また、よろしくお願いします。
気がついたら何もない白い空間にいた。
身体の感覚もなく、意識だけがそこにあるような感じ。
はたしてここは何処なのだろう…。
そう考えていると、前触れもなく上空から声が降り注ぐ。
「〇〇さん、あなたは17歳の若さでその生涯を終えました」
あぁ、やはりか… 。
男性なのか女性なのかわからない声に対して、瞬時に現状を理解する。
生まれてきてからすぐに喘息を発症した。
病弱で運動もドクターストップがかかり、幼稚園や学校なども休む事が多く、自宅にいるより入院生活の方が長い日々。
辛く苦しい日々の中、自分は何のために生きているのか。わからない時期もあった。
それでもここまで生きてこれたのは、大きな心の支えが一つ出来たからだ。
それは漫画だった。
入院生活で、少しでも退屈な時間を減らそうと両親が気を利かせ、色々な漫画を買ってきてくれた。
王道のジャンプ、マガジン、サンデー。
その他にもたくさんあり、ラブコメ、スポーツ、ギャグ、ジャンルを問わずに、全て読む。
物語の主人公に一喜一憂し、憧れを抱き、(いつか自分もこんな風になれたら…)と希望を胸に宿していた。
だがそれも、もう終わってしまった……。
「〇〇さん、実はあなたには記憶を引き継いで、とある漫画の世界に転生してもらいたいと思っています」
「REBORN!の世界にしてくださいっ!」
即座に言葉が出る。
REBORN!。
そう、
数えきれないほど様々な漫画を読んできたが人生だったが、「一番好きな作品はなに?」と聞かれれば、真っ先にこの漫画が思い浮かぶ。
主人公の
何から何まで自分の性癖に刺さっていた。
「世界を選ぶ事は出来ません。ただ、何でも好きな能力を一つ、あなたに与えます。お選びください」
「っ、……そうですか。 なら能力は、大空の死ぬ気の炎にしてください。主人公のツナは俺の憧れなんです。ツナみたいになりたいと思いながら、必死に今まで生きてきたんですっ」
世界が決められないのは残念だが、能力はこれしかない。
死ぬ気の炎は種類が複数あり、それぞれ異なる性質を持つ。
その中でも選ぶのは、やっぱり大空の炎。
主人公のツナが使っているというのもあるが、調和という能力が凄く好きだった。
「沢田綱吉のようになりたい……と、了解しました。それでは能力を、沢田綱吉が使う大空の炎に決定します。宜しいですね?」
「…?はい、それでお願いします」
少し変な言い回しをするなと思いつつも、気になる事が2つあるので、先にこちらから質問をさせてもらう。
「能力を一つ与えると言っていましたが、それとは違い、健康な身体を望む事も出来ますか?」
健康な身体、それは生前の自分が一番欲しかったものだ。
好きな作品の能力を貰っても、それを活かせる身体がなくては元も子もない。
「はい、問題ありません。病気をしない健康な身体も付与させます」
「あぁ…、ありがとうございます……。本当に、ありがとうございますっ!!」
来世では健康な身体で普通の生活が送れる。
その事に感動してしまい、もう一つのとても重要な質問が頭から抜け落ちていた。
「それでは、沢田綱吉が使う大空の炎と健康な身体を与え転生させます。準備は宜しいですね?」
「はいっ!よろしくお願いします!!」
力強く返事をすると、白い空間が少しずつ光に飲み込まれていく。
「〇〇さんの次の人生に、幸あらんことをお祈りいたします」
次の人生に胸が高鳴るが、ここでようやく重要な質問を思い出した。
「あのっ!そういえば何ですけど、とある漫画作品ってどこの世界なんですか?」
「ToLOVEるです」
「……え?なんて?」
「ToLOVEるです。正確にいえば、ToLOVEるシリーズです」
「…………えっ!いやっ、ちょっ…ちょっと待っt」
その瞬間、白い空間は光で溢れ、俺は意識を失った。