いろいろと考察してくれる方々がいらっしゃいますが、作者はそこまで考えてないのでボカやらかすと思いますのでお許しください(先制謝罪)
個人的に好きなキャラの登場です
「さて、やってきました図書室。本がたくさんありますねー」
「本がないと図書室にはならないんじゃないか?」
いつものバカと最近ポンコツになりかけた天才が訪れたのは図書室。金のかかっている学校だけあってその数は多く、読書をするだけでなく勉強をしている生徒もいる。
始めて訪れた渡辺は珍しそうに棚を眺める。
渡辺は読書家ではない、なんならアニメやマンガに触れる方が多いタイプだ。それでも小学校中学校と図書室にはよく通っていた。その理由は予想もつく人もいるのではないだろうか。
「渡辺は本を読むのか?」
「いたずら関係の本を探してたらいつの間にかゾ〇リを読んでた」
「なるほど?」
こんなものである。そして渡辺は気が付いていないが、綾小路はゾ〇リを読んだことがない。ホワイトルームの連中にそんなものを用意する心はなく、用意するくらいならそもそもホワイトルームなんてものは生まれない。
この事を知った渡辺は、後に出会った友人と一緒に綾小路を児童書コーナーに連れて行くことになるが未来の話である。
「綾小路は?」
「文学作品は読んだことがある、ミステリーもだな。江戸川乱歩や横溝正史とかな、ここにも揃ってるぞ」
「わるい、なにもわからん」
渡辺にとって文学作品とは教科書に載っていたりするなんか難しい話という認識でしかない。日が落ちるより早く走る男の話は覚えているが、フルチンマラソンしてた印象が強い。本に興味がない学生などこの程度である。
「最近は調べものもするな」
「へーどんな」
「本、お探しですか?」
本棚を見回り、適当な本を持って中身をぺらぺらとめくる遊びをしながら小声で話す。そんな二人に声がかけられた。
佐倉とは違った感じの大人しめの女子生徒。柔らかくも意志のはっきりしている強さも感じられる。胸元に抱えた本は難しい漢字がならんでおり、渡辺はメガネのかけていない文学少女と認識した。
「急に声をかけてすいません、一年Cクラスの椎名ひよりと言います」
「一年Dクラスの渡辺、それと」
「同じくDクラスの綾小路だ」
お互いに挨拶をする。そして最初に口を開いたのは、
「椎名は本詳しい人? もしかして本探すの手伝ってくれる?」
渡辺だった。良くも悪くも警戒をしない渡辺に尻ごみという文字はない。
「はい、同じ一年生ですし手伝えることがあるなら」
「マジか助かる! あー例えば、いたずらが上手くなる本とかどこにあるか知ってる?」
「………………ごめんなさい」
椎名、すげなく撃沈。入学してからずっと図書室に通い詰めである本の虫も流石に把握していない本はある。そもそも渡辺の探す本は実在するのかが怪しい。
「ごめんなさい、自分から手伝うといったのに力になれなくて」
「椎名、気にしなくていい。渡辺はちょっと、こう、………ズレてるんだ」
綾小路のフォローもむなしく落ち込む、椎名。それでも世界の遊びなどがありそうな本の場所を教えバカはそこへ向かっていった。
「あー、そうだ、オレはミステリーとか読むんだが椎名はどんな本を読むんだ?」
今だ人間関係のコミュニケーションが苦手は綾小路はフォローより話題を変えることを選んだ。
「そうですね、例えば………」
その選択は正解だった。落ち込んだ椎名は自分がこれまで読んできた本のタイトルをいくつか挙げると、知ったものが多かった綾小路も乗った。小声ながらも二人は本を読む同志に出会えた喜びを楽しむのであった。
「めっちゃ仲良くなってない?」
立ち話もなんだからと、近くの机に着いた三人。だが、距離が縮まった二人に渡辺だけ疎外感があった。
「本の趣味があってな、ここまで話せたのは始めてた」
「うふふ、綾小路君は何度か見かけててちょっと話してみたかったんです」
表情に出ていないが喜んでいる綾小路と見るからに楽しそうな椎名、仲良くなったきっかけが本なのでバカは何も口を挟めなかった。
「そういや綾小路はたまに図書室来てたんだっけ? 何読んでたんだ?」
綾小路と渡辺はいつも一緒にいるわけではない。つるむ頻度が高いというだけで綾小路は図書室で調べものだったり、渡辺はクラスの中心人物となっている平田や櫛田の誘いに乗って遊びに行っている。
「それがですね、前に見かけたら超能力について調べてたんです」
渡辺の疑問に答えたのは椎名、そもそも綾小路に興味を持ったのが調べものの内容。人を見た目で判断していけないというが、無表情でクールな男子が図書室で調べるほど興味を持つのが超能力。そのギャップは椎名に興味を持たせるのに充分だった。
「へー子どもっぽいとこあるのな」
「………………」
目で何かを訴えかけるがテレパシーも使える超能力者には伝わらなかった。
「渡辺君はどんな本を読むんですか?」
「あーおれはそんな読まないんだ、ちゃんとしたのは小学校の頃に読んだハリポタくらい?」
「ファンタジー作品の王様ですね」
「そ! 映画見ておもしろくてさ、気になってDVD流しながらがんばって読んだわ~。飯食いながら「うぃんがーでぃあむれびおさー」とかやって宙に浮かせようとしたら親に怒られた」
「レヴィオーサですよ、渡辺君」
お前は魔法を使わなくてもものを浮かせることはできるのでは? 小ネタを挟みながらしゃべる二人を見て綾小路は出会った日のことを思いだす。そして同じくホワイトルームにはない作品だったので会話に混ざることはできず、聞き役になった。
「それでお二人は何をしに来たのですか?」
一通り読書トークを楽しんでひと息入れて出てきて椎名からの質問。本の趣味が合わない友人というのは珍しくないが、勉強をするわけでもなく共に本を探している、なんらかの目的があるというのが椎名の考えだった。
「めっちゃ頭いいな、探偵みたい」
「ミステリーが好きですとね、こんなこともしたくなるのです」
「かっけえ、おれも本読もうかな」
「おススメしますよ?」
「コ〇ンくらいしか読んでないから簡単な奴からお願いします」
すぐに脱線した、綾小路は見慣れていたが大抵の原因は渡辺である。
「クラスメイトにいたずらしてるんだけどそろそろネタが尽きかけてな、それで図書室でいい案が浮かばないか調べにきた」
「………………」
「すまん、こういうやつなんだ」
さっきの質問は本気だったのか、自分を試すためのジャブではなかったのか、いろいろな意図を含む目で綾小路見るが彼の態度からして本気らしい。
そのままバカは堀北へのいたずらを話した。一か月も経っていないというのに結構な数が出てくる。
椎名は何とか感想を絞り出した。
「なんというか、その、楽しんでますね」
あきらかに無理をして言葉を選んだ表情だ。
「バカって直球で言っても大丈夫だぞ椎名」
「大丈夫じゃねぇよ? それなりに傷ついてるからな?」
「堀北にもさんざん言われてるだろ。最近は疑心暗鬼になってるのか、席に着く前に一通り調べるようになってる」
「だから寮の扉に仕掛けたんだ、机に入れておくと読まずに捨てられると思ったからな。みごとに引っかかってくれたぜ」
「反省の手紙に見せかけた縦読みで反省してませんはどうかと思う」
「でも文考えたの綾小路じゃん」
「あれ仕掛けてから堀北からの視線が痛いんだが」
「いつも通りだな」
本気で本当に取り組んでいるんだ。男子の会話を聞いて気が付いた椎名は思わず笑ってしまった。
笑われたと思った男たちはお前が笑われている、と言い合い始めた。そしてまた椎名が笑う。
「ふふ、本当に楽しんでいるのですね」
「もちろん」
自信満々に腕を組んだバカは不敵な笑みを浮かべた。
「くだらないことでも、つまらないことでも、誰かと一緒に全力を尽くせば楽しいんだ」
隣に座っている無表情な男子は何を思っているのか、バカのことを見つめていた。それが諦めなのか、尊敬なのか、椎名には分らない。ただ少し、いいなぁと思えた。
「………私のクラスとは大違いですね」
「ん?」
ぽつりと零した椎名の言葉にバカが反応した。綾小路の警戒が上がった。
「Cクラスでは、ある人物がクラスをまとめようとしています」
「へ~」
綾小路の警戒が上がる。
「あまり大きな声では言えませんが、どうもあまり良くない方法もとっているらしいです。わたしは関わるつもりはありませんが仲良くなるというよりは支配といった感じです、少なくとも私はそう思っています」
「ほうほう」
綾小路の頭の中で警報が鳴り響く。
「Dクラスも最近は授業態度が良くないと噂を聞きます、でも綾小路君や渡辺君がいるのなら楽しいのかもと思います」
「なら一緒に遊ぼうぜ」
「え」
知らず知らずにうつむいていた椎名の顔が上がると、渡辺が机を挟んで手を伸ばしていた。その手と顔をぱちくりと見つめる。
「高校生活はじまったばっかだぜ? おれは本の話はあまりできないけど、綾小路がいるし、ほかにも仲良くできるやつはいるかもしれない」
隣を見れば綾小路もこちらを見ている。
「ここまで本の話ができたのは初めてだ、椎名がよければ、また話したい」
驚いて目を見開くと、また正面から声がかかる。
「一緒に遊ぼうぜ、椎名」
さらに伸ばされる手。
「その」
ゆっくりと同年代と比べても華奢な手を伸ばす。
「本くらいしか話せることはありませんが、遊びましょう」
「もちろん」
クラスでも浮いた存在だった本の虫は、クラスの壁を越えた友達ができた。
「でもそうだな、遊ぶのって同じクラスじゃなくてもいいよな」
連絡先を交換し、何事もなかったとひと息ついた綾小路がぴしりと固まった。
「同じクラスのやつしかちゃんと話してないし、四クラスくらいなら見れるか?」
止めるタイミングを失った、綾小路はそう思った。
「おもしろそうなやつもいるだろうし、探すか」
諦めた綾小路は席を立った。
「なにやら楽しそうですね」
いまだ渡辺のことを知らない椎名はニコニコしている。
「善は急げか、よし行くぞ綾小路!」
「帰って本を読みたいんだが」
「読みながらでもできる!」
一応の反論は試みたがこれはまぁ言ってみただけだ、既にこのバカをどう抑えるべきか綾小路はその人類最高峰の脳みそを動かし始めていた。
「じゃあ、椎名今度飯でも、あ、本の方がいいか? ま、好きな方を選んでくれ。またな!」
「すまん椎名、これから迷惑をかけると思う。オレからも本を送るから何がいいか考えておいてくれ」
そう言って図書室を出ていく二人。
「ふふ、私もお二人におススメの本を用意しておきますね」
残された椎名は友達へのプレゼントを考え始めた。
ホワイトルームの読書事情は推察です、アニメとかにチラッと映ってたり作中で描写されてたらごめん。
ないとは思ってる。だってホワイトルームだし。あとラノベとかファンタジー系もない。
関係ないですけど読書系お姉さんに最強二人が育てられる作品好きです。
ある日、渡辺のミステリー小説を読む手伝いをしていたところ、児童書を読んだことないことが発覚した綾小路は二人に捕まって本屋につれていかれます。
アンパンマンを読んで「パンが生きてて顔を食べさせるってどういうことだ?」とか言ってる。そこからガチ考察が始まる。
たくさん読んで気に入ったのは「百万回生きたねこ」とか「マチルダは小さな大天才」、
「おれはティラノサウルスだ」は必須
ただ綾小路が一番心に残ったのは「スイミー」
自分のポイントで買って、何度か自室で読み返してます
今回の成果
綾小路:心惹かれる絵本
椎名:これまで知識を生かしたいたずらの発想
渡辺:ミステリーっておもしろっ! でもやっぱ登場人物こんがらがる
作中はまだ四月です。次回、もう一人だけキャラを登場させて五月になります。