うたわれちゃったもの   作:ポチ&タマ

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第3話 大いなる怒り

【□月□日 晴れ】

 

 昨夜は、あまりにもあまりな事態でまともに日記をつける余裕がなかった⋯⋯。

 俺に懐いてくれているケモミミたちの中でも一際アグレッシブなのが、ライオンの獣人であるオウカ。

 小学校低学年ほどの年の瀬であるがその実、年長組の一人で現代なら合法ロリと謳われていたであろうボーイッシュなケモミミロリ。

 彼女は前々から俺に対するアプローチが過激で、男湯に裸で突撃してきては滑って頭を打ったり、寝所に勝手に潜り込み扇情的に誘ってきては寝落ちしたりと、過激なのだが間が抜けている。

 そんな愛すべきアホに夜這いを仕掛けられ、見事にしてやられたのだ……。

 

 無味無臭になるように自身の体で試しながら改良を繰り返した痺れ草を、俺の夕餉に仕込んだのだ。この日のために。

 布団に入ってようやく違和感に気付いても、後の祭り。してやられた俺は舌舐めずりするオウカに襲われ、何時ぞやのアイスマンのようにげっそりとした顔で翌朝を迎えたのである……。

 合法ロリとはいえ、相手はケモミミ幼女。後方腕組み見守り隊の一人としてーー否、誇りあるロリコンとして決して勃起しまいと、性的に迫って来る大蛇丸を夢想して耐えるも、そんな俺の奮闘虚しく、どこから仕入れたのか知識なのかケツに指を突っ込まれて。

 二十三歳という若き体は生理的反射を引き起こし、そのタイミングで食らわれたのだ…⋯。

 

 もはや、俺は誇りあるロリコンにあらず。この身はただの敗残兵⋯⋯。

 しかも普段は陽の気が強い俺だが、童貞喪失により一時的に陰の気が強まったことで陰陽のバランスが崩れ、寝込んでしまった。

 夜這いを掛けられたのがそんなにショックだったのかと、オウカはオウカで勘違いして凹むし。なんというか、順風満帆なアイスマンたちに比べてなんとも締まらぬ俺たちだな。

 それはそうと、ムッちゃんのアプローチが過激になるのが容易に想像出来て、ポンポンペイン……。

 

 

 

【□月○日 雨】

 

 最悪な事態が発生した。

 ようやく陰陽の気が安定し床を出ることが出来るようになったため、運動がてら近くの山へ散策に出た。

 元気に走り回るエモココにユウロ。

 大人たちと混ざって畑仕事の手伝いをするハルウォにヤツィータ。

 薪割り勝負に勤しむエルシオとイェンバッハ。

 種族は違えど、血よりも濃い絆で結ばれた、五十八人の家族たち。

 昨日と同じ今日が、今日と同じ明日が訪れ、現代の娯楽を惜しみながらも幸せな日々が続くと思っていたのに。

 

 俺の家族が。

 愛する隣人たちが。

 守護すべき民たちが。

 無惨な姿となって屍を晒していた。

 

 初めて感知結界に反応があったというのもあり、野生動物でも入り込んだかと高を括っていた自分を殺したい。

 村のあちこちに戦闘の跡が生々しく残っており、我が里にはない金属片などが散らばっていたことから、十中八九下手人は追っ手の科学者たちだと思われる。

 しかし、遺体の中にアイスマンとミコトちゃん、オウカ、ムッちゃんの姿かなく、彼女たちは生け捕りにされた可能性があると悟った俺は、影分身に皆のことを任せて後を追った。

 

 チャクラと仙術で肉体を強化し走り続けること三時間。憎き研究者の施設に辿り着いた俺は、妙な侍チックなアーマーを着込んだ警備兵たちを薙ぎ倒しながら、アイスマンたちの元へ向かい、ようやく再会を果たすのたが。

 

 そこに居たのは、体中にメスを入れられ、筋肉や内臓、骨格まですべてを曝け出したミコトとオウカが、手術台の上に横たわっていた。

 生気の失った顔を目にした瞬間、今まで感じたことのない怒りと憎悪が胸の内を焦がし。

 それでも理性が、切り札の存在を思い出させたその時。

 

 アイスマンの雄叫びが、轟いた。

 部屋の奥にいたアイスマンと思わしき人物が光に包まれると、徐々にその姿が巨体化し、人ではないナニかへ変わっていく。

 

 異形の姿へと変じたアイスマンは『永遠の命が欲しいのならくれてやる』と告げると、逃げ惑う研究者たちを赤黒いスライムに変えていき。

 増援の警備兵たちも含めて、施設にいる科学者はすべてスライムのようなナニかに変貌してしまった。

 異形の姿となったアイスマンだが、人格は彼のままのようで、『すまぬ友よ⋯⋯オウカたちを護れなかった』と塊根の念を口にしていた。

 

 そして、その姿に変じたことで少しだけ記憶が戻ったようで、『我は存在してはならぬ。滅ねばならない』と言い、唯一無事だったムッちゃんに己を滅するように頼んだのだ。

 父の願いを聞き届けたムッちゃんは施設にハッキングを掛け、現状での最大の攻撃手段を放とうとする。

 それは、宇宙にある衛星砲から施設諸共アイスマンを消し飛ばすというもの。

 早く逃げるように念話を送ってきたムッちゃんは、暴走する自分を必死に抑えるアイスマンに照準を定め、カウントダウンのタイマーが点滅する。ーーところで、俺のインターセプト!

 

 ――ムッちゃんに親殺しなどという罪を着せる訳にはいかない。

 ――奴の介錯は、友である俺が務めよう。

 

 久しぶりに六道九喇嘛モードに至った俺は最高位の封印術【六道・地爆天星】を発動。

 アイスマンが協力的であったこともあり、スムーズに行われた封印術。

 魂の搾りカスすら残らぬほどチャクラを絞り出して発動したこともあり、六道仙人がカグヤを月に封じたように、小惑星を築き上げた。

 天へと登る小さな星を見上げた俺は、アイスマンの『ありがとう、友よ⋯⋯』という言葉を耳に、意識を落とし――。

 

 気づけはスッポンポンの姿でベッドの上に横たわっていたである。

 

 ⋯⋯あれー?

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