人工的天才の友人は超能力者   作:アオノクロ

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どうやら感想でバカのやることに何かしらの意図があるのでは? と考察される方が多いですが先に言っておきます。バカはバカです。上がり続けるハードルを横から通り抜けるタイプのバカです。

というか作者がそういうのが書けないので、駆け引きやらなんやらはほぼないのです。それでもいいという方は引き続きお楽しみください。



この小説で最初で最後の頭を使う交渉回です。


超能力者VS英傑たちの交渉

「それじゃあ改めて自己紹介でも、初めまして、Dクラスの渡辺海斗です! 超能力者です! よろしく!」

 

 部屋は静まり返った。

 

 ただでさえ一癖も二癖もある連中が一部屋に集まり、空気が重かったのだがそこへバカの一言。地獄と言っても過言ではない空間が出来上がった。

 

 誰も動くことができずにいると、肩を落とした渡辺が端末を取り出す。

 

「あぁー負けた」

「だろうな」

 

 近くにいた綾小路にと話ながら端末を操作する。

 

「何をしているのかしら?」

 

 堀北が動いた。ただでさえ異様な空間に変な行動をするバカのせいで誰も動けなかった、のだが、この中で唯一慣れているのが堀北だった。別に嬉しくないし誇れない慣れである。

 

「今のあいさつで半分以上ウケたらおれのかち、それ以下だったら綾小路の勝ちって賭けしてた」

「因みにオレは誰にもウケないの一点賭けだ」

 

 しょぼくれた渡辺に心ばかりドヤ顔の綾小路、堀北は一番遠い席に座ったことを後悔した。近くにいたのならこのふざけた二人に今すぐ鉄拳を入れることができたのにと。

 

「えーっと、それで話ってのは」

 

 次に動けたのは平田、同じクラスであり気遣いができるいい男である。

 

「あ、そうそう。みんなを呼んだ理由だけどさ。学校にケンカ売らない?」

「「「「「!?」」」」」

 

 さらりと言われた今回の目的。これにはほぼ全員が驚き、顔に出る。何人かは口角が上がっていたが。

 

「……………いつもの悪ふざけ?」

「いんや? 本気で」

 

 堀北の言葉にもさらりと返す。ここまで軽いとどこまで本気なのかと疑いたくなる。

 

「……………いいではありませんか、話を聞かせてくれませんか?」

 

 次に動いたのは意外にも坂柳だった。自分の父親が運営する学校に対してケンカを売る、大層な言葉だ。そこいらの有象無象が言えば内心で笑って終わったが、近くにいたのは自分が気にかけている相手。ならば目の前にいる相手を傀儡として、彼が動くのかもしれない。

 

 ならば聞くだけの価値はある。

 

「いいの? 一応親御さんの運営する学校だけど」

「テロを起こす、など言われたら考えましたが、ケンカを売る。というのならまだかわいげがあるでしょう。いち生徒として気になりますね」

 

 渡辺に微笑む、その顔はとてもかわいらしいものだが、内心ではどう遊ぼうか、その一心である。

 

「じゃあ話そうか、腹黒い娘さんの許可出たし」

 

 神室が思わず顔をそむけた。口を押えて震えている。坂柳の額には青筋が浮かんだ。

 

「一ヶ月経ってみんなも思っただろうけど、この学校って性格悪いじゃん? ムカつくから正面からケンカしてやろうと思ったんだよね」

 

 続いて出てくる学校の性格が悪いという言葉、呆れたり驚いて目を開く中、龍園は笑い出した。

 

「クク、ハッハッハッハッハ‼ そんな理由でケンカを売ろうってか? しょうもない理由だなおい‼」

「まーね、でも好きでしょこんな理由?」

 

 ますます笑い声が大きくなる龍園。視線が集まる中、石崎がどうしたものかとキョロキョロしている。

 

「えーっと、何か思うことがあったなら教えて欲しいかなぁ~って。ムカつくなんてよほどのことでしょ?」

 

 おずおずと手を上げる一之瀬、この中でとてもいい子である。しかし質問内容は的を得ているので、全員が言い出しっぺの渡辺へ視線を向けた。

 

「ニ、三年生の教室を見てきたら学年が上がるほど人が少なかった。たぶんこの先あるだろうイベントで退学になったと思う」

 

 聞き捨てならない言葉に意識が引き締まった。

 

「あと先輩っぽいのにケンカ売られてポイントを賭けられたし、クラスポイントの説明タイミング、毎年共有されているテスト問題、ここからおれが推測した、と言っても気付いてる人が多いだろうね」

 

 さっきまでのヘラヘラした態度から一転、全てを見下す冷徹な目に集まった全員の背中に寒気が走った。

 

「この学校は生徒同士が、クラス単位で競い合わせる環境だ。ただし、騙し合いもラフプレーも買収もバレなければ問題がないダーティープレーが推奨される蹴落とし合い」

 

 ただでさえ冷めていた温度がさらに下がっていく、すでに渡辺を見下す者はいない。

 

「生き残った者だけを勝者と見なす、学校によって管理された蟲毒の舞台だ」

 

 言葉になのか、渡辺になのか、どちらとも分からないがただ身体の芯まで震えた。

 

「こんなくだらねー学校辞めちまおうかと思ったんだけどさ、良い奴はたくさんいるんだよね」

 

 ポツリと出た言葉。その言葉の意味を理解しているのはこの場に何人いるのか。たった一人だけ、確実に分かっている者は静かに友達を見つめている。

 

「ほかのクラスも見てすごいやつや面白い奴もいた、一緒に遊んだらどれだけ楽しいのか、どれだけすごいことができるのかなって」

 

 表情は変わらない、だけどその眼にも言葉にも熱がこもっていた。

 

「そんな奴らをこんなクソみたいな学校の基準でいなくなるなんて嫌だなって思った。だから」

 

 上を見ていた渡辺の目が下りる。こちらを見つめる色物揃いのクラスをまとめられる、英傑たち。自分だけでも、綾小路とだけでもダメだ。足りない、何より勿体ない。

 

「いっしょに遊ぼうぜ、この学校の試験も舞台も、何もかもを全部使って」

 

 普段のはしゃぎっぷりとは思えない静かさだが、それでもその熱は伝わっていく。既に何人かは眼に新しい光がともっていた。

 

「おれたちでやってやるんだ、お前らごときじゃおれたちの力は測れない。こんな狭い世界に収まる器じゃないんだって」

 

 静かにそれでいて語られる言葉に、誰もが耳を傾けていた。

 

「だけどおれ一人じゃできない、でもおれたちならできるって思ってる。だから」

 

 頭が下がった、この学校において頭を下げることは負けであり自分を下だと認める行動だ。誰もが胸を張って自分を強者だと言い張って生き残るのだ。

 

「お願いします、手伝ってください」

 

 部屋が静まり返った。しかしさっきまでの気まずい雰囲気はなく、心につけられた熱と伝えられた情報を優秀な頭で整理する時間。渡辺の言葉に最初に応えたのは、

 

「うん、いいよ。私は手伝うよ」

 

 Bクラスの一之瀬だった。元より誰とでも仲良くなり、平穏を目指す一之瀬としては争うのではなく遊ぶ。その誘い文句にケチをつけることはなかった。

 

「僕も賛成するよ、どうなるかは分からないけど出来ることなら協力したい」

「私もいいよ!」

 

 同じDクラスの平田と櫛田も賛成する。もとより同じクラスで一之瀬と同じように平穏を求めるタイプだ。断る理由などない。

 

「……………俺も賛成する」

「葛城さん!?」

 

 次に賛成したのはAクラスの葛城。場合によっては戦うことも選ぶが、基本的には保守的であり無駄な争いを避けられるのならそれでいいと思う穏健派だ。

 

 ここまではするべくして賛成したメンバーだ。つまり、残ったものこそがこれからの真の交渉となる。

 

「おーおーいい感動的なスピーチだな、だが俺は断るぜ」

 

 やはりと言うべきか、Cクラスの王龍園はニヤつきながら拒否する。ほかのメンバーも驚くことはなく、やはりか、といった顔をする。

 

「理由は分かった、度胸もあって駒の大切さも分かっているようだが「俺にメリットがない」」

 

 最後の部分を頭を下げたままの渡辺が被せる。少し苛立った龍園に顔をあげて渡辺が不敵に笑った。

 

「分かってる、龍園がこの程度の言葉で動く男じゃないってことは」

 

 言葉を取られたことより、自分の行動を先読みされたことに警戒しながら機嫌が悪そうに睨みつける。

 

「ぶっちゃけDクラスとBクラスは手伝ってもらえると思ってた。そんな誘いだし。でもCクラスは絶対に断る、Aクラスは、坂柳もかな。葛城は半々だったから嬉しい」

 

 ありがとーと笑顔で手を振る渡辺に少し早まったかと内心考えだす葛城。

 

「あら、私も断ると思っていたのですか。それは悲しいですね」

 

 しょんぼりとした顔をする坂柳、純粋な人ならばその顔を見て罪悪感を感じるだろう。

 

「うるさいぞ邪悪ロリ、お前はあと」

 

 神室が顔を伏せた。坂柳の方を一切見ることなく言い切る言葉に耐えることはできず、口を両手で抑えて肩を震わせている。葛城は渡辺と仲良くなろうと思った。

 

「へぇ? つまり俺も思わず参加してしまいたくなる感動的な言葉をくれると?」

「もちろん」

「アルベルト」

 

 龍園の言葉でアルベルトの拳が渡辺へ向かう。誰もが次に起こる現実に悲鳴を上げようとしたが、

 

「……………ありがと、助かった」

「これくらいはさせてくれ」

 

 いつの間に割り込んだのか、綾小路がアルベルトの拳を渡辺に当たらないように逸らしていた。こればかりは渡辺以外の全員が驚く。単純にすごいと、普段からは思えないほどの俊敏さに、暴力のステータスの高さに、そしてなんの迷いもなく自分の秘密がバレる可能性もあるなかで、誰かを助けたその行動に、各々が驚いていた。

 

「どうした? 早すぎる男は嫌われるぜ龍園?」

 

 今度は伊吹が顔を逸らした。綾小路の動きに驚きはしたものの、毛嫌いしている男の悪口は刺さったらしい。

 

「あ? たまたまアルベルトが手を滑らしただけだぜ? 焦ったのはお前の方だろ?」

 

 アルベルトを下がらせ、席に戻る綾小路の警戒をグンと引き上げながら渡辺との駆け引きを始める。

 

「あ、ごめん。おれそういうの無理だから直球でいうわ」

 

 と思ったら梯子を外される龍園。またしても伊吹が顔を逸らした。頬が少し引くついた。それを知ってか知らずか呑気に話始める渡辺。

 

「最終的にはさ、こうしたいんだ」

 

 そして渡辺は自分の最終目的を口にした。

 

 龍園だけでなく、その言葉を聞いた部屋にいたメンバーは────────────




交渉はまだ続きます。つまり作者の頭がまだ使われます。ただでさえ登場人物多いのに策略も練るとかパンクしそうです。


感想、誤字報告いつもありがとうございます。なんかキャラの話し方違うとかあったら遠慮なく言ってください。ギャグ崩壊でもしない限り原作再現しようとしたキャラの話し方や行動が違うのが一番良くないと思ってるので。
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