羽赫?いいえ、禁鳥翼です 作:たるんたるん
「お、おい…なんなんだよこいつ!」
「くっ!クインケが破損っ!……いや、補食されているのか?」
-----接触禁忌喰種-----
後にそう呼称された喰種。××月××日○○高校を襲撃。準特等含めCCG 捜査官20名が死亡。生徒の犠牲者は100人を越える。
「---こちら井上!準特等判断で対象をSS級に認定!零番隊の出撃を要請!」
「対象は羽赫の赫者と推測される。甲赫のクインケを持つ者は前線で壁になれ!それ以外は生徒の避難が最優先だ!」
暑い痛い。井上信吾は体のあちこちに出来た火傷を我慢しながら部下へ指示を出す。
「し、しかし!一階部分は既に炎に包まれています!」
「うるせえ!」「そんなもん窓から放り投げろ!!」
炎を出す喰種なんて聞いたことがない。捜査官になって20年余り。数多の喰種と出会い駆除し、準特等に登り詰めたというのに。
まったく、運が無いぜ。
今日は部下の小島と周辺パトロールだった。半年前新しく相棒になった小島上等。正体不明の喰種が高校に侵入したという無線を取ったのはこいつだ。
---馬鹿な喰種もいるもんですねぇ。パトロール飽きたしぱぱっと殺っちゃいましょうよ。
---いや、そこ辺には清水と下口班がいるだろ?めんどいからパス。
えぇー!いいから行きましょ!と車の方向を変える小島
。まぁいいか。暇潰しにはちょうど良い---------。
娘と同じ年頃だろうか。この学校の生徒を食べながら此方へ近づく喰種を睨み付ける。
まるでビュッフェだ。
手から放出された炎によりまる焦げになった生徒。
薙ぎ払われ肉塊になった生徒。
この喰種はそれらを廊下で食べ歩いているのだ。クインケの攻撃をものともせず。食べ方は丸飲みでとても優雅とは言えないが。
「もうすぐ援軍の第一陣が来ます。その後には0番隊が!有馬さんが来れば大丈夫よ…!」
羽赫のクインケを使いながら下口はそう皆を励ます。
「あぁそうさ。特等なら奴を……!」
それまで意地でも此処でこいつを食い止めて見せる。武器が効かないのは俺らの技術不足さ。
足止め上等!効かなくたって頑丈が取り柄の俺のクインケ。SS級甲赫で翻弄してやる。
お、おい…なんなんだよこいつ!
クインケが……。
あぁ、予備のクインケまで喰われた。
その姿形、炎を使いこなす赫者、人々を大量に食い殺した様から対象を《______》と命名する。
応援要請から十数分後に援軍が到着するも有効な攻撃手立て無し。先行部援軍第一陣、壊滅。
有馬特等率いる0番隊、対象を市街地から郊外への誘導に成功。撃退。
ただし対象の赫胞へのダメージは確認出来ず。交戦時クインケが多数破壊される。従来クインケの改良の必要性有り。対策手段の無い喰種の存在の発生はCCGの存在意義に関わる。
会話不成立のため取引は成らず。
それ以降、対象の目撃例無し。
××月××日○○高校襲撃事件は爆発テロ事件として処理。
報道規制を敷く。
なお、この情報は機密とし、外部閲覧の許可は降りない。
第0話、《セクメト》 完