「綾音ー!大丈夫ー?」
鈴は体力がある程度回復した後、綾音の後を追ったのだが鈴には衝撃的な物が目に映った。
それは地面に倒れた綾音だった。
「綾音ぇぇぇぇ!!あんた自信満々に言っておいてやられてるのそりゃないでしょ!!」
ビンタするのは部が悪いということでほっぺたをもにゅもにゅさせて起こす
「起きなさいよー」
「はぅぅ………悠さん……そこだめぇ……」
「……………」
グィィィィン…………ベチィン!!!
「いったあああああ!!!」
ムカついたのか思いっきり引っ張って戻したら目が覚めた
「目覚めた?」
「あれ?悠さんは?」
「どっか行ったわよというかあんたその手どうしたの!」
綾音の右手は真っ赤に腫れており何があったのか思い出させる
「あっ!たしか悠さんをビンタした時に……」
「あいつの装甲無茶苦茶硬いわよ!よくビンタできたわね」
「怪我の心配はございません。はやく悠さんと一夏さんから王冠を奪って叩きのめしてウィンウィンしましょ。」
「あらやらこの子心強いかと思ったら物騒すぎるわね」
「そうですか?」
ーーー◇ーーー
「……なんとか撒いた。ふー」
まるでフルマラソンを走りきったみたいに足に乳酸が溜まっている。
まったく休む暇もないとはこの事だ。
一夏は逃げながら考えていたことを吐露した。
「てゆーか、何時になったら終わるんだこの劇は………」
お恥ずかしながら一夏は学園祭のしおりは特に目を通してはなく。イベントの時間帯など皆目検討もつかないのだ。
此処に来たのも楯無に半ば無理くり連れてこられたせいもあり。
もしやどちらかの王冠、又はティアラが無くなるまで終われません!と思うと身震いを禁じ得ない
「やっぱり誰かに王冠渡そうかな。でもあの楯無さんの意味深な笑みが怖いし。だけどこれ以上続けるのも………ああ!どうしたらいいんだよ!!」
「一夏君っ!!」
後ろを振り返ると変身がいつの間にか解除されていた悠の姿が!
「悠無事だったか……って何かあったか?」
「実は………」
〜説明中〜
「はぁ?!綾音さんに告白された!?」
「その後気絶させてお返事してない」
「何してんだよ早く返事……ってこの状況だと無理だよな」
綾音は鈴とタッグを組んでいるからもし綾音に会いにこうとしたら鈴による奇襲でゲームオーバーとなる。二人ともやられたら洒落にならないからね
「というか悠大丈夫なのかよ。体力つけないとまずいんじゃね?」
「そうなんだよなぁ…………うん?」
何だか舞台裏に変な扉がある。しかも《秘密!!》って堂々と主張してるんだけど
「開ける?」
「うーん…………開けるしかないだろ。隠れ場所かもしれないし」
「なら開けるしかないね」
二人で観音開きの扉を開けると中に広がっていたのは机にお菓子とゆで卵が入ったタッパーと飲料水が置かれたなんか芸能人の楽屋にありそうな物だったが壁を見ると空いた口が塞がらなかった。
「すげぇ武器庫だぞ!!」
「何でこんな物が用意されているんだよ!!」
すると机に置き手紙が置いてあったので読んでみる事にした
『ボーナスステージだお by楯無おねーさん
追記・お菓子類は鷹山さんが提供してくれましたー』
「………どうする?」
「背に腹はかえられない。兎に角食べとこう!」
俺は少しのお菓子と飲料水、悠はゆで卵一つだけで済まして剣とか数本を装備した。
「一夏君この武器すごいや剣の癖にビームライフルに変形したんだけど」
「即戦力となるし持っておけ!」
「日本刀もあるよ」
「それ俺が貰う!」
装備し、部屋から離れるとシャルが倒れていたのを発見する
幸い気絶していたので少し安心した
「シャル!!一体何があったんだ!」
「僕が倒してしまったやつだ」
「容赦なさすぎだろ!」
「あとセシリアさんもやっといた」
「だから追いかけてくる人が減ったと思った理由がこれかよ!」
というか今まで俺が追いかけられていた裏側で悠はシンデレラをボコボコにしていたということが明らかになった
「というか何でそんな事したんだよ」
「そりゃあだぁぁぁれも僕の事を狙わなかったから全部壊そうと思って」
「狙わなかった!?なんでお前だけ狙われないんだ!理不尽にも程があるだろ!!」
「じゃあ逆になんで君が狙われるのか考えてみてよ」
「え、えー。えーと………俺の方が取りやすいからか?」
「それ自分で言ってて悲しくない?」
それを聞いてガチ凹みした一夏君は精神的苦痛に苛まれた
「それじゃあ残りも一夏君を守るために残りの全員倒してくる」
「お前水澤じゃなくて禪院だろ」
「織斑じゃねぇのか、よかったな。じゃ、そういう事でーー」
悠はエイリアンブレードブラスターをウッキウキで持ち歩いて去っていった
「あっ、シンデレラがいつ終わるか聞けば良かった」
今から悠を追うのは不可能に近いシンデレラと鉢合う可能性が高いし。なによりあいつは恐ろしく足が速い。
「ここら辺に一夏が居る気がするわ」
「どうして分かるんですか?」
「女の勘よ」
「なるほどです」
(ゲッ、今のは鈴と綾音さんの声)
気づかれないように声がした方向とは逆に足を動かす。
パキッ
「あ」
なんという不幸か。足元に目を向けるとポキリと折れている木の枝が……
「一夏ぁぁ!」
「お命頂戴!」
「うおおおぉぉぉ!?」
すると足元に焦げた跡がのこる
「もしかして………」
「一夏君こっちだ!!」
すると今さっき戦いあった綾音と目が合い、綾音は一夏を標準に合わせていたが悠に向けることにした
「鈴さんここお任せできます?」
「どうすんのよ!」
「悠さんを何とかします!悠さんの行動理念は一夏さんを守ることですかと。」
「なるほどね!またしでかすんじゃないわよ!」
二手に分かれて対決することになった
「また鈴かよ!!」
「文句言うな!!」
ーー♢ーー
「はぁぁぁっ!!」
「はぁっ!!」
走り合いながらも射撃対決が繰り広げられるが悠は詰めることにした
「それでっ!!返事に関すること!!なんだけどっ!!」
「考えてくれましたか!」
一旦距離を置いた瞬間、横から射撃音が聞こえてきたので横を向くとセシリアが現れた
「セシリアさん!?」
「綾音さん足止めご苦労ですわ!後は私が…………」
「入らないでくださいセシリアさん!!これは私と悠さんの問題です!!」
「なっ!!」
セシリアを蚊帳の外にして綾音は悠に問いかける
「早く答えてとは言いません。」
「綾音……僕は……僕は…………」
悠の心の中はいきなり崩れ落ちた。それが何を意味するか…………
ーーー◇ーーー
「あー、足いてー」
ドカッと腰を落とした一夏はたまらず息を吐き、体の力を抜ききってリラックスする。
演劇が開始してから約20分、一夏はずっと走りっぱなしだったのだ。体力にはある程度自信のあると思っていたが。やはり中学時代に帰宅部だったせいか身体は確実に衰えていた。
補給したとしても体の疲れは来ているようだ
「このままだと、何処の分からない部活に入んなきゃいけないんだよな。こんなことになるなら、もっと真剣に考えるべきだったな」
一夏が部活を決めないせいで女子達が苦情を言ってきたのがことの発端な訳だが。
それでこんな騒動になるとは、巻き込まれる側の一夏にとって溜まったものではなかった。
悠は生物部に入ろうとしていたのだが、いつの間にか生徒会に入らされていたので一夏が一番可哀想だと思った瞬間である
「はあ。でも一ヶ所にとどまるのは危険だな。演劇終了まで逃げ延びねえと。うおっ」
何処かでカンッ!と乾いた音が鳴り、一夏は急いで周囲を見渡した。
「な、なんだ?」
「一夏、こっちだ」
「え、箒?どこだ?」
「こっちだこっち」
物陰を覗いてみると此方に手招きする箒の姿があった。
「早くしろ。こっちだ!」
「お、おう!」
箒も王冠を狙っているのかと一瞬勘ぐった一夏だが。箒は騙し討ちなどしないだろうと迷わず近づいた。
「一夏、大丈夫か」
「はあ、ふう……大丈夫だ」
「これしきのことで息も絶え絶えとは。鍛え方がなってないのではないか」
「すみません……」
自分より動いているであろう疾風を思い浮かべながら一夏は肯定した。
「とにかく今地上は危険だ。この先に梯子がある、それで上に行こう」
「わかった。助けてくれてありがとう」
「いやその………ここで奪いにいっても誰かに邪魔されるだろうし、やるなら正々堂々と………」
「え?」
「な、なんでもない! 行くぞ」
「お、おう」
ーーー◇ーーー
「…………………ごめんね。」
「!?!?」
その謝罪は綾音にとっては絶望に等しかった。あんなにも会いたがっていた人に拒絶されたという事実だけが残った
「悠さん………」
「セシリアさん。後は頼んだ。」
悠は立ち上がってそう言い残しこの場から去っていった。
「綾音さん…………」
「………っ大丈夫ですっ………ただ…好きな人に好きって言えただけでもいいですから………………」
彼女をみるといずれ
ーー◇ーー
「はあ……やっとついたぁー」
箒に手招きされ、案内された梯子を登って上階にたどり着いた一夏と箒はその場に座り込んだ。
一息ついた後。一夏はジロリと箒を横目に見た
「なぁ箒。助けてくれたのは感謝してる上で。一つ言いたいのだが」
「な、なんだ」
「俺が悪いのは重々承知してるけどさ、それでも言わせてくれ。先に登っておいて上を見るなは酷いと思う。そして更に蹴りを入れるって……」
「悪かったな!私だって必死なんだ!」
そう、梯子を登るときに一夏はレディファーストの精神で先に行かせたのはよかったが。上記の通りである
自分にも非があると思っているのでそこまで強く出れない一夏だが。
「まあいいや。とりあえずありがとう、ほう……き?」
振り替えると。箒がそそくさと距離を取っていた。
「箒?なんで離れる?なんで武器に手をかけるんだ!?」
「お、お前だって武器を持ってるだろう。さっきの楯無さんの話も聞いているはずだ。現に悠が暴れまわってるのを見ているからな」
「まてまて!俺はボコボコにするとかそんなつもりねえって!」
「だが、それなら私達は遠慮なく襲い掛かるぞ」
「だとしても。無闇矢鱈に女子に手をあげるわけには行かないだろ」
仮にそういうルールだとしても、一夏は極力戦いたくない派である。
男が女に手を挙げるのは最低なことだというのが一夏の根っ子として深く根付いているからだ。
「まったく。お前は本当に甘い奴だな。まあそこがお前の長所でもあるのだが………」
箒は武器から手を外し。今度は何処か居心地が悪そうにもじもじとしだした。
あ、これは………
「と、ところで一夏……」
「王冠を渡してくれないか、だろ?」
「なぁっ!?」
「流石に何度も言われたら分かるよ」
「な、なに!お前本当に一夏かっ!?」
「お前俺をなんだと思ってるんだ!」
「鈍感!耳鼻科行け!唐変木!!」
「ぐはっ!」
即座に吐き出された言葉のオー◯ボロカスコンボは確実に一夏にの体に突き刺さってた。致命傷である
「なあ、なんでこれを狙うんだよ。それがハッキリしないとこっちも渡しようがないんだよ」
「そ、それはだな………その、えっと」
「?」
「………言えない」
「だろうね」
一夏は10回目を越えたタメ息を吐いた。
ガッコン!
「「ヘ?」」
音のした方向に向くと。壁だと思ってた所が観音開きで開かれ、中から巨大なボールが転がってきた。
「ええ!?」
「やっば!!逃げるぞ箒!!」
「ふ、ええ!?」
箒の手を取り、一夏は迫り来る大玉から走る。
だが大玉は確実にこっちとの距離を詰めてきていた。
「まずい、まずいぞこれは!」
「わわわわ」
「あ、あそこに!」
「え?きゃっ!」
通路の途中にあった窪みに箒ごと自分の体を放り込んだ。
間一髪、大玉は一夏達を通りすぎて下まで転がっていった。
トラップの殺意が高すぎる!!
「ふぅっ。助かった」
しかしこんな仕掛けが来るとは。先程食らった迫撃砲といいこれ本当に安全が保証されてるのだろうか。
制作者側に言いたい文句が増える一方の一夏の腕の中で箒は身動ぎした。
「い、一夏。その、手をどけてもらえないだろうか」
「え?あ、すまん」
思いのほか密着してしまってお互いに気不味い雰囲気が漂った。
「箒、さっきの続きだけど、なんで皆この王冠を欲しがるんだ?」
「そ、それはだな………」
「王冠は私が頂く!!」
振り替えると先程別れたばかりのラウラがナイフを手に飛びかかってきた。
それをさせまいと箒が日本刀でそれを受け止めた。
「どういうつもりだ!」
「知れたこと!お前に一夏は渡さん!」
「こちらの台詞だ!!」
「お、おい!お前ら!!」
二人は屋根づたいに移動し、再び切り結んだ。
「先ずは貴様から排除してくれる!」
「ふん、やれるものならな!」
刀とナイフによる甲高い音がに響く。
ラウラの縦横無尽な攻撃を、箒は刀一本で捌いていく。何だこのバトルアクション
(こ、ここは混乱に乗じて逃げるべきか?いやまず先ずは二人を止めないと)
一夏君のお人好しが発動した。
しかしそれは生肉スーツでライオンとトラの間に行くのと同義である。
「おい! お前らやめろって!」
「「はぁぁぁあああっ!!」」
だが二人は止まるどころか益々ヒートアップ
どうしたらいいかとオロつく一夏。
その時であった…………
ーーー♢ーーー
「ううっ……えぐっ………」
ここは何処か暗い所。悠は武器を地面に置いて横たわって静かに泣いていた、
「ごめん綾音……ほんっとうにごめん………僕も……僕も綾音が……………好きだって言うのに………何でこんな入り混じった気持ちになるんだ…………」
しかし悲しい雰囲気をぶち壊すかのごとくナレーションが流れてきた
『さあっ!ここからは!フリーエントリー組の参戦です!王子様の王冠は残り二つだけでもう飽き飽きしてきたので皆さん、がんばってくださーーーい!!』
「「「織斑くぅぅぅん!おとなしくしなさぁぁぁい!!!」」」
「まじかよ」
跳ね橋の向こうからIS学園の女子生徒が学年問わず突撃してきたのが見えた。僕は端っこにいた為何故か皆にスルーされた。
「「「水澤君もさがせぇぇぇぇぇ!!!」」」
(やっぱり一夏君の人気凄いなぁ。涙が消えてしまったよ………ん?)
僕は何か嫌な予感を感じ取った。それが一夏君を追いかけた生徒かと思いきやまさかの違う方からだ。
(……………もしかして!!!)
僕は武器を捨ててとある場所へ向かった。行く途中で王冠を落としてしまったが構っていられなかった。
ーーー♢ーーー
『さあっ!ここからは!フリーエントリー組の参戦です!王子様の王冠は残り二つだけでもう飽き飽きしてきたので皆さん、がんばってくださーーーい!!』
まだ悠の王冠すら取ってないにも関わらず楯無のアナウンスから間を置かず、一般生徒が群れをなして壇上に上がってきた。
「な、なんだフリーエントリーとは!そんなもの聞いてないぞ!?」
「フン、あの生徒会長が仕掛けた茶番だろう。だが何が来ようとも、私と嫁の未来の邪魔をするものは粉砕する」
「それは私も同じだ……おい、一夏は何処に行った?」
側で箒とラウラを止めようとしていた一夏が忽然と姿を消していた。
「探せ!」
「言われなくても!」
「織斑君、おとなしくしなさい!」
「私と幸せになりましょう、王子様」
「そいつを寄越せぇぇぇぇ!」
「おりむー待ってぇぇぇぇ!!」
(冗談じゃない!!)
迫り来る数多の女子の猛攻を掻い潜って、セットの上を走り回り、城内の一室に隠れる。
「本当に何を考えてるんだぁぁぁ!!」
もう10回以上は行っている文句を叫んだ。居場所がばれるなど知ったことではない。
女子に追いかけられる様は仮面ライダービ◯ドの劇場版さながらである
「これじゃ迂闊に外に出られない。どうすればいいんだよ」
「織斑さん」
「へ?」
床の一部が開き、手招きしていた。
「こっちに逃げたのを見たわ!」
「さがせぇぇぇ!草の根抉り出してでもさがせぇぇぇ!」
「こちらへ!早く!」
「ああ、もう!」
なりふり構わないと一夏はその穴に飛び込んだ。
「着きましたよ」
「はぁ、はぁ……ど、どうも」
俺は誘導されるまま、セットの下を潜り抜けて更衣室にやって来た。
「えっと……あれ、巻紙さん?」
「誰か分からずに着いてきたのですか?」
一夏を助けてくれたのは今日名刺をくれた巻紙礼子さんだった。相変わらずビジネススマイルを浮かべている。
「あの、どうしてここに?」
「はい、この機会に白式を頂きたいと思いまして」
「はい?」
「いいから………とっとと寄越せよっ!!」
続く…………
ふざけたタイトルのくせして綾音ちゃんが可哀想に思ってきた。