感想で南雲結構言われてて笑う。まーしょうがないよねってレベルじゃない邪悪なのなんなん?
という学校も茶柱もめっちゃ言われてるし養護ないのが一番おもろい
人気の少ない校舎の端にある階段に足音が響く。校舎の中にはまだ人はいるが、こんな端に用がある者は少ない。
にもかかわらず、彼は階段を登って行った。策略や暗躍が日常的に行われるこの学校で、人気のないところに誰かがいるのは不思議ではない。取引であったり、弱みを握っての脅迫だったり、表には出せないことをするにはうってつけの場所である。
だが、今回の目的はそんなものではなく、
「よぅ、綾小路」
ただ、友人に会い気に来た、それだけのいたって普通の理由である。
屋上で向かい合っていた二人は黙っていた。綾小路は呼び出されたものの、何を話せばいいのか分からず、渡辺は何から話せばいいのか迷っており、時間がゆっくりと過ぎていく。
「あー」
やはりというべきか、先に口を開いたのは渡辺だった。自分から声をかけるのに戸惑いはなく、静寂よりも喧騒を好む性格が、この無言の空間に耐えきれなかったのである。
「その、入学した日のこと、覚えてるか?」
「………あぁ、渡辺が話しかけてくれてポイント制度について考えた」
「あーそっちか、いやあってるけど」
予想が違ったのか渡辺は頭をかきながら、横を向き、そのまま屋上から下を眺めた。
「一緒に買い物行ったろ?」
「メイド服を買って後悔したな」
「ちゃんと活用できたからいいんだよ」
どうも渡辺が話したい方向と綾小路の言葉はかみ合わないらしい。だがそんな些細なものでも綾小路にとっては大切なものだ。
「堀北にイタズラして」
「スペシャル定食をおごったな」
「佐倉と出会って」
「あの写真をどうしたらいいのか未だに分からない」
「椎名と話して」
「本の場所を聞いて困らせたな」
二人が出会って一か月程度しかたっていないのに振り返るには濃すぎる日々。友人と思い出を語る、今この瞬間も綾小路は楽しんでいた。
だからこそ、入学した時よりも成長していた綾小路は聞くことができた。
「渡辺、何があったのか、何を考えたのか聞いてもいいか?」
笑っていた横顔の口が閉じた。
間違えたか? と不安になったが、細かく動く目と口が、何かを言おうとして戸惑っていた。それさえ分かれば問題はない、黙っているのも、待っているのもオレは得意だ、天才は知らず知らずに学んでいた友人との付き合い方を心得ていた。
「………………おれは、この学校に来て良かったと思ってる」
どれだけ待っただろう。一瞬だったのか、数分なのか、はたまた数時間か。短くとも長い時間を持って、渡辺は口を開いた。
「堀北はおもしろいし、佐倉はいいやつだし、椎名は頭がいい」
それはさっきまでと同じ思いでの振り返り。
「ほかのクラスを見ても面白そうなやつは多かったし、この学校でもっと遊びたいと思えた」
そこに入らなかった渡辺だけの思い出。
「だけど、先輩方やこの学校のシステム、先生の態度を見て思ったんだよね」
友達には言いたくなかった独白。
「この学校はつまらないな、って」
下を眺めていた渡辺の顔が、下を向く。
「生徒同士で競い合う、これはいいと思う。だけど、退学もかける? 生活に必要なポイントすら? 騙して、裏切って、生き残った少しの生徒だけへプレゼントを?」
つらつらと出てくる高度育成学校のシステム。これは綾小路と調べ、五月以降も一人で調べて分かった結果だ。ここは生徒を育てる場所じゃない。戦わせ、生き残らせる蟲毒の舞台だ。
渡辺はそう結論付けた。
「ふざけんなよ?」
綾小路の身体が震える。一般人である渡辺がどうあっても勝てることがない、磨かれた肉体と技術を持っているというのにその気迫に気圧された。殺気のコントロールも武器を使った殺し合い一歩手前の訓練すらも経験済みだというのに。それほどまでの怒りが彼にはあった。
「………おれはこの学校にケンカを売る」
綾小路は少し目を見開いた。明るく人助けも行う善人である渡辺がケンカを売ると宣言した。それほどにか、と理解して、続きの言葉を待った。
「この学校が用意したものを全部、真正面からぶつかって、くだらないものだと言い切り、おれたちの方がもっとすごいことができるって、この学校で遊びつくしてやる」
そこまで言い切ると息を吐きながら肩を落とす、同時にさっきまで放たれていた怒気も収まっていた。
「え、あ~その、だからさ」
それどころか、同一人物とは思えないほどにうろたえていた。
さっきまでのプレッシャーに感心すら持っていた綾小路は目を細めた。今の今でなんでそうなったんだよと、視線だけで伝える。うっかり顔をあげた渡辺は気づいてしまい、
「な、なんだその目は! おれだってこう、緊張することだってあるんだぞ!」
さらに冷たくなる視線。ホワイトルームの天才は知らず知らずに堀北の視線すら学んでいたのだ。
「あーもーなんだ!」
いたたまれなくなり、頭をわしゃわしゃと書き出すと一度大きく足踏みをして止まる。少し切れた息を整えるのを待って、まっすぐと綾小路を見た。
「そのために少しズルをする。遊び以外には使うつもりはなかったが、遊ぶための準備に使う。これはおれが決めたことだ。綾小路には言ったけど、一度決めたことを撤回するようで、ちょっと、ダサいと思う、けど」
徐々に小さくなっていく声、それに合わせて視線も方も下へ下へ落ちていった。最後は蚊の鳴くような声になっており、綾小路でも難しいほどに小さくなっていた。
それでも最後の一言は、はっきりと綾小路の耳に届いた。
「それでも良かったら、友達として手伝ってほしい。あと最近無視してごめん」
頭を下げた。軽くではなく、腰からしっかりとまげて、髪の毛も重力に従って落ちる。
数秒経っても何言われず、少し頭をあげると、さっきまでと一歩も動いていないことに気が付く。
不思議に思ってちゃんと顔をあげると、
「え?」
綾小路の頬を雫がなぞっていた。
「え、え? どうした? 何かダメなこと言ったか? それともどっか痛い???」
「?」
慌てだす渡辺を不思議そうに眺める。何を慌てているのか分からなかったが、ふと視界がにじんでいることに気が付いた。
指で拭うと、水滴が付く。
「………………オレは泣いていたのか」
その言葉を聞いて、気が付いていなかったことに気が付く渡辺。ほっとしてため息をつくと、ポケットに手を突っ込むが、何もなかったのかすぐに出して軽く指をふるう。
綾小路の顔から吹き残していた涙が見えない手によって拭われる。自分の身体の不調に気を取られながらも、こんなこともできるのかと感心した。
「………………オレはホワイトルームで、知識や訓練を受けた」
浮かんでいた涙が空へ消えていくと、綾小路が口を開いた。
「大抵の人間でオレに勝てるやつはいないと思う、だけどオレが知らないことや勝てない相手がいることを教えてくれたやつがいる」
語りだしたのはホワイトルームでは得ることのできなかった経験からでた言葉。常識も、発想も越えて人の心を動かした体験、それを感動という。合理的なことしか与えられないホワイトルームでは一生かけても得ることができないもの、それを教えてくれたのは、
「他の奴と遊びに行ったり、話した。今までのオレだったら充分楽しめたと思う。だけど最近は物足りないと思った」
表情を変えることなく、まっすぐと前を向く。
「渡辺、お前が悩んでいるときに何もできなくてごめん。こんな頼りないオレだけど、良ければ一緒に遊んでほしい。いやオレはお前と遊びたい」
たった一か月程度の期間で成長した綾小路清隆の心からの言葉だった。
その言葉に呆気に取られてしばらく呆然としていた渡辺だったが、腹を抱えて涙が出るほど笑い、手を差し出した。
「迷惑かけるぞ」
「今更だな」
「やばいこともするぞ」
「堀北を怒らせるより平気だ」
「……家のことバレるかもしれないぞ」
「初日に超能力がバレるよりましだ」
「なんだとコノヤロー!」
差し出された手を笑ってにぎり、くだらない会話をしながら二人は屋上を去った。友達だった二人が親友となった瞬間であった。
「よし、作戦会議だ作戦会議! 食料買いに行くぞ‼」
「何をするつもりだ?」
「とりあえずおれたちだけだと人手が足りないから勧誘だな」
「佐倉と椎名か? それとも堀北?」
「いずれ誘うつもりだけど、まず目にかけてたやつがいて………………」
隣り合って歩く二人の背中を月が照らしていた。
日が昇り始めるのはすぐである。
「初めまして、Dクラスの渡辺海斗です! 超能力者です! よろしく!」
最後は月がドアップになってED、特別バージョンで買い物をする二人、堀北や佐倉に椎名、そして各クラスのリーダーたちが映し出されて、最後は渡辺の部屋で食べ物や書き散らかしたノートが開かれた机を挟んで雑魚寝する渡辺と机に突っ伏して寝る綾小路。
からのラストの言葉。
はい、完結みたいですけど終わらないです。続きます。というかこれからが一番書きたかったところです。
今回の成果
綾小路:仲直りした親友 親友の目標
渡辺:仲直りした親友 お前ここまでバカだったのかという親友の目線
感想、お気に入り登録、評価、誤字報告いつもありがとうございます
感想は作品を書く上で参考になることもあるのでどんどんください
お礼は食事中に喉が詰まってあわてて水を飲む堀北の写真です
あと作者の環境が変わって毎日投稿できなくなると思うけどユルシテ