羽赫?いいえ、禁鳥翼です 作:たるんたるん
宵闇が世界をどっぷりと包み込んだ頃、随分と朽ちている廃墟から喰種たちはぞろぞろと外へ出てきた。
食糧調達を仕事として組織に従事している彼らはこれからが仕事なのだ。
捜索係、運搬係は今日の仕事の準備を始めていた。戦闘班はお弁当を手渡されている。
喰種対策局CCGの支部が壊滅した直後に収穫された大量の食材のストックもまだ余裕があるとはいえ常に補充していかなければならない。組織の幹部が持って来る量では今の組織の需要を満たすには少したりない。
また、この食糧調達は喰種たちのストレス発散にもつながっている。
新鮮な生のまま喰したいと食通ぶるもの、
食材の声を聴き最も適した調理を行いたいという自称料理人、
その鼓動が止まるまでしっかり見守ってあげたいのだという愛護精神に溢れる変態_____
そういった欲求を抱えた喰種たちは率先してこの定期的に行われる仕事に参加していた。
欲求が抑えきれず個人的な狩りを楽しむ者もいたが、ここ最近の帰還率は芳しくない。5日前に複数人で出掛けたグループも未だに帰ってきてはいない。
組織から逃げ出したのでは。
そんな噂もあったようだが、大抵の喰種は信じなかった。そのグループは喰種が実質的に支配している11区のことを天国とそう呼ぶほど、組織を崇拝していたことは皆がよく知っていた。
原因としてはじめに思い付くことはやはり。
白鳩である。
他の区から派遣されてきた忌々しい白鳩共に何度も狩りの邪魔をされてきた。
だが大抵は組織力、数の力で圧倒。返り討ちにしていた。幹部は隣の区の捜査官までも惨殺してきた。
増員でもされたか。もしくは特等が派遣されたのか。
観測班の報告ではこの区にいる白鳩の人数、顔ぶれに大きな変動はないとの事だったが。隠密部隊と仲間達から呼ばれている彼らの仕事は正確で信頼できる。
となると、同じ喰種にやられたか。
消去法で考え一番確率が高い可能性はそれなのだと彼らは考える。
戦闘班の中には強奪したクインケを準備しているものもいる。
実際のところ上の連中からそう通達がきていた。今回出動する喰種の数も今までの倍だ。
共食いをする喰種は確かに存在する。飢餓からか、強くなりたいからか。喰種はRC細胞の内蔵量が多いほど強くなる。
ならば人間ではなく喰種同士での殺し会いが一般的でないのはなぜか。
人肉と違い喰種の肉体は美味しいとは感じないのだ。
ここで喰種と人間の内臓の機能について説明しよう。
ご存知の通り人間と喰種とでは体内に含まれてるRC細胞の量に大きな開きがある。
赫包が人間にはないためだ。
一般的には知られていないが、人間の内臓器官ではRC細胞が日常的に作られている、だが蓄積はされない。赫包がないため通常は生産されたRC細胞は自然に排出してしまうのだ。
対して喰種。こちらにはRC細胞の生産力はない。あるものを食べなければ。
喰種の内臓器官は食べた人間のたんぱく質と赤血球からRC細胞を生成する能力を持っているのだ。喰種には赤血球がほぼない。赤血球の必要がなく、RC細胞がその役目を果たしているため骨髄から赤血球の生成はされない。
そしてここに喰種たちが人間の肉に旨味を感じる理由が存在している。
赤血球だ。
喰種の舌は赤血球を旨味として認識しているのだ。
それが含まれていない食べ物には拒絶反応を示す。身体が欲する栄養素がないため。異物として扱うのだ。
喰種という種族はその生命活動を完全人間に依存しているといえるだろう。人がいなければ生きていけないこまったちゃんなのである。
ちなみにRC細胞、赤血球、このふたつが多く含まれるほど香りと味が深みを増すのだそうだ。
金木くんがふぉるてぃっしもなのは内臓が喰種のものだが骨髄は人間のままのため。
準備を終えた食糧調達部隊の面々は居残りの仲間達に見送られながら足を進める。
幹部こそ随行はしていないが、いつもの倍の人数だ。
幹部達に次ぐ実力を持つ実行部隊のやつクインケを装備して五人もついてくる。
白鳩だろうが、喰種だろうが怖いものなんてないぜ。
名もなき喰種は今回の遠征の成功を確信し、久しぶりに冷凍ものでない食事にありつける。と収穫のこと考えると期待で胸が膨らんだ。
この後彼らは半赫者と思わしき喰種と遭遇することとなる。
喰種には必要とされ、
人間には不必要とされる。
未だ謎に包まれたRC細胞により奇妙で歪な関係性を築いていた両者。
変わらないと思っていた関係。
だが未知の単細胞生物《Oc細胞》の登場がこの関係に変化をもたらす、のか?
第2話、《食事》 完
特技は捕食。なんでも取り込みます。群体で活動しています。
目標は星の丸飲みにすることです。
共闘フラグ立てようとしたら、滅亡フラグが既に立ってた。