BA-SoC- 外伝『Hounds Den』   作:Soburero

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実は前々から温めていた未来編『Hounds Den』のイントロです。
レイヴンの後輩たちが書きたかったんじゃ……!
レイヴンとエアがハンドラーしてる姿が見たかったんじゃ……!


EX.0.Hounds Den

 キヴォトスの境界線ギリギリ。どの自治区も手を伸ばさなかった密林地帯。

 プロペラで空気を切り裂きながら、暗闇と霧の中を飛ぶ、1機のグレーの輸送機。

 その機体には、本来描かれているべきの校章などが一切描かれていない。

 その中に居るのは、イカロスに所属するパイロットとジャンプマスター。

 そして、猟犬が4人と、調教師が1人。

 

 《キヴォトス境界線付近に出現した武装組織について、連邦生徒会は現在調査していると述べるに留めており、詳細が明らかになっていません。》

 《これに対し、トリニティ、ゲヘナ、ミレニアムの3校が連邦生徒会を強く非難。直ちに断固たる対応が必要だと、遺憾の意を示しています。》

 

 タブレット端末から流れる、クロノスのナレーターの声。

 武装集団について何も知らないとアピールした連邦生徒会だが、実際は輸送機の中に居る全員も含めて、彼らが何者であるのかを把握している。

 悪意ある“外”の人間から物資提供を受けた、非合法武装組織。平たく言えば、テロリストだ。

 タブレットを握っているのは、連邦生徒会から彼らの“駆除”を請け負った、傭兵部隊の1人だ。

 

 「依頼主は何て?」

 

 「ノーコメント。私達が動いている事すら、うやむやにしたいんでしょうね。」

 

 「アタシらは傭兵だからしゃーないけどさ、SRTはちょっと可哀そうじゃない?せっかく仕事してんのにさ。」

 

 「それは彼女たちだって納得してるでしょ。じゃなきゃこんな作戦に来ないよ。」

 

 「そうなんかねぇ。それがホントなら、勤勉なこった。」

 

 タブレットを持った比較的小柄な少女を、同じ部隊に属する3人が囲む。

 4人の服装は同じ、ドッグタグが1つだけ付いているネックレスに、茶色の耐Gスーツ。

 違いは、左肩に着いたエンブレムだ。

 首輪からリードが伸びた猟犬の下に、ルーシー、エルマー、ローズ、ロキ、と、それぞれの猟犬としての名前が書かれている。

 ニュースを見ながら談笑する4人から少し離れた場所に、彼女達より少し年上の女が座っている。

 同じ耐Gスーツに身を包み、その左肩に黒と朱の4枚羽のカラスのエンブレムを掲げる、傭兵部隊のリーダーが。

 

 「ハウンズ、降下まで5分だ。準備しろ。」

 

 「「「「了解。」」」」

 

 リーダーが4人の少女に声を掛けると、タブレットをジャンプマスターへと渡し、各々が自分の装備の元へと歩む。

 土気色の無骨なパワードアーマーをリーダーが、自分のために調整された強化外骨格を、隊員たちは身にまとう。

 アーマーを起動させたリーダーが、軽く飛び跳ね、首を回し、己の装備を点検し、それぞれのやり方で戦いに備えている隊員に振り返った。

 

 「おさらいだ。敵部隊が設営した仮設基地を襲撃し、人員を排除する。」

 「輸送機より降下した後、目標まで強襲。基地を徹底的に耕して、SRTに引き継ぐぞ。」

 

 『レイヴン、基地の人員が想定よりも多く展開されています。こちらの動きが察知されている、そう考えた方が良いでしょう。』

 

 「想定内だ。作戦通りに行くぞ。」

 

 衛星で敵基地を監視しているオペレーターから警告を受けるも、リーダーも隊員たちも動じない。

 敵の数が増えようと、新兵器が用意されていようと、彼女たちがやるべきことは変わらないのだ。

 リーダーはヘルメットを小脇に抱えたまま、手を動かさずに別動隊へ回線を繋ぐ。

 

 「ハウンズ指揮官よりSRT、こちらは後2分で降下する。そちらの状況は。」

 

 『こちらテウメッサ1、状況に問題はない。』

 

 『ヴォーパル1、問題ありません。』

 

 「何よりだ、ユキノ、ミヤコ。俺達の後始末は任せるぞ。」

 

 『その口ぶり、相変わらずですね。』

 

 『全くだ。お前達の小間使いではないのだがな。』

 

 「そういう仕事だ。分かっているだろう。」

 

 『無論だ。こちらも作戦通りに降下する。ハウンズ、武運を祈る。』

 

 「感謝する。ハウンズ、アウト。」

 

 SRTテウメッサ小隊、及びヴォーパル小隊。元々、FOXとRABBITと呼ばれていた少女たち。

 卒業後もなお、連邦生徒会とキヴォトスに仕える事を選んだ者達だ。

 隊員たちはアーマードコアの頭部を模したヘルメットを被り、それぞれリーダーの肩を叩いて横に並ぶ。

 そして、リーダーもヘルメットを被り、バイザーを下ろした後、ジャンプマスターに向かって軽く頷いた。

 

 「ドア解放!」

 

 貨物庫の照明が落ちた後、ブザーと共にハッチがゆっくりと開いていく。

 傭兵部隊の眼下には、木々が生い茂る密林が広がり、彼女たちはさらに1歩前に踏み出した。

 傭兵部隊の両脇で着陸地点の安全を確かめたジャンプマスターが、右腕を振り下ろし、指先を外に向ける。

 瞬間、5人は一斉に駆け出し、8000メートルの上空から、夜の影へ飛び込んだ。

 

 空が赤く染まった日、キヴォトス事変より数年。

 かつて世界を守った英雄の1人、独立傭兵レイヴンは、傭兵部隊を設立。

 独立傭兵部隊“ハウンズ”。圧倒的な戦果と任務達成率を誇る、キヴォトス最強の傭兵部隊。

 彼女は自らが鍛え上げた猟犬たちと共に、今もなお、戦いに身を投じていた。




『Hounds Den』はハウンズの新入り「メリッサ」の視点で物語が進む予定です。
今ウンウン唸りながらプロットを整えておりますので、生暖かく見守っていただければ幸いです。

次回
新たな猟犬
受け継がれた灯が、新たな首輪を作る

次回も気長にお待ちくださいませ。
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