その転生者は見届ける   作:街中@鈍感力

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自分への誕生日プレゼントも兼ねて『その着せ替え人形は恋をする Season 2 お疲れ様本』を購入しました。
アニメ制作に関わったスタッフの皆様のコメントと可愛いイラスト満載の最高の一冊でした。みんな、お疲れ様本を買おう‼(ダイマ)


第79話『その転生者は説明する』

前回のあ・ら・す・じ♡

 

『五条君と海夢って付き合ってるの?』(埼玉県 高1 菅谷乃羽:16歳)

 

 

『教えろ~!』

 

 

「ゲホッ! ゲホッ!」

 

「ちょっ……ごじょー君、大丈夫⁉」

 

「~~~ッ‼ ッッ、~~ッ‼」

 

「月見里君も⁉」

 

海夢ちゃんが慌てて新菜と俺の事を心配する声が聞こえる。

だが今の俺に返事をする余裕はない。

あーもう、ホントおかしい! 笑い過ぎてお腹痛い……‼

 

「さりげにそれ気になってた~」

 

「月見里君も一緒な時多いけど、割と二人でよく一緒に居るしねー」

 

「そうそう~」

 

海夢ちゃんと長く行動を共にしてきた瑠音ちゃんと大空ちゃんも二人の関係性には気付いていたようで、これを機に真相を知ろうと乃羽ちゃんに同調する。

そこに事の成り行きを見ていた柏木が「そーいえば」と記憶を振り返りながら会話に参加する。

 

「他のクラスのヤツが祭りで喜多川達っぽいの見たっつってたけど」

 

「マジか⁉」

 

「うん、行った行った。行きたかったからさ。夏だし」

 

柏木の言葉に海夢ちゃんは当然のように答える。

その回答が何を意味するのか分かっていないのか、それとも分かっていて言っているのか……うーん、海夢ちゃんの性格的に前者な気がするな。

そんな彼女の返答を予想していた柏木は、あまりにもストレートな返しに呆れ果てた。

 

「出た。予想通りの答え返ってきた~。夏だしって……」

 

「俺達誘われてねーよ‼ 誘えよ‼」

 

『うちも誘えよ‼ で‼ どーなんだよ‼』

 

自分達も誘えと叫ぶ森田、そして森田以上に声を響かせる乃羽ちゃんは勢いのままに再度尋ねる。

一同から視線を向けられる中、海夢ちゃんの介抱でなんとか会話ができるまでには回復した新菜はバタバタと手と首を振りながら答えた。

 

「ちがっ、違います‼ 全然……っ、そんな……っ! 喜多川さんとは、ただの友達(・・)で……っ、付き合ってないです‼」

 

(おっ?)

 

慌てながら答えた新菜の言葉に原作とはちょっと違う変化があった事に俺は密かに感心する。

本来なら否定するだけだったはずだが、今回は友達である事は認めている。原作と比べて少し心境に進展があったようだ。

 

「てかびしょびしょじゃん! タオル貰いに行こ!」

 

「す、すみません……っ」

 

そうこうしているうちに新菜がぶちまけた烏龍茶の処理をする為にと海夢ちゃんと新菜が慌ただしく部屋を飛び出していく。

ちなみにその時も海夢ちゃんは新菜の手を握っていた。自然でさりげない尊みポイント、俺でなきゃ見逃しちゃうね。

 

「いや~、人多すぎて全然たどり着けん――わっ、海夢⁉」

 

「何⁉」

 

「ごめ~ん!」

 

遅れてやってきた加恋ちゃんと成蘭ちゃんの前を駆け抜けていく海夢ちゃん達。

自分達と入れ替わるように飛び出していった二人を唖然とした表情で見送る。

 

「……なーんだ。付き合えばいーのに」

 

「ほんそれ」

 

「ね~」

 

同じく海夢ちゃん達を見送った後、残ったメンバー達が口にしたのは二人の交際を肯定する言葉だった。

原作を知っているから別に驚きはしないけど、新菜と海夢ちゃんの関係を肯定的に受け入れてくれているのを見ると何故か無性に嬉しく感じる。

 

「びっくりしたー、海夢どしたん?」

 

「てかウサギの着ぐるみ引っ張ってなかった?」

 

海夢ちゃん達が走り去り、影も形もない廊下を見やりながら成蘭ちゃんと加恋ちゃんが入室してくる。

天使コーデの加恋ちゃんと悪魔コーデの成蘭ちゃん。この合わせにきてる感じが二人の仲良し具合が窺えていいよね。

二人の仮装の良さに内心で頷いている俺の横では柏木がスマホを確認して「古賀と村上、もうちょいかかるってよ」と未だに到着できない二人と連絡を取り合っているライムの画面を見ながら教えてくれた。

そんな俺達のやり取りを他所に大空ちゃんが事の成り行きを二人に伝えている。

 

「――ってわけで、二人が飛び出していったってワケ」

 

「なるほどね」

 

『で‼ 月見里君的にはどうなんだよ‼』

 

大空ちゃんの説明に納得した様子で頷く加恋ちゃんと成蘭ちゃん。

そして意図せずその場から逃げてしまった新菜達の代わりにと、今度は俺に向かって乃羽ちゃんが問い詰めてくる。

新菜は否定したが、一番近くで二人の様子を見てきた俺の考えも知りたいのだろう。

俺は一切躊躇う事なく自分の所見を伝える。

 

「あれは完全に両片思いだね」

 

「「やっぱり~!」」

 

本人達がいない場所でこんな事を言っていいのかと思わなくもないが、俺が言わなくても皆はなんとなく察しているので今更だ。

現に大空ちゃんと瑠音ちゃんは自分達の思い過ごしではない事を確信して笑い合っている。

 

「喜多川さんは新菜の事大好きだし、新菜も間違いなく意識してる。だけど新菜って自己肯定感低いし、喜多川さんってトップカーストの人間だから『自分なんかが~』って思っちゃってるんだよね。そのせいで喜多川さんのアタックから逃げちゃうから中々進展しないって感じかな」

 

「「「「「「『あ~』」」」」」」

 

俺の言葉に一同が納得という感じで声を漏らした。

まさに異口同音という言葉がピッタリな彼らの反応に思わず笑ってしまう。

 

「ふふっ。俺としては焦るものでもないし、ゆっくり時間をかけて仲を深めてもらえたらな~って思ってる。だから皆もあまり世話を焼き過ぎずに見守ってあげてくれると嬉しいな」

 

「「「「「「『は~い』」」」」」」

 

俺のお願いにまたしても揃って同じ返事をするいつメンの皆。

皆本当に息ピッタリだな。そういうところでも仲良しなのホント大好き。

1年5組箱推しです、よろしくお願いします。

 

「つかなんでガースーばっか歌ってんだよ‼ 俺にも歌わせろ‼」

 

新菜と海夢ちゃんに関する話が終わったところで森田は乃羽ちゃんがずっとマイクを独り占めしている事を指摘した。

そのまま自分が歌う曲を選び始めた森田の行動を皮切りに、またそれぞれが思い思いに過ごし始める。

成蘭ちゃんと加恋ちゃんは自分達の飲み物を電話で注文し、加恋ちゃんと瑠音ちゃんはなにやらコスメの話に花を咲かせている。柏木はポテトを摘まみながら時折スマホをチェックし、古賀達から新たに連絡がないか確認していた。

 

(せっかくだし、俺も何か歌おうかな~)

 

横目に森田の様子をうかがえば、彼は未だに自分が歌う一曲目を選んでいるようだった。

自分が選曲出来るのはもう少し後になりそうだ。俺は目の前の皿に手を伸ばして唐揚げを摘まむ。

 

「そーいえば、海夢と五条君のことなんだけどさー」

 

「ん?」

 

ふいに声を掛けられ視線を向けると、成蘭ちゃんが俺の事を見つめていた。

なにやら新菜達の事で話があるようだ。俺は唐揚げを咀嚼しつつ、目線で続きを促す。

 

「他のクラスにいる友達が、夏休み中にお祭りで海夢達の事見たって言ってたんだけどさー」

 

俺の視線に気付いた成蘭ちゃんが続けた言葉に俺は「ああ、その事か」と頷く。

どうやら柏木の友達だけでなく、成蘭ちゃんの友達もあの夏祭りにいたらしい。

事の経緯を伝える前にと、俺は咀嚼した唐揚げを飲み込み、喉を潤そうと自分のドリンクに口を付ける。

 

 

「海夢だけじゃなくて、他にも二人くらい女の子連れてたらしーんだよねー、なんか知んない?」

 

「ブフゥゥゥゥゥッッ‼」

 

 

俺は新菜の二の舞を演じた。

海夢ちゃん以外に二人の女子ってたぶん、俺と心寿ちゃんの事だよね⁉

 

(まさかダブルデートが新菜のハーレム疑惑を呼んでしまうとは……この月見里守優、一生の不覚‼)

 

というかあの時に限っては俺は女装したつもりはないし、そんな勘違いされるとか思うわけないじゃん‼

とりあえず、この後滅茶苦茶弁明した。

 

 

 

―――――☆―――――

 

 

 

偶然光君達とエンカし、そこにごじょー君が割り込むという一悶着を終えた後。

 

「ゔゔゔゔ~~~~、あ゙あ゙あ゙あ゙~~~~」

 

ウサギの着ぐるみを着直したごじょー君が顔を覆って長い呻き声を漏らしていた。

どうやら勘違いであたし達の間に割って入ってしまった事を未だに気にしているらしい。

 

「気にしすぎだってー。間違えちゃうなんてよくあるしー」

 

「ですが……」

 

「光君達も『髪切るならうちの店来てね~♡』って言ってたし、気にしてないってー。切り替えてこっ!」

 

普段からサロンでごじょー君の話をしていたから光君も学君もごじょー君の事は認知してくれていたし、どうやら二人の中でごじょー君の好感度は高かったようで先程の一件でも気を悪くするどころか終始笑顔だった。

あの様子なら本当に気にする必要はないだろう。

 

「いや~~、でも……もの凄く失礼だったし……ヘマしてばかりで……あ~、俺は本当に……なんでなんだろ……あ゙あ゙~~」

 

「も~~」

 

だけど、当の本人は中々立ち直れないようで自己嫌悪の言葉を滔々と零し続けていた。

これがアニメの世界ならキノコでも生えそうなほどジメジメと陰鬱な空気を背負うごじょー君に思わず呆れてしまうところで、ふと気付いた。

 

「……てか、あたしの事庇ってくれたんだ」

 

光君にお説教されていたのをナンパされているのだと勘違いしてごじょー君はあたし達の間に入ってくれた。

それはつまり、あたしの事を守ろうとしてくれた訳で。

 

『俺が、代わりに……楽しんで頂けるよう頑張るので……っ‼ なのでっ……きっ、喜多川さんを……‼』

 

ごじょー君の真剣な顔を、緊張で震える声を思い出す。

彼は優しい人だから、きっと喧嘩なんてした事はないだろう。

そんな人が、己を犠牲にしてでも自分を守ろうとしてくれた。

それが堪らなく嬉しくて、現金なあたしはさっきまでヘコんでいたのが嘘のように胸が幸せで満たされる。

 

『心配しなくても、喜多川さんという存在はちゃんと新菜にとって大事な部分にいるよ。だから今は、焦らずに新菜との時間を積み重ねていけばいい』

 

いつか通話した時の月見里君の言葉を思い出す。

そうだ、何を傷付く必要があるのだろう。

確かに今はただの友達かもしれない。だけどそれは、今だけの話。

月見里君の言う通り、焦らずにごじょー君との時間を積み重ねていけばいいのだ。

その中で自分の想いをごじょー君にぶつけていけば、必ず関係は進展するはずだ。

悲観する必要はない。だって自分は、大好きな人の大事な部分にいる事を許されているのだから。

月見里君が、大好きな人の親友がそう言って背中を押してあたしの恋を応援してくれたのだから。

 

「あ゙~、なんで俺はいつもいつも……あ゙あ~」

 

未だに自分を責め続けるごじょー君を見つめる。

きっと彼は自分の事をカッコ悪くて情けないと思っているだろう。

だけど全然そんな事はない。

勇気を出してあたしの事を守ろうとしてくれた姿は、凄く凄くカッコよかった。

 

(そんなごじょー君が、大好きだよ)

 

この想いを伝えたいけど、きっと今は違うから。

だからあたしは言葉を飲み込んで、助けようとしてくれた感謝も込めて――

 

 

「チュッ……」

 

 

彼の頬に、キスを贈った。

 

 

ばっ‼

 

「うわっ‼ ビビった‼」

 

ばね仕掛けの人形のように勢いよく顔を上げてこちらを向くごじょー君に思わず声を上げた。

も、もしかして気付かれた……⁉

 

「喜多川さん……怒ってます……? 俺、何かしました……?」

 

「えっ、なんで?」

 

気付かれてはいないようだが、まさかすぎる言葉にあたしは困惑した。

勿論あたしは微塵も怒ってないし、訳を聞こうと尋ねるとごじょー君はガタガタと震えながら言った。

 

「今、『チッ』って……舌打ち、しましたよね……⁉」

 

「はぁ⁉ 全然違うから‼ してないよ‼」

 

キスした時のリップ音を舌打ちと勘違いされたらしい。

理由は分かったけど、そんな勘違いある⁉ 心外なんですけど‼

そう思って否定するが、ごじょー君は怯えた様子で続けた。

 

「じゃあ、なんなんですか今の音! 何したんですか⁉」

 

「~~ッ……い、言えるわけないじゃん‼」

 

「やっぱり怒ってますよね⁉ 俺、何かしたんなら謝るので……‼」

 

ごじょー君の問いに言葉が詰まり、顔に熱が籠る。

心外だけど、訂正出来るかどうかは別問題だし‼

あたしの言葉が更に勘違いを加速させてしまったようで、ごじょー君はオロオロと狼狽えるばかりであたしの言葉を全然聞き入れてくれない。

 

「だから、そーじゃなくて――!」

 

「二人で何を騒いでるんだよ」

 

どうしたらいいのか分からず、否定の言葉を繰り返す事しか出来なかったあたしの所に救世主がやってきた。

 

「月見里君‼」

 

「守優、なんでここに……⁉」

 

「ちょっといろいろあって、俺も飲み物零しちゃって……」

 

現れた救世主こと月見里君は疲れた様子でどこか遠い目をしていた。

あたしとごじょー君がいない間に何があったの……?

月見里君は「そんな事より」と自分の話を脇に置いてあたし達の事を見つめる。

 

「早く部屋戻ろうよ。皆待ってるよ?」

 

「そうだね。戻ろっか、ごじょー君」

 

スマホを見れば思った以上に時間が経っている事が分かる。

ごじょー君の着ぐるみも奇麗になったし、なんだかんだで話もひと段落した。

これ以上留まる理由もないとあたしは立ち上がってごじょー君に手を伸ばす。

 

「は、はい……」

 

「へっ、くしゅっ‼」

 

先程のやり取りもあって少し怖気づいた様子を見せつつも、ごじょー君はあたしの手を取ろうとしてくれた。

だが、思わず飛び出たくしゃみにあたしの方が手を引っ込めてしまい空振りに終わる。

そして、遅れてやってきた確かな寒気。

 

『女の子は体冷やしちゃダメでしょ‼ モデルの仕事してるのに風邪ひいたらどーすんの‼』

 

光君のお説教がリフレインされる。

そのせいか、頭痛までしてきた。

これ、ちょっとヤバいかも……?

 

 

 

 

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主人公のイメージCVについて

  • 決めてほしい(誰にするかは執筆者に一任)
  • 決めてほしい(誰にするかはアンケートで)
  • 決めても決めなくてもどちらでもいい
  • 決めない方がいい
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