人工的天才の友人は超能力者   作:アオノクロ

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前回の絵本を購入する綾小路、好評みたいで嬉しかったです。

ただ! ただ! 自分からネタバラシするみたいで嫌なのですが気付かれなかったので一言‼︎

Tレックスである綾小路に!「おれはティラノサウルスだ」!

この組み合わせが伝わらなかったことが悔しい!
「スイミー」が名作すぎた!強すぎる!


二年の最悪とボールゲーム

 オレ、綾小路清隆が高度育成高等学校に入学して、そろそろ一ヶ月が経とうとしてした。学校生活はオレが思っていたよりも楽しく、数人の友人もできた。それは間違いなく後ろの席にいる渡辺海斗のおかげと言える。

 

 もし入学しても出会わずにいたら、そう思ったことも何度かある。可能性は無数に存在するが、今以上に楽しめたかというとそんな事はないと思う。

 

 クラスメイトと交友関係を深めてもホワイトルームについて話す事はなかっただろう。平田や櫛田に誘われて遊びには行けても、イタズラをしようとは誘われる事はなかっただろう。写真を撮る技術は佐倉がいれば上がったかもしれない、スイミーやその他の絵本などを読む事は椎名がいれば有り得たかもしれない。

 

 だが、渡辺海斗という男に会えなければ、オレはずっとホワイトルームから抜け出す事はできなかったと、これだけは言い切れる確信がある。

 

 勉強も運動もオレやホワイトルームの誰よりも劣っていた超能力者は、誰よりも楽しいということを教えてくれた。

 

 しかしオレはまだ分かっていなかった、渡辺という人間の人となりを。

 

 この友人が、喜怒哀楽を分かりやすく表に出す人間が、敵対した時にどうするのかを。

 

 

 

 

 

 

 

「ここまでするのか?」

「とーぜん! この学校の生徒はおれたちだけじゃないからな!」

 

 いつも通りバカは綾小路を引き連れていた。

 

「おもしろいものは探さないと見つからないんだ、待っていれば来るなんてそんな甘い幻想は捨てろ! どんなに困難な道も、乗り越えた先に未来はある!」

「大袈裟に言ってもやってる事は人間観察だが」

「おれに備わっているおもしろいセンサーを信じろ」

「オレが調べた限り人体にそんなものはないし、類似する超能力もない」

 

 今回の目的は一緒に遊べる人探し、と言っても綾小路が言った通り人間観察だ。

 椎名と友人になったあと、渡辺は学校中の生徒を観察していた。どのクラスにどんな生徒がいるのか、おもしろい人はいるか。綾小路には判断できないが外見から分かる情報を渡辺に教えていた。

 

 堀北を見てポンコツと言った渡辺の眼を信用していない、最近のイタズラの反応を見ると割とあっているかもしれない、わけでもないが人によって見ている視点は違うという体験は綾小路の興味をひいていた。

 

 ただ、カツラを被せたい苦労人ハゲ、ポンコツ臭のする邪悪なロリ、お嫁さんにしたいランキングナンバーワン天使、仲間になるとギャグ枠になる暴力ホスト、シスコンメガネなど、何をどう見ても判断したのか分からない評価ばかりである。

 

 その評価を出した本人は満足しているのでいいかと、慣れてきた諦めを持って綾小路は着いて行った。

 

 もちろん汚染されかけているのだが、この事は後々堀北に言われるまで気がつかず、指摘された時にだいぶ落ち込んだ。ホワイトルームで作った天才などこの程度である。

 

 そして二人の索敵目標は一年生だけでなく、ほかの学年、さらには教職員も含まれている。その結果気がついたこともある。

 

「上の学年になるほど人が少ない、これはおそらく偶然ではなく必然だ」

「あーイベントがあるとポイントの上下だけじゃなくて退学もあり得る、なぁなんでそんなことすんんだろ」

 

 この学校の仕組みに気がつき始めていた。学年が上がるにつれて減っていく生徒数、Aクラスほど表情が明るく、Dクラスになるほど暗くなっていくことも。

 

「それがこの学校の運営方針なのかもしれない」

「そっかぁー…………悪いことして退学になるってのは仕方ないと思うけど、学校側から退学させにくるのは、なんか嫌だな」

「………………ここは少し、オレが育った場所に似ているかもしれない」

「なーんかあやしぃなぁ」

 

 調べれば調べるほど明るみになる学校の暗い部分。テンションが下がっていく渡辺を見て綾小路はこんな表情もするのかと思っていた。

 

 そして、

 

(もし、何かのキッカケで渡辺と敵対することがあったら、オレはどうしたらいいのだろう)

 

 そんな考えが綾小路に生まれた。どんな勝負でどうすれば勝てるのかをシュミレートし始めた心にモヤがかかりかけた時、そいつは現れた。

 

「おい一年生、二年の教室に何のようだ?」

 

 金髪で人あたりのいい笑顔の二年生のトップ、南雲雅が声をかけてきた。

 

 

 

(……結構やるな)

 

 それが綾小路の第一印象だった。外から分かる情報を整理して出た答えは運動、ケンカの類は強いということ。笑いながらも眼は笑ってないことから、こちらを観察する頭脳もある。

 

 負けることはないだろうがかなりできる人物、それが綾小路の出した結論だった。

 

 ならば渡辺はどうだ、おもしろいセンサーなるものへの反応は、と思って横を見ると、

 

「なんだあんた」

 

 綾小路は驚いた。

 

 渡辺はなんだかんだ言って善人である。イタズラ好きな子どもじみた面もあるが、年相応な知識と礼儀も持っている。聞かれれば自己紹介をし、注意されれば謝って反省する。普通の学生だ。

 

 それがなんと、初対面の相手に明らかに敵対心を抱いている。二年の教室であることを言ったことからおそらくは二年生、この程度なら渡辺も察する。

 

 なのに敬語を使うどころか、ポケットに手をつっこみ、顔を下げて睨むように見ているのだ。

 

 驚きのあまり、注意することもなく渡辺を見続けていた綾小路。

 

「おいおい、俺は二年生だぜ? 敬語くらいは使おうぜ一年生」

「相手によって使い分けるけど? あんたは使いたくないと思っただけだ」

「最初から喧嘩腰なのはどうかと思うな、自己紹介でもするか? 俺は南雲雅、一応生徒会に入ってる。仲良くした方が得だぜ?」

「ならあんたとは仲良くしない、別の生徒会の人と仲良くする。行こうぜ」

「え、あぁ」

 

 軽く肩を叩かれて我にかえった綾小路、南雲に軽く頭を下げると引き返していく渡辺に着いて行った。

 

「いいのか一年、ここまで来たってことは何か気が付いてんだろ? 聞いていかなくていいのか?」

「あんたと喋る気はない」

 

 後ろからの声にも、振りかえらず応える。意外だと思いながらも綾小路は着いて行った。

 

「そう焦るなよ」

 

 帰ろうとする二人の肩を南雲が掴んだ。引っ張られるままに振り返ればさっきまでの柔和な笑みが消え、悪どい笑みを浮かべる南雲がいた。

 

「良かったら遊んでいかないか? もし勝てたらプレゼントをやるよ」

 

 これが綾小路一人なら軽い交渉をして受けていたかもしれない、だがいまは、興味が全て隣の男へ向けられている。

 

「…………あんたと遊んでもつまらない、だから」

 

 振り返った渡辺の顔は、

 

「負けていいなら相手してやるよ」

 

 全ての感情が抜け落ちていた。

 

 

 

 

 

「じゃあいいか? ルールは簡単、先にゴールを奪った方が勝ち。そっちが勝ったら入学祝いに100万ポイント、こっちが勝ったらしばらく俺の仕事を手伝ってもらうぜ?」

「なんでもいい、早く終わらせよう」

 

 南雲に連れてきたのは、体育館。サッカーゴールが用意されており、他に人はいない。

 

「しかしいいのか? 挑んできたってことは俺のこと知ってんだろ?」

 

 渡辺が乗ったことで勝負内容を決めると言った南雲に待ったがかかる。綾小路が二年生が相手なら勝負内容と報酬はこっちが決めさせて欲しいと。何でもいいと言いかけた渡辺を黙らせると、まず報酬はポイントでもいいのかと聞いた。

 

 南雲が問題ないと応えると、勝負内容は簡単で時間のかからないスポーツにしたいと提案。サッカーのPK勝負でどうだという南雲の提案に、うなづいた渡辺を見てこれを了承。

 

 求めるポイントは100万とふっかけると、大笑いした南雲は構わないが、負けた場合はしばらくの間仕事を手伝えとこたえた。

 

 それこそ綾小路だけなら明確にしたのだが、渡辺がそれでいいと先に了承、体育館へ向かった。

 

「なんでも良いはやく蹴れよ」

 

 ブレザーを脱いでキーパー用のグローブをはめた渡辺、真ん中に突っ立ており、ボールを止める気概は見せない。

 

「ちっ、そうかよ。なら二人揃って俺の奴隷になりなぁ‼︎」

 

 その無頓着な態度が気に障ったのか、まだ被り続けた仮面が壊れ本性を出す南雲。勢いそのままにボールを蹴り、ゴールポストの角へ向かう。

 渡辺は動かない。勝った! と南雲が確信した時、

 

 ボールは曲がり、渡辺の胸元へおさまった。

 

「は…………?」

 

 間違いなく自分は角を狙った、曲がるような回転は変えていないし、そもそも回転をかけるにしてもキーパーを避けるように曲げることなど造作もない。だというのにまるで引っ張られるようにキーパーの胸元に飛び込んだ。

 

「じゃあ交代だな」

「テメェ!」

 

 何事もなかったかのようのグローブを外す渡辺を睨みながら場所を交代する。

 

(何をしやがった? 何か仕掛けを? いやここに連れてきたのは俺、ならそんな時間はないはず)

 

 あらゆる可能性を考えるが、ここには自分が仕掛けたカメラしかない。ギリギリと歯軋りをしてゴールの前に立つが、渡辺は外の方を見ており、やる気がないのは誰が見ても分かる。

 

 その態度がまた南雲の怒りに火を注いだ。

 

「オラッ、さっさと蹴ってこい!」

「…………」

 

 無言でボールを蹴る渡辺。蹴られたボールは程々のスピードでまっすぐ、南雲へ飛んできた。

 舐められた、と思いながらも身体はボールをキャッチする体勢に。これで引き分け、次で必ず終わらせると決めてボールを抱え込もうとした時、

 

「は?」

 

 ボールは下へ曲がり、少しだけ開いていた南雲の足の間をすり抜けてゴールを揺らした。

 

「じゃあな、生徒会の人」

 

 驚いて固まった南雲に背を向けて渡辺は歩き出した。




はーい相性悪いというか、嫌いな相手にはこんな態度です超能力者

人間だもの


こんなズルしても楽しくないんで普段は超能力を使いません、使う時はそれなりにありますが真剣であれば真剣であるほど使いません

最近お気に入り数や感想、誤字報告などしてもらえて嬉しい限りです
ありがとうございます
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