人工的天才の友人は超能力者   作:アオノクロ

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 どうもーお久しぶりです。他の小説書いてて遅くなりました。展開は決まってるので空いた時間にでも書いて投稿していこうと思います。




 他の小説からなのか伸びててビックリ。


開示された秘密

 語られたのは渡辺の最終目標、ここにいるのは各クラスのトップと呼べるメンバーたち。語られる途中から察することはできた。だが、できたが故に、

 

「「「「「…………………」」」」」

 

 黙ることしかできなかった。

 

 理由は様々とあれど理由はひとつ、理解が追いつかなかった。突拍子もないわけじゃない、少し考えれば思いつくシンプル過ぎる策。困難ではあれど最高で最善の策。それを思いつけなかった自分にリーダーたちも付き添いも驚いた。

 

「って感じだけどどう?」

 

 何も言えない。目の前のふざけたヤツが、本人たちは知らないがこの部屋では学力も運動能力も平均程度にしかない凡庸なやつが、思いついた策を思いつけなかった。凡庸で普通だからこそ考え付いた至極真っ当なアイデアを。その事を噛み締めているはいるが、飲み込めているものはいなかった。未だ学生なのだ。どれだけ頭脳や腕力が大人に匹敵するとしても数ヶ月前まで中学生だった高校生、自分よりすごいと認めるには悔しさが勝る年頃なのだ。

 

 もし仮にそんなことができるものがいたとしたら、

 

「渡辺君はすごいね」

 

 それは余程精神が熟しているか、

 

「僕はその目標を手伝う」

 

 よほど魅力的だったのか、

 

「僕にできる事ならなんでもする、約束するよ」

「そこまで言わなくていいぞ平田」

 

 感動していた平田を綾小路が止めた。付き合いはまだ短いが、いい奴ということは知っている。それ故の心配だった。

 

「え、なんでも?」

「いいから話を進めろ、まだ途中だぞ」

 

 悪ノリしだした友人を止めて続きを促す。慣れを超えた呼吸に近いスムーズな動きだった。バカな会話によって余裕ができた空間、改めて提案された案を考えると理想的ではあるが現実的に可能かと言われれば難点もある。夢を語るだけなら誰でもできる、問題はどう叶えていくのかという点だ。荒唐無稽な夢を語るのは子供っぽいが、それを笑うのはただのガキだ。現実的に否定するのが大人、というわけでもない。

 じゃあどうするのか?

 

「ハッ! 随分な夢を語るな? 本にすれば売れそうだ」

 

 故に否定も肯定もせず出方を見る。腕力にものを言わせる乱暴者、に見せかけた策略家である龍園は情報を求める。

 

「そのご立派な目標を達成するにはどんなことを考えてるんだ? よければ聞かせてもらいたいものだな」

 

 何をするのか、そのためにどう動くのか。プライドはある、なんならこの場の中でもトップだろう。だがそれ以上にあるのが勝ちへの執念。勝者こそが龍園の在り方、そのためなら負けることも厭わない。

 

 そのためにまず目の前の獲物をどう相手するかを考える。おそらく頭は回る、腕力はそばにいるアイツが担当、潰すよりは引き込んだ方が得になる。それもアイデア次第、同じようなことを考えていたのは他にもいる。高すぎる理想、故に手間もかかる。それをどう乗り越えるのか。

 

 渡辺に再び視線が集まり、開かれた口から語られたのは、

 

 

 

 

 

「え? 何もないけど」

 

 

 

 

 

 理解するのに時間がかかった。

 

「……………は? あれだけ大層なことを言って、計画はない、だと?」

「予定は未定! 計画プランは臨機応変!」

 

 龍園も思わずマヌケな顔になり、胸を張るバカ。言い換えても無計画には変わりない。

 

「「「「………………」」」」

「」

 

 本当なの? と堀北を始め数人の視線が綾小路に向けられるが、逸らされた。どこか遠くを見ている。そこで全員が気が付いた、あ、本当に考えてないんだこのバカ。

 

 今度は視線がバカに集まる。本人はなぜ見られているのか分かってないのか両手でピースした。頭を押さえたり天井を見上げたり、それぞれの方法で後悔し始めた。ここまで考えていないバカだと最初の協力案も破棄したほうがいいかもしれない。リーダーだけでなく付き添いメンバーもそう考えだした。

 

「渡辺君、本当にやり方は考えてないのかい?」

 

 聞いたのは平田、横で櫛田が初めて見る真剣な表情に驚いた。朗らかで優しい、悪目に言えば優男という評価が付けられていた男とは思えないほど真剣な表情。疑っている? 違う。 怒っている? 違う。他のクラスでも分かった。

 

 信じている目だ。

 

「俺は考えてないよ、というかそこまで頭良くないし」

 

 ひらひらと手を振る渡辺、真剣な平田に対しての態度に数人が少しイラつき始めていた。

 

「だから一緒に考えてくれ」

 

 開こうとした口が止まる。

 

「おれだけじゃ無理だ。でもここにはみんなのように、おれより頭のいい奴も、すごいやつもたくさんいる」

 

 荒れていた感情が穏やかになっていく。

 

「だからみんなで遊ぼうぜ? 学校すらも超えていく楽しいことをおれ達でやろう。全員が協力してくれたらできる」

「……………………その根拠は?」

 

 聞いたのは堀北、言っていることは分かる。どうやって、を考えていないということも分かった。だというのにその自信はどこから来るのか、それが分からない。未だ個人の力を優先している彼女には分からない。

 

「信じてる」

 

 答えになっていない答え。

 

 実力至上主義をうたうこの学校では、ふるいにかけられすぐに取りこぼされて蹴落とされるようなもの。幼稚で未熟で理想でしかないその答えに、

 

「…………………………ふぅ」

 

 ため息をつく、肩に力が入っていた。息も力も、その他いらないものが全部出る。残ったものはなんなのか、堀北が理解するにはまだ時間がかかる。

 

「分かったわ、協力しましょう」

「「「⁉」」」

 

 驚くことに平田に櫛田はもちろん、ほかのクラスでも堅物だと思われていた堀北が一番に了承した。驚愕の目で見られている堀北の頭にあったのは、ひと言。

 

 

 

 バカらしい。

 

 

 

 憧れの兄よりも優秀で固く閉ざされていた頭脳が出した答え、悩むのもいいが悩みすぎて呆れてバカバカしくなった。背もたれに身体を預けてダレた姿勢になる。これまでの自分なら絶対にしなかったであろう態度、意地になってもどうしようもないのだと、堰き止めていた感情が溢れる。スッキリした表情で、いたずらを仕掛けてくるバカな二人を見る。

 

「使い潰してあげるから覚悟しなさい」

「上等」

「勘弁してくれ」

 

 満面の笑みの渡辺にげんなりとした綾小路、それを見て笑う堀北。

 

「……………そうだね、誰かひとりに頼らなくてもいいんだもんね」

 

 その様子を見てひとり言を呟いたのは、

 

「改めて、僕も協力するよ。堀北さんや、渡辺君たちだけに任せっきりにせず頼りながら。だから僕にも頼ってほしい」

 

 優しい声色だったが、力強い意思が込められていた。

 

「あ、えっと私も」

 

 となりでおずおずと手をあげる櫛田、思うことはあれど言ってることは分からなくもない。断る方が悪いと思った。

 

「……………私もいいかな、ね? 神崎君」

「あぁ、良いと思う」

 

 信じていると言われた時、視線は堀北だったが全員に向けられていた。またちゃんと話したこともなく、向こうは自分を知っているのだろう。そのうえで信じてると言われたのだ。かならずできると、一之瀬はその信頼にこたえたい。

 

「………できる、と言われてしないのもな。俺も協力しよう」

「葛城さんならできますよ」

 

 葛城も参加、ここまではさっきまでと同じ。方法こそなかったものの、具体的な目標が掲げられた上での参加表明。そして残されたのは、

 

「お前はどうするんだ坂柳」

 

 葛城がとなりに座っている坂柳に声をかける。唯一、同クラスから呼ばれたリーダー格である片割れ、答えによっては内部分裂もあり得るが故に一番の警戒相手。その内心は常にたったひとりに向けられていることは誰も知ることはない。

 

「……………いいですよ、悪くなさそうですし」

 

 乗った。

 

 何が目的なのかは不明だが、望みの相手がいる。近くにいるに越したことはない。どう動くのか、何をするのか、近くで見たい。これが自分の目標だと思っている少女はまだ大人になれない。

 

 残りはCクラスのみ、リーダーである龍園の顔は俯いている。現状残りの三クラスは手を組んだ、このままでは数によって負ける。いや戦いようはあるだろうが不利には違いない。

 

「……………ここは乗るべきだと思うけどね」

 

 伊吹がぼそりと呟く。目的も真っ当、自分たちにデメリットがあるわけでもない誘い。龍園のことは嫌っているが、性格を考えると素直に頷くとは思えない。断られると自分にも被害が来る、そう考えての口添えだった。

 

「……………いいだろう」

 

 低い声が俯いた顔から響いた。あげられた顔にはいつも通りの笑みが浮かんでいる。

 

「ただし、条件がある」

「ん? どうぞ」

 

 部屋に緊張が走る。

 

 部屋中の視線が集まる中、分かっているのかいないのか、いつもと変わらない呑気な声。

 

「メリットを示してみろ。協力することで俺たちにどんな理があるのか」

 

 予想よりも優しい要求、だが目的はそれじゃない。と気が付いたのはどれほどか、少なくとも言われているバカは気が付いていない。

 

「お前の目標は立派だ、だが確実性はない。出来たらいいな、って机上の空論みてぇなもんだ。それに乗って失敗した時、お前はどうする? がんばったけど無理でした~って泣くのか? そっちは良くても協力した俺たちはなぁ、被害を被るってんならそれなりの保険があってしかるべきだろ。それさえ用意できねぇってんならどっちみち失敗に終わる。だから見せてみろよ、お前のその夢物語に参加するメリットってのをよ」

 

 龍園が求めたのものは保険、失敗したら? 不測の事態なんていくらでも起こりえる。ならばその備えを、先に提示すべきだという。これもまた至極真っ当な意見だ。ともに死んでくれ、なんて誘いはもっと信頼があるか、それかそれだけのメリットを出しておくか。これらを両者の間で認め合わなければいけない。だが出会ったばかりで信頼などあるとはいえない、そうなると龍園にとってのメリットを提示する必要がある。

 

「そうだな、ポイントを貰おうか」

 

 学校で絶対の価値を持つポイントを、渡辺への信頼ではなく、共通して信頼しているものを求める。

 

「とりあえず「メリットならある」……………あぁ?」

 

 ポイントの額を言おうとして遮られた。

 

「メリットなら、ある」

 

 別人ともいえるほどの真剣な顔つき、それは言葉を遮られた龍園が文句を言えないほどのものだった。

 

「……………さっきみてぇないい加減なことを言うんじゃねぇぞ」

「あぁ、もちろんだ」

「チッ」

 

 舌打ちをして引く。珍しいものを見たと伊吹が驚くが、仕方ないかと納得できるほどの真剣な雰囲気を渡辺は纏っていた。

 

 

 

 

 

「……………ほんとうにいいのか?」

「あぁ」

「オレの秘密なんて目にならないものだ、それを「いいんだ」……………」

「頼むってのに、隠し事をするなんてダメだろ?」

 

 

 

 

 

「……………実は龍園に言われなくても予定はしていた」

 

 人が減ったカラオケルーム、各クラスのリーダーとDクラスの三人だけが残り、付き添いのメンバーは一度退出してもらった。

 

「で、何を見せてくれるってんだ? 手品でもしてくれんのか?」

 

 揶揄うような口調、だが龍園の目は笑っていない。ほかのリーダーたちもこれから何が起きるのか、突拍子もないことをする掴みどころのない渡辺に注目する。そばにいた綾小路が少しだけ心配していたのを、堀北だけが気が付いた。

 

「坂柳、少しだけいいか」

「ええ」

 

 モニターの前に坂柳と渡辺が並んで立ち、杖を持っていた方とは反対の手を軽く握る。深呼吸を何度か、焦る心臓を落ち着かせるがいつもより脈拍がはやい。冷静を装いながらも緊張しているのは誰の目にはあきらかだった。

 

 少しだけあげた顔の先では、自分を見つめるたくさんの顔、の中で相変わらず変わらない表情で心配している友人。顔に出ないだけで結構感情豊かだよな、そう笑ったら少しいじけていた。その思い出が超能力者の顔をほころばせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰もが見ている光景に絶句していた。さっきと同じカラオケルーム、同じメンバー、そこに変わったことはない。

 

 

 

 ただモニターの前で渡辺と手をつないだ坂柳が浮かんでいることを除いては。

 

 モニター前で浮かぶ坂柳を、手をはなして自分も同じように浮かぶ渡辺海斗を、全員が見つめていた。

 

「改めて自己紹介するよ」

 

 差し出された手が、テーブルに乗っていたコップを見えない糸で引っ張るかのように浮かびあがりひっくり返る。残っていた中身は床に落ちることなく横にそれて、空中に文字をかたどった。

 

「Dクラス、渡辺海斗」

 

 空中に浮かぶのはPsychicの文字。

 

「超能力者だ」




 はい、というわけで正体バレじゃなくて自ら明かしました。頭のいい主人公なら龍園も口説いたりできたんですが、ここはバカなので無理でした。



 どうでもいいけど龍園のビジュ最初はとあるの木原数多みたいだと思ってたら赤髪ロングって、割と普通なのな。もっとヤンキーヤンキーしてたのかと思ってました。以上どうでもいい話です。


感想、誤字報告いつもありがとうございます。今年中にもう一回更新、できたらいいなーって思ってます。期待せずにお待ちください、では!
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