PERSONA5 THE ROYAL PARADISE   作:ぎんすた

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続き書いちゃいました!
本作はちなみに同一世界線でのクロスオーバーです。

カツパラ公開おめでとうございます!
公開日前に間に合わせたかったけど…間に合いませんでした。

ちなみに本作のスタート時系列はというと

プリパラ側→アドパラから2年後(サザエさん時空思いっきり解除)

P5R側→鴨志田編後、最初にメメントス入った後辺りから
です。
(学校がそもそも違うので、らぁら達を鴨志田編に投入するのは無理がある為。)

時はプロローグより半年以上前…
ではどうぞ。


11/7 設定の追加に伴い一部加筆修正しています。


#1 怪盗アイドル はじめちゃいました!

 

5/7日 土 晴れ 朝

 

ーパラ宿ー

 

 

 

 

 

「行ってきまーす!」

鞄を抱えてあたしは学校に向かうために、パスタ屋である家のドアを開けて出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

あたし、『真中らぁら』!

 

しょう…じゃなくて…

 

 

 

 

 

中学2年生!!

 

 

 

 

 

 

 

プリパラも沢山の元パラのアイドルたちが戻ってきてくれたおかげで、沢山の人にプリパラの記憶が少しずつ戻り始めているんだ。

 

 

 

 

そして、あたしももう中学生

 

2年生になって一ヶ月位経つけど、

中学になってから勉強はより難しくなったし、違反チケットも相変わらず貰ったりで大変だけど…

 

毎日楽しいです!

 

 

 

 

 

 

けど、大神田校長とあじみ先生以外の教師達があたしに向ける目が変わったような…。

 

とにかく、最近クラスの間であることが話題になってるんだけど…。

 

 

 

 

 

 

 

〜♪(スマホの通知音)

 

 

 

 

 

 

「ん?何だろ?」

ポケットの中でスマホが震え、スマホを取り出して確認する。

すると、赤い目玉のアイコンが特徴的な謎のアプリがインストールされていた。

 

 

 

 

「これ…インストールした覚えないな…。

南委員長から、怪しいアプリは開かずにアンストしないとダメだってよく言われてるし、取り敢えずアンストしとこ」

あたしは前に委員長に言われたことを思い出して、そのアプリをアンストし学校への歩みを再開する。

 

 

 

この時、あたしは知らなかった。

 

 

このアプリが、あたしの運命を大きく変えるきっかけの一つになることを…。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

怪盗アイドル

 

はじめちゃいました!

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

5/6日 金 曇り 昼間

 

 

ー私立パプリカ学園・中庭ー

 

 

 

 

 

 

心の怪盗団?噂のやつ?」

 

 

 

 

 

「そうそう!最近、元オリンピック選手の鴨志田が急に自首したってニュースあったじゃん!

それが心の怪盗団っていう集団の仕業じゃないかって、話題になってるんだよ!

らぁら、知らなかったの?」

「鴨志田の自首はネットニュースでもやってたから知ってたけど、そこまでは調べてないな…。

怪盗団の名前も噂でちらほら聞く程度だったから、それは知らなかったよ」

 

昼休み。

あたしはなおから怪盗団の噂を話してるスレッドが表示されたスマホの画面を見せられながら、ママに作ってもらったご飯を食べていた。

 

最近、怪盗団っていう人たちのことがよく話題になっている。

あたしは噂に聞いていた程度だから、詳しくは知らないんだ。

 

 

「らぁらって、SNSやってるのにあまりこういう話題には疎いよね」

「SNSって友達のつぶやき見たり、情報収集の為に使ってるだけだからな…。

店の宣伝とかはほぼのんに任せっきりだし」

「のんちゃん、まだプリッター使えない年齢だよね!?のんちゃんにやらせて大丈夫なの!?」

「アカウントはママ管理だから、そこは問題ないよ!」

「そーなんだ、なら大丈夫だね。

でね、その怪盗団なんだけど…」

 

なおの話によると、秀尽学園高校っていう学校の掲示板に怪盗団って名乗る人達から鴨志田って人に対して、『歪んだ欲望を頂戴する』と予告状が出されていたらしい。

 

鴨志田はバレー部の部員に対して酷い虐待をしていて、それを学校側も隠していたせいで今まで明るみになっていなかった。

 

けど、ある日突然鴨志田がそれを自白したことで虐待のことが白日の元に晒されたんだって。

 

 

「酷い…そんな事件があったんだ…」

「学校側の対応も最悪だよ!生徒を守らないで学校の名誉優先とか、そんなのうちじゃ考えられないよ!

 

うちだったら校長先生が絶対クビにしてるもん!

怪盗団凄いな…」

 

あたしも虐待は酷いと思うし、それに対する学校側の対応もどうかと思う。

けど…。

 

「怪盗団の人達って、予告状を出すだけなら堂々と表に出てこられなかったのかな?

歪んだ欲望を盗むっていうのもなんか現実味ないし…」

「どうして?」

怪盗団に対して、懐疑的なことを言ったあたしに対して首を傾げるなお。それを見てあたしは続きを話す。

 

 

「うーん…あたしが怪盗にいい思い出がないのも理由なんだけど、同じ怪盗やってたジーニアス…ひびきさんはちゃんと表に出てきた。

 

でも、怪盗団はなんで予告状を出しただけで、表には出てこない…。

それって、何かズルいな…って思っちゃった」

怪盗っていったら怪盗ジーニアスの印象が強すぎて…

 

それと比べてしまうけど、心の怪盗団は予告状を出すだけで姿は目撃されていない。

本当に盗んでるのかも怪しいし…。

 

 

「つまり…らぁらは怪盗団アンチ、だけどジーニアスは違うってこと?」

「アンチとは言ってないよ。

ジーニアス推しでもないし。

ただ、やり方がわからない以上賛成できないよ。

 

あと、心だとはいえ盗むってよくないし!」

「じゃあ、あくまで中立ってことだね。らぁらは」

「そうなるかも…。あと、プリパラポリスの立場もあるし」

「はぁ…私の心も盗んでくれないかなぁ…怪盗団…!」

「なおは心歪んでないでしょ」

 

なお、すっかり怪盗団に夢中だな…。

ひびきさんが何か別名義でやってる可能性のほうがありそうだけど…

 

…怪盗団かぁ…。

スマホで怪盗団について検索してみると、彼らに関する話題がいくつか出てきた。

 

その中で、気になるサイトを見つけた。

 

 

 

 

 

「『怪盗お願いチャンネル』?」

そのサイトを見てみると、怪盗団に救われたって人が設立した掲示板だった。

多分、秀尽の生徒さんが設立したのかな?

見てみると、色々な書き込みがされてた。

中には本気で改心を望んでるのか、改心させたい人の本名書き込んでる人いるんだけど…大丈夫?

 

とにかく、こんなサイトが作られているってことだから、怪盗団に救われたって人が実際にいるってことだよね?

 

 

 

「あー!ますますわかんないよ!怪盗団!!」

あたしは思わず立ち上がり、大声を出して頭を抱えた。

 

怪盗団、貴方達は何の目的で歪んだ心を盗んでるの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「真中さん」

 

「…!南委員長?…あ!」

突然の南委員長、両手にはそれぞれクリップホルダーと1枚の小さな紙…。

そして、思わず大声を出したあたし…まさか…。

 

「自分から気づいたのは良しとするわ。

けど…それとこれとは話は別。

怪盗団に興味を持つのはいいけど、声のボリュームは抑えなさい!

 

 

 

パプリカ学園校則 第4953条…

 

校内でむやみに騒音を発してはならない!!

 

 

 

通算1117枚目の違反チケット!

 

 

 

バシン!!

 

 

 

「うえぇ…」

「毎度の光景だけど…らぁら、大丈夫?」

「うう…大丈夫…」

やっぱり違反チケットを頭に貼られたぁ!!

もうすっかりお馴染みの光景だけど、やっぱ貰うと萎えちゃうな…。

 

 

 

《南みれぃ》

高校1年生

パプリカ学園の高等部生徒会所属&学園全体の風紀委員長。

あたしやそふぃと一緒のチーム、SoLaMi♡Smileに所属しているんだ。

普段は厳しい風紀委員長だけど、プリパラ内では語尾に『ぷり』を着けたポップなアイドルへと様変わりするの。

頭も良くて、頼れる大親友なんだ!

 

 

 

 

 

「ところで珍しいわね、貴方がそういうサイトを見るなんて」

「あ、これですか?」

ある意味恒例行事をやり終えると、南委員長は視界に入ったあたしのスマホの画面を見てそう言った。

 

「はい、なおと話しててそういう話題が出て…。

怪盗団のこと、委員長も知ってるんですね」

あたしは委員長に画面を見せるついでに、怪盗団のことを尋ねてみる。

すると委員長は少し俯いて口を開いた。

 

 

「ええ、当然よ。

あの事件は全貌が最悪だったから、流石に印象に残ってるわ。

彼らが動かなかったらきっと…被害が増えていたかもしれない…。

 

法を無視したやり方は容認できないけど、そうしないとあの鴨志田という男の出した被害は表に出なかったってなると…色々考えさせられるわね」

「南委員長…」

委員長は両親がそれぞれ検事、弁護士と父母共に法曹関係者だ。

だから法を無視したやり方を否定しつつ、怪盗団が動かなければ事態は好転しなかった現状に複雑な想いを抱いていたみたいだった。

 

 

 

「あと、そろそろ時間じゃない?

急がないと次の授業に間に合わないわよ?」

「時間?」

委員長に促されスマホの時刻を見ると、午後の授業の時間が迫っていた。

 

「あ、忘れてた!ありがとう南委員長!

なお、行こう!」

「うん!」

あたし達は座ってた場所から立ち上がり、徒歩で急いで教室へ戻る。

歩き出す前、あたしは「真中さん」と委員長に呼び止められた。

 

「急いでいても廊下を走ってはダメよ!それとその変なアプリ、心当たりないなら消しといた方がいいわよ」

「変なアプリ…あ!」

 

指差されたのはまたスマホの画面…。

あっ!赤い目玉のアイコンの変なアプリ…またインストールされてる!!

 

「今朝消した筈なのに、また復活してる!?なんで!?」

「え?今朝もインストールされてたの?それ?」

「はい…怪しいから今朝消したんです。

でも、また復活してて…」

「消してもまた出る不思議なアプリ…ますます怪しいわね。

取り敢えず、怪しいって思ったらアンインストールしておきなさい。それが一番いいわ。

最悪酷かった場合は警察に相談するのも手よ」

「かしこまっ。取り敢えずそうしておきます」

あたしはまた怪しいアプリをアンストして、南委員長と別れてなおと一緒に教室へと戻った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

放課後・夕方

 

 

 

 

 

 

ープリパラー

 

 

 

 

放課後、怪盗団への疑念を抱えつついつも通りにプリパラへ遊びに来て、ライブをし終えたあたしは 、ゲートから降りてきたある友達を発見した。

 

「やっほー!!らぁら!!」

 

 

「あ!!!」

モデル並のスタイル、白がかった金髪を下ろし、青い瞳といった日本人離れした容姿を持ち、キャンディアラモードのアメカジレトロコーデに身を包んだ、あたしの友達『』が着地して早々にあたしに抱きついた。

 

「あー!疲れたー!」

「来るの随分遅かったね?何かあったの?」

「ちょっと用事があったんだ。で、終わらせていま来たとこ!」

「そうだったんだ。でも、疲れてるんならプリパラ来ないで家で休んだらどう?」

「らぁら、ここんとこGWのプロミスで忙しかったじゃん。

 

それに、らぁらに報告したいことがあったから」

「何?」

「実は…志帆がこの前目を覚ましたんだ!」

「志帆が!?…よかった…!」

 

杏と杏の友達『志帆』…彼女達は2年前にプロミスで出会った友達で、今のところはプリパラでしか会ってないけど、出会って以降は交流を積極的に行うようになった。

 

でも、最近現実のほうが忙しくて2人共来る機会は減っていたけど…杏と久しぶりに会ったのは…志帆が部活の顧問に虐待されて、自殺未遂したのを知らされた日だった…。

あの時の杏、怒りに震えていたのを覚えてる。

 

現実の2人を知らないあたしは、志帆が目覚めるのを信じるしかなかった。

志帆の意識が回復してよかった…。

 

「じゃあ、また志帆にもプリパラで会えるってことだよね!?」

「多分、会えるのにはまだかかると思うけど…また、志帆を必ず連れてくるから!そしたら、また一緒にプロミスやろ!」

「かしこまっ!」

志帆にまた会える日が楽しみだよ!

そうだ、杏にもあのこと尋ねてみよ!

 

「そういえば…杏」

「何?」

「怪盗団のこと、どう思ってる?」

「え!?な…何いきなり!?」

杏に怪盗団のことを聞いてみたら、杏は慌てて大きく目を逸らした。

そんなにびっくりすることかな?

 

「今日、学校でなおと話してたら話題に上がって…。

杏はどう思ってるのかな…って」

「そうなんだ…。

 

うーん…怪盗団は私にとっては、私と志帆を救ってくれた恩人…かな?」

「恩人?」

気持ち穏やかに話す杏にあたしは首を傾げる。

 

「私、志帆のポジションと引き換えに、志帆の部活の顧問に付き合いを強制させられてたのは…話したよね?

でも、あいつのせいで志帆が飛び降りちゃって、あいつに対して怒りを我慢するのが限界だったんだ。

 

けど、そこに怪盗団が現れてあいつを改心させた」

「そうだったの…!?」

話している時の杏の顔は、とても悲しそうだったり、その『あいつ』の話をした時は怒っていたり、走馬灯のようにころころ変わっていった。

 

あたしはそれをただ、短くリアクションを打ちながらひたすら聞いていた。

 

「私…あいつに行ったんだ『逃げるな!志帆だって、死にたいほどの事件の続きをちゃんと生きてる』って。

 

あいつは多分今、罪悪感の生き地獄に駆られながら生きてると思う

 

あいつを改心してくれて…正直感謝してもしきれないよ」

「そっか…そうだったんだね…」

そう話す杏は物凄く晴れやかだった。

まるで何かを成し遂げた後のような…。

 

「…ってあれ?」

そういえば…この話何処かで…。

あれと似てない?

 

「もしかして…杏の学校って…秀尽だったりする?」

「あ…流石にここまで話したらバレるか…」

「ごめん、さっきの話と今朝学校でなおとしてた話と似てて…」

杏、秀尽生だったんだ…ということは、年上じゃん!

杏に謝りつつ、地味に内心ショックを受ける…。

 

「てことはあたしのほうが下だ…」

「そんなの今さらいいって!

プリパラだと本来の年齢わからなくなるくらい姿が変わる人いるし、私の方はらぁらが小〜中学生だってことは知ってたから、おあいこ!」

「そーなの!?」

杏に背中をバシバシ叩かれ慰められる。

そして、既に現実での姿がバレてたことに思わずツインテの毛先が跳ね上がった。

 

 

 

「詳しい理由知らないけど、あたしと出会う前で神アイドルになったばかりの頃のらぁらさ、一時期ライブ以外で小学生くらいにちっちゃくなってた時あったじゃん」

「あ、そういえば!」

 

あたしがプリパラでちっちゃくなっていた時期…あれかー。

初めて神アイドルとしてパパラ宿に派遣された時に、プリチケのエラーでプリパラチェンジできない状態だったんだけど…後からバグはちゃんと直してもらったんだ。

(クリスマスまで放置されてたのはどうかと思うけど…)

 

「あれ初見じゃわかんないけど、髪の色と普段のリボンとあと言動であれ…現実のらぁらじゃないかって気づいたんだ」

「あたしの見分け方、まず髪の色とリボンなんだ…」

「あの特徴的なリボンと、髪の色の組み合わせはあんたぐらいでしょ」

あれ…ゆいに全っ然気づかれなかったんだよね…。

それをわかりやすい特徴だけで気づいた杏は凄い…。

 

「あの時のちっちゃいままのらぁら、めっちゃ可愛かったな…!

でも、今は中々見れないのが残念…!

生で見たかった…!!」

「そうなんだ…」

2年前のあたしが幻と化したことを杏は歯を食いしばってめっちゃ悔しがった。

 

そりゃそうだよ。今はバグ直ってるし、中学生になって現実でも身長はプリパラと同じくらいになったし…。

ていうかちっちゃいままのあたし、割と需要あったんだ…。

 

「でも、プリパラは姿を変えられる!

らぁら、今度6年生の時の姿になれない!?

生で見たいし、可能だったらライブも見たいな!!」

「なんで!?」

杏からのまさかのお願いに目をぎょっとさせる。

需要あるのはわかったけど、わざわざなんで2年前の姿に!?

 

「お願い!!あの姿のらぁらを見て、救われる人もいる!!」

断ろうかと思ったけど…杏に両手を合わせて必死に懇願されてしまい、断り辛い状況になってしまった…。

うう…

 

「…か…かしこま!」

「やった!ありがとー!」

「うわぁっ!?」

あたしは苦し紛れのかしこまを繰り出した。

やっぱこういう感じになったら断れないよ…!

それを聞いた杏はまたあたしに抱きついて、バランスを崩しそうになった。

 

「で、話戻すんだけど…

昼に怪盗団のことをなおと話してた時、鴨志田の話題出てきてさ。

それが、杏の話と似てて…もしかしてって思ったんだ」

抱きつかれた後なんとかバランスを戻し、杏を引き剝がしたあたしは話を軌道修正して怪盗団の話に話題を戻した。

 

「そうだったんだ。流石にらぁらも調べてたか…」

「ごめん。

なおから聞かれなかったら、怪盗団のこと調べようとは1ミリも思ってもいなかったよ」

「いいよ、全然」

杏はあたしの話を聞き、ばつを浮かべる。

そんな彼女に申し訳無く思いつつ、話を続ける。

 

「あたし一応プリパラポリスだし、怪盗団の盗み方がわからない以上、正直怪盗団のこと肯定できないけど…。

 

でも、杏や志帆みたいに怪盗団に救われた人達がいるんだっていうのは、ちゃんとわかったよ」

「…らぁらはそういう感じなんだ」

そう言った杏の表情は少し複雑そうだった。

あたしが怪盗団を肯定できないって言ったからかな…。

 

「でもさ、らぁらがそれを理解しているってだけでも、怪盗団にとっては十分だと思うよ。

らぁらにはらぁらの考え方があるんだし、今の段階ではそんな感じでもいずれ変わるだろうし。

ゆっくり考えてみなよ!」

「杏…ありがとのかしこまっ」

杏にそう言われて、少し心が軽くなった気がした。

 

 

心であろうと、人のものを盗むのは正しいことじゃなくて悪いことだ。

けど、そうでもしないと救えない人達を怪盗団は助けてる。

 

 

 

 

 

 

何が正しくて、何が悪いのかなぁ…。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

5/9日 月 曇り 放課後

 

 

 

ー渋谷駅ー

 

 

怪盗団に救われた人達がいる。

 

 

 

あの後この事実が心の中でずっと引っかかってたあたしは、今日ライブの予定がなかったのでプリパラに行かず、放課後に怪盗団について調べてみることにした。

 

今、秀尽学園に向かおうとパラ宿から地下鉄乗って乗り換える為に渋谷駅に着いたんだけど…。

 

 

 

 

 

 

「蒼山一丁目に向かう路線ってどこ〜!?」

普段徒歩通学たがら、地下鉄に慣れてない&渋谷駅の構造が思ったより複雑で迷子になっていた。

 

取り敢えず人混みにそって、うろうろしているうちにいつの間にか渋谷駅の外に出ていた…。

 

「外に出ちゃったよ…!

どうしよう…近くに案内とかないかな!?」

あたしはあたふたして、広場内を駆けまわる。

電車の周りとか、プチ公の周りとか。

 

 

 

くるくるちゃーん!!どこダ・ヴィンチ!?

 

一瞬あじみ先生の声が聞こえた気がしたけど…聞かなかったことにしておこう…。

 

 

渋谷駅の外を駆け回っていた時、あたしのスマホが近くのとある声を拾ったことに気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

「うっしゃ!今日も行こうぜ!」

「ああ、『メメントス』」

あたしは気づいてなかったけど、この時一瞬すれ違った人達が発した『キーワード』。

それを、あたしのスマホはマイクでいつの間にか拾ってしまっていた。

 

 

 

 

 

ヒットしました。ナビゲーションを開始します

 

 

 

 

「ん?スマホからなんか音が…」

そして声を拾ったスマホから何かしらの音が聞こえ、あたしはスマホをポケットから取り出した。

 

 

 

 

「なにこれのかしこまぁ!?」

すると、スマホの画面が見たことないアプリの画面なのか、赤い画面で埋め尽くされていた。

もしかして、あの赤い目玉のアプリ…?

 

「ナビゲーションを…開始します?

ナビアプリ?…え!?…目がクラクラする…!」

その画面を見ていると、急に目眩を起こし立ち眩みを起こす。

 

 

 

 

 

 

 

そして、周りの景色が歪んだ感覚に陥った。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ー???ー

 

 

 

「…うう…え!?

目眩が収まると、周りから人がこつ然といなくなっていた。

 

 

 

「あれ?さっきまで人いたよね?

いつの間に…なんかのドッキリ?」

でも、ドッキリをやるにしては規模が大きすぎる。

 

 

 

あたしは何が起こったのか何も把握できていないまま、人を探そうと地下へ戻ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ー???・改札前ー

 

 

 

 

 

地下に入ると、自然ととある改札構内へと身体が吸い寄せられるように移動していた。

 

そこで目に入った景色は衝撃的なものだった。

 

 

 

 

 

 

 

「嘘…!ここ、渋谷駅…だよね…!?

変なとこ…来ちゃった…とかじゃないよね!?」

 

 

さっきいた渋谷駅の景色はどこ行ったのか、目に映るものはぜーんぶ赤でかなり暗く、ところどころに血管みたいなのが生えている。そんな不気味な景色だった。

 

しかも切符販売機とか改札とかは電源すら入っていないのか、画面も真っ暗で、ICカードをかざして通っても遮断機とか何も反応しない。

 

しかもスマホも謎のアプリ以外殆ど動いて無く、連絡をして助けを呼ぶことも出来なかった。

 

 

 

 

 

「どうしよう…。

 

すみませーん!!誰かいませんかー!

あたしは自慢の大声で人がいないか僅かな希望にかけて、改札前のど真ん中で叫ぶ。

でも、何も反応は無く…その望みは儚く散ってしまった。

 

 

 

 

「かしこまぁ…ここどこぉ…」

ここが何もわからず、頼れる人もいない。

どうすればいいのかわからなくなったあたしは途方に暮れ、なんとなく動かなくなってただの階段と化したエスカレーターを降りていた。

 

エスカレーターを降りてホームに着くと、見たことのある人影を見つけた。

 

 

 

「あれは…『怪盗ジーニアス』!?

ってことは…『ひびき』さん!?」

黒い帽子に黒いマントといった、黒を基調とした服を身にまとった人物は、後ろ姿だけでも遠目で怪盗ジーニアスだとわかった。

 

最近はネオとかネクストとか、亜種みたいなのも出てきてるけど…。

あの服装をする人はどう考えても…『紫京院ひびき』さんしかいない。

 

 

 

《紫京院ひびき》

あたしたちのライバルで、共に競い合うユニットの一つ『Tricolore』のリーダー。高校3年生。

元々プリパリのあるヨーロッパラにいたんだけど、1年前にふわり、ファルルと一緒に突然日本に戻ってきて、活動拠点を再びパラ宿に移して再び学園長代理に就任した。

ヨーロッパラには仕事で時々戻っているらしいんだ。

 

 

 

戻ってきた理由は発表されていなかったけど、ここにいるのと何か関係あるのかな?

 

 

 

 

 

「…待って!ひびきさん!」

 

とにかく、ひびきさんを追いかけよう。

 

 

そう考えたあたしはひびきさんを追って線路に飛び降り、中へ進んだ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ひびきside

 

 

 

 

「あの声は…真中らぁら!?」

何故彼女がここに…!?

 

まさか、あの『ナビ』が真中らぁらのスマホにも入っていたというのか…!?

 

 

「だが、彼女はこの場所を知ることはまずあり得ない。

巻き込まれた可能性が高そうだな…」

可能性があるとすれば…

まずは僕、次に先ほど見た『心の怪盗団』らしき集団、そして…。

 

 

…何れにしても線路に降りてホームから出てしまった以上、彼女から目を離すのは不味いな…。

本来ならホームか改札で留まって欲しかったが、僕を発見してついてきたのだろう。

 

 

 

 

まったく…危険も試みずついてきて…。

…仕方ないな。

 

本当ならこちらから出向いて出口まで送るべきだが、詳細を聞いたら理由によっては彼女もついていくと言い出すだろう…。

 

 

 

こうなったら気づかないフリをして、わざと僕を視界の範囲内に入れるようにするか…。

そうすればこちらも、逆に彼女から目を離しづらくなる。

 

ここは出口まで戻るのが特定のアイテムを使わないと、少々面倒だからな…。

 

 

 

 

最悪、彼女の中に眠っているであろう“あれ”が目覚めるのに賭けて。

 

 

 

この方法は危険かつ賭けだが…

彼女ならもしかしたら…。

 

 

 

 

必ず真中らぁらを守り、現実へ帰す…。

でないと、ふわりファルルが悲しむからな。

 

 

 

 

 

 

 

それと同時に…彼女を試そう。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

らぁらside

 

 

 

 

ひびきさんを追いかけて線路内に入り、進んで少し経ち、路内を徘徊している怪物に見つからないように隠れながら進んでいた。

線路とホームらしき空間を交互に進んで。

 

 

 

 

「…まさか、あんな怪物が沢山いるなんて…」

何故か置いてある宝箱の影に現在隠れているあたしは、宝箱を取り敢えず開けてみた後、隠れて怪物が去るのを待っていた。

 

 

怪物は小さい頃に見たあのお化けと似て、どれも黒くてブヨブヨしてて不気味で怖い…。

多分、見つかったら絶対終わる…!

 

 

 

本当ならホームで待ってるべきだったけど…それだと、ここを知ってるであろうひびきさんといつ合流できるか、いつ帰れるかもわかんない。

 

大声で助けを呼ぶという案も出てきてたけど、線路内に入ってうろうろしている怪物を見た瞬間に速攻で却下した。

 

こんなところで大声なんて出したら、返って一斉に襲われて命取りだよ…。

自分の取り柄の大声が、久々に足枷になった気がする…。

 

 

「…通り過ぎたかな…?」

あたしは怪物がいなくなったのを確認すると、ひびきさんがいる方向を確認して進み出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

《臆病な子ね。いつもの底抜けな明るさはどうしたの?》

 

 

 

 

 

 

 

「…!誰…?」

不意に頭に響く声。

それは何処か自分にそっくりな《声》だった。

あたしはそれにびっくりするけど、見つからないように声を抑えた。

 

 

 

《巻き込まれたとはいえ…自分から足を踏み込んだ癖に怪物に怯えて逃げてばっかり。

気持ちはわかるけど、隠れて進んでばかりじゃひびきさんとの合流は目指せないわよ》

 

 

「だって…怖いものは怖いよ…!」

《声》の言ってることは正しい。

けど、今のあたしにはこれが精一杯だ。

 

《貴方、本当に馬鹿ね。

怪物に立ち向かう力も勇気もない癖に、ここを脱出するための行動力だけはある。

じっと待っていようとは思わなかったの?》

 

 

「あそこで待ってたらいつ脱出できるかわかんないよ…!

それに知らなかったもん…こんなに怪物がうじゃうじゃいるなんて…」

 

 

 

《だったら、怪物がいる時点で引き返せばよかったじゃない。

戻ってくれば合流できるだろうしね》

 

「うぐ…」

それはその通りだ。

ひびきさんが戻るとしたら、多分あのホームには絶対に戻ってくるはずだよね…。

 

《そこまでわかっている癖に、何も持たずに危険の中に飛び込むとか馬鹿でしな無いわ。小さい頃にも同じこと経験した癖に…

 

貴方…本当に神アイドルなの?

 

私からしてみれば、今の貴方は神アイドルという名の称号を腐らせた雑魚にしか見えないわ》

 

 

 

 

「…!そんなこと…!!あるわけ…!!」

《声》の言ってることに我慢できなくなり、思わず反論しかける。

 

 

 

だけど、それが不味かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

貴様…侵入者か!?

 

「…ひっ…!!」

声をかけられ後ろを振り向いた瞬間、そこには怪物がいた。

それを見た瞬間、危険を悟った。

 

しまった…!

大声を出さないように気をつけていたのに…!!

《声》に思わず大声を出して反論しかけたせいで、こんなことに…!

 

恐怖で身体が震えてる…。

けど、話はできるっぽい…。

 

「待ってください…!あたしは…」

あたしは怪物にここから無事に出してもらえるか交渉しようとしたけど…。

 

侵入者は排除する!!

「待って!!」

話は聞き入れて貰えなかった。

それどころか、怪物はうねうねと曲がって赤黒い水飛沫を飛ばして爆発させたと思えば、様々な姿をした悪魔へと姿を変える。

 

 

「…!逃げなきゃ…!」

あたしは走って逃げようとするけど、逃げようとした先にも同じような悪魔たちかいて囲まれてしまった。

 

 

 

「…うわあっ!おっと!」

悪魔達はあたしを倒そうと様々な攻撃を四方八方からしかけてくる。

このままだと逃げられないと悟ったあたしは、逃げ出すチャンスが来るまでそれを必死に避け続けた。

 

 

 

「…!ひゃあっ!ギャフン!」

けど、女性の悪魔が放った攻撃に運悪く当たってしまい、調子を崩して転倒してしまった。

 

 

「ぐっ…」

身体が震えて、立ち上がろうにも動けない…。

 

 

 

小さい頃と同じだ…!泣いていないだけで…あの夜と…。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

『ママ…!パパ…!のん…!どうしてはこみたいなのにはいったままでてこないの…?

 

くらくてこわいよ…!うごけないよ…!』

 

何も明かりがついていない暗いリビング、窓には変な怪物。

ベッドの上で箱みたいなのに入って、動けない家族。

 

 

『…ぐすっ…うわあああん!!なんでだれもいないのおぉ!!』

 

 

訳わかんない光景の連続であそこで、一人あたしは怖くてずっと泣いていた。

 

 

 

 

そう、この時と同じ…。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

あの怖かった光景がフラッシュバックし、震えは益々強くなっていく。

 

 

 

 

 

怖いよ…怪物に殺されて死ぬのも…立ち上がるのも…

 

 

 

ここから生きて帰れなくなることも…。

 

 

 

 

「…あっ…!」

身体が振るえる中、視界には悪魔達があたしに止めを刺そうとしているのが見えた。

 

 

 

「…!」

あたしは来る衝撃に備えて目を瞑る。

 

 

 

 

 

 

 

みれぃ…そふぃ…みんな…ごめん…!

あたし…もう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「情けない姿だな、真中らぁら」

 

 

 

 

 

ガキンッ!!

 

 

 

「…えっ…!?」

 

耳に入ったのはひびきさんの声と、何かを弾く金属の音。

 

 

 

「…はっ…!」

目を開けると、目の前には帽子と胸元に二輪の青いカサブランカをあしらっている以外は、初めて会った時と全く変わらない『怪盗ジーニアス』の格好をしたひびきさんが、あたしに向かってきた攻撃を、黄色の刀身が輝く剣で炎を弾く姿だった。

 

「ひびき…さん…!?…なんで…!?」

「今は『怪盗ジーニアス・ネクスト』だ。

君がついてきていたのにはとっくに気づいていたよ。だからすぐに駆けつけることができた。

 

僕との合流を目指して、今まで敵に気づかれずにここまでついてきたのは褒めてあげよう」

ジーニアス・ネクストってパリ…最近だと日本で話題の…!

 

ひびきさんだったんだ…!

 

 

 

ジーニアス・ネクストと名乗ったひびきさんは仮面に手を当て、それを青く燃やした。

 

 

 

ブチッ

 

 

 

「進め!『ナポレオン』!!」

 

 

 

ひびきさんがそう叫ぶと共に青い炎は大きくなり、巨大な人型の形をとる。

炎が晴れると、青い軍服に身を包み、怪盗ジーニアスの帽子とマントを身に着け、右手には剣を構えたひびきさんに似た大っきな人が現れた。

 

「『スラッシュ』!!」

ひびきさんがナポレオンと呼ばれる大っきな人に指示を出すと、ナポレオンさんは手に持っていた剣で悪魔のうち1体を切り裂いた。

 

CRITICAL!

 

 

斬り裂かれた悪魔は断末魔をあげて離散していった。

 

「ふっ!」

更にひびきさんが仮面を戻すとナポレオンさんは消え、今度はひびきさんが前に駆け出し悪魔達を1連撃、2連撃と斬り裂いていく。

 

更に斬り裂いた敵を懐から取り出したピストル銃で仕留めた。

 

 

 

 

 

 

「…凄い…!」

あたしはそれをただ見ているしかなかった。

プリパラでも滅多に見ない光景にただただ釘付けになっていた。

 

「…」

それを見たひびきさんは鋭い目つきである一言を放った。

 

 

 

 

 

「で、君はいつまでそこで震えてるんだ?」

「…!それは…!」

ひびきさんの言う通り、あたしの身体はまだ震えて立ち上がれないままだった。

ひびきさんが助けに来てくれて少しホッとしたけど…怖い気持ちがまだ消えたわけじゃなかった。

 

 

 

「君らしくないな。

僕を目指して飛び出したのはいいものの、怖気づいて隠れていたというところか。

 

僕を頼る判断は間違ってないが、待機するという発想はなかったんだな」

「だって…こんなに…怪物が…いるなんて思わなかった…!

いきなりこんなところに迷い込んで、スマホも使えないから連絡も取れないし…ひびきさんを頼るしか…なかった…!

 

けど…怖くて…逃げて…見つかって…逃げられなくなって…。

ひびきさんが来なければ…あたし…ここで…終わるのかって…」

あたしは震えながらも、ひびきさんの言ったことに対してそう返した。

 

 

「なるほどね…」

それを聞いたひびきさんは落胆したのか、肩を落としてため息を吐く。

そして冷たい目で、低い声であたしに向かってああ言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「真中らぁら、がっかりだよ。

神アイドルであろう君が、この程度で諦めるのか?」

 

「…!!」

その声色に含まれるのは、怒りと一種の失望。

それを聞いたあたしはハッとなる。

 

「君は僕に散々歯向かって、僕達にも勝って神アイドルになった筈。

 

それも本当にまぐれだったようだな」

「…」

今まで一番低く、薔薇の棘をより鋭利にしたような声で言われた言葉は、あたしに鋭く深く刺さった。

あたしは思わず、地面の砂利ごと拳を握りしめる。

 

 

「君も堕ちたものだ。

 

謎の異空間に誘われるように迷い込んで、ここがどんなところかも知らずに飛び込んで、命の危機に陥ってその様か?

 

 

 

神アイドルの称号が泣いているぞ

 

 

「…くっ…!」

ひびきさんの言う事には腹が立つところもあるけど…実際にはその通りだった。

 

未知の場所に危険を顧みず飛び込んで、進んでても怪物に怯えて逃げてばっかで、挙句命の危機に晒されて…。

 

 

 

怪盗団を調べるって意気込んだつもりがこんなことになって…。

 

 

 

 

今までで一番情けないよ…!!

 

 

 

 

 

 

《どうしたの?何時までそこに倒れて、べそをかいているつもり?》

 

 

 

 

「…!!」

また、あたしに似ている声…。

今度は何が言いたいの…?

 

《このままだと、貴方は彼女の言う通り死んで、神アイドルの称号が泣くわよ。

 

貴方は彼女に言い負けて、貴方自身のアイドル人生、そして自分の命に傷をつける気?》

 

 

 

悔しいけど、このままだとその通りだよ。だけど…

 

 

 

 

 

「…そんなこと…ないもん!!」

「…フッ」

 

気づいたら、頭の中に響いてくる自分に似てる声に言い返していた。

 

まぐれだって言われて…今の自分が情けなくて、だんだん腹が立ってきた…!

 

 

 

 

それを見て、ひびきさんの口角が少し上がってる気がした。

 

 

 

 

 

 

「ひびきさんからしたら、神アイドルになったのはまぐれなところもあるかもしれない。

でも、神アイドルになったのは事実だし、運も実力のうちだもん!!

 

 

 

けど今までの努力や経験…出会いだって絶対無駄なんかじゃなかった!!

本当に運だけだったら、今まで積み重ねてきたことが無駄になる…!!

 

じゃあ、歌とダンスの実力はどうなるの?って話だよ…!」

私は傷だらけになりながらも、ゆっくりと立ち上がる。

 

だんだんと怒りに心が支配されていくせいか、怪物に対する恐怖はいつの間にか引いていた。

と言っても、まだ足が震えてるから消えた訳じゃないけど…

 

 

 

その震えを凌駕するほど、今の気持ちは怒りの方が勝っていた。

 

 

それに、今はあの時と違って一人じゃない。

 

 

 

「大体、ここに元々迷い込んだのはあたし自身のせいじゃないし、誰かのイタズラか何かでこのままここから脱出できないとか、本当に納得いかない!!

 

あたし、まだ死にたくない!!

プリパラでピザ屋さんオープンしたいし、まだみんなとアイドルやりたい!!

かっこいい高校生にもなりたいし、やりたいことたーっくさんあるもん…!!

 

だからぜーったい、ここから脱出して帰る!!

そして、あたしをここに招き入れた人を探し出して文句言ってやる!!

 

 

 

 

 

 

その為にも…ここでくたばってたまるかぁ!!

 

赤黒くて薄暗い不気味な地下鉄の線路内に、あたしのありったけの大音声が響き渡る。

 

それを待っていたかのように《声》が不敵に笑うようなイメージが流れた。

 

 

 

《その願い、確かに聞き届けましたわ》

 

 

ドクン

 

 

「…!!うっ!!うううっ…アアアッっ!!」

さっきの声がまた響いたって思ったら今度は鼓動が跳ね上がり、突然頭が痛くなった。

 

さっきまでは全然平気だったのに…!!

凄く痛いし、苦しい…!!

 

あまりの痛さに思わず頭を抑えて声にならない悲鳴をあげ、地面に膝をついてしまう。

 

「目が金色に…それにあの様子…!

真中らぁら…まさか…!?」

 

 

 

「ううゔっ…アアぁづっ!!」

 

痛い…!痛いよ…!!

 

頭が割れるように痛いのもお構い無しに、《声》は一方的に語りかけてくる。

まるで、何かを持ちかけるように。

 

 

《今の貴方は神アイドルという名のアクセを、ただの飾りにしている生き人形。

 

それを卒業して、今の貴方の願いを叶えるには力が必要よ》

 

あたしの願いを…叶える力?

それが…あなたに…あるってこと…?

 

 

《ええ。でも、力を手に入れるということは貴方にとっての日常を大きく変える。

 

使い方によっては人を殺しかねない。そんな大きなものを抱えて生きていくことになるわ》

 

 

人を…殺せる程の…大きな力…。

それが…あたしに…

 

《それでも覚悟を持って、反逆の力を望むと言うのなら…貴方に力を貸してあげる》

 

 

…つまり、この空間から脱出するにはあなたの手を取れってこと…?

でも、力を手にしたらその気になれば人を殺せちゃう…。

けど…

 

 

 

「はぁ…はぁ…。

人を殺すのは嫌だよ…!

けど、あたしはここから生きて帰りたい…!!

その為に…あたしは…貴方の手を取る…!!

 

そして、あたしは貴方と友達になる!!

頭が痛い中、息を切らしながらもゆらゆらとなんとか立ち上がり、見えない《声》の主に広い天井に向かって手を差し伸べた。

 

すると《彼女》は顔は見えないけど、笑ったように声を弾ませる。

 

 

 

《その答え、貴方の覚悟として受け取るわよ。

 

それにしても【私】と友達か…。【私】は【貴方】なのに自分自身と友達になるなんて… 。

 

 

 

 

フフッ…貴方なら言うと思ったわ、らぁら。》

 

「…えっ…!?なんで…私の名前を…!?ううっ!!」

《声》が笑いながらあたしの名前を呼んだことに、痛みに苦しみながらも驚いた。

それが見えているのか、まるで“あなたの考えなんかお見通し”と言うように《声》は正体を明かす。

 

《私は貴方の奥底に眠る想い…“反逆の意志”が形になったもの。

つまり貴方の中にいる、もう一人の【貴方】ってことよ》

 

 

「もう一人の…あたし…!?」

道理で声が似てる訳だよ…えっと…よくわかんないけど、あまりちゃんでいうマリオみたいな感じ?

《似てるけど、ちょっと違うわね。

あまり悠長にしてられないから契約に移るわよ。

 

 

 

 

 

契約。我は汝、汝は我。

 

貴方の胸に秘めた想い…

マイクと言う名の御旗に掲げて広げなさい!

 

誰よりも大きい、貴方自身の声で!!》

 

あたしにそっくりな声の人…もう一人のあたしがそう告げると、痛みが引いていく代わりに目の周りが蒼く燃え上がって、前から見て右横に青薔薇と羽根があしらわれたピンクパープルの仮面が現れた。

 

「…!ぐ…ぐぎいいいい…!!」

あたしは無意識に仮面に手をかけて顔から剥がそうとした。けど…皮膚にくっついてるみたいで取れない!!

 

 

 

 

 

この…!剥がれろの…

 

 

か・し・こ・まぁっ!!!

 

 

正直めちゃくちゃ痛いけど…この仮面を取らなきゃと何故か思ったあたしは、それも構わず無理やり仮面を顔から引き剥がした。

当たり前だけど…目の周りが凄く痛いし、顔からなんか血が凄く出てる気がする。

 

顔から剥がした仮面を宙に投げるとそこから蒼い炎が溢れ出し、炎は私を丸ごと包んでいった。

 

 

 

同時に顔の痛みも引いていった気がした。

 

 

 

 

ー推奨BGM『Will Power』ー

 

 

 

「えっ!?何これ!?」

焔が晴れると、私の格好は変わっていた。

 

 

 

胸元に水色のバラがついた青紫のリボンがあしらわれた白いシャツ。

その上から、後ろに薄ピンクのリボンがついた金に縁取られた白の燕尾服を羽織って、下は白のバルーンショートパンツとオーバースカートを組み合わせたボトムス。

脚元は薄紫のニーハイに、白のショートブーツを履いた格好に変わっていた。

 

そして頭には様々な色の宝石があしらわれた銀色の王冠…。

 

 

 

「…ん?」

 

 

 

 

 

あたし、現実でこんなに髪ながかったっけ…プリパラじゃあるまいし…

 

「って、えええっ!?

 

あたし、プリパラでの姿になってる!?

「覚醒してやっと気づいたか…」

 

なんと私自身の姿もプリパラでのアイドルの姿になっていた。

 

これ、この姿になったから?

いや、ひびきさん“覚醒してやっと”って言ってたけど…

 

「君はこの空間に入ってから、プリパラの姿になっていたんだ。

服が制服のままだったのと、僕を追いかけるのに必死だったから気づいてなかったんだろうけどね」

「そうだったんですね…」

 

プリパラでもないのにプリパラの姿になるってこの空間、益々謎だらけだな…。

 

今はそれよりも…!

 

 

 

話は済ませた?

「うん!」

 

私の後ろにいる巨大なこの女の人。

見た目はドリームパレードのプリンセスドレスに似たドレスの上から薄紫の鎧を身に纏い、槍旗と盾を装備し、あたしが大人になったイメージの白い肌の女の人。

 

あたしの中から聞こえた、あたしそっくりの声の正体…

 

もう一人のあたし『ジャンヌ』。

 

あたしよりも大人びて髪を下ろしている彼女は、閉じたような目で私をまっすぐ見つめる。

 

 

 

 

 

私の名前は『ジャンヌ』。

さっき言った通り、貴方の奥底に秘めた“反逆の意志”の結晶ですわ。

 

今よりこの力は貴方のもの。

 

この死線を乗り越えたいのなら、思う存分に貴方の心の叫びを力に変えて…好きなように振るいなさい!!

 

それしかこの空間で生き残る道はないわよ

 

「かしこまっ…!」

 

私はジャンヌに言われたことを噛み締め、頭に浮かんだ『力』の名前を叫んだ。

 

 

「…『コウハ』!!」

 

すると、目の前にいた怪物のうち1体にジャンヌから放たれた白い光が命中し、そのまま消滅した。

 

 

「凄い…!!これなら…!!」

あたしはライブを成功させた時のような高揚感と、あまりちゃんの初めてのライブを見た時に感じた『これならなんとかできる!!』っていう期待感を、身体の底からじわじわと感じ取っていた。

 

この力なら…ジャンヌと一緒ならこのピンチどころか、これからどんなピンチがあったとしても友達と一緒に乗り越えられるし、

あたしをこの空間に迷い込ませたやつに一発お見舞いできる!!

 

…そんな気がした。

 

 

 

何なら、今なら目の前の敵全滅させられるかもしれない…!!

 

 

 

そう思うと、益々テンション上がってきた…!!

 

 

 

 

あたしは高揚していく気分につられて、思わず口元を愉快そうに歪めた。

 

「どうやら、思ったより大丈夫そうだな。

アイドルにはあるまじき顔になっているのは気になるが」

そこにひびきさんが隣にやってくる。

 

さっきの厳しく冷え切った態度は何処へやら、今はそれが消えていつものひびきさんに戻っていた。

 

 

「かしこまっ…!今なら敵全員倒せちゃう勢いです!!」

あたしはテンションが可笑しく上がったまま、ひびきさんに対してそう返した。

ひびきさんはそんなあたしの勢いにも動じず、ただ目の前の悪魔達へ向かっていく。

 

「そうか。くれぐれも突っ走りすぎて、足を引っ張ることのないように」

「かしこまっ!!勿論、ここでやられる気はないです!

 

 

 

あなたも一緒に行こう!『ジャンヌ』!!

 

勿論よ

 

 

 

 

 

 

 

あたしはジャンヌと目を合わせて悪魔達を見据えながら、改めて自分の格好を確認する。

すると、左腰部分が少し重く感じた。

 

 

「これ…?」

左腰部分をよく見ると、いつの間にかピンク色の鞘に収められていた剣が帯刀されていた。

 

抜いてみると、黄色の柄に黄色いハートが嵌められたピンク色の鍔。

刀身はピンクがかかった銀といった、可愛らしいカラーリングの片手剣だった。

 

武器あるのは嬉しいけど…これは一体?

 

「それは君の反逆の意志と共に顕現した武器。

君だけの剣だ」

 

「これがあたしだけの剣…!?

 

やった!憧れてたんだよな…自分だけの武器!」

「それはよかったな。

 

ところでいつものように他人の為では無く、ただ自分の為に戦うのは君にとっては初めてだろう。

 

大丈夫かい?」

ひびきさんにそう問われてはっとする。

よくよく思えばいつもそうだった。

 

 

 

友達…大好きなプリパラの為…誰かを悲しませたくない…。

あたしが戦う理由には、いつも“誰かの為”や“プリパラの為”が絡んでいた。

 

 

けど、今回はそれが一切絡んでない。

 

 

 

「確かに…友達のためじゃなくて、こうして自分一人の為に戦うのって初めてだし、完全に怖くなくなったわけじゃない…。

 

 

けど今は生きたいって願いと、心の中に湧いてる抑えられない怒りが勝ってる!!

ひびきさん、あの怪物全部倒しても問題ないんですよね?」

あたしはそう言って剣先で悪魔達を指す。

さっき少し倒したけど、まだ敵は残っている。

 

ひびきさんは悪いことをしても、人を殺すようなことは絶対にしない。

 

だから、あの悪魔達は倒しても問題ないと思った。

 

「余計な心配はいらなそうだな。

 

ああ、この空間は法律も校則も通用しない。

どう振る舞おうが君の自由さ。

 

それに、あの怪物達はこの空間の産物。

倒しても、現実の人間に対しては何の影響もない。

 

だから、安心して戦うといい」

「なら、この気持ちをあの怪物達に全部ぶつけます!!

 

人を殺すつもりはないけど…倒していいなら…

 

 

 

 

怪物さん、お前達を全力で倒す!!

 

悪魔達に向かって指をさして宣戦布告する。

ここがルール無用なら、こっちだって全力で好き勝手やっちゃうのかしこま!

 

 

 

 

「君にしては随分荒々しい口調だな。

 

それくらい気合を入れているということか。

ならば、お手並み拝見させて貰おうか」

 

「かしこまっ!望むところです!」

 

ひびきさんの後押しも貰い、あたしは敵に向かって駆け出す。

 

 

 

 

「やあっ!!」

 

ガキンッ!!

 

駆け出した勢いで突進し、右手に持った剣を右斜め上から振り上げて悪魔を一体斬りつける。

斬りつけられた悪魔は、悲鳴と黒い血飛沫みたいなものを上げて跡形も無く消滅する。

 

「まだ…!」

消滅を確認すると、すぐに身体を後ろに向けて飛び込み、また別の悪魔をまた一体…また一体…と斬りつけていった。

 

 

 

BANG!

 

 

 

 

後ろから聞こえる銃声。

 

ひびきさんだ。

あたしが倒し損ねた奴をピストル銃で撃ち落としてくれている。

 

それに加えて、ナポレオンの技らしい氷の魔法と、もう一人のあたし…ジャンヌの光魔法のサポートで、敵の数がみるみる減っていく。

 

 

 

「上だ!真中らぁら!」

「上?…!」

残りの敵の数が一桁に入ってきた束の間、ひびきさんに声をかけられ上を見ると、女の悪魔が上から奇襲してきた。なら…!

 

ブチッ!!

 

ジャンヌ!

今度はジャンヌを目の前に移動させ、『コウハ』を放つ。

 

 

WEAK!

 

 

ジャンヌから放たれた眩い光は悪魔に命中し、悪魔はくるくる回る星を頭上に浮かべてダウンした。

 

1more!

 

 

「僕からの呼びかけに即座に反応し、咄嗟の奇襲に対処するとは初めてにしてはやるな。

どうやら、相手は全員君の扱う魔法が一番刺さる。

纏めて狙えるスキルがある筈だ。それで一気にダウンさせろ!」

「かしこまっ!」

 

纏めて狙えるま…スキル…なるほど!

 

「ジャンヌ!『マハコウハ』!!」

あたしは頭にまた思い浮かんだスキルをジャンヌに指示する。

 

ジャンヌは空中に飛び、眩い光の力を全てに放つ。

 

WEAK!

 

WEAK!

 

WEAK!

 

 

すると悪魔達は全員光に打たれ、頭上にくるくる回る星を浮かべてダウンした。

 

 

「今だ!囲え!!」

「よくわかんないけどかしこま!!」

 

 

 

HOLD UP!

 

 

 

 

全員がダウンしたのを確認すると、ひびきさんは即座に指示をだし、あたしはジャンヌを仮面に戻しその通りに動き、悪魔達を囲う。

その時ひびきさんが「動くな」と、銃を奴らに突きつけてるのを見てあたしは真似するように剣を突きつける。

 

「動いたら撃つか、彼女が魔法を放つよ。

 

少しでも動いている様子があったら、威嚇でスキルを撃て

かしこま。で…このあとどうするんですか?」

「今回は総攻撃で行くぞ」

「へ?報連相?」

「…ッ!その言い間違いは相変わらずだな…!

 

総・攻・撃だ!!

2人で一斉に攻撃して仕留めるぞ!」

「なるほどのかしこま!」

 

 

「とにかく…行くぞ!!」

 

ひびきさんの号令で、あたし達は一斉に悪魔達に飛びかかり徹底的に殴り、斬りまくって仕留めに行った。

 

 

 

ドカ!バキ!ドカ!バキ!

 

 

ーVictory is in the air!ー

 

「かしこまフィニッシュ!!」

 

 

『ときめき!プレゼントfor you』モチーフの背景と消滅寸前の黒いシルエットの敵を背に、あたしはいつものかしこまのポーズを決める。

 

ポーズを決めたのと同時に背後の悪魔達は一斉に血飛沫みたいなのを吹き出して消滅した。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

悪魔を全部倒して、この空間にいるのはあたしとひびきさんだけになった。

 

「あの…お礼言うの遅れてすみません。

ひびきさん、助けてくれてありがとうございます!」

あたしはひびきさんに近づいて礼が遅れたことを謝罪しつつ、改めて助けてくれたことに感謝を述べて頭を下げた。

 

当のひびきさんはやれやれと聞こえてくるような表情を仮面越しに浮かべる。

 

「礼はいい。

それとこの姿の時は本名で呼ぶな。

 

ジーニアス・ネクスト』と呼ぶんだ」

「じゃあそのままだと長いので、『ジーニアス』って呼びますね!」

 

「…まぁいい。

それより君、初めて覚醒した勢いで派手に暴れていたけど、身体の方は大丈夫なのか?」

 

「身体…?…うわっ!?」

ひびきさん…ジーニアスにそう指摘された途端、あたしの身体はまるで一気に疲労がたまったかのような勢いでぐらつき、バランスを崩してしまう。

 

本日3回目の転倒の危機になりそうだったけど…

咄嗟にジーニアスが右腕を出してあたしの背中を抱きとめたことで、3回目の転倒は防がれた。

 

 

「おっと」

「あ、すみません…!急に力が抜けて…」

《ペルソナ》に初めて目覚めたらこうなるんだ。僕もそうだった」

 

《ペルソナ》?」

 

“ペルソナ”、初めて聞く単語に首を傾げる。

すると、ジーニアスがそれについて簡単に答えてくれた。

 

「さっき君が出した力…『ジャンヌ』のことだよ。

 

君の心に眠っていた反逆の意志が『もう一人の君』という形で現れたもの、それが《ペルソナ》だ。

 

君はさっき、僕が言ったことや自分自身、更に君をこの世界に招き入れた者に怒りを抱き、『ジャンヌ』という形であのペルソナ発現させたんだ」

「反逆の意志…ジャンヌも言ってた…」

つまり、あの『ジャンヌ』が《ペルソナ》って言われるもう一人のあたしで、あたしの反逆の意志が形になったものってことか…。

 

でも、もう一つ気になることがある。

あたしはそれをジーニアスに問う。

 

「ペルソナについてはちょっとわかったんですけど…。

 

 

 

ここって…どこなんですか?

 

 

ここが何処かということ。

そもそも、ジーニアスを追っていた理由がこの不気味な空間のことと、ここからの脱出方法を詳しく聞きたかったからなんだよね…。

 

ペルソナの力を得たのは完全に想定外なんだけど…ここでやっとこの謎空間のことについて尋ねることができた…。

 

「やはり、僕についてきた目的はそれか…。

 

わかった。君の頑張りに応えて教えよう。

この空間『メメントス』のことや僕の目的についても。

 

何より君はこの世界に足を踏み入れ、後戻りできないところまで来てしまったからな。

 

続きは僕の家で話すとするか。

今の君を抱えて探索なんて無理な話だからな」

 

「え?」

 

 

ジーニアスの話すことに、あたしはいまいち理解が追いつかなかった。

 

 

 

今わかるのは…ジーニアス…ひびきさん家にこれから行くってこと!?

 

 

 

 

「…って、うわぁっ!?」

 

すると、あたしは抱きとめられてた体勢からお姫さま抱っこされ、その状態で抱えられていた。

 

ちょっと、恥ずかしい…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最初に名も姿も知らない、この世界の主に代わって君に言っておこう。

 

 

 

 

 

ーようこそ…人の心の世界へ

 

 

 

 

 

 

 

 

「人の心の…世界?」

 

 

 

 

 

 

 

 

これが…あたしの運命が大きく変わった日。

 

 

本来なら歩かない旅路を、これから歩くきっかけになる日だった。

 

 

 

 

OP『Colors Flying High』

 

 

 

 




本文中には書いてませんが、らぁらちゃんのペルソナ『ジャンヌ』の台詞表記がピンクになり、らぁらちゃんが痛みの末に仮面を剥がすシーンの推奨BGMは、P5のペルソナ覚醒シーンでは恒例の『覚醒』です。
知らない方は検索してみてください。

◆ペルソナ解説◆

ジャンヌ

アルカナ:道化師(愚者の別名です)

らぁらの初期ペルソナ。
祝福属性と物理系のスキルを主に扱い、タルカジャも取得する。呪怨弱点。

見た目は四季のドレスに似たドレスの上から薄紫の鎧を身に纏い、槍旗と盾を装備し、らぁらが大人になったイメージの白い肌の女性。
主であるらぁらよりも、精神年齢が高めで比較的落ち着いた性格。
口調や声色はセレブらぁらに近い。


元ネタはフランスの国民的ヒロインとも言われている『ジャンヌ=ダルク』

通称『オルレアンの乙女』。

15世紀に起きた『百年戦争』でフランスを救った英雄。
後に捕らえられ、火刑に処されてしまったが数十年後に『聖人』の称号を与えられた。


次回予告

らぁら「まさか、ひびきさんの家に招かれることになるなんて…!お邪魔します!」

ひびき「ごゆっくり。
さて、君が知りたいことについて話そう。
さっきの空間のことや、僕が日本に活動拠点を移した本当の理由について」

らぁら「本当の理由?」

ひびき「精神暴走事件、君も知っているだろう」
らぁら「ニュースで見たことあります!それと何の関係が?」
ひひき「その事件と異世界、この2つに僕がここに来た理由が関わっている」

らぁら「それって…どういうことですか!?


次回、PERSONA5 THE ROYAL PARADISE

『未知への誘い』


知らなかった頃には、戻れない」



まさか、2万字近くなるとは思わなかった…。

らぁらちゃんのペルソナをジャンヌにした理由は、ひびき様と同じくフランス繋がりであることから、2人共ペルソナをフランス関連で揃えようか。ということでジャンヌにしました。
ひびき様のペルソナ解説は次回行います。

是非、感想お待ちしています。
感想いただけると嬉しいし…励みになります…!

次回もお楽しみに…!

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