うたわれちゃったもの   作:ポチ&タマ

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第10話 蔵を開けろ

【△月×日 晴れ】

 

 ハクオロは圧政に苦しむのは我々だけではないはずだと睨み、近隣の集落へ文を届けた結果、あっという間にそこそこの規模の軍勢を作り上げてしまった。それほどササンテの政策に不満を抱いていたのだろう。

 俺はというと、当初は余所者を巻き込むことに渋面を崩さないでいたのヤマユラの人々だったが、『圧政に苦しむケモミミ少女たちを見殺しに出来ない!』や『未来あるケモミミ少女たちのために立ち上がれ!』と軽く演説したら、あっという間に熱狂の渦が出来上がってしまい。

 戦を仕掛けた時にも忍びとして培った経験を十二分に活かしたら、いつの間にか最大戦力の一人と認識されていた。

 とはいえ、クンネカムン国で行った【外道・輪廻転生の術】の影響は未だ響いており、チャクラもまだ一割り程度しか回復していない。

 軽い忍術なら問題ないが、輪廻写輪眼の瞳術や輪廻眼の能力は消費チャクラ量からあまり使いたくないんだよなぁ。

 万全の状態なら一人でササンテの首を落としてみせたんだが、口惜しや。

 

 そんなことで、俺も戦場で暴れ回ることもあるが、基本的にはもしもの事態に備えて後方で待機している。ポジションとしては大将ハクオロの護衛だな。

 俺の代わりにオボロが前戦で奮闘してくれていて、順調に戦果を上げている。

 戦がある日はそんな感じで野郎共を率いて勝利を重ね、戦がない日は拠点で英気を養う。

 大体そんなサイクルで回っている今日この頃。今日はオフの日のため、カミュとユズハちゃん、そしてアルルゥちゃんの年少三人組の相手をした。

 

 どうやら以前から薬師のトゥスクルさんにはユズハちゃんのことで世話になっていたようで、兄者が行くならとオボロも戦闘に参加、それに伴い拠点をこっちに移したユズハちゃん。

 当初はユズハちゃんの体を心配していたオボロだが、カミュとアルルゥちゃんという得難い友人が出来たお陰で、体調はすこぶる良い。トゥスクルさんからして『今までにないくらい良好』とのお墨付きをもらうほどだ。

 

 そして、アルルゥちゃん。十歳ほどの少女でエルルゥちゃんの妹に当たる。口数が少ない無表情系の美少女。お姉ちゃんのエルルゥちゃんも合わせ、美少女姉妹だな。

 人見知りをする性格のようで、俺と顔を合わせる時はエルルゥちゃんの後ろに隠れてしまうが、カミュやユズハちゃんとは直ぐに仲良くなれた。

 そんな彼女は素の猛獣使いであり、側にはムックルと呼ばれる虎のような猛獣が控えている。ムックルが赤ちゃんの頃から世話をしていたため実質、彼?の母親だ。

 

 悪戯好きのカミュと同じくアルルゥちゃんも大人を困らせるのが好きなようで、よくエルルゥちゃんやハクオロに悪戯したりして遊んでいる。

 笑い声を上げて逃げ回る二人の奏でる音を、少し離れた場所から楽しそうに聞き入るユズハちゃん。

 激しい運動は無理でも、日の当たる場所でそよ風に吹かれるだけで心がポカポカするそうだ。

 ヤマユラに集まった人々のほとんどが大人や高齢者ばかりで、カミュたちと同じ年の瀬の子はそんなにいない。

 カミュたちの遊び相手になろうにも次の戦に備える必要があるため、自然とこの三人で遊ぶ流れになってくる。

 仲睦まじく戯れる少女たちを慈しみの心で持って見守るのが、ケモミミ少女見守り隊のあるべき姿なのだと、木陰でウォッチングしながら深く再認識したね。

 

 

 

【△月◯日】

 

 ハクオロたちの元で世話になること一週間。

 戦がある日はハクオロの側に控えつつ、負傷者を医療忍術で治癒。たまに強襲してくる輩は雷遁のチャクラを纏わせたクナイを投擲して一射一殺を実行している。

 オフの日はカミュたちの遊び相手になったり、ハクオロから戦術的アドバイスを求められたり、オボロたちと一緒に兵糧丸を一心不乱に量産したり、エルルゥちゃんに医学知識の提供や技術指導をしたりと、何かと忙しい日々を過ごすこの頃。

 今日はユズハちゃんの定期検診の日で、勉強にとやって来たエルルゥちゃんに見守られながら、いつものようにバイタルなどをチェック。

 カミュたちとよく遊ぶようになったからか、今のところ病状が悪化する予兆は見られない。やはり健康的な生活が健全な体を作るんやな。

 念のため体力の回復を促す医療忍術を施すと、エルルゥちゃんに医療忍術についてに尋ねられた。薬師として興味が尽きぬ、って顔してたからなぁ。

 

 しかし残念なことに、エルルゥちゃんもウルトリィたちと同じくチャクラの存在を感知できないようだ。この子達の祖先も皆そうだったし、やっぱりケモミミたちは総じてチャクラが分からないのだろう。

 医療忍術が使えたら薬草がなくてもその場で処置出来たのに、と残念そうなエルルゥちゃん。

 仕方ないので、兵糧丸や増血丸などこっちでも使えそうな知識を教えている。

 

 少しは俺に慣れてくれたのか、露骨に避けるようなことはなくなったアルルゥちゃんだが、二人きりの空間だと高確率で何処かへ行ってしまう。

 しかしそれも、エルルゥちゃんのアドバイスの元実行した策によって、見事に軟化してくれた。

 その名も、ハチミツレモンジュース大作戦。

 アルルゥちゃんの好物がハチミツであることを知った俺は、苦労して取って来た蜂の巣からハチミツを抽出。そこにオッタルの実というレモンのような果汁を混ぜて希釈すれば、ハチミツジュースの完成だ。

 ハチミツとレモンの割合いや希釈の調整によって好みの味や硬さを変えることが出来るし、結構上出来なジュースだと思う。

 ハチミツ好きのアルルゥちゃんにとってこの組み合わせは衝撃だったらしく、以降何かとハチミツレモンジュースを強請ってくるように。お陰で二人きりになっても逃げなくなったし、着々と信頼関係を構築出来ていると思う。

 今度は某ウ◯娘が好きなハチミーでも作ってみるかな。




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