【□月◯日 雨】
クンネカムン国で大量の信者を獲得してしまった俺だが、オンカミヤムカイでの日常はあまり変わらない。
カミュの教育係であるムントから歴史の授業を受けたり、時にはカミュと一緒に時バックれて城下街へ遊びに出たり。
アドバイザーとして色々な分野のアドバイスを求められては、厳かな場の中こちらを笑わせようとするカミュの変顔に耐えながら脳内で検索を掛けたり。
ウルトリィやカミュから法術を習い、逆に忍術の再現を法術で出来ないか一緒に研究したり。
うん、カミュの構って度が増したな。
クンネカムンから帰国してから妙にカミュとの接点が増えた。気がするではなく、間違いなく増えた。というか向こうから無理矢理接点を増やしてくる。
俺としても可愛い妹分の愛らしい甘え方にメロメロで、出来る限りカミュに構って上げたい。
カルラとも顔見知りなようで、巫女として俺に遣えることとなったのを知ると、ウルトリィ同様ウェルカムな態度を取ってはいたが、それはそれとして自分との時間が削れるのを危惧してるっぽいし。
ていうか『お兄様と遊ぶ時間が少なくなった気がする!』と愚痴ってたし。
なので出来る限り空き時間を見つけてはカミュと一緒に過ごすように心掛けている感じだ。
巫女という新たなポジションを獲得したカルラだが、その実、仕事の何割かがウルトリィと被ってしまっている。
カルラ曰く、巫女とは神に仕え、その心身を癒す存在であるとのこと。実際の定義は知らんが。
なので普段から側に侍り、おはようからおやすみまでお世話をして俺に尽くすことが、巫女として仕える彼女の使命らしいのだが。
ぶっちゃけ、正式にお世話係になったウルトリィと仕事が被ってるんだよな⋯⋯。
どちらが俺の着替えを手伝うかで、何故か一着の服を巡っていた時『ウチワ様の身のお世話は私のお役目です!』と温厚なウルトリィが珍しく頰を膨らませていたくらいだ。
カルラが来てからこれまで以上に調停者としての仕事や法術の授業を張り切っている気がする。
カルラは戦闘民族の姫様なだけあって戦闘能力は結構高く、よく組手の相手お願いしている。
ギリヤギナ特有の膂力に依存する戦い方は独学の息を出ないため、組手では体術の指導をしたりするんだが。
まあそうなると、ウルトリィも対抗意識を燃やして苦手な体術のレッスンをお願いしてくるのが、最近の流れだったり。
ちなみにウルトリィとカミュには合気の技や関節技を主に教えてる。
クンネカムンから戻ってから、市井の人たちから崇められる日が増えていく今日この頃。
オンカミヤムカイは信仰深い人が多く、市井に出ると老若男女から頭を下げられ手を合わせられお祈りされる。
その度にむず痒い思いをするのだが、よく参拝に来てる赤子連れのお母さんから我が子を撫でてもらえないかとお願いされたり。
俺も子供は好きだから快く快諾し、時には抱き上げては『この子の未来に幸あらんことを』と願うのだが。
そういう時になるとウルトリィの視線がメッチャ優しくなる。
その時の目がまんま保母さんのそれで、子供好きなのが一目で分かるくらい慈愛に満ちていた。
俺も子供好きだと分かるとウルトリィは、それはもう心の底から嬉しそうに相好を崩したのは記憶に新しい。
なお『ウルトリィは絶対良いお母さんになるな』と確信を持って言ったら、何故か顔を赤らめて俯いたのだった。解せぬ。
さて、そんなウルトリィだが、親戚の人から赤子を託されるという事件があった。
託されるといっても子供を捨てた訳ではなく、単に仕事の都合で遠出をするため、その間の世話をウルトリィに頼んだという話だ。
この出来事を事件と呼ぶ理由。
それは、天元突破したウルトリィの母性にある。
最初の頃こそ、友人の子供の世話をするという適切な距離感で赤子に接していたウルトリィだが、段々愛着が湧いてきたのだろう。
赤子の両親が帰国したためベビーシッター期間が終了したのだが、まるで生き別れの運命を辿る母のような悲壮感で泣く泣く、比喩ではなく本当に涙を流しながら赤子を親元へ返した。
ウルトリィのことを実母と間違えてマーマ呼びしたのが、此度の事件に拍車をかけたのだと推測する。
それ以降、よく親戚の元へ赴いてはニッコニコの笑顔で赤子と接するウルトリィの姿が見られるとのことだ。
ストック切れたんで一旦ここまで