思ったよりスムーズに完成しました
スタジオでしない?
あたしの部屋ポスターエグいし
5900円て笑
知りませんでした
わかまりの渋谷デートについて通話をしてから約一週間。
新菜は夏休みという莫大な自由時間を活用し、驚異的な早さでリズの衣装を完成させた。
リズの衣装が布面積が小さく、必要な作業時間が少なく済んだというのもあるだろう。これが雫や“烈‼”シリーズのような重厚感があったり装飾が多いものであればまた話が違ったのかもしれない。
ともあれ、ライムでのやり取りの通り新菜と海夢ちゃんは早速撮影の段取りを進め、海夢ちゃんが見つけた
海夢ちゃんの行動力に思わず笑ってしまいながら俺はそれに一言返信を送る。
明日駅待ち合わせでいい?
明日は先約がある
元々何か理由を付けて今回も辞退するつもりだったが、今回は本当に予定が入っている。
その予定が入ったのは丁度渋谷デートについて通話をした翌日の事だった。
『月見里守優、あなた来週の土曜日って時間あるかしら?』
『ジュジュさん?』
事前の連絡もなしに突然心寿ちゃんから着信。
らしくないな、なんて思いながら応対すると相手はまさかのジュジュ様だった。
心寿ちゃんからの電話だったのでてっきり通話の相手もそうだと思っていた俺は若干面食らいながらもスケジュールを確認しながら返答する。
『土曜ですか? はい、特に予定はないので大丈夫だと思います』
『そう。じゃあ――』
『お、お姉ちゃんっ……私が言うから……っ』
ジュジュ様が何か言おうとしたところで遠くから聞こえる心寿ちゃんの声。
おそらくジュジュ様のすぐ傍にはスマホの持ち主である心寿ちゃんもいるのだろう。
電話の向こうで恐らく通話を代わっているのであろうゴソゴソと小さな雑音の後に『も、もしもし……!』とどこか力の籠った心寿ちゃんの声が届いた。
『あ、心寿ちゃん。急にどうし――』
『あ、あの、守優さん……! ここ、今度、デート行きませんか⁉』
『えっ⁉ デッ、えっと……はい!』
突然のお誘い、それも心寿ちゃんからという予想外の展開に俺は思わずキョドりながら反射で返事をしていた。
そして、デート当日。
渋谷駅はハチ公前。夏休みシーズンな上に土曜日という事で人の往来が激しい中、俺は約束している時間より30分前には到着し、心寿ちゃんを待っていた。
夏真っ盛りという事で厳しい暑さではあるが、銅像の周りに植えられた木によって日陰が出来ているだけまだマシだ。
なにより、こんな暑さの中で心寿ちゃんを待たせるなんて事は絶対に出来ない。
「守優さん、お待たせしました……っ」
木陰のベンチに座って待っていると、ふいに声が聞こえる。
俺が反射的にそちらに視線を向けると暑さのせいか、それとも緊張からなのか頬を赤らめた心寿ちゃんがそこにいた。
ノースリーブタイプのシャツワンピースにストールを肩に掛けた、心寿ちゃんの私服姿。
なんだこれ、めっちゃ可愛いじゃん。こんな可愛い姿を生で見れるとか俺今日死ぬのかな?
「すみません、遅くなってしまって……!」
「いやいや、全然大丈夫。それより、その服よく似合ってるよ。凄く可愛い」
「! あ、ありがとう……ございます……」
約束の時間まで余裕があるにも関わらず、俺が先にいた事に気付いて謝罪する心寿ちゃん。
逆に気を遣わせてしまった事に少し申し訳なさを感じながら服装を褒めると心寿ちゃんは更に顔を赤くしながら俯いてしまった。
そんな反応もまた可愛らしく思いつつ、いつまでも外にいるわけにはいかないので俺はまず屋内へ移動する事を提案する。
「合流したばかりでなんだけど、どこか適当にお店入って涼まない?」
「そうですね、そうしましょう」
俺の提案に心寿ちゃんが頷いて応じる。
近場の喫茶店へと入店した俺達は適当に飲み物と注文して喉を潤した。
冷房の効いた店内はまるで天国のようだと文明の利器に感謝しつつ、俺は心寿ちゃんに今回のデートに至った経緯を尋ねる。
「心寿ちゃん、どうして急にデートに誘ってくれたの?」
「……もしかして、迷惑でしたか?」
「まさか! 誘ってくれて凄く嬉しかったよ。ただ、本当に急だったからさ」
俺の言葉に不安気にこちらの様子を伺う心寿ちゃんに即行で否定すれば、彼女は安堵したように息を吐いた。
心寿ちゃんに伝えた通り俺は今回のお誘いは微塵も迷惑には思っていない。新菜達のラブホでの撮影に同行するつもりもなかったので、まさに渡りに船でもあった。
しかし、ただ急に誘われたのが単純に気になるのも事実。そのお誘いの時にジュジュ様が通話の向こうにいたのも気になる理由の一つだ。
そんな俺の疑問が伝わったのか、心寿ちゃんはどこか気まずそうに視線を逸らしつつ答えた。
「えっと……先日颯馬お兄ちゃんのコスプレを手伝ってくれた時、守優さんの眼鏡を壊してしまいましたよね……?」
「あ、ああ……あの時ね……」
当時の事を思い出した俺達はお互いに顔が赤くなる。
心寿ちゃんの天使の小窓からのボタン飛ばし。あれを生で目の前で見れたのは『着せ恋』ファンとして感無量だし、代償も破格。安いもんだ、眼鏡の一つくらい。
だが、あの件は既に連絡先を教えてもらった事で手打ちとしたはずだ。何故今になってそれを蒸し返す事に?
「実はその事がお姉ちゃんにバレて、『ちゃんと弁償しなさい』って怒られちゃって……それがお母さんにも知られてしまって……」
「……なるほど」
ジュジュ様はそういうところキッチリしておきたい性格だろうしなぁ。
まさかその話が親御さんにまで行くのは予想外だったが……ともかく今回のデートのお誘いには俺の眼鏡を弁償する目的がある事は理解した。
「でも、お金は大丈夫なの? 心寿ちゃんってお小遣い制だったよね?」
ただでさえ、この前の颯馬コスで散財したばかりだ。
衣装代を抑えたとはいえ、一万円近い出費をしたばかりで弁償は厳しいだろう。
バイトが出来ずお小遣いに頼るしかない中学生の身であれば猶更だ。
「そうなんですけど、今回は事情が事情なので家事やお手伝いを頑張るのを条件にお小遣いを出してもらいました」
「だから大丈夫ですっ」と拳を握って意気込む心寿ちゃん。その可愛さに思わずほっこり。
しかし、眼鏡の値段は中々馬鹿に出来ない。いいものは一万円超えなんてザラだし、なにより……
「……実は、もう眼鏡新調しちゃったんだよね」
そう、夏休みに入る頃には新しい眼鏡を購入していたのだ。
デザイン自体は大きく変わりないので気付かれなくても仕方ない。
心寿ちゃんが俺の言葉に「そう言われてみると……」なんて呟きながら、まじまじと俺の眼鏡を見つめる。
そういう訳で眼鏡の購入は不要である事を俺は心寿ちゃんに告げた。
「だからさ、眼鏡の事は本当に気にしなくていいよ。なんなら俺の方からジュジュさんに話するし」
「……はい」
代金だけもらうのもあれなので、お金の事も含めて気にしなくて良い事、必要であれば俺から説明する事を伝えると心寿ちゃんは何故か残念そうに俯いてしまった。なんで?
(……もしかして……)
俺は一つの可能性に気付き、それが正しいかどうかの確認もかねて一つの提案をする事にした。
「……その代わりといってはなんだけど、普段使いとは別の眼鏡を選ぶのを手伝ってくれないかな? 瓶底以外の眼鏡も試してみたくってさ」
「! はいっ!」
俺の提案を聞くや否や、心寿ちゃんは勢いよく顔を上げて嬉しそうに頷いてみせた。
どうやら心寿ちゃんは俺の新しい眼鏡を選びたかったらしい。ホント可愛いなこの子。
ともあれ、心寿ちゃん自身が弁償という罪の意識とは別に俺の眼鏡を選びたいと思ってくれているのなら話は別。
その気持ちを無下にするわけにもいかないし、俺自身もオシャレに合わせて普段とは違う眼鏡を入手しようと思っていたところだ。
「じゃあ、この後はまず眼鏡を見に行こうか。時間があるならその後にも色々見て回ろうよ」
「はい、そうしましょう」
俺の言葉に心寿ちゃんが明るい笑顔で返事をした。
その笑顔に俺も思わず頬が緩ませつつ、俺はスマホで最寄りの眼鏡店を探す。
どうから近くに大手のチェーン店があるようだ。デパートもあるようだし、そこで探すのがいいだろう。
折角のデートだ。眼鏡を見て終わりなんて寂しいものにはしたくないし、心寿ちゃんにも楽しんでもらいたい。
(正直、不安しかないけどな!)
前世も含めて女性と二人きりでデートなんてした事ないし!
ぶっちゃけノープランすぎてヤバい! 助けてドラ●もーん!
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原作に登場しないキャラクター(主人公の身内や乾家両親、アオイさん等)の登場・オリジナル設定について
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内容的に違和感がなければ登場してほしい
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登場するのはいいが必要最低限にしてほしい
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執筆者の自由にしたらいい
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原作準拠であまり出さないでほしい