同時投稿してるので、ひとつ前の話からお読みください
誤読防止スペース(意味あるのかは分からん)
「よーし、三人で写真撮った記念にご飯食べようぜ!」
「そうだな」
「え、あ、いいんですか?」
連絡先と写真を交換した三人は連れ添ってご飯を食べに行こうとした。談笑しながらお店に向かう途中、ここにきてまたバカが思いつく。
「………………佐倉、今夜の飯、俺の部屋で用意するから一つお願いしてもいいか?」
「え、はい、わたしでいいなら」
「よし、メニューもリクエストしてくれ。ポイントもこっちで出す」
「いやいや、悪いですよ!?」
「佐倉、あきらめろ。こうなったら堀北にも止められない」
真剣な顔つきでスーパーへ向かう渡辺に、慣れという名の諦めであるいっそ清々しい綾小路、そして間違ったかなぁ、と早くも後悔し始めた佐倉。
食べたいものを遠慮がちにリクエストするも「肉体的苦痛は無いが精神的苦痛はありえるぞ」という天才のアドバイスにより自らのストッパーを外す。
そして渡辺の部屋に入る直前に気が付く。
(わたし男の子の部屋に入るの初めてだ)
初めて自分に降ってわいた青春イベントに不安とちょっとした期待を持ってドアをくぐった。
この日初めて女性を向かい入れた渡辺ルームではちょっといやらしい雰囲気に………………なるわけもなく、
「よっし!」
ガッツポーズをあげるバカ、
「………………」
入学していらい何度目かになる無量空処によるフリーズを出す天才、
「は、恥ずかしいので見ないでください」
顔を真っ赤にして隠す、メイド服を着た佐倉がいた。
「どうだ綾小路! 無駄になることなく活用できたぞ!」
「………………そうだな」
「もっと喜べ、クラスメイトがメイド服を着てくれるなんてめったにない経験だぞ」
「………………これはセクハラにならないのか?」
「たとえバカにされてもやり遂げないといけないことがある、それがロマンだ」
「そうか、そうなのか」
ポンコツとなりはてた天才はもはや見届けるしかなく、かろうじて残った理性がもし誰かにバレたどう言い訳するかを考え始めた。一番成功率が高いのはバカを切り捨てるだった。
「なんでこんなのがあるんですかぁ」
もはや蚊の鳴く声となった佐倉だが、あいにくここには難聴系主人公はいない。
「なんかこう、ノリで買った」
「ノリで!?」
「冷静になるとめっちゃ邪魔だったけど捨てづらかったから助かる。あ、写真撮っていい?」
「なんでですか!?」
「大丈夫、誰も着てないし洗濯もしてあるから」
「そこじゃないんですよぉ」
「似合ってる! かわいいよ佐倉!」
「やめてくださぁいぃ!」
撮影許可を貰おうとあの手この手を尽くすバカ、しかし着ているだけでも恥ずかしいのに撮影なんて羞恥心で死んでしまうと必死に却下する佐倉との戦いが始まった。なお審判は綾小路、見守る係ともいう。
結局褒めに褒められて羞恥心の限界に来た佐倉が一周回って吹っ切れて「絶対に! 絶対に誰にも見せないでくださいね!」という条件のもと撮影会が行われた。
真っ赤な顔でポーズをとるメイドを「いいよいいよ! 目線ちょうだい! はい、あざとくポーズ!」と聞きかじりのカメラマン知識で煽るバカが何枚も写真を撮り、「撮らねぇの?」「あの、嫌ですか?」という二人に押し切られ隣り合ってメイドとハートのポーズをとる綾小路がいた。
ツーショットが解禁された撮影会は三人で撮ったり、なぜかメイド抜きのツーショットも撮影された。断っておくが誰も酒は飲んでいない。ただの学生のノリである。
撮影会の後、メイド服は被写体へ贈呈されたのだが被写体が断った。部屋に置いて今日を思い出すのがいやだ、という理由だが、また部屋に遊びに来るきっかけになればいいと少しだけ下心があったのは本人だけの秘密である。
なお撮影された写真は三人のもと共有され、綾小路は写真の取り扱いに悩み、佐倉は見るたびに高校初の友人と遊んだこと、人生で初めて異性の部屋に行けた喜びにニヤけては紐づいて離れない羞恥心がよみがえりベッドの上で悶えることになった。
ちなみにバカは新しいコスチュームの購入を計画している。
俗世に疎い高校生と押しに弱い女の子をたぶらかす主人公がいるらしいです、最悪ですね。
ちなみに、この後も撮影会はたまに開催されています。コスチュームは増えて男どもは佐倉のリクエストに答えています。
綾小路は写真技術が上がり、佐倉は衣装に合わせたポーズをとるのが上手くなり、渡辺は服の手入れを覚えるようになりました。
これが強化イベント。