オータムさん可哀想で死ぬ
「クソが!何でこんな事になったんだ!!」
IS学園の人気のない裏道を走りながらオータムは罵言を吐き出す。
最初は上手くいっていた。
待ち構えていた所に織斑一夏がやって来て、オータムの誘いにホイホイと付いてきたのだから。
水澤悠が乱入してきたとはいえ、それは差ほど問題はなく。結果的に二人とも無力化出来た。
だがその後に来た女こと更織楯無によって全てが狂った。
油断などしなかった、だが明らかにあちらのペースに終始乗せられ続けたのがオータムの敗因。
そしてそれ以上の不確定要素が発生したのだ。
リムーバーで奪取した白式のコアの遠隔コールだ。
「何がリムーバーだ!あんな遠隔でコールされたら奪っても意味ねえじゃねえかよ!!しかもアマゾンの奴のIS奪うどころか壊されてんのまじありえん!」
とんだ食わせ物を掴まされたオータムの頭には、それを寄越した張本人であるMの顔を浮かんだ。
「…オイオイそれってつまり」
Mはこうなることを最初から知っていたのではないか?
リムーバーを使えば所有者が一定の条件下に入れば遠隔コールを可能に出来ると。そしてリムーバーを使用したコアはそれに対して耐性が付く、すなわち使用したコアには二度とリムーバーは使えない。
言葉にしてみれば織斑一夏にとってプラスになる事ばかりだ。
何故こんなものを寄越したのか。だがオータムにとってそんな事はどうでもよかった。
「殺す殺す殺す!殺してやる!よくも私の顔に泥を塗りやがったな!ゼッテー殺してやる!じっくりと嬲り尽くして、私という存在をその身に刻み込んで痛っ!!」
怒りに歯止めのかからないオータムの言葉が目の前の電撃スパークによって止められた。
「電気だと?」
コンクリートの地面が少し痺れる
オータムは立ち尽くし、今自分が狙われている事を認識した。
マズイ!と思った時には既に遅く。目の前に異様な迫力を出しながら着地した黒の巨体に反応するようにオータムは下がろうとした。
「
「良く知ってるじゃないか」
バックステップを取ろうとしたオータムが空間に張り付けにされる
AIC。ドイツが誇る第三世代技術により動きを固定化されたオータムはじわりと嫌な汗を流す。
「シャルロット、今侵入者を捕らえた」
「了解、すぐに行くよ」
「急げよ。さて、妙な真似はするなよ亡国機業。優秀な万能兵が今もお前の眉間を狙っている」
「万能兵?あの嬢ちゃんか?」
オータムの視界の先には学生寮の上に陣取るISを着こんだ綾音の姿があった。
野座間製薬会長の孫娘であり、IS特殊開発局テストパイロットである天条綾音。
彼女が操る打鉄新型パッケージの
オータムはそれを嘲り笑った。
「はっ!!真っ黒なノザマの孫娘か!箱入り娘がこの俺様を狙えるのかよ!お前みたいな社会を知らなそうなガキはあのアマゾンとおままごとしとけっての!!もし狙えるのなら狙ってみろバーカ………」
すると今度はオータムの顔付近に分散した電気が襲いかかった
「ふぇ……?」
オータムは辛うじて声を縛り出す。ついでにラウラも息を溢す。
そりゃ無理もない。感電死するぐらいの電圧の電気がAICにより受け止められており、もし発動していなかったらオータムは顔が黒焦げになっていたかもしれないのだ。
「綾音、まだやらなくて良かったぞ?」
「今のは威嚇です。我々がどれだけ本気なのかをその醜女に教えなければならないでしょう?」
「私がAICを解除していたらどうなっていたんだ?」
「そのテロリストが死ぬだけです。情報を抜き出せないのは残念ですが。今の生殺与奪の権はこちらにあると思いますが?」
「いや、まあ、確かにそうだが」
「それに私の想い他人を侮辱したのです。だから情報を抜き取ったとしても確実に殺す。来世も殺す。顔と情報を変えても殺します」
「分かったからその怖いセリフ言うのやめて」
「すいません分かりました………」
矢面に立たされたオータムは勿論、それを止めたラウラは揃って口を噤んだ。
尋問にはリアリティも必要だ。だがもし、本当にもしAICを解除していたらと。ラウラは思わずに居られなかった。
ラウラは軍人だ、時に対象を殺傷しなければならないだろう。
だけど綾音は違う。二年前まで命が消え掛かっていた少女であり箱入り娘。だけど水澤悠と同じ守りたいものを守る為には本気で戦うことも躊躇わない強い心を持っていた。
それをわかったのか、オータムの顔はひきつったままだった。
「ということだ。私でも今の奴が何をするか分からん。大人しくした方が身のためだぞ?奴に殺されたくなければな」
「くそっ……!!」
「では質問だ、そのコアはアメリカの第二世代だな?何処で手に入れた?」
「だ、誰が教えるかっ」
「ふん。いいだろう、私も尋問の心得がある。お前の組織について、洗いざらい吐いてもらう。安心しろ、そう長くはかかるまいよ。我がシュヴァルツェア・ハーゼの尋問術の前ではな。まあその前にお前の命があればの話だが」
目の前の女はISパイロット。ISの絶対数に限りがある以上、それを与えられた人物は間違いなく重要人物。
ましてや愛しの男と頼もしい副官に襲いかかった痴れ者、長くはかからないと言ったが、出来るだけじっくりと絞り上げていきたいという黒くドロッとした感情が腹の奥から沸き上がってくる。
先ずは足を折る、再生医療が急速に発達したこのご時世だ、テロリストに対してなら、なんの問題もない。
そんな黒い思考はオープン・チャネルに遮られた。
「皆さん、聞こえますか!誰か応答を!」
「セシリア?どうした?」
「所属不明の一機を逃しました!間も無く学園に到着する頃かと」
「なんだ──」
言葉を綴ろうとしたラウラの右肩がレーザーで撃ち抜かれた。
衝撃が肩に走り、次に痛みが走る。集中力によって作用するAICの拘束が解けかかる。
すかさずラウラは自身の左目の眼帯を量子化、ハイパーセンサー補助システムインプラント【
オータムを拘束するAICを補強し右肩に着弾したレーザーから弾道計算、ハイパーセンサーにより襲撃者であるサイレント・ゼフィルスを視認する。
「速い!」
サイレント・ゼフィルスはビットを射出、近くにオータムが居るのにも関わらずライフルと合わせた弾幕射撃をラウラに撃ち込む。
対IS戦闘には破格の性能を及ぼす慣性停止結界も光学兵器の前には梅雨ほども役に立たない。それでもラウラは強化された感覚と六本のワイヤーブレードをもって降りかかるレーザーの半分を防いで見せた。
「ほう、紛い物の玩具にしてはなかなか良い眼をしている。ん?」
「M貴様ぁぁ!!」
「オータム。雑魚はさっさと逃げたらどうだ?」
「てめぇ俺様を雑魚呼ばわりしやがっ……」
するとオータムの後ろから強い衝撃が襲い、そのまま吹っ飛ばされた
「だっ………誰………だ?」
振り返ると赤色の体に黒の手足、身体中に緑色の傷だらけの男………
仮面ライダーアマゾンアルファが現れた!
「テメェは…………
「ほぉ…俺こう言う名で通っているんだ」
アマゾンアルファがここに来た理由はIS学園を襲撃してきた亡国機業を倒す為に来たのだ
しかし綾音の反応は親の仇を討つような目でアルファを目視する
「何しに来たんですか……!!」
「まてまて俺は味方だ。それよりも倒すべきもんがあるだ……」
するといきなりレーザーがアルファに目掛けて撃たれるが避けたと同時だった。
「てめぇは俺が相手だよっ!!」
オータムは立ち上がってアルファと戦いを開始した後、ゼフィルスはラウラに襲いかかる
「ラウラさん!!」
綾音は炸裂電磁弾頭を取り付けて放つ。次の瞬間、広範囲感電を引き起こすもゼフィルスには届いていなかった
「鬱陶しい」
ゼフィルスはビットを戻し、エネルギーアンブレラを呼びだした。それに向かってレーザーを放ち、押し出されたシールドビットはその威力により加速した
それに綾音は対応できるはず………なんて思っていたら結構やり手だったらしく、土壇場でサークルロンドを行い、全て避けきる
(避けるのに専念していたらどこに行った!?)
「綾音!後ろだ!!」
ラウラの声も空しく、無防備な背中に紫光のビームが突き刺さり爆ぜる。
「ぐっ。うぅぅぅあぁっ!!」
【単一仕様能力発動《天照ノ無双》】
死ぬかもしれない状況下で綾音は倒れずに踏みとどまり、ワンオフアビリティーを発動、ゼフィルスがトドメを刺すために近づいてくるがシールドウイングを爆発するかのように粒子化させた後、紫色の翼を再構築させ、再び距離を取る
(何だこのIS……再構築だけでSEを88%まで再生させてる……)
「これでも喰らえ!」
電磁矢を放った途端に先端が裂けて拡散攻撃となるも当たらずにゼフィルスに近づかれるも天ノ双剣で接近戦を仕掛けるもスターブレイカーによる近接戦を繰り広げる
「貴様とやってもつまらん。」
「ぐあああああ!!!」
ゼフィルスはビットで綾音の双剣、身体をビームで破壊した
「あっ……がはぁっ……」
「綾音っ!!!」
ここで一つ教えよう。綾音のワンオフアビリティーはシールドを回復させただけにすぎず、シールドエネルギーは減ったままなのでダメージを受けてしまったら終わりなのだ。(初登場時にニューオメガにボコボコにされたのはそれが理由)
綾音が倒れたや否やスターブレイカーのバヨネットを展開。ピンク色に発光したブレードでAICを切るように動かすと、AICによる感性停止結界が消し去られた。
「なにっ!?ぐっ!」
呆気に取られるラウラのレールカノンにゼフィルスのレーザーによって爆ぜた。体制が崩されたラウラは即座にワイヤーブレードを展開するも、展開したワイヤーはゼフィルスのビットにより溶断される。
AICを再展開する余裕もなく、ラウラはゼフィルスに組み敷かれ。眼前にスターブレイカーの銃口が向けられた。
「ふん、この程度の干渉でAICが解けるとは。ドイツのアドヴァンスド、所詮は猿真似の出来損ないか」
「き、貴様!何故そのことを!?」
「答えるとでも?これから死ぬ奴に」
バカッとスターブレイカーが高出力モードに変化し、銃身内部で光が圧縮され、至近距離にあるラウラの顔が光に照らされる。
殺られる、ラウラは次に来る衝撃に歯を食い縛った。
「ラウラを離せぇぇぇ!!」
「タァァァァ!!!!」
が、その銃撃は瞬時加速で肉薄した一夏に遮れた。
ラウラから離れたゼフィルスはチャージしたエネルギーを割り込んだ一夏に発射するも、雪羅の霞衣によって霧散した。
「一夏!悠も!!」
「無事かラウラ!」
「あ、ああ。だが武装の殆どを持ってかれた」
「大丈夫だ、後は俺が」
ラウラとゼフィルスの間に立った一夏は雪片弐型を構え直してゼフィルスを睨む。だが直ぐにギクリとする。
「一夏君……?」
「悠見るなっ!!」
それを見た途端二人は二つの衝撃を襲う。
冷ややか、かつ鋭利で鋭い眼差し。まるでナイフを首筋に当てられたのような、冷酷無慙なサイレント・ゼフィルスの視線に一夏の体が硬直した。
(なんだこの感じ。こいつ、只者じゃない!)
オータムとは違うその威圧感になんとか抗おうと一夏はゼフィルスを睨み付ける
「織斑、一夏」
相対する相手の名を口にし、ライフルを構えたその腕は再び妨げられた。
「綾音………?」
悠は見てしまった。と言うより見てしまうのは必然だった。
翼が消えてただ倒れ込んでいる綾音の姿を……
「お前があああああああああ!!!!!」
悠はおもむろにネオアマゾンズドライバーを投げ捨ててアマゾンズドライバーを装着した
「ヴァァァァァ!!!!!!アマゾォォォォォォン!!!」
『O・ME・GA』
「ダアアアアアアアアア!!!!!」
ゼフィルス目掛けて走り顔面にストレートを決めた途端に変身が完了する
『EVOLU - E - EVOLUTION!!』
「お前を……殺す!!」
オメガは怒りに任せて圧倒的暴力を振るいまくるがゼフィルスに当たる訳もない
「怒りに任せた攻撃は所詮雑魚の思考だ。フンッ!」
「ぐはぁ!!」
オメガは怒りに任せて圧倒的暴力を振るいまくるがゼフィルスに当たる訳もなく、ライフルで撃たれまくる
「どけぇ一夏君!!こいつは殺す!」
「落ち着け悠!綾音さんは死んでねぇよ!一人で突っ込むなよ!」
「……!!」
ISスキャナーで確認すると綾音は確かに生きており、多少の怪我があれど気絶しているだけだった
「………ごめん一夏君!周りが見えてなかった!!」
「よし、二人で行くぞ!!」
雪片二型を構えた一夏、アマゾンブレイドとFK-3を構えたオメガ対Mの
「あら、一夏君に先を越されちゃったわ」
「これ以上はさせないよ!」
一夏とは別方向に向かっていた楯無、学園の反対側を巡回していたシャルロットが戻ってきた。
これで5対1となった。
「間も無く教員の応援、そして貴方が置いてきた哨戒組も戻ってくる。降伏なさい亡国機業のテロリストさん。逃げ場はないわ」
「チッ、姦しい」
このまま、自身だけ逃げる事なら可能だ。むしろサイレント・ゼフィルスの操縦者、Mは今すぐにでもそうしたかった。
だが上官からはオータムを回収しろとの命令が来ている。あの女は優秀ではあるが、オータムが絡むと私情が見え隠れする。
遊びすぎたかとMは内心毒づいていると、上空から新しいISの反応が出てきた。
「散開!!」
アラートと同時にシャルロットとオメガは離れ、楯無は動けない綾音を、ラウラは出遅れた一夏の首根っこを掴んで離脱。
残されたMとオータムがいる場所に無数のミサイルが降り注いだ。
「どあぁぁぁああ!!?」
爆風に煽られたオータムはすっとんきょうな声を上げた。
Mは面倒と思いながらオータムを破片から防御する
「なぁに、こんな所でヘマしていたのか」
炎と土煙が上がる広場の空の上から降ってきたのはバイオレットカラーをベースに赤と白が混じったラファール・リヴァイヴ。
背負っていたミサイルコンテナがドロドロに液状化して溶けた。
それでも異形なのだが、身体の輪郭が分からないぐらいに装甲を纏っていた
「貴様……何故ここに来た」
『スコールがもう帰れとの指示が来た。』
「余計な事をしてくれたな」
『従わなければ_____』
「………了解した」
Mはラファールのパイロットとプライベート・チャネルで会話をし、ボロボロのオータムの横に降り立つ。
因みに仁さん普通に勝ったらしい。
「行くぞオータム」
「おまっ!様つけろ様を!新入りだろお前!」
「………」
「なんだよ」
「いや、無様だなと思ってな」
「てんめぇ!うおぉ!?」
Mはオータムを小脇に抱えて飛翔する。
逃すまいと手すきのシャルロットが追う。
「駄目よシャルロットちゃん!」
「時間を稼ぐだけでも!」
シャルロットは両手にガルムをコールしゼフィルスに向かう、だがその行く手をラファールが遮った。
「丁度いい、新しいドライバーの性能を確かめてやる」
ラファールのパイロットが取り出したのはアマゾンズドライバーらしきものを装着。
「アマゾンズドライバー……!?」
その次に黒紫色のコンドラーコアを装填した。
『TERROR』
それと同時に禍々しくも不協和音な待機音がなり響き、今いる五人が恐怖に包まれる
「アマゾン…………」
「アマゾン!?」
アクセラーグリップを放った瞬間纏っていた胸部から腰下までの装甲が爆散した次に液状化してそれをパイロットが包み込んだ
『SCARYー!!ZU!ZU!ZU!ZUKEY!!!』
変身が完了するとアマゾンガンマを刺々しくしたような感じで真っ白に塗りつぶした顔にギザギザの口のようなものが現れており、黒と白の色合いで構成された者だった。
「何よ……これ…………」
「男でIS使いは一夏と悠以外居ないはずだ!!」
「お前は誰だ!!」
一夏が問い詰めるがその男は質問に答えた
「俺はキングのアマゾンMだと言っておこう。」
「またM……って名前被ってるくせに……!!」
アマゾンMはシャルロットを放っておいてオメガと目が合う
「貴様が最高傑作のアマゾンか…………人類の味方をしやがって」
「人間を守って何か悪い訳?アマゾンも仲間だけど今は人間を守ってんだよ!」
「これだから半端者は………」
「よそ見はよくないね!!」
シャルロットはガルムを発射しアマゾンMはシールドを生成し防御、同じく右手にガルムを展開してシャルロットのガルムを一丁弾き飛ばした。
左手にシールドを保持したままガルムをグレネードランチャーに切り換え、発射。
それを瞬間的に入れ換えられたガルムでグレネードを撃ち、空中で破裂させる。
「ぐぅっ!今のはラピッド・スイッチ?はっ!?」
「死ね。」
アクセラーグリップを2回捻ると同時に巨大なパイルバンカーが瞬間展開されていた。怯んだシャルロットは為す術もなく腹に単式大型パイルバンカーが打ち込まれる
『AMAZON!SCRAP!!』
「シャルロットさぁぁぁぁん!!!」
殺しきれない衝撃がシャルロットを襲い嗚咽を漏らす。
オレンジの機体は燃える大地に叩きつけられた。
「シャルーーー!!!!」
クレーターの中心に位置するシャルロットに駆け寄る一夏と悠。一夏の腕の中のシャルロットはぐったりと力なく倒れていた。
「思ったより歯応えはあったな。じゃあな」
それを見届けたアマゾンMはIS学園から立ち去ろうとしたが
「おいそこのアマゾン!!!」
「あ?」
アルファの姿を確認したが何かがおかしい
「お前っ………父さん…………か?」
「何言ってんだお前」
「あぁ、すまん戯言だ。」
そう言い去っていったが入れ違いで哨戒班が戻ってきた。
「今のは!?」
「敵の増援よ」
「なら、追わないと!」
「ああ!このまま黙ってられるかよ!」
「駄目よ二人とも! 今行ってもまともに戦えるとは思えないわ」
飛び出しそうになる一夏と箒を宥める楯無。学園最強である彼女にそこまで言わせる、その強い言葉に未だ未熟な二人は納得せざるおえなかった。
「あっ……がぁ……」
オメガのアマゾンズドライバーの光が消えて変身が解除され、倒れる。
「悠!!」
「しっかりしなさいよ!」
「それは……無理………」
一回変身解除後に補給なしで変身した為体力が切れたのである
「箒ちゃん鈴ちゃん。悠君を運んでちょうだい」
「分かりました。」
二人は楯無の命令で悠を担いで向かった。
セシリアは楯無の腕の中にいる菖蒲に近づいた。
「綾音さん、大丈夫ですか?」
「は、はい。なんとか生きてます」
「流石ISってところかしらね。機体の損傷は軽いし大怪我はないみたい」
「そうですか」
笑顔を向ける綾音にほっと胸を撫で下ろすセシリア。
シャルロットの元に駆け寄った一夏とラウラからも通信が入った。
「シャルロットが目を覚ました」
「ご、ごめん。情けないとこ見せちゃった。うー、なんだかお腹痛い」
「大丈夫か!?さっきの一撃で骨が折れたんじゃ!」
「大丈夫大丈夫。いたた」
「無理すんなって。シャル、IS解除出来るか?」
「うん」
「よし。よい、しょっと!」
言われた通りラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡを待機形態に戻したシャルを抱き抱えるように持ち上げた。
所謂お姫様抱っこである。
悠が見たら嫉妬しそうだ。
「ちょ、いい一夏!? 行きなり何を!?」
「無理に動いて悪化したら困るだろ? このまま医務室に運んでいくからな」
「だけどこれはちょっと。顔が…近いというか」
「遠慮すんなって。友達だろ?」
「……そうだね。友達なら、いいよね?」
顔を赤らめ、にやけを必死に隠そうとするシャルロット。この場に一夏幼馴染組が居たら間違いなく食い付きかねん状態だろう。
「どうしたラウラ?凄い難しい顔してるぞ?」
「な、なんでもない。そうだな、シャルロットに何かあったら大変だからな、仕方ない………仕方ないのだ。」
(後で悠にしてもらおう。そうするしかないな)
「?」
現にラウラも状況と自身の葛藤の板挟みに顔をしかめている。
一夏も表情は見えても、その内面はさっぱりと理解が出来なかった。唐変木の名は伊達ではない。
「ラウラちゃん」
「なんだ。ってラウラちゃんって呼ぶな!」
「まあまあ、それは置いといて。綾音ちゃんも医務室に連れてってくれない?私は事後処理で忙しくなるから。お願い、ラウラちゃん」
「だからちゃんと呼ぶなと……わかりました。一夏とシャルロットと一緒に!医務室に行ってくる」
ラウラはI綾音を担ごうとするとある違和感に気づく。
(何だ……ISと綾音の身体が自己再生してる?)
「どうかしました?」
「あぁ、何でもない担ぐぞ。」
「お願いします。」
ラウラは違和感を天ノ座間の能力だと済ませて一夏と一緒にいましたへ向かって行った。
あの後。教員、代表候補生らは事後処理に追われていた。
亡国機業によるIS学園襲撃事件。表向きには亡国機業の名前は出さずに火災として処理された。
幸いにも、更衣室と学生寮と一部区画の破壊にだけ収まり。戦場が限定されただけあって、一般生徒と来客には怪我人は無かったそうだ。
シャルロットと綾音もISのダメージは大きいが、身体には以上はなし。
しかし天ノ座間は破損箇所が自己修復されてしたがISの能力だと済ました。
………で、肝心の学園祭がどうなったかというと。
「「一夏!明日来客禁止って本当か!!?」」
「ああ、学園祭は通常通りやるみたいだけど」
「「俺達のIS学園ライフーーーー!!」」
そう、二日目は来客禁止の生徒のみの学園祭となった、オータムが来客に紛れてことを犯したのが原因だ。
二日目には各国の重役の人々も控えていたみたいで、現在教員はその対応に追われている。
火事だけでは決め手にかけるから色々でっち上げるらしいが。そのでっち上げが凄く大変とのこと。
世間知らずと言われている一夏でも千冬や先生方が大変なのは分かるし、原因が自分にあるから尚の事申し訳無い気持ちになる。
勿論不満の声があるのはお偉いさんだけではない。
弾と大和の二人も見事にシンクロしている。それほど二人にはショッキングな報告だったのだ。
「ま……まぁ弾と違って俺未練無いし。唯一あったの回れなかった所があるくらいだったかな。あーあ、スイーツ食べたかったなぁ」
「てか何でお前未練無いんだよ!」
「女子友が………
五人ぐらいの女子友達いるし」
「嘘だろこの空間でモテててないの俺だけかよぉぉぉぉぉうわぁぁぁぁ虚さぁぁぁん!」
「すまん」
「いや、一夏のせいじゃないだろ?ほら、弾も立ち直れって」
「くぅ、そうだよな。仕方ねえ………」
なんとか納得してくれたようだ。が、ぷるぷると震えているあたり、内から溢れそうなものを必死で押さえ付けているようにも見える。
ついでだが、弾の気になる人が虚と聞いた一夏は意外だと思った。
彼の好みを知っているからというのもある。鈴や弾の妹である蘭が聞いたらどんな顔をするだろう。
「と言うか悠はどうした?」
「怪我をしたらしく」
「え、なんかあったの!?」
「火災の対処の時にトラブルがあったらしい。大きな怪我はないから安心しろって。大和君に宜しくって言ってた」
「そうか、それは良かった」
知り合いの知り合いの安否を確認できて大和はホッとする。
本当はまだベットで寝てるのを知ってる一夏にとって心苦しかった。
「と言うか同級生だと知った瞬間仲良いよな?」
「ふっ、モテ男には分かるまい」
「男の友情という奴すね!」
「「ハッハッハッハッハッハッ!!」」
「そ、そうか」
よく分からないが、仲が良いのは良いことだと無理やり納得する。
「おっと、そろそろモノレールの時間じゃね?」
「やべっ、じゃあな一夏!また連絡するわ。虚さんに宜しくって伝えといてくれ!」
「ああ、気を付けてな」
「おう!」
二人はゲートに向かって歩いていったーーと、思ったら大和が戻ってきた。
「一夏に女子の付き合い方を伝授する!!」
「いきなりどうした!?」
大和には五人の女子友達がいるのだが、それぞれが一夏ヒロインズのように暴力的だと知る
「取り敢えず機嫌をとった方がいい!あと肯定感を高めちゃってください!一夏はモテてるので!」
「ん?俺はモテてないぞ?」
「おいおい冗談って……」
「いやいや、どっちかって言うと悠の方がモテると思うぜ? 現に執事喫茶だと悠の方が人気だったし」
「いや、でも。もしかしたらこの子気があるかもって思わない?」
「なんで?ありえないありえない」
「………」
「それに、俺にモテる要素なんかないだろ?」
「………………まじかこいつ」
大和の女子友達五人は全員がアプローチを仕掛けてくる猛者で男友達に飛び蹴りをくらうほどモテていることは自覚していたのだが、悠から聞いた一夏の病気レベルの鈍感ぶりに大和は戦慄した
「因みに彼女が欲しいなぁと思ったことは?」
「いや、ないけど」
「……………………」
開いた口が塞がらない。その肩にポンと手を置いたのは出来て間もない親友の手。
「ま、そういうことだ」
「え?え?え?え?つまりなにか?こいつは無自覚無意識に女の子を絆しまくってるラノベ主人公も真っ青な奴ということ?」
「ああ。うちの妹も、な」
「ウソダドンドコドーン!!」
CV神谷のくせしてCV椿◯之の声が聞こえたのはさており、大和は立ち上がった
「と!に!か!く!!!彼女達を大事にしてください!それだけだ!!行こう弾!」
「っておい待てよー!」
大和は脱兎の如く走り去っていった。振り替えるときキラッと光る物を見た気がする。
弾も一夏に振り向くことなく大和の後を追っていった。
「………なんだったんだ、一体?」
諸悪の根源は何一つ理解せず、只々疑問符を浮かべていた。
特に気にせず、さて戻るかと思った時。
「お命頂戴!」
「ひゃぁっ!!?」
突如脇腹を突かれた衝撃に一夏は飛び上がる。振り向くとそこにはやはりというか更識楯無その人がいた。
「こぉら!さっきあんなことあったのに、危機管理が無いんじゃないの?」
「すいません」
「全く、悠君を見習いなさい。あの子、私が本気で忍び寄ったのに気付かれてアームカッターを向けられたんだから」
「どうなったんですか?」
「合気道で制圧」
悠の気づき、奇襲を軽くいなしたらしく流石学園最強である。
「だから私が近づいても気付けるようにしなさい。わかった?」
「いやいや、楯無さん相手にそれは……」
「あら、私より強い人なんて世界にごまんと居るわよ? 織斑先生とか、篠ノ之博士とか。勿論、テロリストにもね?」
「っ!」
楯無の言葉で一夏が頭に出たのは、サイレント・ゼフィルスの操縦者
仮面に隠されてもなお突き刺さるような冷たい視線。一夏は15年生きたなかで経験したことない寒気。このような寒気は悠がラウラの転校初日にブチギレた日以来だ。
今でも思い出せば残るあの瞬間の硬直、一夏は無意識に震える腕を押さえていた。
「ところで一夏くん今暇かしら?」
「暇ですけど」
「そっか、じゃあ一つ頼まれてくれない?」
「頼む、何を?」
一夏の問いに楯無は扇子で答えた。
扇子には補助の文字が。
「悠君のことお願い出来る?」
「え?」
続く………
大和君のモデルはマジ恋の主人公をモデルにしました!
怒られないかな