い。

千冬は外見目当てで来ている訳ではないが、マスターの落ち着いた声のトーンは気に入っている。声優で例えたら森川さんかな。

 

「お待たせしましたっ」

「すまんな、休日に呼び出して」

「いえいえ、家に居てもダラダラしてるだけですから」

 

真耶が席に着くなり千冬が彼女のお気に入りを注文してやる。自然にこういうことが出来るのが、織斑千冬だった。 

 

「今日はどうしたんですか?お休みだから帰省されたんじゃ?」

「そのつもりだったんだがな、家に女子が居てな」

「女子!? もしかして織斑くんのですか?」

「あと水澤も来ていた。」

「ということは専用機持ちが七人ですかぁ、一人はアマゾンですし戦争を起こせる戦力ですね」

「冗談にならないぞ、それは」

 

千冬はそう言いながらも、くっくっと笑いが溢れた。

といっても彼らはまだ未熟。福音を落としたと言えど、まだ卵から帰りたての雛鳥。

その雛鳥を恐怖の象徴にするか、又は世界の希望となり得る存在にするのは、千冬達教育者次第と言うのもあるのだが………

 

「織斑先生としては気になりますか? 弟さんがガールフレンドといるのは」

「それなんだがなぁ………」

 

千冬は真耶に臨海学校のことを話した。

例の五人に一夏はやらんと言ったこと。

それで一夏が女子と交際すると聞かれ賛成はしても、それをよしとしないところ。

 

「よくないというか………あいつは女を見る目が無いからな、別に心配と言うわけではないが………ああ、どう言えばいいか自分でもわからん」

 

ええ~と心の中で突っ込みを入れる摩耶をよそに、千冬はマスターにおかわりを催促した。

 

「まあ外に出てきたのはそれが理由でな。十代の女どもの背中を押したという感じか。それに、邪魔するのはなんかアレだろう?」

「ふふ、織斑先生って織斑君にそっくりですね」

「なに? どこがだ」

「優しさに境界線の無いところです」

「あんな未熟唐変木と一緒にされては困る」

「そうですね。ふふ」

 

年下の真耶のお姉さんぶった笑みに悔しさともどかしさでムカムカした私は残りの酒をグイッと飲み干した。

 

「それと水澤の事だ。」

「水澤君が?」

「ショッピングモールのIS展示ブースでラファール・リヴァイヴを動かした。それが私達と出会ったのは覚えているか?」

「えぇ…少し驚きました。人間ならまだしもアマゾンだと知った時には何かと警戒しました。」

「あぁ、アマゾンはIS関連に埋もれているがこの件は裏の重大案件だ。十年前の白騎士事件から八年後に水澤とは違うタイプの実験体アマゾンが脱走しそれから二年経った。」

「何故いきなり実験体アマゾンの話を?」

 

千冬は一息にソルティドッグを口に含んだ。

グレープフルーツの苦みと酸味を、縁についた塩がいい感じに緩和してくれて喉を潤す。

 

「ここだけの話だがな」

「はい」

 

千冬は周りを軽く見渡したあとにマスターに目配せした。マスターは意図を読み取って奥の方に消えていった。

 

「先日野座間製薬が国際営業戦略本部傘下のIS技術開発局が発足され発表の日本主催の各国IS企業パーティのボディーガードとして参加していたが、

その最中実験体アマゾンが水澤の義妹、水澤美月を誘拐事件が起こり実験体4匹とIS操縦者の駆除と捕縛に日本代表の曄が動く羽目になった。」

「なんですって!?」

「主犯のリリーシャ・シーカライヒの裏に亡国機業(ファントムタスク)が絡んでいるかもしれないと。」

 

真耶はグラスを両手で包み込み、千冬はオリーブを食べる

 

「亡国機業………ついに動き始めましたか、しかしこれからどうなるんでしょうねぇ」

「さあな、平穏無事………とはいかんだろう。今回の一年の状況は異常すぎる」

「織斑君と水澤君……世界は今あの二人を中心に動いている気がします」

「あながち間違いではないかもしれん………」

 

ISとアマゾン細胞………二つは影響規模は違えど共通点は人間が創り出した狂気の産物とも言える。

 

「女尊男卑の人間社会になった挙句人喰いが潜むこの世界はどこへ行くんだろうな」

「でも……4000匹なのにそこまで苦労するとは……水澤君には申し訳なくなりますね同じアマゾンとして狩るのはどうなんでしょうか。」

「水澤は水澤だ、奴は奴なりに考えているさ。懐かしいな…水澤がボーデウィッヒに貫かれて手術した後に相談してきたのを今だに覚えているよ」

「そうですか……ふふっ。」

「何がおかしいんだ真耶」

「やっぱり姉弟ですね。二人とも水澤君を見ている。」

「………そうかもな。」

 

誰も邪魔しない先輩後輩の大人の時間。

そんな大人の休息を、グラスの中の氷が静かに写し出していた。

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

場所は変わり野座間製薬本部の会議室にてお偉い方が集まっており,そこに令華と橘は出席していた。

 

「ではこれよりアマゾン駆除に関する今後についての会議をします」

 

スクリーンには車椅子の老人が使用人に押されてやってきた。

この男こそアマゾン関連の全ての元凶とも言える存在、野座間製薬会長の天条隆顕(てんじょうたかあき)である。

 

「皆の衆ご苦労である。」

「早速ですが水澤本部長、現在傘下の駆除班は戦力が一人減った状態にも関わらず残り3485匹となりました。」

「相変わらず減ってないな…」

「たしかに駆除班が奮闘していますが、橘局長の下のアマゾンチームの功績と鷹山仁のお陰でもあります。」

「だが数が減ってないのは事実じゃないですか!!」

 

すると隆顕が口を開く

 

「君達は自分が喰われるというのから逃れる為になんとかしようとしている人を非難するのは人としてどうかと思うがね」

「まぁ此処にいる人なんてアマゾンを創り出した時点で人として終わっていますよ,皆さんも私の気持ちになってみたらどうだ?経営学を学ぶ事だな。」

 

橘の皮肉とも取れる様な発言に皆が噛み付く

 

「なんですかその態度は!」

「そもそもこれ水澤本部長の息子さんの水澤悠君をIS学園と言うネームバリューがあるところに編入させた訳は現在の状況を隠蔽する為だとかの噂がただでさえ流れているのにこれは酷くないですか!!」

 

悠がIS学園で青春みたいなことをしてる裏側がこれとは誰が思っただろうか

 

「そこで我々IS技術開発局が現在進行形で開発している対アマゾン用戦闘ISを開発中なのですが………」

「おぉ!」

「操縦者がなかなかいなくてねぇ……」

「なら私が乗るのはどうかしら」

「見栄えが悪いねぇ水澤本部長さん。」

 

しかしこの場にいる人達は驚愕の事実を知ってしまうことになる

 

「実は儂には孫娘がおってな、その子を操縦者にするというのはどうだ?」

「孫娘ぇ!?」

「そんなの初耳ですよ!!」

 

唐突なカミングアウトに皆が驚いていたが令華と橘は孫娘についてはある程度知っていた。

 

「わかりました。この提案を受け入れて彼女をIS学園に転校させます。」

「ふっふっふっ………新時代も近いかものぉ」

 

 

隆顕の笑みは周りの幹部たちの肝を冷やしたのだった…………

 

 




リリーシャ・シーカライヒのISの二次移行(セカンドシフト)のモデルはポケモンZAのメガジガルデです。
インパクトが強すぎたんで参考にしました、
と言うかこれ水澤令華の話じゃなくて野座間製薬全体の話になっちゃいました。
本当に申し訳ないです。
次回夏季休暇・野座間製薬編最終回となります!!どうかお楽しみに!!
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