これからも見てくれよな!!
「誰も見ないだろ」
真っ黒……
真っ黒な世界で僕はいつの間にか立っていた。
「ってあれ!?この服……駆除班の制服だ!!」
すると後ろからある人物が歩いてきた。
「って仁さん!!?」
いきなり仁さんが出てきたと思いきや前髪を思いっきり掴まれて顔を近づけた
「お前はやっぱりそうだ。」
「えっ……」
と思いきや前髪を離して何やら言い始めた
「何もかも中途半端で、何が「守るべきものを守り狩るべきものを狩る」だ。」
「そんなのわかってる!」
「でもさ、守れてないじゃん」
「!!!!」
今までに該当していた事を思い出した。
一夏君の白式が取られた時に激怒してオータムに猛攻撃を仕掛けたのに大ダメージ与えたのにまだ生きていて逆にボコバコにされたり。
綾音を倒したテロリストことサイレント・ゼフィルスの前では歯が立たなかったし
足を引っ張ったかもしれない
「守るべきものが頑張ってるってのにお前は倒れたり、挙句の果てには謎のアマゾンにすら手を出さず見てるだけ。情けないよなぁお前。」
「……黙ってください仁さん……!!!!」
しかし仁さんらしき人はいまだに文句をぐちぐち言っていて正直ウザい
「お前の力って何のためにあんの?」
「それは……!みんなを守…」
「そのセリフしか言えない時点でお前は負けだ………………アマゾン。」
『ALPHA BLOOD AND WILD!! W・W・W・WILD!!』
アルファに変身した仁さんは僕の左腕上腕部のISアマゾンレジスターをおり、確実に殺そうとしてきた
(っ……ベルトが無い!?やめろ……やめてよ仁さん!)
「じゃあな。」
「やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
ーー♢ーー
「ゔぁぁぁぁっ!!!!」
吹っ飛ぶ勢いでベットから跳ね起き、右腕のオメガアームカッターを展開していた。目の前が白黒して、気持ち悪い。
直後に襲いかかったのは喉の渇きだったが手元に飲み物は無かった。
「ゲホッ、げっ、オゥエ」
胸が苦しい。整えようにも上手くいかず、鈍い苦しみが喉を焼いた。肺から空気が吐かれていくばかりで頭がクラっとした。
それと同時に異様な空腹と戦闘衝動が一気にきており、パニック状態になっていた。
ようやく息が整えられ、状況確認に目を向けた。
白いベットに白い掛け布団、白いカーテンに白い天井。先程の真っ暗な空間とは見事に正反対の白一色だった。恐らくここは保健室だ。
さっきの悪夢のせいか、汗で身体に張り付いたシャツを掴みながら悪態をついた。
「………………………あれ」
ふと違和感に気付いた。
「なっ……無い!!」
僕の左上腕部のISレジスターが無くなっており、再びパニック状態に。
「一体……僕から……何を奪えば……気が済むんだああああ!!!!」
昨夜からいろんな方が起きすぎて脳内処理が追いついていないのだ。
綾音の告白を断った事。一夏君の白式が奪われそうになった事、謎のアマゾンが現れ、シャルロットさんが怪我を負った事、皆んなが酷い目にあった事
もう何もかもたくさんなのだ。
形振り構わず隔てられた白いカーテンから飛び出す、保健室の先生は居なかった。僕は転びそうになりながらも保健室のドアに向かって走った。
「うおっ!」
「いだぁっ!!」
タイミングがいいことにドアを開けてきた一夏君と正面からぶつかり思いっきり尻餅をついた。
「って悠!!目を覚ました……ってうぉぉ!!」
「一夏君!一夏君!!僕のISアマゾンレジスターを何処やった!!」
アームカッターを首元にちらつかせ胸ぐらを掴んでいる僕の姿に一夏は驚きを隠せずにいた
「やめろ悠っ!!お前のISはここにあるぞ!」
「寄越せ!早くっ!!」
すると一夏君はISアマゾンレジスターを焦って取り出した。
「ほら!!」
「あった!!よかったぁ!!」
「あぁ、と言うか悠のアクセラオメガ黙ってメンテナンスに出してしまったけどさ、凄いよな。悠とリンクしてるだけでメンテナンス出来るって聞いたけど悠休んでるしさせてもらったよ。」
「はっ……一夏君ごめん!」
咄嗟に奪い取り、服を脱いで左上腕部に再び取り付ける
「痛っ………!!」
(レジスターの反応が青になった!)
「はぁ………はぁ…………」
ぐぅぅぅぅ…………
「………ねぇ一夏君、お腹すいちゃった」
「確かにお前数時間ぐらい寝てたもんな持ってきた」
「ありがとう」
制服を再び着てハンバーガーを爆速で食べ終えようとしたその時
「悪い悠。」
「どうしたの急に」
一夏君が座って神妙な顔で謝ってきた。
「その、オータムのこと。あの時俺が無闇に突っ込まなかったら、ああはならなかっただろうなって」
「まぁ……ね。」
「悠も俺の為に身体を張ってくれたんだし」
一夏君が何故謝ったのかを理解した。
確かに、あの時は状況は拮抗していた。拮抗を破らされたのはオータムの挑発、それに乗ってしまった一夏君。
仮にあのまま長引かせていたら、楯無さんを加えた三人でオータムを囲えたかもしれない。
もしあの時楯無さんが来なければ、僕達二人はISを奪われて処分されていた………いや、リムーバーが破壊されたから一夏君のISは確実に奪われていただろう。
「言われる前は冷静だったのにオータムに挑発された途端見たことないぐらいブチ切れて真正面から猪突猛進。一夏君をあそこまでさせたのって何なの?」
「………」
「いや、いい。言いたくないなら良いよ。簡単に踏み込んでいい話題でもなさそうだし」
「いや話すよ。悠には迷惑をかけたから………だけど」
「誰にも言わない。それだけは約束する」
重々しく一夏君は話し出した。
僕が生まれる数年前、
第二回モンドグロッソ。日本代表の織斑千冬はバトルトーナメントを順調に勝ち抜け、最後の試合であるイタリアのアリーシャ・ジョゼスターフとの決勝戦が迫っていた。
当然一夏君もその決戦を見ていたのだが、一夏君は関係者席を出てトイレに行き、出てきた瞬間誘拐されてしまう。
そこからはなすがままだったらしい。手足を縛られ、猿轡をされ、側には知らない言葉を話す大柄な男達。
怖かった、姉とは違い何もない幼い一夏君はただただ震えることしか出来ないことに、一夏は涙を流すしか無かったのだ。
直後に姉がISを駆り自身を助けに来てくれた。
監禁場所の扉を無理矢理抉じ開け、抵抗する時間を与えぬまま男達を壁に吹き飛ばして再起不能にした。
一夏君の無事を確認すると、千冬は涙を流した。一夏君は涙ぐむ姉に「ごめんなさい」と言った、姉は「何故謝る?」と涙を拭かないまま聞き返した。
姉は自分を助けるその為に大事な試合を蹴り飛ばした。
あの試合は個人の意思が尊重される物ではない。国の意地とプライド、今後の未来さえも左右する壮大な物だ。
当時の一夏君には難しいことは分からなくても千冬が放棄した試合がどれだけ大事な物なのかを理解していたから、それ故の謝罪だった。
泣きながら謝る一夏君とは対照的に、千冬は今まで見たことないくらいの優しい笑顔でこう言ったのだ。
『たった一人の家族より大切なものなど、この世にはないさ』
その言葉で一夏君は理解してしまった。
姉は自分を助けるために何もかも躊躇いなく、持つべき物をかなぐり捨てて助けに来たのだと。
それからしばらくして千冬の現役引退が発表され、調査協力をしてくれた黒兎隊の教官を勤めることになった。ラウラさんが時々織斑先生を教官と呼ぶのはそのためだとか。
「俺さ、もしあの誘拐事件がなかったら、千冬姉は今でも国家代表としてISに乗ってたんじゃねえかな。千冬姉がどういう理由で国家代表になったのかは知らないけど。もしかしたら俺が、千冬姉の道を閉ざしてしまったんじゃねえかって」
一夏君は唇を噛み締め、拳を跡が残るぐらい握りしめた。その悲痛な表情から、一夏君にとっての第二回モンドグロッソの事件は骨身に刻み込まれているのだ。
「でも一夏君は悪く無い……悪いのは全部亡国機業の所為だよ!」
「それでも……!!」
「何が出来たって言うの?なんの力のない子供が、大人に勝てるわけないでじょ」
「悠?」
「第二回モンドグロッソの日本代表途中棄権の責任は一夏君や織斑先生にはないと僕は思う。きたは何も出来ない子供で、織斑先生は日本代表である前に家族だった。それだけだろ」
一番安全牌の解答を差し出しても、一夏君は完全には納得してはいなかった。
僕も一夏君とは年齢も違うし住む世界も違う。
もし織斑先生が此処に居たら、きっと同じことを言っていたと思う。
なんだかんだ一夏君に甘いようだし、あの織斑先生は
「君も身内絡みがあったようにさ、僕にもあるんだよ」
「そんなの……」
「駆除班って所でさ、僕は危ない存在だからってフラフラな状態でアマゾン退治をしていたんだ。その時に美月を守る為に激情しちゃってさ、危うく巻き込みそうになったんだ。」
「悠………」
「意外でしょ?僕はやっぱりアマゾンなんだって。でも人間と一緒に生きている。」
僕の言葉に感化されたのか、一夏はポツリと漏らした。
「……俺さ」
「うん」
「あの時千冬姉に助けられたその時から、誰かを守れる力が欲しいと思ってた」
初めは薄ぼんやりとした、理想のようなもの。願いのようなものだった。
直ぐに家計の為に剣道をやめてバイトを始めて、そんなことを考える暇などなかった。
だが高校受験の日。打鉄に触れた時に一夏君の人生は一変した。
「色々あって、白式を手に入れて。また色んなことがあって。その時俺は思ったんだ。白式の力さえあれば、あの時の千冬姉みたいに誰かを守れるんじゃないかって。その時福音の事件が起こった。密漁船が危ないと思った時は考えるより動いてしまったし、最後は箒を庇う為に身を投げ出した」
「あれは心臓に悪い」
「そのあとよく分からないまま体が治って、白式もセカンド・シフトして、福音を倒した。そのあとさ、お前に言ったよな『俺って皆を守れたよな』って。そしたらお前は僕達で守ったでしょ?一夏君はやっぱり凄いよって言ってくれて。その時俺、凄い嬉しかったんだ。俺はやっと誰かを守れる力を手に入れたんだって」
腕に巻いている白式の待機形態である白いブレスレットを撫でた。
白式と同じ白は夕焼けのオレンジに染まっていた。
「でも違っていたんだ。今日オータムと戦って、それは間違いだって気づいた」
「どうして」
「俺は側で戦ってくれた友達一人助けれなかった。と言うより俺は友達が身体を張ったせいで傷つく事になった。」
それは違う。とは言えなかった。
現に楯無さんが来なかったら僕はこの世にいるかすらわからなかった
「あの時の俺は何処かでおごっていたのかもしれない。俺と白式ならやれるって。千冬姉から受け継いだ雪片と零落白夜があればあんな奴に負けるわけがねえって。だけど結果はあの様だ。まんまとあいつの挑発に乗って負けちまった」
「………」
「考えてみたら、今まで俺だけで今まで乗り越えられた訳じゃない。必ず側に誰かがいた。皆のお陰で俺は困難を切り開いていけた。俺は、俺一人はこんなにもちっぽけなんだって。俺はとんだ勘違いヒーロー野郎だった………俺は、千冬姉のようにはなれない………」
ズボンの上で握りしめた拳に雫がポタリと落ちた。
一夏はこっちに顔を見せずに震えていた。歯を食いしばり、目尻に浮かんだ涙を。
つられて僕の胸が痛んだ。
さっきとは違う痛み。
僕は知っている、この痛みを。そして、一夏君がなんで泣いてるのかも。
「僕もそうだよ一夏君。」
「悠……?」
「実はと言うと僕は一夏君がはっきり言って羨ましかった。」
「え?」
「僕ってそう言う青春というか何というか……女子と話す事なんて美月か高井さんや七羽さんや母さんやイユの事しか無くてさ、あまりこう……話す事もなかったんだ」
「へぇ、でもそれと何の関係が」
脈絡のない話題に一夏君の涙が思わず引っ込んだ。
うん、俺が逆の立場なら行きなりなんの話なんだって思うよ。
「
「仲間………」
「一夏君がここまで来れたのは僕や箒さん達と同じように駆除班のチームがいたから僕の今があるんだよ」
そう言い、僕は五円玉のネックレスを見せた。
「何が言いたいのかって言うとね。別に一人でやれなくても良いんじゃない?」
「え?」
「だって一人でやれることなんてたかが知れてる。ブリュンヒルデやヴァルキリーだって例外じゃない。織斑先生にだって出来ないことの一つや二つはあるでしょ」
「まあ、色々とある」
一夏は姉の部屋を思い浮かべた。
が、これ以上考えたら悪寒が来そうなのでやめた。
「なんでもかんでも一人でやる必要はない。誰かを守ることだってそう。時には助けて、助けられて。何でも一人で背負う必要なんか何処にもないと思う。あくまで僕の意見だけどね」
「一人で、やらなくてもいい」
「うん、皆だって。一夏君の助けになりたいし、守りたいと思うときもあると思う。僕はそうだ」
「皆が、俺を………」
僕の言葉に一夏君は見えない物が見えた気がした。
今まで見えなかった場所、今まで考えてもいなかった考えが見えた、気がした。
「それを聞いたら昔の悠を思い出したよ。シャルの素性を隠す為に奔走したり、セシリアと鈴と一緒にラウラと戦ってさ、自分がアマゾンだって自覚しながら皆んなを守る姿、あれかっこよかったんだぜ。まぁその後腹部貫通でかっこいいが消し去って心配が勝ったけど」
「それだけはやめて一部の女子トラウマになってんだから」
「もう忘れてるだろ」
「そうかなぁ………?」
「しかしよ、俺達似た者同士だよな。生まれも育ちも似てないようで全然似てるかもな。」
「でも一夏君の方が恵まれてる気がするよ。それに今更だけど僕もアクセラオメガを貰った時に昂ってラウラさんと戦って負けてるし同じだよ」
「確かによく考えたらそうだよな!?」
改めて僕は一夏君と向き合う
「今回は僕達の敗北だ。だけど次はこうはいかない。その為に強くなろう。」
「そうだな」
「だからってなんでも一人でやろうとしないの。いざというときは僕達を頼って。僕や皆も君もを頼るから」
なにも僕達は一人一人のワンチームじゃないんだ。
まだまだ強くなれる、そう何処までも。
「勝つよ一夏君!次こそはあの蜘蛛女を狩る!それだけだ!」
「ああ!」
僕と一夏は拳をかち合わせた。
一夏君の瞳に先程の迷いはない。だがそれは無鉄砲なだけではなかった。
今度こそ守り抜く為に。
そして二度と奪われないように。
決意を再確定し、次に活かすために
「うんうん、良いわね男同士の友情って、お姉さん涙出てきたわ、グスッ」
「「ん?」」
「悠君あの時のアドバイス覚えててくれてグスッ……感激!!」
何処からか楯無さんの声が聞こえた、気がした。
しかしキョロキョロと見回し、カーテンの裏を覗いても姿はなかった。
「気のせいだよね?」
「そうだな、きっと気のせいだ」
「と言うか楯無さんって時々怖いよね?」
「改めて思うけど。裸エプロンとか、羞恥の欠片もないのかな。あの人」
「まじでそれ!!あの時一夏君に刺激が強いと思って両目掴んでたからね」
「なんか残念な美人って言葉が似合う気がする」
「いやむしろあれはむしろ痴じ」
「ちょっとー。命の恩人に対してその扱いはあんまりじゃない?」
「「うわぁ!!?」」
噂をすれば横に会長が召喚された。
手には【憤怒】の文字が浮かぶ扇子が。
「ど、何処にいたんですか!?」
「ベッドの下よ!ていうか誰が残念美人よ!」
「ベッドの下にいる時点で残念ですよ」
「忍び的な性なのよ、受け入れなさい」
「無理です、てか待ってください、いつからそこに?」
「一夏くんが入ってくる前から」
楯無さんの言葉にサーっと血の気が引いてくるのを感じた。
「え、えーと。つまりえーと?」
「錯乱状態の悠君びっくりしたぁ。アマゾンでもパニックを起こすのね」
「やめてぇぇぇぇ!!!」
「えっ。つまり俺のも」
「若きヒーロー君の今後に期待ね」
「ヴぁーー!!」
完全に僕と一夏君の世界で話していた。
仮にこの対話が校内放送で流れたら
端的に言って死ぬ
「お願いします忘れてください、後生ですから。残念美人ってのは嘘です、貴方は世界で一番美しい女性です」
「僕にアドバイスを教えてくれた楯無さん誠に申し訳ありませんでした。なので忘れてください」
「えー嫌よー。だって二人の大事なルーツじゃない?二人の身柄を預かる身としては知っておかないと。まぁ悠君のルーツはある程度知っているけど」
「じゃあいいじゃないですか!」
聞けて良かったわと楯無さんはいつもと変わらない笑みを向けた。
弱味ってほどでもないけど弱味を握られた僕達だった。
とりあえず話題を転換しなければと僕は学園祭がどうなったのかと楯無さんに聞いてみた。
「そっか、明日は来場者無しで。生徒のみの二日目という訳ですか」
「ニ度目の侵入者が来ないとも限らないし。だけど中止にするとなると、今日まで準備をしてきた生徒からの批判の声も出る。悠君は明日妹ちゃんや駆除班の友達が来るって言ってたけどご免なさいね?」
「いえいえ、状況が状況ですし仕方ないですよ。一夏君。大和君なんか言ってた?」
「弾は吠えてたけど、大和のやつモテてるのかダメージゼロだった」
「それだけ?」
「スイーツの出し物全部行きたかったとかなんとか」
やっぱりだ。しかしこれには我慢してもらうしかない。今回は犠牲者が一人も出なかったのは本当に奇跡だ。二日目もそうなるとは限らない。
「大和が悠に宜しくだってさ。保健室に担ぎ込まれたって言って心配してたぞ」
「一夏君。そういうのは喋らないお約束でしょ」
「すまん、でも知られて困ることでもないだろ?火事の対応で怪我したって言っといたから」
「まぁそれらしい理由だね。助かった……」
と言うか僕達は話題を変える事にした
「ところで、楯無さんはなんで此処に来たんですか?学園祭の報告なら帰ってください」
「いやんっ。そんな邪険にしないでよぉ、お姉さん泣いちゃう」
「本題をお願いします」
「ツレナイナー」
楯無さんが話してくれたのはオータムが逃げた後のことだった。
亡国機業の増援が学園を強襲、オータムを連れ去って学園から退去。イギリスのBT搭載機、謎のアマゾンについては、まだ調べているとのこと。
「と言うか綾音は!!綾音はどうなったんですか!!」
「綾音ちゃんは無事よ。ISもダメージあったのにいつのまにか自己修復されてるわ」
「よかった………」
「あの、ところで。楯無さんって何者なんですか? さっき忍びとか言ってましたし」
「才色兼備眉目秀麗完璧超人の生徒会長とは私のことよ」
「そういうのはいいです」
「ああっ、ついに一夏君まで塩対応に、オヨヨヨ。コホン、更識家というのは昔から日本を守護するお家柄でね。暗部ってわかる?」
「ええと、裏の実行部隊的な?」
「そうよ。そのなかでも更識は対暗部用暗部、日本を蝕まんとする者を秘密裏に対処したりする、日本の裏の番人ね。私はその更識の若き当主なの。今の私の仕事はあなた達男性IS操縦者を守ること。もちろん野座間製薬からもきつく言われたわ」
だから綾音との繋がりもあったわけか
「もしかして、僕と一夏君の部屋換えも?」
「ええ。まあ当面の危機は去ったでしょう。流石に立て続けに学園を襲撃するとは考えにくいし、私も少しは休まるわぁ。あ、でも絶対ではないから気を引き締めといてね二人とも」
揃って頷いた。まだ危機事態は去っていないのだから。
しかし暗部用暗部、それも当主とは。想像以上に曲者だったというわけだな。
あのハイスペックぶりも頷けるし、
てかロシア国家代表と生徒会長も加えて属性盛りすぎじゃない?この人。
「てことは、楯無さんは俺の部屋から居なくなるんですか?」
「寂しい?」
「あーいや…そうですね、少し寂しくはあります」
言葉に何か偽りがありそうだと感じたけど黙っておく事にした。
「そうねー、私も寂しいわぁ。一夏くんで遊べなくなるし」
「あはは」
「なーーんてっ。そうは問屋が下ろさないのよねぇ!これなーんだ!」
じゃーーんとテンション高めに出されたのは、俺達がシンデレラの劇で被っていた王冠だった。
「王冠ですね?」
「うん、これを手にした物は栄光。つまり、王子様と同じ部屋に暮らせるという素敵アイテムなのだっ!」
「「はぁ!?」」
これで納得した、一夏ヒロインズが血眼になってまで一夏君の王冠を欲し。逆に僕を全く狙わない訳を。
「なに考えてるんですか。俺と暮らして楽しいわけないでしょう」
「いやいやいやそんなわけないでしょ。と言うかもう鈍すぎて凄いよ」
「え?おう、ありがとう?」
誉めてない、一個も誉めてない。
一夏君との一緒の部屋に暮らすということは相対的に他の女の子より長く接する事が出来るという強大なアドバンテージを誇る。
女子にとっては喉から。否、全細胞約60から手が出る程の眉唾物なのだから。
「あら、随分他人事みたいに言うの悠君は。鈍いなら悠君にも言えるわね」
すると僕はカクカク震え出し、ベッドから立ち上がってドアを手に掛けようとした
「逃がさんぞ(CV谷山紀章)」
「うわぁぁぁぁ助けてぇぇ!!!!」
楯無さんがいつのまにか肩に手を置いており、連れ戻される
「と言うか落としたの忘れてたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
そう、悠は一夏の異変を感じて全速力で走ったせいで落としたのを忘れていたのだ。
「てか離れたら電撃が流れるはずだよな?」
「多分仮説だけど
悠は声にならない声を出しているので諦めるしかなかった。
「因みに誰と同棲するのか教えないでください。」
「あら悠君にしては珍しいわね」
「もう………わかってるんですから」
悠の表情は何か悲しい表情をしていたのだが、楯無さんは空気を読んだのか一夏君にだけ何か渡してきた
「避妊はしっかりしなさいよ。ほら、これ上げるから」
「何でそれ持ってるんですか!!」
「え、一夏君。私との子ど」
「言わせませんよ!!」
悠はベッドから降りて悠の分のゴム性のやつを持って何処かへ行こうとした
「悠!お前何処行くんだよ!」
「仁さんのところ……」
どう言う意味かと思い二人はGoogleで調べるととんでもないものが出てきた
鷹山仁 ゴムしろ
二人はそれだけで何かがあったんだと察したのだった…………
「まぁもう一個あるけどね」
「もうやめてください」
アマゾンMの出番が劇的に減るかもしれません