インフィニット・アマゾンズ   作:らんくらニキ

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学園祭の準備の回です。



第三十七話 出し物を考えるのって難しいよね。

 

翌日⭐︎

 

「一夏さん、また少し腰が曲がっていましてよ。あと顎も。」

「ま、マジか。結構気づかないもんだな」

「もうっ、一夏さんも悠さんを見習うことですわ!」

 

学園祭まで、残り一週間。

 

僕と一夏君は執事として接客するので、執事らしく降る待うようにセシリアさんの指導の元で訓練中だ。

そして今やってるのが顎を引いて背筋をピンと伸ばし続ける練習。執事が猫背だと格好がつかないし。学園有数の男子として期待度も高いので徹底してやることになった。

一見簡単そうだが、維持し続けるのは意外にも難しい。

 

「ていうか悠も悠で背筋良いな」

「まぁね、きちんとしないと女子に言われちゃうし」

「もしかして……女性客とかも?」

「うん……」

 

女性客と聞いて二人は臨海合宿前にレゾナンスで出会った女性を思い出した。

 

「安心しろよ悠、IS学園にはそう言うのいないしさ」

「いや、シンプルにいたよそういうの」

「いるのかよ。」

「何がですの?」

「男性を下に見てる女性のことだよ。楯無さんが言うに全体の5分の一にも満たないらしいけど」

「マジか」

「あ、この話セシリアさんにしたらダメなやつだよね?ごめん。」

「いえいえお気になさらず。あの時はわたくしも悪いと思っていますから」

 

一息安心したけと気が抜けないのはさておき。というか僕が仁さんの殺害対象にも関わらず気にせずに接してくれるのはマジで助かる

 

「一夏さん。背筋」

「わ、悪い」

「頑張れ一夏君。背筋の練習しとけば将来絶対役立つから」

「わかった。よしやるぞ!」

「よし頑張れ頑張れ………ふふっ」

「な、なんだよ」

「一夏さん。今度は反りすぎて見下してる」

「んなっ!?」

 

一夏が羞恥に悶えていると、シャルロットさんとラウラさんが声をかけてきた。

 

「お疲れ一夏。どう?少し形になってきた?」

「いや、背筋伸ばしてるだけなのになんか体が痛くなったりしちゃって。あんま上手くいってない」

「まったくそんなことでどうする。お前は私の嫁だろう!もっと堂々と胸を張れ!」

 

ビシッと指差しで発破をかけるラウラさん。励ますのはいいが、安定のお前は嫁ムーヴである。

 

「というかレイアウトどうするの?かと言って教室の椅子や机を使うのもないし……」

「悠さんそこはご安心を。わたくしのお屋敷の物置にしまっていたテーブルや食器を使いますわ!」

「セシリアすげぇ!!流石金持ちだな!」

「一夏さんったらもっと褒めて差し上げても良いですのよ?」

「太っ腹!美人!有能!」

「ほらほら悠さんももっともっと〜!まぁ褒めても高級菓子しか出ませんけど」

「滅茶苦茶出すじゃん。」

 

よく考えたら学園祭の領域越えちまうぞおい。

まあその分の予算は浮くからそれはそれで好都合かもね。

とりあえず織斑先生に許可は取っておこう。

 

「というかセシリア何であんなにも本気なんだろうな」

「メイドってイギリスではポピュラーな存在だからね。セシリアさん的に引き下がれない物があるかも」

「じゃあセシリアの期待に応えれるように頑張らないとね」

「そうだな」

 

しかしそう考えてるとカップ落としたら損害賠償金額を考えるとゾッとする。

 

「悠、シャル。ラウラ、セシリア。接客の練習するから見て貰っていいか?相手がいる方が練習にも張りが出るしな」

「いいだろう、相手をしてやる。さあ一夏!私に奉仕するがよい!!」

 

それ自分から言う奴初めてだよ

 

「いらっしゃいませ、お嬢様」

 

一夏君は上体を少し曲げ、笑みは柔らかく、声のトーンを下げ、落ち着きのある執事を演じる。

姿勢もなんとか形になっており、なかなか様になってる。やっぱ顔と声がいいなぁ。

 

「お、お嬢っ。ンンッ、ああ来てやったぞ」

 

普段と違う一夏君にラウラさんは一瞬たじろぐも直ぐに元の調子を戻す。

大丈夫かな僕の上司。

 

「それではお嬢様。お席までご案内致します」

「うむ」

「ご注文は何になさいますか?」

 

席に座ったラウラさんにメニュー代わりの教科書を見せる。

これもお客様にメニューを持たせずに執事とメイドが開いて見せる。なるべくお客様に手間を掛けさせないように気を配る、それがご奉仕喫茶のルールとセシリアさんが教えてくれた

 

「……」

「どうだ? 出来てるか?」

「まあ、及第点だな」

 

僕含めて3人は一夏君の接客態度がある意味パーフェクトだったので拍手してあげた。

 

「だがまだ終わりではないぞ、注文を取るからな」

「お、おう。そうだった」

「では注文するぞ。執事よ、私にキスをしろ」

「ぶふっ!?」

「ちょ、ちょっとラウラ!?流石に無理難題なんじゃないかな!?」

「小隊長さんがセクハラすんじゃないよ!」

「と言うかダメだろ!」

「何を言う。私と一夏は既に唇と唇を交わせた仲。今更躊躇することもあるまい」

 

それを聞いた途端悠は膝から崩れ落ちた。第八話の時に真横でラウラさんが一夏君に生キスしてるのを見てしまった後に突然副官宣言されたからである。

 

「と言うかセシリアさんどっか行ったし」

「セシリアなら箒と一緒にメニュー案決めに行ったよ?」

「じゃあどうすんのこの状況」

「わかんない」

 

呆れた僕とシャルロットさんをよそにラウラさんは目をシイタケにして捲し立てる。

 

「執事たるもの、支えるべきお嬢様の言うことは絶対、これは万国共通のルールだ!と、うちの副官が言っていたぞ」

 

副官というのは僕ではなく、ラウラさんの遠いドイツの副官のクラリッサさんのことで。この人がラウラさんに間違えた知識を吹き込んだ張本人。早く合わせてくれ、少し話がしたくなる

 

「さあ、早く私とキスをするのだ!嫁よ!いや執事よ!!」

「出来るか!流石に非常識過ぎるだろ!」

「お嬢様の言うことが聞けぬのか!」

「あのさラウラさん。」

「邪魔をするな悠!!」

「落ち着こうか。」

 

思いっきり背中に張り手をぶつける事でラウラさんはいきなり悶え始めた

 

なんかこいつらのストッパーとしての役目が板についてきた気がする、なんかやだなそれ。

 

「じゃ、邪魔をするな悠!!これは夫婦の問題だ」

「今は執事とお客様の関係!こんなのが練習にならないって話だよ」

「そ、そうだよラウラ。ラウラだって、お客様から行きなりキスをせがまれるのは嫌でしょ?」

「嫁なら構わんが」

「嫁じゃなくて執事さんね?次間違えたら両方眼帯にしてやろうか」

 

悠の負の側面が出まくっていたのでシャルロットはすかさず可愛いものを見せた

 

「うわーい!猫ちゃんだ!!」

「悠は放っておくとしてこう言うのは駄目だ。」

「何故駄目なのだ?」

「とにかくこういうのは駄目だって」

「納得いかん、何故だ嫁よ」

「だから嫁じゃないって」

 

収集がつかない状況に右往左往する一夏君に、突如救世主が。

 

「今大丈夫か?」

「どうしたセシリア、箒も」

「喫茶のメニュー案が纏まりましたの」

「クラス代表のお前に見てもらおうと思ってな」

 

おお、ナイスタイミング。頼りになる友人が居てくれて俺は嬉しいぞ。

 

「すまん、ラウラ。後でな」

「あ、おい一夏!いや執事!!」

「悠も行くぞ!」

「シャルロットさん頼んだー」

 

悠は一夏にタブレット端末を持ったまま引っ張られ箒達の元へ行った。

 

「てか悠がタブレットを持って笑顔になってるの何があったのだ?」

「悠の負の感情をコントロールする為に可愛いものを見せてるんだ」

「ベビースキーマですわね。心理学や行動学の専門用語でこの反応は、生物学的な生存戦略に基づいていますわ。」

「物知りだな」

「解説はいいからとにかくメニューを見てくれ。こう見えて結構時間をかけたんだぞ。」

「あぁすまねぇ。」

 

箒に急かされたので二人が考えたメニュー案を見た。

 

「どれどれ?クッキーにケーキ、スコーン……フィッシュ&チップス、マッシュポテトに……スコッチエッグ?ってなんだ?」

「えーっと……あぁ出てきた。ゆで卵入りハンバーグのことだ!美味しそう」

「成る程」

 

喫茶店だからか、ガッツリ食べれるのもあるんだな。

 

「でもハンバーガーがないのは残念だよなぁ」

「そうか、なら追加しておこう。コ◯ダにもそういうのあるのを思い出してな。」 

「ありがとう………って何だこのメニュー」

「どれだ?」

 

悠が指差した場所、表記されている『執事にご褒美セット』1000円の文字に、一夏は首をかしげる。

 

一夏が首をかしげる原因である『執事にご褒美セット』とは、お金を払って執事である俺達にポッキーを食べさせるというものだった。

これではご奉仕するよりされる側になるだろう。

 

「私もよく分かりませんが。クラスの皆さんがかなり推していたので」

「駄目っていうより。金払ってまで食べさせたいかぁ?『執事にご褒美セット』ってさ」

「てか高っ!五千円1枚で釣るというところに銭欲を感じた…」

「大丈夫大丈夫!絶対皆食いつくから!!」

「マジかこの人。」

 

と、太鼓判を押すのは考案者である鷹月さんだった。それに合わせて周囲も呼応する。

 

「俺らやメイドさんが食べさせるなら。理に叶ってるのだろうけど、奉仕だし。悠どう思う?」

「どうって……」

 

メニュー欄には『執事がご褒美セット』1000円、『メイドがご褒美セット』700円というものがあった。

何でこんなに差があるんだよ

 

「僕なら頼まない。メリットないでしょ?」

 

少なくとも僕は無理。一夏君はいけるだろうが。

 

「なら実践してみようか。丁度ポッキーあるし」

 

なんであるの?

 

「わ、私がやる!」

「嫁にポッキーを上げるのは私だ!」

 

我先にと、箒とラウラは袋からポッキーを引き抜き、一夏の顔にぶつける勢いでポッキーを向けてきた。

 

「「さあ、ご褒美だ!」」

「ちょ、まてまて!これじゃ練習じゃなくて食べさせるだけじゃないか!てか、こんな鬼気迫るようなご褒美あるか!?」

「「さあ!さあ!さあっ!!」」

 

そんなことなどお構い無しと、突き刺す勢いで一夏君にポッキーを向ける二人。

ポッキーで風穴とか笑えないな。

 

「ポッキーでバトルしないで剣道かよ」

「ほらほら悠もポッキーあげる」

「シャルロットさんあざっす」

 

ん、これ美味しいなクッキー状のスティック棒にチョコレートがコーティングされてあって甘味と苦味が同時にくる

 

「ほらほらーもっと争えー」

「「!!!」」

 

悠に煽られた二人は思いっきり両目にポッキーを突き刺した

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

「悠しっかり!!」

 

両目を抑えてのたうち回る悠を放っておき再び一夏君を取り合う

 

「一夏さん。」

「なんだセシリア?んむ」

 

セシリアさんが一夏君の開いた口にポッキーを差し込まれ、一夏は条件反射でポリポリとポッキーを食べていく。

 

「ああぁぁ!?ズルいぞセシリア!?」

「せ、セシリアァァッ!私を差し置いて抜け駆けとは!裏切ったな!」

 

青い炎が吹き上がる具合に憤慨する二人。みえない、何も見えない

 

「「一夏!さあ食べるんだ!!」」

「だからそんな突き出されても食えないって!!」

 

セシリアさんはその場から離れてガッツポーズをとって持ち場に戻った

 

「悠!悠!!」

「っ……あぁ……視界が……戻ってきた……」

 

立ち上がってポッキーを再び食べようとするが一袋しかない気づく

 

「あれ……ポッキーは……?」

「ごめん悠っち。癒子達が持ってっちゃった」

「マジで言うてんの?」

 

岸原さんに言われて仕方なく残り一袋を震えた手で開けて食べる

 

「ねぇ悠、僕も一本ほしい」

「あぁ……どうぞ」

 

受け取った瞬間箒達のところへ行ったシャルロットであった。

 

「………………( i ꒳ i )」

 

続く⭐︎

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