PERSONA5 THE ROYAL PARADISE   作:ぎんすた

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前回から約3ヶ月…続きを楽しみにしてくださった皆様、お待たせしました。
と、同時に投稿が遅くなって申し訳ございません。

投稿が遅れた理由は普通にモチベが低下していたのと、我らがジョーカーも参戦しているスマホゲーであるコンパスの周年イベントに現地参戦してきたからです。
ランサー、もといエルキドゥに撃ち抜かれました。

プリパラコラボいつか来るといいな。

と…ここから今回の話に入りますが、今回は情報量が多い説明回!!
ひびきに誘われたらぁらは…?

元々は完成次第投稿しようと思ったのですが、また長くなる&後半の執筆がかなり難航しているのでキリのいい部分までを書き納めがてら出すことにしました。

後半も出来次第投稿したい…(何時だよ)


あと、改めてお知らせ
設定の追加に伴い、先月くらいに前の話に一部加筆修正を加えています。
前の話を既に読んでいる方も是非読み直してみてから、今回の話を読むことをおすすめします。

では、どうぞ。



#2 未知への誘い PART1

5/9日 月 曇り 夕方

 

 

ー紫京院邸・リビングー

 

 

 

らぁらside

 

 

 

「ここが…ひびきさん家…。

まさか、ひびきさんの家に来ることになるなんて…」

 

豪華な内装に、今座ってるソファも含めた高そうな家具一式…。

そして、極めつけは大きなプロジェクター…!

 

凄い…うちとは全然違う…!

 

 

 

「僕の家、気に入らなかった?」

 

ひびきさん家の豪華な内装に見入っていると、クッキー等のお菓子や紅茶を入れたティーカップをトレーに乗せて運んできた安藤さんと共にひびきさんがやってきて、あたしが座っている反対側のソファに座った。

 

 

「…えっ!?…いえ、そんなことないです…!

寧ろ、うちと全然違って豪華で凄いな…って思いました…!」

「そうか。気に入ってもらえて何よりだよ」

 

あたしはひびきさんに感想を率直に伝える。

気に入ってくれたことが嬉しいのか、ひびきさんは機嫌が良かった。

 

 

 

 

 

あたし、真中らぁら。中学2年生!

 

今、あたしはひびきさんの家に招かれています。

何故そうなったかというと…。

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

ー回想・メメントスー

 

「『カエレール』」

前回、色々あってペルソナに目醒めて身体が動かなくなったあたしを、お姫さま抱っこで抱えたままひびきさんは器用に懐から何かしらのアイテムを取り出して投げると、いつの間にか最初の改札に戻っていた。

 

「最初の改札まで戻ってる…!?」

「ちょっと特殊なアイテムを使ったんだ。

巫山戯た名前の割には、こうして最初の所に一発で戻してくれるとても優秀なアイテムだよ」

「そうなんですね…凄いです…」

凄いアイテムなのはわかるけど…放課後からプリパラでもあり得ないことを体験しまくったあたしは、めちゃくちゃ頭が疲れていて、ただ頷くしかできなかった。

「さて、ここから帰る方法だが君はどこからここに迷い込んだんだ?」

「えっと…この駅の外です」

「なら、このままの体勢で構わないからそこまで案内してくれ。

ここから戻るには最初にいた場所に戻る必要があるからな」

「かしこまっ!」

ここから脱出する方法、それだけでよかったの!?

知らなかったし、もうこうなっちゃったからしょうがないけど…

この空間から脱出することを優先するなら、引き返すのが正解だったんだな…。

あたしはひびきさんを最初に迷い込んだところまで案内する。

 

するとまた景色が歪み、最初に迷い込む直前の感覚をまた味わった。

 

 

 

 

ー現実・渋谷駅前広場ー

 

景色の歪みが収まると、さっきまで人気がなかった広場はすっかり元通りになり、スマホの電波も戻っていた。

 

現実世界に帰還しました。

お疲れ様でした』

 

するとスマホからあの空間に入る直前に聞いた音声がまた鳴り、現実世界へ戻ってきたことを告げた。

ちょっと…ホッとした…。

 

この疲れと、あの空間に入る直前の感覚。

そしてあそこで感じた恐怖や怒り、初めてペルソナを使った時の高まる気持ち…。

 

これが全部夢じゃないってことを自覚させられる。

 

いや、夢で終わらせたくない

 

けど…。

 

 

 

 

「…」

さっきからずっとお姫さま抱っこされたままなんだよね…。

 

ひびきさんは制服に帽子に伊達眼鏡と簡単な変装してるけど、これは目立つんじゃ…。

 

「さて、近くに車を停めてある。

それで僕の家まで行くぞ」

「うえぇ!?

車までこのままってことですか!?

目立ちますよ!?」

「覚醒の反動で動けない今の君を支えて歩いていたら余計に遅くなる。

こちらのほうが早いし、早く移動すれば目立つのも一瞬さ。

 

それに君の方が助けてもらった身なんだ。少しは我慢しろ」

「うへぇ…かしこまぁ…」

こうして車までお姫さま抱っこされて、安藤さんが運転する紫色のリムジンにひひきさんと共に乗り、そのままひびきさんの家にお邪魔したというわけで…。

 

着く頃には歩ける程度には回復したから、エレベーターには自力で乗って部屋まで移動したよ。

(途中ぐらついて、時々ひびきさんに支えて貰ったのは内緒で…)

 

 

 

 

ー回想終了ー

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

で…今に至るんだ。

 

「カモミールのハーブティーだ。ほんの少しだが、反動の疲れを回復させてくれる筈だ。

お菓子も好きに食べるといい。

食べ過ぎは毒だが、糖分は脳疲労の回復に役立つぞ」

「ありがとうございます。

いただきます!」

 

ひびきさんに促され、用意されたお菓子とお茶を口にする。

ハーブティーは初めて飲むから、内心ドキドキしながら口に運ぶ。

 

「…!美味しいです…!」

ハーブティーを口にした瞬間、まろやかで優しい感じの味わいが中に広がった。

渋みとかがあまりなくて、凄く飲みやすい。

クッキーとかのお菓子も、普段食べたことない味が多くて食べるのが楽しくなった。

 

「お気に召したようだね。

 

さて、食べながらでいいから本題に入ろうか」

「本題…あっ!そっか!」

 

あたしがもぐもぐお菓子を食べているのを見ながら、ひびきさんは話を切り出した。

 

そうだ、ここに連れてこられた本来の目的は…

 

「あの空間での話の続き…ですよね?」

「君もちゃんと覚えていたようだな。

あの空間を知ることを望んでいたのは君自身だから、覚えていて当然か。

 

 

今から話すのは君が迷い込んだ渋谷駅を模した空間『メメントス』をはじめとした人の心の世界である『認知の異世界』について。そして、君がメメントスで手に入れ、僕も持つ力『ペルソナ』についてだ。

 

君にとっては少々難しいかもしれないから、少々噛み砕いて話そう。

 

準備はいいかい?」

「かしこまっ!」

「その様子だと大丈夫なようだな。

 

さて、先ずは…」

 

こうして、ひびきさんによる『異世界講座』が始まった。

あたしは、緊張で背筋を伸ばしながら話に耳を傾けるのだった。

 

 

 

 

OP『Play』(銀魂のOPより)

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

未知への誘い

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ひびきさんによって始まった『異世界講座』。

早速聞き慣れない単語が聞こえてきた。

 

 

「まず、君は『認知訶学』という言葉を知っているかい?」

 

 

 

「『う◯ち科学』?う◯ちの科学ですか!?」

「…!…知らないのはわかったが、その聞き間違いはいくらなんでも下品だぞ。

しかもピー音までご丁寧に…」

「違うんですか!?すみません…!」

話始め早々あたしがいつもの如く聞き間違いを起こし(しかも汚い方に…)、ひびきさんがこめかみを抑える。

それを見てあたしはすぐに謝った。

 

「…まあいい、君の聞き間違いはいつものことだからな…。

 

でも聞き取れなかったなら、勘違いしたまま返すよりはもう一度聞き返せ。

南くんにまた余計な違反チケットを貰うことになるぞ。

 

うちはただでさえ無駄に校則が多いからな…」

「かしこまぁ…。

ひびきさんもそう思ってたんですね…」

「当たり前だ。

ルールを尊重してきちんと真面目に守っている、南くんには言えない話だがな…。

 

…話を戻そう。

認知訶学は『認めて知る』と書いて認知。

摩訶不思議の「訶」に学ぶと書いて『認知訶学』と読むんだ。

 

簡単に言うと、君が入った人の心の世界…つまり、人々の思い込みできた『認知の異世界』を研究する。

 

傍から見れば非科学的な学問のことさ」

「そういう学問あるんですか!?

南委員長だったら信じなさそうですね…」

「しかもうちにはただでさえ、そういう校則が存在するからな」

「あ…あの校則…」

 

うちの学校…パプリカ学園には31条に『非科学的なものを言ってはならない』っていう校則があり、あたしも小5の時にそれに引っかかって違反チケットを切られたことがある。

(しかも200枚目寸前の199枚目…)

 

認知訶学の話は学校内でやったら、もろ引っかかりそうなんだけど…。

 

「だが、認知訶学は学問として実際に研究もされていた立派な『訶学』だ。

文字違いだが、非はつかないから校則違反には該当しない筈だ」

「すっごい解釈しましたね…」

「決まりを守る範囲で抜け道を見つけるのも大事なことだ。

 

実は最近起きている『精神暴走事件』や『廃人化』も、その認知訶学が関与している」

「精神暴走事件…!?

最近起きているまだ未解決の恐ろしい事件ですよね!?廃人化もなんですか!?

 

どっちも死んでる人が出てるって…」

話の中で思わぬワードが出てきたことにより、その身を戦慄させる。

 

《精神暴走事件》

最近突如豹変した人達が交通事故や、地下鉄の暴走とかを次々と起こし、その当の本人は事件を起こした時の記憶は無くしてしまい、何故起こしたのかわからず手口が未だに判明していない恐ろしい事件。

 

中には廃人化っていう、意志がほぼない状態になって、最悪の場合だと死に至った被害者もいるってニュースで聞いたことがある。

 

プリパラでも、身内が被害にあったアイドルがいるのをチラホラ聞いているけど…まさか、その事件がこの話に出てくるなんて…。

 

すると、ひびきさんの口からまた衝撃の事実が明かされた。

 

「…実際に僕は1年前に見たことがある。

 

君が迷い込んだあの空間『メメントス』で、対象者らしき人物の『シャドウ』が何者かに消され、後に現実世界で廃人化された瞬間をね」

「…!?消され…っ!?」

そう目を伏せて話しているひびきさんから、怒りと後悔の念を感じた。

表では平常を装っていても、声色やテーブルに頬杖をついていた手の震えは隠しきれていなかったからだ。

 

ひびきさんは、何らかの理由で精神暴走事件を起こした犯人に対して激しい怒りを抱いている…?

 

そう感じたあたしはあまりの迫力に、思わず言いかけた言葉を失っていた。

 

 

「さっきメメントスで君が襲われた怪物…あれは『シャドウ』と言うんだが、彼処で説明した通りあの不気味な姿から変化した悪魔のような姿を取ったシャドウ達は人の心の海から生まれ、メメントスに迷い込んで徘徊している。

 

所謂、ゲームでよくある倒しても問題ない野生の魔物と言ったところだ。

 

 

問題は決して殺してはいけないシャドウ…。

反逆の意志を抱けばペルソナの元となる、『もう一人の自分』であるシャドウだ」

「もう一人の自分…あ!あたしでいう『ジャンヌ』になる前の『あたし』ですね!」

「ああ、その認識で構わない。

 

シャドウは人が心の歪みを抱いた時に、メメントスに現れる存在だ。

歪みが悪化して暴走すると、『パレス』という学校や自分の家を歪んだ形で認識した空間を生み出し、そこに『主』として君臨することもある」

 

 

「メメントスに加えてパレス…。

認知の異世界って色々あるんですね…」

今まで知らなかった人の心の世界。

内容は難しいけど、普段なら触れることのない未知の領域、最近起きている事件の裏側が常識を超えた内容だから、無意識に食い入るように聞いていた。

 

 

「僕が認知しているのはその2つだけだけだけどね。

 

そのシャドウは現実の心の一部でもある。

シャドウを殺してしまえば、そいつは心の在り処を失って廃人化し…君もニュースなどで聞いての通り、最悪死に至る。

 

精神暴走事件の犯人はそれを承知の上で犯行を行なっている…!

 

怪盗として暗躍している僕が言うのも何だが、それを超えた許されざる蛮行だ…!」

「ひびきさん…」

 

事件の犯人がやっていることは、間違いなくひびきさんの地雷を踏んでいるみたいだった。

ひびきさんのやっていたことを軽く超えてるし、あたしも話を聞いて、事件の犯人が許せないなって思った。

 

「僕がヨーロッパラから日本に活動拠点を移した理由…誰にも公表していなかっただろう。

 

ここまでの流れを踏まえて言うと、メメントスやパレスと言った認知世界を調べて、精神暴走事件の犯人を独自に突き止めること。

 

 

これが僕が日本に活動拠点を移した理由だ」

 

「精神暴走事件の犯人を突き止める…!?」

日本に拠点を移したのってそういうことだったんだ…。

多分ひびきさんのことだから、警察には絶対に頼らないのは想像できるけど…。(プリパラで色々やらかしてるし…)

どうしてそこまで…。

 

「僕がペルソナに目醒めた場所はメメントス。僕も君と同じように偶然メメントスに迷い込んだ。

君のスマホにもはいっている赤い目玉のアイコンのアプリ『イセカイナビ』を誰かが起動した時に巻き込まれてね」

「イセカイナビ…このアプリってそういう名前だったんですね」

スマホを取り出して、『イセカイナビ』のアイコンが映った画面を見る。

 

何度も消しても復活する謎のアプリ…。

今までのことからして…このアプリは…。

 

「ああ、イセカイナビは僕達のようなペルソナ使いや生身の人間がメメントスやパレスに入れるようになるアプリだ。

一度インストールされたら、削除しても復活する」

「あっ!だから何度消しても復活したんですね!」

「そうだ。

 

ナビを起動してパレスの主の『名前』、『場所』、『主がそこをどう思っているか』を音声入力することで、その対象者のパレスに入ることができる。

メメントスに行きたい場合はメメントスと言うだけで、簡単に入れる」

「行きたいって…あんな場所、自分から進んでいく人何処にいるんですか…」

 

「まぁまぁ。

恐らく君の話から推測すると、

 

君のスマホに入っていたイセカイナビが、たまたま誰かが『メメントス』と言ったところを偶然拾ってしまい、君は意図せず迷い込んでしまった。

 

というところだな」

「はい、後はひびきさんも知っている通りです。

 

でも…気づいていたならなんですぐ声かけなかったんですか!

あたし、ペルソナに覚醒するまでずっと怖い想いしたんですよ!!

 

いきなり未知の場所に放り出された人の気持ち、わからないわけじゃないですよね!?」

あたしはバンッとテーブルを叩いて立ち上がって前のめりになり、ひびきさんを問い詰める。

 

それに対してひびきさんはどこ吹く風のような顔でハーブティーを飲みながら、こちらを一目見て答えた。

 

「確かに、僕も曾て君と同じ経験をしたから気持ちはわからなくはない。

気づかない振りをして、声をかけずに君を危険な目に晒したのは謝る。

 

様子を見計らって助けるつもりだったとはいえ…すまなかった」

「じゃあ、なんで…」

 

 

 

 

「君のことを試していた」

 

 

 

「………え?」

 

ひびきさんがあたしのことを?

思わぬ返しにきょとんとなる。

 

「君には自信や仲間がピンチに晒されたり、君自身が強い意志を抱いた時に発揮され、僕の夢を砕いた『火事場の馬鹿力』。

 

それを持つ君なら、相性の良い反逆の意志を動力源とするペルソナに覚醒める余地があると思ってね。

僕はそれに賭けていた」

「…!」

あたしには火事場の馬鹿力があるって、みれぃにも言われたことがあるけどひびきさんもそれを認めていたのは意外だった。

割とまぐれだって小馬鹿にしていたから、今のは流石に拍子抜けした。

 

「実際、怖い想いをしているはずなのに生身でメメントスの中を、声を発して気づかれるまでシャドウのエンカウントを避けて、僕を目指して進む行動力を見せ、ペルソナに覚醒めて敵を見事倒した。

 

途中で君が諦めようとした時に、半分失望していたのは事実だけどね」

「う…」

痛いところを突かれて一瞬苦い顔をする。

正直、あれは今思えば自分でも恥ずかしい失態を犯したなぁ…と思ってる…。

 

「たが、君は僕の煽りもあったとはいえ自分自身のシャドウと向き合い、僕の力を借りずに自力で立ち上がって僕と一緒に戦うまでに至った。

それだけでも現時点で充分評価できる」

「えっ!?」

意外にも…褒められてる?

ひびきさんが嘘をついている様子が見られず、あたしはさっきから固まってばっかりだ。

 

「異世界で生き残るには技術も能力も勿論必要だが、一番大切なものはペルソナを覚醒めさせる程の心の強さだ。

 

君は覚醒めたばかりだから技術とかはまだまだだが、技術と心を磨けば君は強いペルソナ使いになれる兆しがある。

 

先程の戦いで僕はそう感じた」

「あたしにそんな才能が…!?」

「才能とは一言も言ってない、あくまで兆しだ。

だが、その兆しを逃さず原石を育てれば君はあの異世界で輝ける。

 

それに言っただろう。

“君はこの世界に足を踏み入れ、後戻りできないところまで来てしまった"と」

「…!」

後戻りできない…。

そういえばジャンヌも同じこと言ってた…。

 

力を手に入れることは、あたしの日常を大きく変えて、人を殺すほどの力を抱えて生きていくことになるって。

 

その言葉が脳裏に浮かび、一気に緊張が走る。

 

「そう身構えるな。

そこでだ、真中らぁら。

 

僕と組む気はないか?

君の火事場の馬鹿力というやつを、味方につけたくなった

 

 

「…え!?」

ひびきさんからの突然の誘いに、思わず素っ頓狂な悲鳴をあげる。

 

ひびきさんが…あたしを!?

ふわりやファルルとかじゃなくて!?

 

「ふわりやファルルは事情を知ってはいるがペルソナ使いではないし、なにより2人に命の危険が伴う。

 

あんな薄暗くて危険な場所に、正直連れて行きたくない。

 

他にもパプリカ学園のペルソナ使いは該当者なし。

よって、今の状況だと僕を除く学園内で唯一のペルソナ使いである君が、一番適任なんだ。

 

 

 

 

それに、これは君から僕への『お礼』にもなる。

 

礼はいいと言った手前だが、君には今回の『お礼』として僕の『共犯者』になってもらいたい」

「…!お礼!?それに共犯者!?」

共犯者!?つまり…ひびきさんと一緒に罪を背負えってこと!?

 

「ああ、それなら公平だろう。

 

それに僕にとっては戦力が増える、君にも僕の後ろ盾を得て怪盗団と接触するチャンスが増える」

「怪盗団と!?」

“怪盗団”、その単語が出てきてあたしはまた思わず立ち上がる。

 

「君が異世界に足を踏み入れる発端となったのは怪盗団調査の為に秀尽学園へ行こうとして、渋谷駅の外に出たからだろう。

 

秀尽に目をつけるのはある意味正解だが、自分達とは違う制服のやつが校舎周りをうろついていたら目立つ上に、調査以前に怪しまれて自由に身動きが取れなくなるぞ」

「…あ、確かに…」

「それに、恐らく怪盗団は悪人の改心にメメントスやパレスを利用している。

秀尽よりもあっちのほうが遭遇する可能性が高い。

君にとっても悪くない話だろう?

 

 

知りたくはないか?怪盗団とあの世界の謎を」

「…!それは…!」

ペリドットのような美しい瞳で、此方を真っ直ぐ射貫くひびきさんの誘いの言葉に、あたしのエメラルドグリーンの瞳が揺らぐ。

 

 

 

「……」

正直…知りたいよ。怪盗団のことやメメントスの秘密。

それにひびきさんも恐らく犯人を見つけることには本気だし、様子から見ても嘘はついていない。

 

メメントスの怪物は小さい頃の“あの日”を思い起こさせるから正直怖い。

 

 

けど…誘いにも乗りたい…。

 

「かしこ…」

あたしは迷いながらもいつもの癖でかしこまをしそうになる。

 

 

 

 

「それを言うのは少し待つんだ」

「…!」

だけど、言い切る前にひびきさんに止められ、ピースを決めそうになった右手を下げた。

 

「君、今いつもの癖でかしこまを言おうとしただろう。

 

僕の今の誘いに対して迷っていながらも癖でそれを言うのは、早計じゃないか?」

「ぐっ…」

迷ってること、見抜かれてた…。

だからかしこまを阻止したんだ…。

 

「君はつい『かしこまっ!』と言ってしまい、誘いを迷えず断れない癖があるだろ。

僕が止めていなきゃ、さっきも言おうとしてたぞ」

「う…」

全部バレてた…!

しかもあたしの誘いや頼みを断れずかしこまって言っちゃって、乗ったり引き受けちゃう癖も見抜かれてる…!!

 

流石現実でも俳優やってるひびきさんは

観察力にも長けてるな…。

 

ひびきさんの凄さを実感し、いつの間にか違反チケットを貼られた時のようなあかべこ状態になる。

 

「気落ちすることじゃない。

君のその癖は欠点でもあり、一種の長所だ。

その癖がなかったら、神アイドルになった今の君はいないだろうからな。

だけど、誘いに乗るなら内容によってはよく考えろという話だ」

「…ひびきさん…」

「あと、そのネガティブなあかべこ状態は今すぐ直せ。

ネガティブな思考を続けるのは心に良くないぞ」

「…!すみませんのかしこまっ!」

ネガティブな様子を叱責され、あたしはあかべこ状態からもとに戻る。

 

「…君のかしこまの汎用性高いな。

たまに語尾にもそれを使ってるみたいだが…僕の身体が反応してないからそれは大目にみるとするか」

「ひびきさん、かしこまは語尾じゃないですよ」

「なるほど…汎用性の高い常套句か。

だから反応しないわけだ」

 

一連のやりとりのあと、ひびきさんは咳払いをし、脱線しかけてた話を戻した。

 

「…ともかく、異世界での戦いはプリパラで競い合うのとは違う。君もあのメメントスで実感したと思うが本当に命懸けだ。

 

この誘いも、君へのメリットは充分にある。

 

だが同時に油断すれば命を落とし、現実世界でも警察の目を逃れるように生活を送らなければならなくなる。

君も知っての通り、僕は殺しは絶対にしないが目的の為なら、法を犯すことも躊躇しない。

 

 

僕の誘いに乗るということは、僕のやり方にも付き合う。

 

そういうことだ」

「…!」

 

そうだ。あたし達からドリチケを盗んだり、プリパラのシステムを改変するとか目的の為なら、法を犯す手段をひびきさんは何の躊躇も無く取る人だった…!

 

プリパラで許されて有耶無耶になってて、現実でも未だにつかまってないだけでひびきさんは自分の正義に従って、いくつもの犯罪を犯してきた。

 

 

ひびきさんの誘いに乗るってことは、その覚悟も、罪も背負わなきゃならないってことか…!

 

「その様子だと、君もちゃんと理解しているようだな。

僕から誘っといて何だが、この誘いに乗るかどうかはよく考えて決めてほしい。

 

君もかなりのリスクを背負わなければならない話だからな。

 

勿論、共犯者になる覚悟を持って乗ってくれるなら歓迎するさ。

ゆっくり考えて決めたまえ。

 

うちの校則にもあるだろう

 

 

 

夜悩むな 朝悩め』と

「…!それって…」

ルールを破りまくることに定評のあるひびきさんが、珍しく校則を持ち出した。

その意味って…。

 

「ペルソナの覚醒の反動で、脳は疲れているはずだ。その状態で重大な決断を下す為の判断をするのは危険すぎる。

今日はゆっくり休んで、正常な判断を下せるくらいに脳を回復させて答えを出すんだ。

それから君の答えを聞こう。

 

いい返事を期待しているよ」

 

そうだ、さっきと比べて回復した感じはするけど覚醒の反動のせいでまともに動けないレベルで疲労していたんだった…。

 

「…かしこま…。よく考えてみます」

ひびきさんの配慮を汲み取り、あたしは大人しく言うことに従うことにした。

 

「あと、今日のことは君と僕達トリコロール、そして安藤だけの秘密だ。

仕方ない場面を除いて、くれぐれも他の人に話すことのないように」

「それもかしこまっ!!

 

でも、妹には絶対バレると思います…」

「君の妹は賢いみたいだからな。

その時はその時だ」

他の人に秘密…これは納得のかしこまだよ。

みんなにバレたらそれぞれどんな反応になるか想像つくし…。

 

 

けど、また秘密増えるな…。

 

 

 

 

 

 

この後、あたしは安藤さん運転でひびきさんに自宅まで送ってもらい、無事に帰宅した。

 

ただメメントスに迷い込んでいた間、スマホの電波がなかった時点で気づくべきだったんだけど…乗ってる間、鬼のような数のチャットの通知と着信履歴が入っていて、それの対応に追われて大変だった…。

 

明日…倍の違反チケットは覚悟しておこう…。

何枚分叩きつけられるんだろうか…。

 

帰宅した後も連絡つかなかったことでママにめちゃくちゃ怒られた…。

メメントスのことは言えないから、意外にもひびきさんが『急な用事に彼女を付き合わせた』と誤魔化してくれて無事に事なきを得た。

 

断るにしても乗るにしても、明日以降ちゃんとお礼しようとあたしは密かに決めたのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

5/9日 月 晴れ 夜

 

 

ー真中家・らぁらの部屋ー

 

夜、あたしは風呂入った後軽くテスト勉強に取り組みながら、スマホにある『イセカイナビ』のアイコンを見ていた。

 

「消しても消せない…。本当に後戻りできないんだな…」

 

イセカイナビがある限りどんな些細な一言でも、それがメメントスやパレスに関連するワードであれば、アボガドの地獄風紀委員長の地獄耳みたいに、即座に拾ってあっという間に異世界へと誘われてしまい、異世界との関係を完全に断つことはできない。

 

ひびきさんの言う通り、あたしは一度開けたら戻ることのできない所に一歩を踏み出してしまった。

 

それも朝から意図せぬ形で。

 

「でも、これ夢じゃなくて全部現実なんだよね…」

メメントスに、ペルソナ。そしてまだ入ったことないパレス。

これが全部実在する。

 

夢かと思いたいけど、ナビが…あたしの心がそうさせまいと現実を突きつけてくる。

 

「あたし、これからどうなるんだろうな…」

 

 

 

 

 

 

「なーに難しい顔してるの?お姉ちゃん」

 

 

「…!!のん!?

入るならノックぐらいしてよ!!」

「家族だし、それくらいはいいでしょ!」

勉強にいまひとつ集中できず物思いにふけていたら、いきなりうしろから声が聞こえ、スマホを思わず落としそうになるほどびっくりして振り向くと、妹ののんが勝手に部屋のドアを開いて入口付近に立っていた。

 

《真中のん》

あたしの妹。小学6年生。

あたしより頭も良くて、一人三役をこなせる程スペックが高い自慢の妹。

ちりちゃんやペッパーちゃんと一緒に『NonSugar』っていうチームを組んで活動しているんだ。

 

ちなみに、身長は2年前よりかなり伸びていて小6の時のあたしよりちょっと高い。

 

そんなのんがノックもせず、ずかずかとこちらをジト目で睨みつけながら距離を詰めていく。

 

 

「それよりお姉ちゃん、今日帰ってきてから様子おかしいよ?

いつもより疲れ切っていたし、今も勉強にいつもより集中できてない。

 

チャットや電話で連絡しても何故か圏外だったし、ひびきさんと何してたの!?」

「それはひびきさんも説明してくれたよね?『急な用事に付き合った』って…」

ひびきさんと『やっていたこと』を追求してくるのんを振り払うべく、さっきひびきさんがごまかしてくれた際に用いた理由を使って咄嗟に誤魔化すけど、のんは引く様子が無い。

 

「嘘。

お姉ちゃん黙ってたし様子おかしいし、ひびきさんって息を吸うように嘘をつくのが得意でしょ。

 

お母さん達は誤魔化せても、私は誤魔化せないよ!

何年お姉ちゃんの妹やってきたと思ってるの?」

「…!」

やっぱのん鋭い…!

嘘を見破られ、思わず後ずさる。

追い詰められた犯人ってこういう気持ちなんだな…。

 

「それに、さっきから勉強しつつスマホ見てるでしょ。

 

その変な赤いアイコンのアプリの画面でそのままになってるみたいだけど…

その『用事』と何か関係あるの?」

「…!!」

しまった…!!のんに声をかけられた時点でスマホの電源切るべきだった…!!

 

しかも、よりにもよってイセカイナビのアイコン見られたぁ…!!

 

「お姉ちゃん、話して。

どうせお姉ちゃんのことだからひびきさんから口止めされてるか、逆にお姉ちゃんがひびきさんに口止めを頼んでるかのどっちかでしょ。

 

話せばお母さん達には話さず、ひびきさんにもあたしの方から上手く言うから。

話さないと、みんなにバラすよ」

「…」

流石にもう誤魔化しきれない。

そう悟ったあたしは諦めて、のんに話すことにした。

 

「…のん、今から話すことは絶対に他の人にバラさないでよ。

これはママやパパも例外じゃない。

 

 

これはひびきさんとの約束でもあるから」

「わかってる。で…どんな話?」

「話せない奴もあるんだけど…実は…」

 

あたしは今日あったことをのんに話した。

流石に認知訶学の詳細や、ジーニアスネクスト=ひびきさんは伏せたけど…。

 

「なるほど、そのアプリで変な空間に迷い込んだせいで連絡取れなかったんだ。

 

どうりで電話もチャットも繋がらないわけだよ。

電波遮断された空間にずっといたなら、スマホが通じないのは当然だもん」

意外にものんはびっくりせず冷静に受け止めた。

流石にこれはあたしのほうが驚いた。

 

「のん、驚かないんだ」

「だって、プリパラっていう不思議か空間が既にあるから、そういう空間があってもおかしくないじゃん」

「確かに…」

「でも、ひびきさんに感謝しないとね。

 

 

ひびきさんが助けてくれなかったらお姉ちゃん、私達の知らない間に死んでたかもしれないんでしょ

そう言ったのんは俯いた状態になり、表情が見えなくなる。

けど、声は震えていた。

 

「…のん…」

 

お姉ちゃんは私のライバルで神アイドルなんだよ!!

 

なのに、変な空間に迷い込んで私の知らない間に死んでたら…今頃お姉ちゃんのことも、自分のことも許せなかった!!

そして泣きながら突進し、あたしのお腹辺りのところに顔をうずめ、両手の拳を握りしめて椅子の背もたれに叩きつける。

 

私は神アイドルのお姉ちゃんを超えたいの!!お姉ちゃんが死んだらそれが二度とできなくなる!

ひびきさんの誘いに乗るかどうかはお姉ちゃんの勝手だけど、私の知らないところで死ぬとかはもう無しにしてよ!!

 

もしそうなったらお姉ちゃんのこと、今度こそ絶対に許さないんだから…!!

そう言って、泣きながら顔を上げるのんの瞳にはあたしが無事に帰ってきたことへの安堵や、自分やあたしへの怒りとか色々込められている…そんな気がした。

 

「のん…わかってるのかしこま…。

そして、ごめん」

あたしはそんなのんを優しく抱きしめて、頭を撫でた。

 

ひびきさんがいなきゃ、あたしはペルソナを覚醒せずシャドウに怯えたまま…今頃のんや、パパ、ママ。

 

そしてみれぃやそふぃ…みんなに知られないままメメントスで死んで、みんなを悲しませていたんだって考えると…ゾッとした。

 

あたし…神どころか、アイドルそのもので失格だよ…。

…!

 

 

 

「あたし、絶対二度と勝手に死なない。

どんなとこにいたって、絶対生きて帰るよ。

 

だって、まだやりたいことたくさんあるもん。

のんに言われなくても、中途半端なところであたしはみんなに知られないまま、死ぬようなことは二度としないよ!」

あたしは自分にも言い聞かせるようにそうのんに宣言した。

 

 

 

「…!お姉ちゃん…それホント?」

それを聞いたのんの涙は止まり、真偽を確かめるかのようにあたしを見据える。

 

 

 

ホントのかしこまっ!

それを見てあたしは、のんを安心させられるような笑顔でいつものかしこまっを決める。

 

「…それを破ったら、今度こそ承知しないから!

絶対中途半端なとこで死なないでよ!」

それを見るとのんは立ち上がってこっちに背を向けて、そう言い残して部屋を去った。

あたしはそれを最後まで見届けた。

 

 

「…」

オール◯イトみたいな笑顔で誰もを安心させられるヒーローにはなれないけど、ヒーローもアイドルも笑顔でみんなに『大丈夫』を届けるのは一緒だ。

 

弟子の彼の受け売りってわけじゃないけど…ファンを笑顔にするよりも先に、身近な人を安心させられないで、何がアイドルなんだろうって思う。

 

だから…笑顔でかしこまって言うんだ。

大切な人を笑顔にして、安心させられるように。

 

幼い頃の自分のような思いをしてる人を元気づける為に。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『ママ…!パパ…!のん…!どうしてはこみたいなのにはいったままでてこないの…?

 

くらくてこわいよ…!うごけないよ…!』

 

 

 

『…ぐすっ…うわあああん!!なんでだれもいないのおぉ!!』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そう思ったら、またあの日のことを思い出しちゃった。

棺桶に仮面の怪物…今思えばあれもメメントスと似たようなものなのかな?

 

 

…それはそれとして…強くなりたいな。

 

 

小さい頃、怪物に怯えたあたしがその怪物と戦えたんだ。

その頃のあたしに大丈夫って言えるくらい強くなれば、友達もファンも笑顔にできて大丈夫だって、安心させられる神アイドルに成長できるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひびきさんへの返事、どうしようかな…。

ひびきさんと組めば、強くなってアイドルとしても成長できるのかな…?

 

 

 




◆ペルソナ解説◆

ナポレオン

アルカナ:皇帝

氷結属性と銃撃、斬撃系の物理スキルをメインに、回復や補助もこなせる万能型。

核熱&語尾弱点。


見た目はBPCRカラーの軍服に怪盗ジーニアスの帽子とマントを身につけたひびきに似た男装麗人。
ひびきの快活な面が表に出たような性格。
曰く『性格は昔の自分そのもの』。

元ネタはフランス革命でお馴染みの『ナポレオン=ボナパルト』

コルシカ島で生まれ育ち、フランスの兵学校を得てフランス革命政府の軍人となる。
フランス革命後は『ナポレオン1世』としてフランスの皇帝となる。
(一部世界史の窓より引用。)


ーーーーーーーーーーーーー

ということで、今回はひびきさんによる認知世界についての講義、そして真中姉妹のエピソードをお届けしました。

今回のOPに銀魂の最初のOPを引っ張ってきた理由は曲を聞いた時に『これこの小説のらぁらちゃんの心情に合いそうだな』と思って引っ張ってきました。

知らない方は『銀魂 Play』などで検索をお願いします。


正直…複雑な認知世界のことをどうわかりやすく説明しようか、めっちゃ悩みました。
今回の話の為に実況動画とか見返したり、ウィキペディアやPixiv百科にも世話になりました。

最初の秘密バレの相手をのんちゃんにすることは最初から決めてました。
ジュルルの時も最初に気づいてたし、今回のことものんちゃんに対しては、らぁらちゃんだと絶対に誤魔化すのは無理だろうな…と思ったからです。

そして作中でも言及している通り、ひびき様本編スピンオフ含め結構やらかしまくってるんですよね。
ひびき様の誘いに乗るということは、そういう手段にも手を伸ばす覚悟がいるという訳で…。

これも含めて、かしこま未遂してらぁらちゃんに一旦考えさせる展開となりました。

さて、らぁらが下す決断は…?

次回もお楽しみに!

そして…よいお年を!!
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