インフィニット・アマゾンズ   作:らんくらニキ

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生徒会長と戦ったらむっちゃかっこいいだろうなぁ〜



第五十二話 エキシビションマッチとかマジ?

僕達は今二組の所に所におり、綾音を送っていた所です

 

「あ、ここら辺でいいですよ」

「じゃあここでお別れだね。一緒に回れて楽しかったよ」

「それはよかったです!ではまた」

 

相変わらず綾音の笑顔って良いよなぁ僕がもしも人間だったら付き合えたのに、おっと嫌な言葉が漏れてしまった。

 

「あと悠さん!」

「うん?」

「楯無様の午後の出し物………楽しみですね!」

「えっ……あぁ期待しといて!」

 

改めて別れ奉仕喫茶には一夏君達5人も戻ってきた

 

「戻ってきました!!」

「おかえりなさいですわ」

「じゃ、早速行こうぜ」

「待て一夏!!悠に話がある!」

 

すると突然メイド服姿のラウラさんが待ったを掛けたと言うかこの人織斑先生に爆笑されて恥ずかしがってたけどよく慣れたね。

 

「綾音とはどうなったのだ!!!上官命令だ言え!!」

「あの時の綾音の表情はとても心に来たんだからな」

「結果はどうなりましたの?」

 

3人から詰められている僕を見て一夏君は疑問に思う

 

「なぁシャル、悠に何があったんだ?」

「それはね、シンデレラ中に綾音が悠に告白して振られたらしくてその後の話をしてるんだ」

「悠が振るなんて珍しいな………」

「相当悩んだらしいよ。一夏もこう言うのが来るかもしれないからね」

「そうだな…………(ん?シャルなんて言った?)」

 

一夏が複雑に思っているが、悠の結果はと言うと………

 

「無事仲直り出来ました」

「そうか!良かった。」

「悠さんならできると思ってましてよ」

「お礼に赤飯を炊いてやろう」

「早い早い早すぎるって」

 

こうしていたらもう直ぐ出ないといけない時間となり、行くことになったのだが………

 

 

「というわけで私と戦って貰うわ!!」

「唐突っ!?」

「楯無さんは一度『というわけで』という言葉をちゃんと調べてください」

 

第4アリーナの女子更衣室に集められた俺と一夏。

 

………とりあえず何故女子更衣室に入っているのかというのを弁明させて頂くと。

男子更衣室が木っ端微塵になっているんですよ

 

オータムとの戦闘でロッカーは薙ぎ倒され、アラクネのアーマーが自爆したことにより男子更衣室は殆ど焦土と化し。

と言うかその前に僕がオータムを吹き飛ばした際に壁に穴が空いてしまったと言う訳

 

どうも、この件の元凶です。

今はその場しのぎで壁は塞がってるが。数少ない男子更衣室の一角が潰され、僕と一夏君は実技学習の度に走る回数が増えることに。

足が速いせいで一夏君が置いていかれそうなのでもう抱きかかえて走ろうかなと思う

 

話を戻そう。

僕と一夏君は楯無さんに生徒会のイベントのために第4更衣室に集められ「私と戦って貰うわ!!」と言われたのである。

説明終わり。

 

「楯無さんと戦うことと生徒会の出し物って関係あるんですか?」

「具体的には生徒会の出し物ではないのよ。生徒会主催ではあるけど」

「それってどういう?」

「生徒会の出し物は飽くまでシンデレラであって、今回は単純に皆を楽しませる為にISバトルを開催しようってわけ」

 

成る程ねぇ。ISバトルの観戦は観客にとっては至上の娯楽。

 

今まで血みどろな世界で生きてきた僕やそれとは無縁に過ごしてきた一夏君や色んな人がSFから飛び出したような現実離れした戦いをノーCGノンフィクションで見れる。

しかも無料で見れるのだから楽しみだと思う人もいるだろう。

 

「一夏君と悠君がペアとなって、私とエキシビションマッチ。シンデレラ城ステージでやってもらうわ」

「僕達と楯無さんでですか」

 

国家代表、しかもオータムを完全に手玉に取った実力者とのバトル。

勝ち目はほぼなし、はっきりいって無謀。だけど………

 

「やろうぜ悠。俺は楯無さんと戦ってみたい」

「やる気なの良いね」

「今の自分の実力でどれだけ楯無さんに食い下がれるか知りたい。手を貸してくれるか悠?」

「わかった。楯無さんもこちらからも宜しくお願いします」

「そういってくれて嬉しいわ。断られたら色々やるつもりだったけど無駄になって良かった」

 

ガチで危なかったマジで。肝が冷える事をそう簡単に言わないでください

 

「二人とも親睦が深まったみたいね。なんていうの?男の友情的な?」

「「そうですか?」」

「ほら仲良し」

 

会長は【絆】の文字がついた扇子を広げた。

元から僕と一夏君は最初期から仲良かったはずだけど。

昨日お互いのアキレス腱を見せたことで楯無さんの言うように親睦が深まったからかな

楯無さんは「先にピットに行ってるから」と更衣室を出ていった。

 

「じゃあ一夏君。作戦会議するよ」

「ああ。と言いたいところだけど。先ずは着替えてピットに行こうぜ。ここ一応女子更衣室だし」

「あ、そっか」

 

忘れてた。

 

 

ーーー◇ーーー

 

 

 

「じゃあ行くか!先に行っとくよ一夏君!」

「おう」

 

電磁カタパルトから僕とアクセラオメガが射出され、アリーナに放り出された。

一番最初に見えたのはシンデレラの舞台であるシンデレラ城。

王冠を守る為に戦ったんだよな。

 

と反対側の空に装甲量の少なさをアクア・ヴェールで補った更織楯無さんとそのISであるミステリアス・レイディが待ち受けていた。

 

遅れて一夏君と白式もアリーナに入ってくると、楯無さんは頬を膨らませた。

 

「遅いわよー。レディを待たせるんじゃないの」

「ギリギリまで作戦考えてたんですよ。無策で勝てるとは思えませんし」

 

言うて五分前だし。

 

「あら、私の予測を覆せるかしら?」

「分からないけど。やるだけやってやりますよ」

「やが多いな」

 

今まで会った人の中で楯無さんはIS無しだと仁さんと駆除班全員の上に匹敵する戦闘能力とカリスマ性、そして仁さんと同じ掴みどころのない性格。僕達はこの人をどう倒すのかが鍵だ。

 

『さーて始まりました生徒会主催エキシビションマッチ!実況はいつでも部長の座を狙っています!下克上目論む新聞部副部長、黛薫子がお送りいたします!』

 

あ、黛さんだ。

眼鏡が光で反射してることから相当やる気なのだろう。

 

『本来なら解説に織斑先生をお呼びしたかったのですが。事務作業が大変で解説してる場合ではないとか!お疲れ様です!』

 

これには観客からもブーイングが鳴る。致し方ないと理解しつつもブーイングせずにいられない。

暴れすぎるとこうなると言う事です。志藤さんに何で言えば……

 

『対戦カードは織斑一夏君と水澤悠君の男子ペアというミラクルタッグ!』

 

アリーナ中央のホロスクリーンにデカデカと俺と一夏の顔写真が写し出され、観客席から拍手と歓声が鳴り響いた

 

『ここで一人ずつ紹介!!《織斑一夏君》!座右の銘は《唐変木オブ唐変木》!!モテてるくせに超鈍感!!その姿はまるでブラ◯◯レイ大総統だああああ!!』

 

「え!?俺そんなんで言われてるの!?」

「自覚ないの?君がヘマをする度に制裁をしてきたじゃん」

「あ」

 

『二人目は《水澤悠君》!!座右の銘は《味方になれば頼もしい二歳児》!!人喰生物とは思えない人間性を兼ねてるぞ!!』

「座右の銘面白すぎるだろwwww」

「( ゚д゚)」

 

『対するは我らが生徒会長。学園最強の名は伊達ではない!ロシア国家代表、更識楯無だぁ!』

 

変わって楯無さんの顔写真。

僕達に負けないぐらいの拍手喝采を起こった。

 

『現在観客席でどちらが勝つかという投票を行い………結果が出ました!こちらでございます!』

 

ホロスクリーンに出された投票結果。

男子ペア、31%

更識楯無、69%

 

「………意外と多いね」

「ああ」

 

ほとんど一年票な気もする。

それでも倍の差が開いた。

 

自然と武器を持つ手に力が入った。僕も同じ拳を固める

同じく自身の得物である蒼流旋を持つ会長は、いつものおどけたような笑みではなく、挑戦的な笑みをこちらに向けていた。

僕達の口元も自然と上がっていた。

 

『さてお待たせ致しました。男子ペアVS生徒会長!まもなく試合開始です!』

 

ホロスクリーンに10カウントが置かれる。同時にプライベートチャネルで一夏に回線を開いた。

 

『作戦その1行くよ!』

『あぁ!!』

 

ネオアマゾンズドライバーを装着し、最初に走り出す

 

「変身前に行くとわね!」

 

楯無さんは蒼流旋の四連装ガトリングの水弾の発射させるが悠は掌を翳して弾がフリーズする

 

「あれはラウラちゃんのAIC!?」

 

『NEW・OMEGA』

「ヴォォォォアマゾンッ!!!」

 

それと同時にAICを解除して変身直後の爆風でそれを飛ばし、楯無に覆い被さるもアクア・ヴェールで塞がれる

 

「ハァァッ!!!」

 

ニューオメガはSD-4を即座に撃ち込んだ後、アマゾンスピアによる刺突も塞がれるが蒼流旋をぶつけられる

 

「槍同士の戦い!!私は好きよ?」

「そりゃどうも!」

 

ニューオメガの上から一秒遅れで一夏が肉薄する。

 

「オラァァッ!!」

 

斬りかかる一夏の前にアクア・ヴェール滑らした。

アクア・ヴェールに雪片弐型が衝突する。

それと同時に僕は弾き返される。

 

しかし一夏君は当たる瞬間、瞬時加速中に急制動をかけ、無理やり機体を横に滑らし。楯無さんの右後ろを取った。

一秒遅れで一夏が肉薄する。会長は零落白夜を螺旋する水を纏った蒼流旋で受け止めた。

 

「くっ!」

「ガラ空きですよっ!!!」

 

『AMAZON BREAK』

 

刺突攻撃すら回避する。この人何でもできるじゃん。

 

「成程、フェイント対象を入れ替わらせた作戦って訳ね」

「……!!!一夏君離れて!!」

 

初めて使ったアームワイヤーを使って一夏君を巻き付けて離れようとしたとと同時に先程僕達が居た場所に水蒸気爆発が発生した。

突っ込んでくると想定して水蒸気を配置していたのだろう。

 

「危なかった……助かったぞ悠!」

「あの蒼流旋が厄介だな……それなら!!」

 

ニューオメガは合掌するとそこから黒色の何かが生成され、それが楯無が持っている蒼流旋になる。

 

「模倣生成………面白くなってきたわ!ってあれ?」

 

 蒼流旋のガトリングをアクティブにして狙う。だが男子ペアは即座に撤退し城の影に隠れてしまった。

 

「んー。策士キャラが居ると即殺は無理か。と言うか悠君結構バトルセンス高いわね」

 

ハイパーセンサーから二機の反応が消失した。

 

「さてどうしようかしらね?」

 

 

 

ーーー◇ーーー

 

 

『男子ペアの初撃は失敗に終わり、一先ず距離を取ってステルスモードに。ここから体制を立て直す算段でしょうか?』

 

「…………悠の模倣生成はあそこまで出来たのか」

「まあ、そんなとこよね。てか今の悠の作戦?」

「だろうな、一夏なら一度引いたとしても再び向かう筈だ」

「それにしても悠が考えたとは思えないんだけど」

「福音戦のあの作戦は悠が考えたものだからな。」

 

観客席のいつもの面子が先程の二人の行動に意見をかわしていた。

幼馴染み組は一夏の性格を見て納得する。

 

「更識楯無のISは防御力、そして見えない水蒸気爆発。加えて国家代表という実力だ。悠は最初から実力の違いを理解した上で行動した」

「この作戦シャルロットさんのミラージュ・ザ・デザートに似てる気がしますわ。」

「似てなくてもそれが作戦の基礎になってるの凄いよね」

 

二人の応用力の凄さに驚くばかりである

 

「だけど一夏、なんか昨日と少しだけ雰囲気違ったよね。よく言えないし、そこまで変わってるって訳じゃないけど」

「確かに。確証はないがな。」

 

一夏、悠と学園祭を回った五人は一夏の些細な変化について、乙女の勘的なものが発動していた。

理由はやはり。

 

「昨日の襲撃アレが原因?」

「十中八九そうじゃない?聞いた話かなりピンチだったみたいだし。悠も重症だったし」

「今の世界の闇を見たのだ。多少認識が、特にISに対する見方も変わってくる」

 

この中でただ一人軍属であるラウラは一夏たちが隠れてたであろう城を見つめる。

 

目の前の相手から一度引く。今までの一夏なら考え付かないような戦い方。

たとえ悠が指示したとしても、あそこまであっさりと引くのは皆の目から見ても驚きだった。

 

それほどあのオータムの戦いは一夏の中の何かを変えたのだ。

 

「綾音、悠はどうだったのよ」

「悠さんは一夏さんのペースに合わせている前提で動いていますけど楯無様には遠慮なく倒そうとする姿勢が見られます。ただ」

「ただ?」

「色んな所に連れてってくれました。吹奏楽部のビブラスラップネタが面白いし、中々に可愛げや面白かったです」

 

ポッと照れたように惚気る綾音を生暖かい目で見る一夏ヒロインズの面々。自身よりも相手の楽しみを優先し、なおかつそこに幸せを感じている綾音。最初おお、ちゃんと見てるんだなの印象からその献身さに何処か心を打たれた一夏ヒロインズは間違っても「今言うんじゃないよ」とは言えなかった。

 

「と言うか悠の仲直り力って凄いわね。あいつ綾音に合わせる顔がないとセシリアと一緒に回ってたのよ」

「まぁ、浮気じゃないですか…………と言っても鈴さんとシャルロットさんとも回ったんで浮気じゃないですね」 

 

浮気じゃないですかの時の目に光がなかったのは気のせいだが、セシリアは補足説明する。

 

「悠さんは綾音さんに対して申し訳ないように感じましたわ。あんなにも葛藤しているの初めて見ましたわ」

「それが悠さんの魅力なんですよ〜。ぜってぇ奪わせないからな」

 

綾音の壊れてしまいそうな可愛い声からCV黒◯崇矢の声の様な低い声で脅された。

 

「あのー綾音?」

「どうかしました?シャルロットさん」

「もしかして…………メンヘラ?」

「そんな訳ないじゃないですか。愛ほど歪んだ感情はありませんよ」

 

悠といい綾音といいなんで自分達が一夏に対する感情の矛先を理解してるのかと思ったのであった。

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「悠、こんなんで隠れられてるのか?ステルスモードなんて初めて使ったけど」

「結構中側に入ったからね。覗き込まれでもしない限り通常ISの索敵だったら大丈夫」

 

今僕達はステルスモードを最高レベルで発動している。

この近い距離だと戦闘出力はおろかスラスターを少しふかすだけでバレる。 

音声でもバレる可能性があるため、今俺たちが出来るのはシールドバリアとPIC、そしてプライベートチャネルのみだ。

 

「予想通りとはいえ、やっぱ防がれたな」

「やっぱ付け焼き刃のフェイントじゃ駄目だったか」

 

一夏君の攻撃は直線的だ。それ故に射撃戦だと被弾率が高く、近づく前にやられるのが一夏君の負けパターンだった。

それは皆にも注意されていたし。そのためのサークル・ロンドだったのだから。

 

だから今回は初撃からフェイントを噛ましてみた。

 

「一夏君の性格を知ってる相手で、代表候補生レベルなら一発ぐらい刺さりそうだったけど今回は相手が悪かった」

「やっぱ凄いんだな、あの人」

「代表だからね」

 

代表の強さがこれだとしたら曄さんとどっちが強いんだまじで

 

「それにしてもSD-4のスラッグ弾が効かない。純水が使われているかもしれない」

「純水ってたしか電気を通さない水の事だよな」

「そう。電気は混じり気のある液体じゃないと通りにくいからね」

「科学の授業で覚えてて良かったな」

 

逆に不純物である塩を多く含む海水は異様なほど電気を通す。

ミステリアス・レイディのアクア・ヴェールはアクア・クリスタルを通して精製される。純水を作るなどお手のもの。

 

「てかどうすんだよ、このままじゃ楯無さんにダメージ与えられるか分かんないぞ」

「ありえないと思うけど、近接戦に持ち込ませるしか無いね」

「俺の荷電粒子砲は?」

「有効打だよ。幸い僕が撃つことも考えてて」

「わかった。」

 

一夏君の射撃スキルがギリギリだからね

 

「と言うかもし攻撃されたらあれやろうよあれ」

「あれって?」

「鈴さん戦の時のギリギリまで引きつけて回避。いつまでも避けるの手伝えると思わない方が良いよ。」

「あれか。やってみるぜ」

 

さて、同じ場所に長くとどまるのは流石にリスクがあるし会長も馬鹿ではない。

もし出会い頭に見つかったらその時は一気に攻勢に出る。

 

「移動しよう、音を立てずにな」

 

一夏は頷いた。

 

移動しようとしたその時。

 

頭上から破裂音が聞こえた。同時にパラパラと破片が降ってきた。

 

「な、なんだ?」

「爆発音………水蒸気爆発?」

 

クリア・パッションで城を攻撃してるのだろうか? 

そのあと立て続けに小規模な爆発音が立て続けに続いた。

 

「こ、これ大丈夫か悠?」

「………まずいな」

 

手当たり次第に爆発。目的は僕達の炙り出し?焦って飛び出てくるのを待ってるのだろうか。

 

ふと俺は昨日、楯無さんとの雑談を思い出した。

 

 

 

 

 

 

「更織は顔が広いから色々と頼み事をやってくれるのよー」

「一夏君みたいですね」

「こーら。あんなのと一緒にしないの」

(あんなの………)

「でも今回野座間は王冠の電撃装置だけをかしてくれたからね。」

「楯無さん何でもできるんですね………」

「そうよそうよ。今回の城の設計は私が考案したの。ギミック満載で盛り上げたくてね。満足したわー」 

 

 

 

心底楽しそうな楯無さんの顔が浮かんで消えた。

なんで今さら思い出した?なにに引っ掛かった? 

 

「てかこの城。結構早く作った割にしっかりしてたよな、アリーナ封鎖したのって十日前…….だった気がする」

「ああ、内装とか手抜いてるけどね。僅か短時間でここまで作り上げるのは………あれ?

「どうした?」

 

そも、この城の建築はどれだけの人が知っていた? 

少なくとも、僕と一夏君以外の生徒会メンバーは知っていた。

そしてそれを指揮していたのは? 

 

『今回の城の設計は私が考案したの』

 

…………この人ガチかよ!!

 

「おいどうしたんだよ悠!」

「このまま逃げるぞ!!有無は無しだ!」

「……あぁ!!」

 

蒼流旋で壁に穴を開けて脱出する

より遥か頭上。大きめの爆発音が鳴り響いた。

 

ミシミシと嫌な音がなり、あちこちで崩落の轟音が鳴る。

そして僕達の部屋の天井が派手に砕け散った。

 

「急げ急げ!!」

「チィッ!」

 

 

 

ーーー◇ーーー

 

 

 

 

『な、なんということでしょう。優美にそびえ立っていたシンデレラ城が………』

 

楯無さんの破壊工作により、鈍い音と共に瓦礫の山となったシンデレラ城。

流石の黛薫子も目の前の光景にドン引きしていた。

 

観客席の生徒も同様、いや動揺していた。

箒達も開いた口が塞がらず。綾音は爆音による心肺停止(数秒後に復帰)。

 

更識楯無は一向に出てこない男二人の様子を周回しながら探していた。

だが下手に近づけば奇襲に合いかねない。

 

だから楯無は閃いた。

 

「そうだ、更地にしよう」

 

城の設計に携わった楯無は城の支柱となる場所を熟知していた。

城の周りを周回しながらアクア・ナノマシンの霧を仕込み、支柱を根こそぎ爆破。

自重により瓦解した城は中に隠れていた二人ごとぺしゃんこにしてみせたのだ。

 

木の葉を隠すなら森のなか。

ならば隠れてる森ごと焼き払えばいい。

楯無が行ったのは正にそれだった。

 

見るも無惨な形となった城の上で浮かぶ楯無の顔は正に悪役そのものだったと、観客は後に語っていたという。

 

誰もが無事ではすまないだろうと思った。

だが試合終了のアナウンスはならない。

何故ならまだ試合は続いているから。

 

「「たぁ~~〜~~~〜~~てぇ〜~〜~〜~〜~なぁ~~~~~~~しぃ~~~~~~~さぁ~~~~~~~ん~~~~~~~!!!!!!」」

「その声………まさか!?」

 

楯無が上を見ると一夏と白式、ニューオメガとアクセラオメガの姿であった

 

「ど……どうして!?」

「よくもまぁあんなことしてくれましたね!!」

「俺達もう容赦しません!!悠行けぇ!!」

「合点承知!!!」

 

そこからのニューオメガの行動は早かった。蒼流旋のガトリングで一気に距離を詰め、そこから無茶苦茶な方法でガン詰めし、いつ身につけたんだと思うぐらいの槍捌きで楯無を圧倒する

 

「ドォォラァァァァ!!」

「キャアッ!!」

 

ニューオメガがあの学園最強を吹き飛ばしたことにより会場はありえないほどの盛り上がりを見せる

 

「へぇ……やるじゃないの」

「最大火力で叩き潰してやる!!」

 

するとニューオメガはボルテックカートリッジを大量生成し、それにより地面が水浸しになる。

 

(悠のやつ何をするんだ?)

(これって………まさか!!)

 

楯無は警戒して蛇腹剣型武装の《ラスティー・ネイル》を呼び出して構える

蒼流旋を高々と上げると地面に濡れているボルテックカートリッジの電極水が槍に集まってくる。

 

そう、この攻撃はネタバレにもなりゆるのだ。

 

集まった電極水を纏い始めるとなんだか電撃が発生しまくる

 

(刺突攻撃………ってえ!?!?)

 

しかし次の行動により楯無の顔は困惑の感情で歪められる

 

「オラァァァァァッ!!」

 

まさかの投擲!!ありえないほどのスピードを出しながらも蒼流旋は楯無一直線に飛んでいく。

 

「ここに賭ける!!」

 

ニューオメガは天ノ雷弓を生成し、電圧炸裂弾頭矢そ放ち、それが蒼流旋に当たって等倍で加速し、楯無の方の蒼流旋とぶつかり吹っ飛ばされる

 

『水澤君の必殺技!!《雷海加速投槍(サンダーオーシャンブレイク)》が決まったぁぁ!!因みに私が今名づけました!!』

(必殺技センスねぇ!!)

 

綾音の武器を使わせてもらったところでニューオメガはそのまま瞬時加速により楯無に近づく

 

「はぁっ!!」

 

ガギン!!と音がしたものの肩アーマーで受け止めており、そのままボコスカ殴りまくる

 

(嘘……反撃のタイミングもないじゃない!!)

『BLADE LOADING 』

 

続いてニューオメガソードとアームカッターによる斬撃が追加され、楯無はラスティー・ネイルを手放してしまう。

 

ここまでは良かった。すると不思議なことが起こった

 

エネルギーをためていたスラスターで瞬時加速!体ごとぶつかり。

 

「ちょっ、悠君?!?」

 

渾身の力をこめてその細い体を。

 

抱き締めた。

 

ニューオメガは戦闘の真っ只中。現在進行形で対戦相手であり敵である楯無さんをミステリアス・レイディごと正面から抱き締めたのだ。

 

しかしガチでやる気らしく、アームワイヤーでガチガチに拘束する

 

「は、悠君!!何してるのよ!」

「貴方を……倒す為ですよ」

 

目が合ったのだが、真っ赤に発光した複眼に楯無さんは冷汗をかいた。

 

いまだ全身を使って会長の体に絡み付く僕とアクセラオメガ

観客の動揺の声も聞こえるし、多分黛先輩も困惑してるかテンション上がってるだろう。

 

さて先程の質問に答えようか。

がむしゃらに行こうみたいな感じでこんな奇行に走ったのは他でもない。

 

「一夏君今だぁぁぁ!!」

「応!!」

 

ハッと見上げた空。

そこには一夏と白式・雪羅の姿。

 

僕達は楯無さんに比べたら弱い。それは抗いようのない事実であり。正攻法で攻めたとして、例え2体1だとしても負ける可能性は充分にあるし、それは全生徒も周知のこと。

 

だからとにかく即実速攻の強襲攻撃。時間をかけずに一瞬の間に叩き込む短期決戦仕様。

零落白夜を当てれば僕達の勝ち。ならば。

 

「巻き添えで死んでもらいます!!」

「だいぶエグい事言ってるの気づかないの!?」

「貴方こそ今まで言ってきたじゃないですか!!」

 

この後の展開を読んだ楯無さんは形振り構わずクリア・パッションを自機周囲に展開、自爆覚悟でこの拘束を抜け出す。

 

「そうはさせない!!」

 

周囲に即座にブルー・ティアーズのビットを展開するがビットに電撃効果を付与したことにより霧が無くなる。

 

 

「零落白夜! 全、開!!」

 

白式・雪羅が金色の光を纏った。

二段階瞬時加速(ダブル・イグニッション・ブースト)と最大出力の零落白夜を発動させてこちらに突っ込む姿は正に流れ星。

 

あと数瞬もすれば零落白夜の刃が俺ごと会長を切り裂くだろう。

一夏君に躊躇いはない。当然だ、作戦の為なら仲間すら犠牲にする契約を交わしているからだ。

 

「流石ね!だか私は生徒会長。二人の予測を変えてみせるわ!」

「何っ!?」

 

突如、会長の体が爆発した。

 

「嘘だろおい!?」

「えっ?」

 

気付けば僕は楯無さんから離れ、一夏君の斬撃射線上に投げ出されていた。

背後から切り裂かれる感覚と音がなった。

 

『おっとぉ!?ここでアクセラオメガのシールドエネルギーがエンプティ!!えっ、たっちゃんの間違いじゃなくて!?』

「え、悠!?」

 

僕ごと楯無さんを斬るつもりでいた一夏君。だが切ったのが楯無さんではなく僕だけだという事実に一夏は困惑し、隙が生まれた。

 

「うわっ」

 

白煙の中から薙ぎ払われたラスティー・ネイルの鞭が一夏君の体を縛り付けた。

 

「はー、正に間一髪だったわ。もう、ボロボロになっちゃったじゃない」

 

白煙の中から現れた会長のミステリアス・レイディ。

四肢に備え付けられていた丸いパーツが弾け飛んでおり、ただでさえ少ない装甲が更に少なくなっていた。

 

「………まさか!ウォーターサーバーを使って水蒸気爆発したんですか!?」

「ええそうよ。捨て身過ぎるから出力は抑えたけどね。おかげで私のシールドも減ったけど、零落白夜を食らうよりはマシよね」

 

僕も無茶苦茶やった自覚は大有りだが。楯無さんも負けず劣らず無茶苦茶だ! 

 

「私も勝つためなら手段選ばないのよ。さて、そろそろいいかしらね!」

 

何も持たない楯無さんの右腕にいつの間にか集まった三つのアクア・クリスタル。

そこから飛び出した大量の水が形をなし、蒼流旋と同サイズの水の槍を生み出した。

 

「もうなんでもありじゃん」

「最大出力は無理だけど。今の一夏くんならこれで充分!」

「うわっ!」

 

巻き付いたラスティー・ネイルで一夏を引き寄せる。

最大の二段階瞬時加速を使用したばかりの白式にそれを振りほどける力はなかった。

 

「ここまで私を追い詰めたご褒美に見せてあげる!ミストルテインの槍!バージョン・クォーター!!」

 

一夏に突き立てられた水の槍。

純水なエネルギーが込められた水の塊。それが意味するのは勿論、爆発だ。

 

「こんなのありかよぉぉぉぉぉ!!」

 

一夏君と白式は爆炎に呑み込まれ、派手に吹き飛んで地面を転がった。

 

『白式・雪羅!エネルギーエンプティ!!勝者!更識楯無!!流石生徒会長!強烈なパフォーマンスだぁぁ!!』

 

息をつかぬどんでん返しにアリーナ観客席のテンションは最高潮。

 

「イエーーイ!!」

 

そのアリーナのど真ん中。

ボロボロのミステリアス・レイディの中で生徒会長・更識楯無は勝利のVサインを掲げていたのだった。

 

「………それにしても悠君私のミストルテインの槍を土壇場で真似してたわね………」

 

そう言いながら一夏の肩を貸していた悠の姿を見ていたのでした。

 




はいここで種明かし
ネタバレにもなる技というのはミストルテインの槍の事であり
通常時は防御用に装甲表面を覆っているアクア・ナノマシンを一点に集中、攻性成形することで強力な攻撃力とする一撃必殺の大技でもあり、自らも大怪我を負いかねない諸刃の剣。
なのですが悠はアクア・ナノマシンをボルテックカートリッジの電極水で代用し、それを投擲することによりノーリスクで高火力の技を出してました。
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